滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
635 / 740
5:大森林観測村VSガムラン町

635:御神体修復作戦、根菜と神官と猪の魔物

しおりを挟む
「シガミー、今度こんどなにしてるの?」
 やめろレイダ、おれのあたまをモサワサすんな。

「まったく、ぞろぞろと付いて来やがって――よっ!」
 ひもくくった御神体ごしんたいを、むらそとほうり投げた。
 うごかないと余計よけい根菜こんさいきのこにしか見えない、美の女神御神体めがみごしんたいが――
 つるで編まれた坂道さかみちにポコンと落ち――
 ゴロゴロところがっていく。

「うむ。生きちゃいねぇ物なら・・・・・・・・・・むらそとに出られるらしいぜ♪」
 おれはひもを引っ張り、御神体まるきのこ手繰たぐり寄せる。

 ふぉん♪
『シガミー>ならいっそのこと、レイド村を直接狙うか?』
 頭陀袋ずだぶくろにでも詰めて、なかふみでも入れときゃぁ、レイド村村長むらそんちょうがどうにかしてくれるだろう。

 ものとおくに当てる・・・・・・・のは、迅雷ジンライなしだと、そこそこ面倒めんどうなんだが――
 さいわいにも、〝とおくをねらうこと〟を、仕事しごとにしてるやつらが此処ここには居る。

「おぉい、遊撃班ゆうげきはん! 居るかぁ――!?」
 おれは木のうえに向かって、こえを張った。

 高床たかゆかつる地面じめん。そのうえに突き出た木々きぎ
 鬱蒼うっそうとしたもりなかにしては、すっきりとした木のならび。
 そのうちの一本いっぽんが、わさわさと揺れる――居た。

 ふわり――ザンッ!
 飛び降りてきたのは――おおきくてちいさくてながくて、つのが生えてて目がよっつ。

「「どうしたの、シガミー?」」
 一本角いっぽんつの麗人れいじんと、かかえられた少女しょうじょだ。
 二人ふたりとも猪蟹屋ししがにや標準制服ひょうじゅんせいふくである、給仕服メイドふくに身をつつんでいる。
 おおよそもりあるくような――ましてや木にのぼるような格好かっこうじゃねぇ。
 だが、並みのレア装備そうびよか頑丈がんじょうやぶれないし、よごれない。

 降ろされた少女タターが、駆け寄ってくる。
 あたりを見渡みわたし、黄緑色きみどりいろをしたやつが居ないことを確認したしかめ――すぽん♪
 手にしていた長物じゅうを、手袋てぶくろ格納した・・・・

こいつさま・・・・・迅雷ジンライをレイドむら撃ち込む・・・・から、手をかしてくれや」
 ぐいとひもを引っ張るが、坂道さかみちくぼみに嵌まってる。
「ちっ、引っかかっちまった!」
 下手へたに引っ張ってほどけちまうと、だれかがフカフむらからやってくるまで、回収出来かいしゅうできなくなる。
 本当ほんとう面倒めんどうを掛けさせてくれるぜ、美の女神めがみかっこわらい)さまめ。

「あら、まさかこれ……イオノファラーさま?」
 ガサガサと、よこじげみから姿すがたあらわしたのは――
 フカフむらやすんでいたはずの、神官女性しんかんじょせいだった。

「――し、死んでる!? たっ、大変たいへん!!!」
 根菜さまいおのはらうやうやしく持ち上げた彼女かのじょが、此方こっちへ駆け寄ってくる!
 馬鹿野郎ばかやろうもとから御神体そいつわぁ生きちゃいねぇ!
 あまりにも突然とつぜんだったから、こえを掛けるのがおくれた。

「まっ、まてまて、待てやぁ! こっちへ来るんじゃ――」
 ヴォゥッ――ぶわわぁん♪
料理番りょうりばんさまぁ――イ、イオノファラーさまがぁ!!!」
 森域結界けっかいを越え、ロコロむらへ飛び込んで来ちまった!

「っかぁあぁあぁぁぁあぁっ――――!」
 ふぉん♪
『ホシガミー>千載一遇の好機を逃しましたわね。プププププププークスクス♪』
 やかましぃ!

「止まれって言ったのにっ! な、なんでまた此奴おまえさん一人ひとりで、こんな山奥やまおくまで、来やがったんだぁ!?」
 神官おまえさまにレイドむらまで持ってかえってなおしてもらやぁ――
 済んだはなしだったのによぉ!

「そんなことより、女神めがみさまは不変ふへんのはず! はやく回復かいふくを――」
 根菜さまごしんたいをぐいぐいと押しつけてくる、神官女性しんかんじょせいナーフ・アリゲッタ。
 回復かいふくならぁ、神官さまおまえさん領分りょうぶんだろうが。
 まぁ、どうせ〝新造しんぞうアーティファクト〟の五百乃大角いおのはら御神体ごしんたいには、効果いみは無いがな。

「兎にかく、落ち着けや。こわれてるだけで、死んどらんからっ!」
 本当ほんとうこわれたわけでもないんだが、ややこしいからそういうことにしとく。

 がやがやがや――「あ、居た。神官しんかんさまがいたぞぉー!」
 わいわいわい――「ナーフちゃぁん、まってぇー!」
 ガラガララン――「おまえらぁ、あまりさきに行くなーよー」

 しげみをかき分けるおと、そして聴きおぼえのあるこえ
 どたどたと姿すがたあらわしたのは――
 フカフむらへ置いてきた、級友きゅうゆうたちと担任教師ヤーベルトだった!

「よぉーしっ! おまえらぁ、止まれぇー!」
 おれは神官女性ナーフを引っぺがし、両手りょうてひろげて立ちふさがった!

   §

「だからなんで、みんな飛び込んで来やがるっんだぜ!」
 王族おうぞく縁者えんじゃ生徒せいとや、大食おおぐらいの生徒せいとや、矢鱈やたら沢山たくさんつえを持ちある教師きょうしたちが――
 やっぱり、むらに飛び込んで来ちまった!

「「「「「「「「「むぎゅぎゅぅー!?」」」」」」」」」
 またもや飛びつかれたおれは、みんな下敷したじきになる。

 山積やまづみの生徒たちおれたち手前てまえに――ゴロンッ、スタッ!
 背を向けた、ヤーベルトが立った!
 グワラララランッ――――抜かれる、太枝ふとえだのような魔法杖つえ

「ブーモォォォォォッ!」
 なんだ、けものの鳴きごえ!?
 たまたまむらの入りぐちで出くわした魔物まものから、逃げ込んできたらしいぜ!

 メキメキメキメキョ――ガガガガガガッガァァァンッ!!
 はなたれたのは、木を生やす魔法まほう
 ヤーベルトが得意とくいとする、高等魔術こうとうまじゅつだ。

「ブーモォォッ、ブゴゴォォォォッ――ッ!」
 ん? 魔物まもの雄叫おたけびを上げて、ピンピンしてやがる!?
 ヤーベルトの魔法まほうは、あのリオレイニアを取り押さえるほどものだ。
 そこらをあるいている魔物まものなんかに、おくれを取るはずがねぇ――
 おれは子供らがきども蹴散けちらし、飛び起きた!

 むらの入りぐち――森域結界なんたら境目さかいめむら外側そとがわ
 丸々まるまるふとった、しし魔物まものみたいなやつが――
 おもさでたわんだつた坂道さかみちを、ドカドカと踏み鳴らしてやがる。

 フカフむらからの道中どうちゅう出合であった魔物まものと、おな種類やつだ。

魔法まほうが消さーれた!? まさーか、マナキャンセラー!?」
 矢鱈やたらせんほそ男性教師だんせいきょうしヤーベルト、その足下あしもとから生えた木のえだ
 その先端せんたんの葉が、はらはらと落ちていく。
 とがったえだも見る間にしおれ、とうとう枯れ落ちて消えてしまった。

 マナキャンセラーてなぁ、央都おうとでリオがぶっこわしちまった――
 おおがかりな仕組しくみの魔法具まほうぐだ。
 あれ・・と、いまむらおおってるやつは、まるで別物べつものだが――

 ふぉん♪
『リオレイニア>人や魔物を外へ出さず、境界に触れた魔法を消す。〝森域結界〟は龍脈の流れを一点へ収束させ、〝局所的なマナ欠乏〟を引き起こしていると思われます』
 流石さすがはガムランがほこる、才女さいじょだ。
 そしてヤーベルトも流石さすがは、指南役しなんやくと言ったところか。
 迅雷ジンライ使つかえんうま頓知とんちはリオたちにまかせるとして――

「おにぎりー、子分・・を連れて来てくれやぁ――!」
 子供こどもらを特撃型改シシガニャンたちにまかせとかねぇと、安心出来あんしんできねぇー。

「ブモォォォォォォオッ――――!!」
 ゴガガドガガガッ――――ズボボボ、ブチブチブチィィッ!
 しし魔物まものつたみちを踏み抜きながらも、むらはいってきた!

「うっひゃはぁー!」
 針刺し男おっさんみたいなこえを上げ、必死ひっしける担任教師ヤーベルト

「みなさん、そのままうごかないでください!」
 かざりのついたそでが、おれのうしろから真っ直ぐに伸びる。
 ほそいゆびにつかまれた、ながさのない魔法まほうつえ
 かすかに揺らぐ、つえのさき。
 ――――――――ガラララララララッドッシャァァァァァァン!!!
 まものかって、雷が落ちた・・・・・

 黒焦くろこげげになるも、ししいきおいいは止まらず――
さんかまえ、四方暗しほうあん――!?」
 ヴッ――――ぐるん、ジャッリィィィ!!
 ああ、間に合わ――シュゴォォゴォォゴォォゴォォゴォォゴォォォォォオオオオオンッ!

 かはっ――――――――吹き飛ばされる、おれやリオや子供こどもらや、ナーフにヤーベルト!
 つまり全員ぜんいんだっ!

 粉々こなごなに吹き飛ぶ、ロコロ村入口むらいりぐち
 黒焦くろこげのしし魔物まもの|(巨体きょたい)が、まるで木の葉のようにちゅうを舞った!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

神竜戦争 儚き愛の狭間に…心優しき暗黒神の青年と愛する少女達の物語

🗡🐺狼駄(ろうだ)
ファンタジー
舞台はアドノス島と呼ばれるちょうどイタリアのシチリア島位の島国。 魔術師として天賦の才を持っていた『ヴァイロ』は 魔術師であり剣士でもある魔法剣士。 彼は黒き竜『ノヴァン』を錬成する事に成功。 彼はその力を欲望の為に使うのではなく、カノンという 未開の地を守る事と、優秀な後継者を育てる為にだけに 尽力していた。 しかし同じアドノス島ではあるが、東の端にあるロッギオネでは エディウスを名乗る女剣士が白き竜を錬成する事に成功。 エディウスはこの世にドラゴンを使役する人間は 2人も要らぬとカノンに戦争を仕掛ける。 ただ、これはエディウスの意志ではなかった。 エディウスの一番弟子・賢士ルオラ、司祭グラリトオーレ、 修道騎士レイシャ等が率いるエディウスを戦の女神と 慕う兵士達を相手にヴァイロが率いる『黒き竜牙』の 連中が受けて立つ。 最年少ながら炎系の魔法に長けたアズール 防御系魔法では右に出る者はいないミリア ヴァイロと同じ魔法剣士であり、先読みのスキルが使えるアギド そしてそれらを束ねるリンネ 彼女は音を自由に操る不思議な能力を 持っていた。 さらにヴァイロが唯一男女としての心を開いた存在。 彼等はとある黒い剣士の昔の姿の謀略によって 全て滅されてしまう……。 ただの魔法戦争ではないお話をアナタにお届けします。 ※元々カクヨムにて連載しておりました

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...