滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

643:冒険者ギルド大森林観測村支部、最凶と最強と約500倍

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「あら? そのおかお、どこかで……見覚みおぼええがありましてよ?」
 こと、不遜ふそんなわりにははなしが分かるガムラン代表だいひょう名物めいぶつ受付嬢うけつけじょう
 オォォッ――その目に、屋内おくないでは見えないはずの、つきひかりが見えかくれしている。
 抜けない聖剣せいけんを、無理矢理むりやりへし折り――
 魔王まおうという生きもの力業ちからわざ淘汰とうたせしめた、当世最凶とうせさいきょうのご令嬢れいじょうである。

「そのドレスとっても、素敵すてきざますわね?」
 かた悪逆非道あくぎゃくひどうおそれられたという、希代きだい吸血鬼きゅうけつきロットリンデ。
 女将おかみさんの態度たいどから、〝似てる〟とほのめかされ――
 いざ会ってみれば、魔物境界線ガムラン代表以上だいひょういじょうの跳ねっかえり。
 絵本えほん『けいこくのまもの』でも、うたわれるほど悪女あくじょである。

「そんな新旧世代しんきゅうせだいにおける、最凶同士さいきょうどうし。そんな二人ふたり視線しせんが、バチバチとからみ合っっているっう――♪」
 ばかやろぅめ! さっきのこえが、令嬢れいじょうたちのあいだを飛ぶ火花ひばなに――
 あぶらそそぐような言葉ことばを、投げつけていく。
 ざわつく会場かいじょう

 あのこえたしか、ガムランちょうのギルド職員しょくいんだろ。
 やはり壇上だんじょうに、姿すがたは見えんがぁ? 

 狐火きつねび仙花せんか狐火きつねび月輪がちりん、そして色鮮いろあざやかな爆発魔法ばくはつまほう
 どっちも〝火の気・・・〟、持ちの令嬢れいじょうだ。
 その二人ふたり相手あいてに良くやるな、彼奴あいつ
 ある意味いみ尊敬そんけいするが……阿呆あほうだぜ。

 ふぉん♪
『>>女神像の起動に成功しました』
 おまえ一言ひとこと、言ってからにしろやぁ。
 ふぉん♪
『ロォグ>>転移扉の設置も完了にゃぁ♪』
 あーもー、ご苦労様くろうさまです。

「おぉーっとぉ! 両者一歩りょうしゃいっぽうごかず、見つめ合っているぅー♪ どちらも相手あいて出方でかたうかがっているのでしょぅかぁ――えっ? どうしましたか、解説かいせつのリオレイニアさん――あれっ、あのちょっと腕を引っ張らないで――ドコへ行くんですか、わたしにはこの世紀せいきのベストバウトの結末けつまつ見届みとどけるとい――ぐっふぉぅわっ――ガチャララララン、ゴガッ、ドサッ!!」
 壇上だんじょうに、リオの姿すがたが無ぇ。
 どうやらご令嬢たちの、直接対決・・・・は――
 彼女リオレイニア承諾しょうだくしたうえでの、出し物・・・ではなかったらしい。

   §

「ロットリンデちゃぁん、ハウスよぉ――?」
 ぽきぽきとゆびを鳴らす、女将おかみさんの母上ははうえ、コッヘル商会しょうかい商会長しょうかいちょう
 ドレスのしたから――ゴガチャンッ♪
 折りたたまれた鉄の棒まほうつえを落とす、大森林ロットリンデ村最・ナァク・凶令嬢ルシランツェル
 両手りょうてを挙げた、そのかお戦意せんいがないのは見て取れた。

「リカルルちゃんもぉー、ケンカしちゃ、だぁめぇでぇすぅかあらぁねぇぇっ?」
 母狐ルリーロ扇子せんすを、ピシリと突付つきつけられ――
 たしなめられる、魔物境界線リカルル・リ最凶令嬢・コントゥル

「わ、わかっておりますわ。もう子供こどもではありませんもの――フン!」
 いつもこしに下げている細身ほそみ長剣ちょうけんとはちがう、ちいさなけん
 それに伸ばしていた手を、引っ込める子狐こぎつね
 手のこう必死ひっしにさする彼女かのじょ目尻めじりに、なみだが浮かんでいる。

もうおくれました。わたくし、コッヘル商会しょうかい代表だいひょうをしております、ティーナ・コッヘルです」
 おとも立てずに壇上中央だんじょうちゅうおうすすみ出る、大森林最強ティーナ・コッヘル

「ぎゃっ――――まさかっ、魔導まどうアーツ開祖かいそ!? なんでココに!?」
 辺境伯夫人へんきょうはくふじんにして、元魔導騎士団もとまどうきしだん総大将そうだいしょう
 前世ぜんせでは五穀豊穣の神・・・・・・眷属けんぞくで有り、ぞくに言う化け狐・・・有名ゆうめいな――
 妖弧ようこルリーロ・イナリィ・・・・・コントゥル。
 前世ぜんせでも今世こんせでも、相当そうとう手練てだれだ。
 そのかおが、困惑こんわくゆがんでる?

 どうも女将おかみさんの母上ははうえと、ウチの名代みょうだい顔見知かおみしりらしい。

 迅雷ジンライ――ふぉん♪
『>>なんでしょう、シガミー』
 いままで極力きょくりょく直接関ちょくせつかかわらずに来たが――
 今後こんごは、あの商会長しょうかいちょうさまとわぁ、全力ぜんりょくあいだを置くぞ。
 あの妖弧ルリーロに、あのかおをさせる相手あいてなんて――相当そうとうにやべぇ。

 ふぉん♪
『>>はい。彼女が妖弧ルリーロと同等の戦力を有している場合において、我々ガムランサイドは大森林サイドに優位を取れません』
 まさかの、ガムラン町全部入り・・・・・・・・・で負けるとか。
 しかも大森林ここには、森の主ファローモまでいる。

 央都おうととのとびらさえつながりゃ、どうとでもなると――
 たかくくっていた自分じぶんを、しかりつけてやりてぇ。

   §

 すっぽこ――ここここぉぉん♪
 ものすご時間じかんが掛かってるが――てちり。
 何処どこかから、おれのあたまうえに飛んでくるげいは――
 ちゃんと使つかえるようだな。

五百乃大角いおのはらめ、あぶねぇから――どっかであそんでろやぁ」
 根菜こんさい間違まちがって、したごしらえしちまいそうで、こえぇ。

 ふぉん♪
『イオノ>今こそ料理人としての腕の見せ所じゃない、やったねシガミー♪』
 やかましい。おまえさまはめしが、食いてえだけだろうが。
 ふぉん♪
『シガミー>言われなくても、やらいでか。そもそも、おれたちは此処へ商談に来たんだからな』

 ったくよぉ。
 寝起ねおきに、厨房から・・・・つくらせやがって。
 それでも、見たことのない食材ねたつぎからつぎへとはこび込まれて来るから――
 大宴会だいえんかいしたごしらえにも、ねつはいるぜ♪

料理番りょうりばんさまぁ、持ってきやしたぁ♪」
 来たな、盗賊とうぞくのおっさん。
 此奴こいつは見た目とは裏腹うらはら真面目まじめ仕事しごとをしてくれるし、中々なかなか業物わざものこしに下げてやがるから――
 中々なかなか面白おもしろやつだ。無理むり仲良なかよくなろうとまではおもわねぇが。

「あっしもっでっさぁぁっ――――どごすすぅん!」
 そんなやつが持ち込んできたのは、木箱きばこはいった立派りっぱたまごだった。

「こらバクチッ、食材しょくざい大事だいじあついなっ!」
 女将おかみさんの怒鳴どなごえに――「あっしもでさぁー!」
 そそくさと逃げていってしまう、盗賊とうぞくバクチ。

 普通ふつう二首大鷲ふたくびおおわしたまごの、ざっと――何倍なんばいある迅雷ジンライ
 ふぉん♪
『>約500倍ほどですが』

「ふむ。こいつぁ、茶碗蒸ちゃわんむししにでもするかぁ♪」
「シガミー、こレは――それどコろでは、ないのデは!?
 わかってらぁ、冗談だぜ・・・・

「あっ、ソレは食べ物じゃないよ・・・・・・・・っ……な、ないのじゃ!」
 ジューク村長そんちょうが、あわてて駆け込んできた。
「ああ知ってる。こいつぁ、間違まちがいねぇ――」
 巨木きょぼく木龍きりゅうの――

「これはたぶん、ファロコの弟妹きょうだいだとおもうよ……まえに見たことがあるのじゃ、ふぉっふぉっふぉぉ♪」
 は?
「いやこいつぁ、木龍きりゅうたねだぜ!?」

「なんだなんだ?」「うぇーい?」「どしたどした?」
「ぎゅぎゅぎゅりゅぎぃ?」
 わいわいわいわい、がやがやがやがや!
 居合いあわせたガムランぜいと、大森林勢だいしんりんぜいあいだ緊張きんちょうはしる。

対魔王結界たいまおうけっかいがない以上いじょう、このままにしてはおけませんねぇ、クスクス

「にゃにゃやーん♪」
 ふぉん♪
『>森域結界の中でなら、ユグドラシルを使うことは可能ニャァ♪」

いますぐ封印ふういんすれば、予定よてい時刻じこく夜会やかいはじめられますわ♪」

 手伝てつだってくれてた、女将おかみさんだけじゃなく――
 茅野姫カヤノヒメにロォグに、ビステッカなんかまで居やがった。

「ふぅ、でしたら上級鑑定じょうきゅうかんていすれば、一目瞭然いちもくりょうぜんでしょう、シガミー」
 リオレイニアが、たまごまも二股角娘ファロコあゆみ寄る。

「ああもう、しめしめうっひっひ♪」
 まてまて、手を出すとかじられるぞ。
 チーン♪
 おれは巨木きょぼく木龍きりゅうたまごを、値踏ねぶみする。

 ふぉふぉん♪
『イースターエッグ/
 生体ベースの魔導回路を内包した、疑似生態系。
 開封すると中身が生成される。それまで中身は存在しない。』

「わからん。こいつぁなんだぜ、迅雷ジンライ?」
 ふぉん♪
『>>全アイテム一覧に該当が一件有りました。〝食料・食材カテゴリ〟以外なのでイオノファラーによる、更なる開示が必要です』
 なんだと、其奴そいついますぐ寄越よこせやぁ、五百乃大角いおのはら

「ウケケケケッウケケケッケケケケケケケケェッケケッ――――♪」
 妖怪ようかい美の女神いおのはらわらごえが、真新まあたらしい厨房ちゅうぼう木霊こだました。
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