滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

619:大森林探索行、震える森

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 女将おかみさんも迷子まいご二股角娘ファロコも、魔法具建物まほうぐたてものから出てきた様子ようすは無い。

――――話も出来んな――ちょっとまて――――――黒板を出すから
 ヴッ――(ガシャン)!
 てのひらうえ黒板タブレットを取り出したが――どうしたものか。
 おれのゆびじゃ――ためしに使つかってみせることも出来できんぞ?

 鬼の娘オルコに手をちかづけたらタターが、ぴょんと乗ってきて黒板それひろった。

 ふぉん♪
『シガミー>タターよ。この文字が、読めるな?』
 手にした黒板くろいたに、一行表示ティッカーうつし出した。

「――、――――」
 くちをパクパクさせる少女しょうじょ
 すると画面横モニタよこ轟雷おれの絵の鬼兜あたまところが――
『戦術級強化鎧鬼殻平時プロトコル>LIPリーディング――ON』
 チカチカとひかった。

 ふぉん♪
『ゲスト音声>読めます、どうすれば良いの?』
 さっき渓谷けいこくで、口の形を読んだ・・・・・・・仕組しくみか。

 ふぉん♪
『シガミー>この板の使い方を、村長に教えたいんだが』
 轟雷ゴウライを着ていれば、迅雷ジンライがしてくれていたことの一端いったんを、こうしてになうことが出来できる。

 けどこういう、ひとおしえたりってのは、リオレイニアや茅野姫カヤノヒメが向いてるんだが――
 二人ふたりとも谷底たにぞこに、置いてきちまった。

 ふぉん♪
『ゲスト>使い方なら、私も分かるよ。侍女長に教えてもらったから』
 黒板くろいたうえゆびを、すべらせるタター。
 へぇ、そりゃぁたすかるぜ。

――――ぬぅおわぁっ!?」
 おれの足下あしもとおおきなうさぎ魔物まものや、さらおおきなしし魔物まものたちが、何匹なんびきはしり去っていく。
「「――ぎゃぁっ!?」」
 あたりのたかい木のうえからも一斉いっせいに、大小様々だいしょうさまざまとりが飛び去って行く。

 魔物けものとりが逃げていくのは――
 魔法具箱たてもの轟雷ゴウライ鬼族オルコに、おどろいたというよりは――
 この静寂せいじゃくからのがれようとしてる……んだとおもう。

 ふぉん♪
『ゲスト2>ピクトグラムを描くのと変わらないんだね。大体覚えたよ』
 そんな一行表示ティッカーが出た。
 いま黒板いやを手にしているのは、村長そんちょうだ。
 抜けたように見えて、中々なかなかどうして――

 ふぉん♪
『シガミー>へえ。器用なもんだな』
 おれでも迅雷ジンライなしだと、まだまだあつかいがむずかしいものを――
 タターも村長そんちょうも、そこそこ使つかいこなしていやがる。

 ふぉん♪
『シガミー>最初に聞いておきたいんだが、〝音を消すスキル持ち〟はさっきの〝二股角の娘〟で間違いないよな?』
 この静寂せいじゃくは、だれが起こしているのか。
 すべては、それを確認したしかめてからだ。

 ふぉん♪
『ゲジュークスト2>そうだよ。お嬢ちゃんに斬りかかっちゃって、びっくりしたんだと思う。ごめんね?』
 名前なまえがおかしなことになってるが、手先てさき器用きようらしく――
 文字もじ寄越よこはやさが、とんでもなくはえぇ。

 ふぉん♪
『シガミー>殺気を殺せなかった、おれも悪い。それにエリクサーで元通りだから、問題ねぇ』
 普段ふだんから誰彼構だれかれかまわず斬りつけてるやつなら、人里ひとざと一緒いっしょには住めねぇからなぁ。

 ふぉん♪
『ジューク>そう言ってくれると助かるよ。普段はとても良い子なんだけど。たぶん、今頃トゥナの拳骨でももらって、正気に返ってると思うよ』
 ふぉん♪
『シガミーゴウライ>それで、お前さまの使う、この魔法具箱なんだが』
 おれはゴンとかるく、建物はこを蹴った。
 おとも無くかすかに揺れる、おれたち――――やべぇ!
 蹴ったおと「が聞こえねぇから、加減かげんがわからなかったぜ。

 ふぉん♪
『シゴウライ>音を消すスキルを完全に、封じ込められるってわけじゃねぇんだな?』
 こうして静寂せいじゃくが、漏れ出てやがるからな。

 ふぉん♪
『ジューク>いや、完全に封じて押さえ込めるよ?』
 まてまてやぁ――ったくよぉ!
 毎度毎度まいどまいどどうしてこうも――
 誰かの話を聞けば・・・・・・・・かならはなが、おかしな方へ捻れていく・・・・・んだぜ?

――――封じ込められて――――ねぇだろうが……――――ニャァ♪
 外部マイクみみを澄ますが、其方そっちからはなにも聞こえん。
 ふぉん♪
『ゴウライ>封じ込められて、ねぇだろうが?』
 ふぅ、やっと名前なまえを〝ゴウライ〟に変えられたぜ。

 ふぉん♪
『ジューク>ファロコの特性〝追い詰められると辺りの音を消して、敵の詠唱魔法を使えなくさせる〟は、ちゃんと封じ込められているよ』
 ふぉん♪
『ゴウライ>だからそれは一時のことで、また静寂が外に出てきちまってるだろうが?』
 手甲てっこうこぶしたたいてみせるが――やっぱりなにも聞こえねぇ。

 ふぉん♪
『ジューク>ちがうよ。この無音の特性は、ファロコが起こしているんじゃ無いよ?』
 何故なぜあお村長ジュークつらが――――ズシィィン!
 ぶるりとふるえた。いや、ふるえたのはかおだけじゃねぇ。

 この場の全員せんいんしめす――小地図上しょうMAPじょう名前なまえ
 『△――轟雷』『▽――ジューク』『▽――タター』
 『▽――オルコトリア』の文字もじふるえた。
 自軍じぐんあらわ緑文字みどりもじが、揺れるたびに――赤色てきに変わる!
 轟雷てめえの名まで敵にあかくなるのは、どういうこったぜ!?

 それは轟雷おれアンテナなかでも一番頑丈いちばんがんじょうはずの〝合いじるし〟が、くるわされていることをしめしている。

 ――――ズシィィン!
 なんだ? 丹田たんでんひびく――揺れ・・……か?

 ふぉん♪
『ゴウライ>じゃぁ、誰が起こしてるっていうんだ?』
 ――――ズシィィン!
 おとも無く逃げていく、もり魔物まものたち。
 その逃げてきたほうを、見やズームすれば――んぁ?

 ――――ズシィィン!
 とおくのそらに――もりが浮かんでいた。

ーーー
合い印/分かれた器物や、複数枚の書類の合わせ目を記した物。この場合は戦場で敵味方の区別を付けるための模様のこと。俗に言う敵味方識別装置|(IFF)。
丹田/へその下、下っ腹の内側。気力の源。
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