612 / 734
5:大森林観測村VSガムラン町
612:大森林探索行、静寂と高等魔術
しおりを挟む
ガタガタタタッ――――ぷすぅん♪
タターと話をしようと、シシガニャンの列に追いついたら――
魔法杖が揺れ、止まっちまった!
「(ぬぅぉわゃぁぁぁっ――――!?)」
そのまま落ちていく、おれたち。
「(――――――――――――!?)」
何だぜ!? 慌てるリオを抱える!
ふぉん♪
『リオレイニア>マナ欠乏による失速です!』
ふぉん♪
『シガミー>なんでそんなことになってる?』
呪文が出なくても飛んでる杖は、いつも無言で飛ばしてるだろっ!?
ふぉん♪
『リオレイニア>分かりません。お、落ちます!』
「(星神っ! 落ちるぞ、助けてくれやぁ!)」
迫る地面。念話の思考加速も迅雷なしじゃ、起きやしねぇ!
ふぉん♪
『シガミー>星神、助けろ!』
ふぉん♪
『ホシガミー>こちらも手一杯ですので自力で、重力軽減の高等魔術を筆記にて行使して下さい』
そんなもの、おれが知るかぁ!
「――――、――!?」
おれの耳に、温かい息が掛かる。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー、迅雷を貸して下さい!』
ふぉん♪
『シガミー>腰に差してある、使え!』
短くなった迅雷を抜き、ぐるんと天に円を描く!
そして魔法の神髄で、細かな文字をつらつらと――ヴォゥ!
書き込んでるウチに、地に落ちた!
せめて鉄下駄を履いてりゃ、地を割ることが出来て――
勢いを殺せたんだろぉがぁ――
地に着く、おれの両足。
せめてリオの尻が、割れねぇように――
高く持ち上げたら――
その勢いのまま、天へ昇っていくメイド服。
おれはスッタァァァッン!
「(痛゛ぇぇっ――――!!!)」
普段、どれだけ高い所から落ちても平気なのは、一直線に真下に落ちることが無いからで――
こう垂直に降りりゃ、痛ぇし――
足くらい折れんじゃね?
と思ったが――ガグン!
おれの首根っこ。
給仕服の背中の、まるで持ち手になってる所を、むんずとつかまれた!
§
ふぉん♪
『リオレイニア>危ないところでしたね?』
リオが使ってくれたのは、重力軽減の魔法だ。
ふぉん♪
『シガミー>まったくだぜ』
話が出来る耳栓をしていて、超助かった。
相談も魔法を使うことも出来ない、この静寂の間合いは、命に関わるぞ?
ふぉん♪
『シガミー>また引き離されちまったぜ! 茅野姫、何処だ!?』
ふぉん♪
『ホシガミー>渓谷を進んでいますが、一行表示も途切』
地に這いつくばり、息を整えるおれたち。
ふぉん♪
『シガミー>おい、茅野姫!? 渓谷ってのわぁどっちだぁ!?』
返事がねぇ。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー。急がないと地形が変わってしまい、追跡出来なくなります』
ふぉん♪
『シガミー>なんでこんな、先の〝龍脈がらみの天変地異〟みてぇなことが、又起きてやがる?』
ふぉん♪
『リオレイニア>おそらくは〝かりゅうのねどこ〟以上に、マナ欠乏が激しくなり龍脈の流れを維持しようとする、別の流れによって地殻変動が起きているのではないかと。迅雷が居ないので確証はありませんが』
呪文を使う、生活魔法に高等魔術。
それを使えなくするだけじゃなくて――
地形までメキメキゴガガガンと、変わっていく。
そうとうやべぇな、あの二股の角の娘わぁ!
せめてもの救いは――
迅雷が魔法杖としては使えることだ。
そして、リオレイニアが魔術の神髄で文様を描くことで――
古代魔術を使えたから、おれたちは大怪我をせずに済んだ。
ふぉん♪
『シガミー>じゃぁ、下から持ち上げるぞ!』
おれはリオレイニアの股の間に、頭を突っ込んだ!
肩車なら薄い尻が、割れることもないだろ。
「――――、――!?」
ふぉん♪
『リオレイニア>こら、おまちなさい! 裾が捲れ上がって』
おれは草履の足裏で、地をつかむ。
急がんと渓谷とやらが別の形になって、追いつけなくなる。
おれは波打つ大地を蹴り飛ばし、前へ進んでいく!
タターと話をしようと、シシガニャンの列に追いついたら――
魔法杖が揺れ、止まっちまった!
「(ぬぅぉわゃぁぁぁっ――――!?)」
そのまま落ちていく、おれたち。
「(――――――――――――!?)」
何だぜ!? 慌てるリオを抱える!
ふぉん♪
『リオレイニア>マナ欠乏による失速です!』
ふぉん♪
『シガミー>なんでそんなことになってる?』
呪文が出なくても飛んでる杖は、いつも無言で飛ばしてるだろっ!?
ふぉん♪
『リオレイニア>分かりません。お、落ちます!』
「(星神っ! 落ちるぞ、助けてくれやぁ!)」
迫る地面。念話の思考加速も迅雷なしじゃ、起きやしねぇ!
ふぉん♪
『シガミー>星神、助けろ!』
ふぉん♪
『ホシガミー>こちらも手一杯ですので自力で、重力軽減の高等魔術を筆記にて行使して下さい』
そんなもの、おれが知るかぁ!
「――――、――!?」
おれの耳に、温かい息が掛かる。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー、迅雷を貸して下さい!』
ふぉん♪
『シガミー>腰に差してある、使え!』
短くなった迅雷を抜き、ぐるんと天に円を描く!
そして魔法の神髄で、細かな文字をつらつらと――ヴォゥ!
書き込んでるウチに、地に落ちた!
せめて鉄下駄を履いてりゃ、地を割ることが出来て――
勢いを殺せたんだろぉがぁ――
地に着く、おれの両足。
せめてリオの尻が、割れねぇように――
高く持ち上げたら――
その勢いのまま、天へ昇っていくメイド服。
おれはスッタァァァッン!
「(痛゛ぇぇっ――――!!!)」
普段、どれだけ高い所から落ちても平気なのは、一直線に真下に落ちることが無いからで――
こう垂直に降りりゃ、痛ぇし――
足くらい折れんじゃね?
と思ったが――ガグン!
おれの首根っこ。
給仕服の背中の、まるで持ち手になってる所を、むんずとつかまれた!
§
ふぉん♪
『リオレイニア>危ないところでしたね?』
リオが使ってくれたのは、重力軽減の魔法だ。
ふぉん♪
『シガミー>まったくだぜ』
話が出来る耳栓をしていて、超助かった。
相談も魔法を使うことも出来ない、この静寂の間合いは、命に関わるぞ?
ふぉん♪
『シガミー>また引き離されちまったぜ! 茅野姫、何処だ!?』
ふぉん♪
『ホシガミー>渓谷を進んでいますが、一行表示も途切』
地に這いつくばり、息を整えるおれたち。
ふぉん♪
『シガミー>おい、茅野姫!? 渓谷ってのわぁどっちだぁ!?』
返事がねぇ。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー。急がないと地形が変わってしまい、追跡出来なくなります』
ふぉん♪
『シガミー>なんでこんな、先の〝龍脈がらみの天変地異〟みてぇなことが、又起きてやがる?』
ふぉん♪
『リオレイニア>おそらくは〝かりゅうのねどこ〟以上に、マナ欠乏が激しくなり龍脈の流れを維持しようとする、別の流れによって地殻変動が起きているのではないかと。迅雷が居ないので確証はありませんが』
呪文を使う、生活魔法に高等魔術。
それを使えなくするだけじゃなくて――
地形までメキメキゴガガガンと、変わっていく。
そうとうやべぇな、あの二股の角の娘わぁ!
せめてもの救いは――
迅雷が魔法杖としては使えることだ。
そして、リオレイニアが魔術の神髄で文様を描くことで――
古代魔術を使えたから、おれたちは大怪我をせずに済んだ。
ふぉん♪
『シガミー>じゃぁ、下から持ち上げるぞ!』
おれはリオレイニアの股の間に、頭を突っ込んだ!
肩車なら薄い尻が、割れることもないだろ。
「――――、――!?」
ふぉん♪
『リオレイニア>こら、おまちなさい! 裾が捲れ上がって』
おれは草履の足裏で、地をつかむ。
急がんと渓谷とやらが別の形になって、追いつけなくなる。
おれは波打つ大地を蹴り飛ばし、前へ進んでいく!
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~
泰雅
ファンタジー
病弱ひ弱な青年「青峰レオ」は、その悲惨な人生を女神に同情され、異世界に転生することに。
女神曰く、異世界で人生をしっかり楽しめということらしいが、何か裏がある予感も。
そんなことはお構いなしに才覚溢れる冒険者となり、女の子とお近づきになりまくる状況に。
冒険もエロも楽しみたい人向け、大人の異世界転生冒険活劇始まります。
・【♡(お相手の名前)】はとりあえずエロイことしています。悪しからず。
・【☆】は挿絵があります。AI生成なので細部などの再現は甘いですが、キャラクターのイメージをお楽しみください。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・思想・名称などとは一切関係ありません。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
※この物語のえちちなシーンがある登場人物は全員18歳以上の設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる