滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

642:冒険者ギルド大森林観測村支部、仮眠室とギルド☆支部長就任式

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 ゴゴゴッゴゴゴドガガガガガッ――――ズゴドドゴォォン!
 おれは大森林だいしんりん女神像兼めがみぞうけんギルド支部しぶ内装なかを、おおまかに間取まどりする。
 迅雷じんらいとおねこさま、それにおにぎりがそろってるんだ。
 のこりのこまかいところは、まかせても平気へいきだろう。

「ふにゃぁー?」
 おろろっ、なんだぜ? ちからはいらんぞ?

 ふぉん♪
『>恐らくは、木角から実を生やした弊害かと』
 そんなこともあったか。あのももはどうしたんだったか。
 ふぉん♪
『>おにぎりの収納魔法具箱に、格納してあります』
 ふぅん。

 さいわいなことに此処ここ通路つうろはしだ、丁度良ちょうどよい。
 この行き止まりに、ちいさな仮眠室ねどこつくり――たおれ込んだ。
 おれはすこし寝る。もう寝るぞ。
 色々疲いろいろつかれて、精根尽せいこんつき果てつつあるから、寝る――すやぁ♪

   §

「こら樹界虫きかいちゅうよ、起きなさい」
 うるせぇ。
 さっき飲んだ回復薬ポーションのおかげで、こまかな打ち身やあたまのたんこぶとかは引っ込んだ。
 けど回復かいふくはしても、つかれのすべては取れない。

 もう寝る。心置こころおきなく寝るぜ。
 おれはそのために、生まれてきたのだぜ。
 これ以上邪魔いじょうじゃまするなら、樹界虫きかいちゅうとやらを――
 未来永劫みらいえいごうやすみにするからな。

「ではウチのむすめつたえておきますので、樹界虫きかいちゅう本能ほんのうしたがうことをのぞみます。遠慮えんりょは要りませんので」
 よし、わかった。起きたらやるから、まかせとけすやぁ♪

   §

「こら料理番りょうりばん、おきなさいわよ!」
 うるせぇ。おれから採れたももがあるから、それでも食っすやぁ♪

   §

「こら小猿こざる、起きなさいな」
 まったくつぎからつぎへと、どいつもこいつも。

なんだぜ? 起きたら聞いすやぁ♪」
「こぉらっ、大事だいじはなしですのよ!」
 大事でぇじはなしだとぉ?

 ふぉん♪
『シガミー>何だぜ。例の日の本がらみの話なら、もう済んだんだろうが?』
 ふぉん♪
『ロットリンデ>私聞きましたのよ、あのちょっと生意気なお嬢さんが、自分そっくりの女神粘土を持ってるって!』
 なんだか知らんが、レイダめ。
 余計よけいなことを言いやが――

 ふぉん♪
『シガミー>迅雷に頼めすやあ♪』
 す・や・ぁ♪

   §

「にぎゅらろう?」
 わからん。うるせぇ――!?

「うっぎゃぁぁぁぁっ――――!?」
 気づけば暗闇くらやみなか
 ふたつのつきが、目のまえに浮かんでる。

 つきが消え、また直ぐに姿すがたあらわした。
 よく見ればソレは、ギラッギラした目のひかり。

『(ರ◡ರじいいいいっ)』
 目を覚ますと、そんなのに見つめられていた。
 おれは手近てぢかにあった、小枝こえだを引っつかんで投――

「ファロコか!? おどかすんじゃぁねぇやい!」
 ふぉん♪
『シガミー>迅雷、他の連中は!?』

 ふぉん♪
『>シガミーが居る現在地点から2階下の多目的ホールに、ほぼ全員が集まっています』
 誰默敵放たもくてきほうる?
 ふぉん♪
『ヒント>多目的ホール/自在に使える広間。主に観劇などに利用される』
 ここはギルド屋舎おくしゃ|(ねがみめんど型女神像がためがみぞう)の一階いっかいだろうが。
 そのさらしただと?

 ぽこぉん♪
『▽――――多目的ホール』
 んぅ? 床下ゆかしたおくに、そんな文字もじあらわれた。

「まだ、ねむぃんだがぁ――ぁふぅ――それで、ファロコはなんで、おれのそばに居やがるんだぜ?」
 からだを起こして伸びをすると、いくらか目が冴えてきた。

「るぎゃーぁ、おはよぅ。ごはんだよ! おきたらごはんだよ!」
 がぶりっ――襟首えりくびかじられた。
「ちょっ、待てやぁ――――おれぁめしじゃねぇーぞぉー!」
 引きずられ、ねがみ……ロットリンデ女神像めがみぞうそとに連れだされる。

 あたりはすっかりくらくなり、あちこちの木のうろあかりがともっている。
 切りかぶ外周そとがわを、グルリとまわり込むと――
 ネネルドむら|(巨木きょぼく)で見たようなつくりの――
 木をけずってつくった、階段かいだんがあった。

   §

 そういやぁ、寝入ねいばなに――
 どいつもこいつも用件ようけんを、言いつけやがった気もする。

「ええと。森の主ファローモ五百乃大角いおのはら悪逆令嬢ロットリンデに……なにかを言われたよーぅな気が――痛ででででででっ!?」
 しり強烈きょうれつに、打ち付けた!!
 ばかやろう、はなせやぁ!
 おれをくわえたまま、階段かいだん四つ足・・・で駆け下りるんじゃぁねぇよ!
「痛でででっ、だだっだっ――ギャッ!?」
 踏むんじゃねぇ――――おれたちは、ごろごろと階段かいだんころげ落ちた。

   §

「ではこれにて、〝冒険者ぼうけんしゃギルド大森林だいしんりん観測村支部かんそくむらしぶ、ギルドキラーン支部長しぶちょう就任式しゅうにんしき〟を閉会へいかいいたします」
 切り株どだいした彫り込まれた・・・・・・大部屋おおべやは、相当そうとう立派りっぱで――
 央都おうと宿泊施設しゅくはくしせつ大講堂だいこうどうより、ひろいくらいだった。
 置かれた長机つくえは、まるい木のかたちに添うよう、逆向ぎゃくむきの弧をえがいていて――
 それが外壁かべに張り付き、きゅう階段かいだんみたいになっている。

 このつくりは、間違まちがいなく五百乃大角いおのはらが〝神々かみがみ知恵ちえ〟でつくったものだ。
 けど、木を切り組み立てたこまやかな仕事しごとは、ざっと見たかんじ――
 迅雷ジンライとも、おにぎりともちがう――熟達じゅくたつした職人しょくにんの、手によるものとわかる。
 流石さすが大森林だいしんりんに棲まう連中れんちゅうだ。きっと凄腕すごうでの――
 工房長並ノヴァドなみにうでの良い、職人しょくにんがいるのだろう。

 壇上だんじょう半月状はんげつじょうで、つくえすわ見物人けんぶつにん見下みおろすかたち
 こりゃ面白おもしれぇ――壇上だんじょうに居るのは、猪蟹屋うち紅一点リオレイニア
 手にはこえを張るための、杓子形しゃくしがた魔法具まほうぐ

「シガミー、目を覚ましたのですねっ!」
 そんなことを言うもんだから、最上段さいじょうだんに居るおれに視線しせんあつまった。

「あら小猿こざるわたくしの晴れ舞台ぶたい遅刻ちこくなんて、生意気なまいきですわよ?」
 ヴヴヴヴォォォオッゥン♪
 『大森林観測村ギルド☆支部長』などと書かれたたすきを掛けた、ロットリンデのかたわらに浮かぶのは――
 SDK弾倉ながいはこをぶら下げた、便利棒べんりぼう

「シガミー、おはヨう御座ゴざいま
「おうわりぃ、おくれた」
 ふぉん♪
『シガミー>>マジで寝ちまってたぜ』

 ふぉふぉん♪
『>女神像ネットワーク復旧のお知らせ
 >大変ご迷惑をおかけしておりました、ブルートゥース接続障害が解消されました。
 >現在、女神像デバイスの全機能が使用可能です。』
 なんか出た。

 ゴンゴンゴンゴンゴンゴゴゥゥン――ガチィィーン♪
 切りかぶが揺れた!
 どよめく、ギルド支部長しぶちょう就任式しゅうにんしき会場かいじょう

 パパパパッパパパァァン♪
 うるせえな!
 一行表示ティッカーとはべつの、迅雷ジンライ様子ようすなんかをつたえるれつに――
 とんでもねぇりょう文字もじが、濁流だくりゅうのようにながれていく。

 今度こんどなんだぜ!?
 壇上だんじょうを見るも、リオレイニアにあわてた様子ようすはない。

「みな~さま壇上直上だんじょうちょくじょうを、ごらんくださ~い。我がガムランがほこ~る、精鋭せいえいたち~の入場にゅうじょう~です♪」
 突如とつじょ会場全体かいじょうぜんたいひび軽薄けいはくおとここえ
 このこえには、聞きおぼえがあった。

 たしか〝カブキーフェスタ〟のときに、散々聞さんざんきかされたのとおなこえだ。
 姿すがたわぁ見えんがぁあの、ギルド職員しょくいんが来たってことわぁ――

 最上段さいじょうだんにいる、おれたちからは正面しょうめん
 天井てんじょうが、パカリとひらき――ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴゥゥン!

 鉄籠てつかごに乗って、降りてきたのは――
 えらく派手はでなドレスに、身をつつんだ――

大森林だいしんりん観測村かんそくむらのみなさま、ごきげんよう。わたくしはコントゥル辺境伯家へんきょうはくけ次期当主じきとうしゅにして、げんガムラン代表だいひょうつとめさせていただいております――リカルル・リ・コントゥルです。どうぞよしなに♪」
 出た。

おなじく皆様みなさまごきげんよう。わたくしはコントゥル辺境伯家へんきょうはくけ名代みょうだい――ルリーロ・イナリィ・コントゥルでぇーす♪ みんなぁ、よろしくねー、きゃはぁ☆」
 もう一匹出いっぴきでた。

 それは背筋せすじ両耳りょうみみ鼻先はなさきを、ぴんと立てた――
 超派手ちょうはでおんなたちだった!

 全身赤地ぜんしんあかじに、だいだいくろのヒラヒラした薄布うすぬの
 あかがねがかった白金はっきんかざりを、ふんだんにあしらった――
 わからんが、わからいでか。
 しゃらあしゃらの極致きわみだ。

 もう片方かたほう小袖こそで緋袴ひばかま見慣みなれたもんだが――
 家宝かほうであるその巫女装束みこしょうぞくには、五穀豊穣ごこくほうじょうかみ眷属けんぞくであるあかし――
 神性しんせい宿やどっている。
 この来世らいせ惑星わくせいヒースでは、唯一無二ゆいいつむにものだろう。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 湧き上がる大歓声だいかんせい

「んなっ、わたくしのギルド支部長しぶちょう就任式しゅうにんしきですのに――きぃぃぃぃいぃ!!!!」
 くやしいわくやしいわと、憤慨ふんがいし――
 しゃらあしゃらした薄布うすぬのの手ぬぐいを、噛みしめる――
 悪逆令嬢あくぎゃくれいじょうロットリンデ。

 そのてんあお眼差まなざしは、何処どこまでも不遜ふそん
 りょうこぶしを振りまわ地団駄じだんだを踏む、その姿すがた

 みょう芝居しばいがかっているところを見るに、まえに見せられた――
 小芝居こしばいみたいなもんなんだろう。
 そもそも悪逆令嬢そいつわぁ馬鹿力ばかぢからなだけで、其処そこまで心根こころねいやしくわぁねぇ――

「きぃぃぃぃいぃ、ゥッキィィィィィィィィィッ――――!!」
 ――たぶん。
 噛んでいた、しゃらあしゃらした薄布うすぬのが、ビリビリにやぶれた。
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