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5:大森林観測村VSガムラン町

607:大森林探索行、捜索開始のそのまえに

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「居なくなってから、一週間いっしゅうかんだと?」
 そりゃ、大事おおごとじゃんか。

大変たいへんいそいでさがしてあげなくちゃ!?」
 レイダがとおくを見ようとして、特撃型改10番シシガニャンあたまに――
 よいしょと、よじのぼる。
 落ちるなよ?

「「「大変たいへんだ!」」」「ひょろぉーん!」
「「「ファロコちゃーん!」」」
「あっしもでさぁ!」
 次々つぎつぎと、ねこ魔物風まものふうの手のうえに、立ちあがる。
 だから、落ちるなよ?

むらを出てからこっち、そこそこのかず魔物まものに出くわしてるだろぅがよ――!?」
 あわてる、おれたち。

「その心配しんぱいは、いらないよ。なんせロットリンデやトゥナでさえ、ファロコあのこには一度いちどすら勝ったことが無いからね」
 よこある特撃型改とくげきがたかいばんかかえられた様子ようすをみれば、まるであわてていないのはわかる。
 村長訛そんちょうなまりを止めたジューク村長そんちょうが、ふぅといきいて目を閉じた。
 また目を開けてるのが、億劫になった・・・・・・んじゃ有るまいな?

「え? コッヘル夫人ふじんが勝てない?」
 おどろくリオレイニア。
人類最強じんるいさいきょう魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうさまがぁ!?」
 16ばんと19ばん特撃型改シシガニャンかかえられた鬼の娘オルコトリアも、目を見開みひらいた。

「じゃぁ、この片角かたつのむすめわぁ、相当そうとう手練てだれってことか?」
 どうせひとを乗せない特撃型改とくげきがたかいを、引き連れることになるなら――
 ということで今回こんかいはおれも、歩く服シシガニャンに乗ることにした。

「まあね。でも、うえにはうえがいるよ? 天災てんさいみたいなのが」
 あおかおをするわかくもないしゅう、ジューク村長そんちょうは、まだ目を閉じている。

「「「「「「「ひっ!?」」」」」」」
 物見気分ものみきぶんで、へらへらとしていた級友たちがきどもいきを呑む。
 こいつらも、あの・・リカルルやリオレイニアの――
 はるか上を行く・・・・・・・女将おかみさんの実力じつりょくは、知るところだ。

 ぽきゅぽっきゅぽぽっきゅ――「ひひぃぃぃぃん?」
「にゃみゃぎゃに゛ゃぁーご♪」
 ぎゃくみょうなやる気をみせ先行せんこうする、おにぎり騎馬一式きばいっしき

「あまりさきにぃー、行ーくーなーよー?」
 迅雷ジンライ使つかえないいま、おまえらだって迷子まいごにならんともかぎらんからなぁ。
 ふぉん♪
『ホシガミー>ソレは大丈夫です。姿勢制御系ライブラリには、帰巣プログラムもインクルードされていますので』
 ふぉん♪
『シガミー>わからん』
 ふぉん♪
『リオレイニア>渡り鳥や渡り狼が、迷わずに大陸横断するのと同じことでしょうか?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>まさにその通りですわ♪』
 ふぉん♪
『シガミー>流石は、ガムランの金庫番だぜ』
 ものを良ぉーく、知ってらぁ。

「ではまずは、どういたしましょうか? 地図担当ちずたんとうのミギアーフさん、クスクス
 えっ、ここでおっさんに、出番でばんわたしちまうのか?

「ふむぅん♪ ではまっずは、迅雷ジンライくんがよこしたこの地図ちず。その抜けたところを、おれっちが先行せんこうして埋めていきますっねー♪」
 貸してやった黒板くろいたくびから提げ、意気揚々いきようよう前方まえゆびさした。
 18ばんねこ魔物風まものふうが、ゆびさされた方向ほうあるきだす。

「まてまて! 分かれるのは、危険きけんだろぅが?」
「むぅ、そうですかな? おれっちはこう見えても、A級冒険者きゅうぼうけんしゃなんだっよねぇー?」
 防具ぼうぐふところから取り出されたのは、金色きんいろ冒険者ぼうけんしゃカード。
 おれだって持ってると、言いたいところだが――
 かれの持つカードの、ギルドの紋章下もんしょうした
 きざまれた文様もんようは、『A級』だった。

 (ギルドからの依頼いらい規定数受きていすううけないと、冒険者ぼうけんしゃとしての階級かいきゅうは上がりません)
 そう。〝シガミー御一行様ごいっこうさま〟はギルド依頼いらいのクエストを、それほど受けていなかった。
 ていうかクエスト自体じたいろくに受けちゃいねぇ。
 いままでの魔物まもの討伐とうばつや、装備そうびなんかの納品依頼のうひんいらい
 それが全部ぜんぶギルド経由けいゆ依頼いらいと見なされたとしても、受けたかず少な過ぎ・・・・らぁ。

 〝Sきゅう〟のリオレイニアと、〝Bきゅうあつかいのおれ。
 そして〝Cきゅう〟のレイダ――

 ふぉん♪
『シガミー>なあ、リオレイニア。おれたちは冒険者パーティーとしてはB級扱いのままか?』
 ふぉん♪
『リオレイニア>とんでもありません。我々冒険者パーティー〝シガミー御一行様〟は、現在C級扱いです』
 なんだと? そしたらおっさんにも相当そうとうみずをあけられてるじゃんか。

 ふぉん♪
『ホシガミー>いえいえ、私のF級が加味されますので恐らく、D級になるのでは? プークスクスクス♪』
 やい星神ほしがみなにを、わらってやがる?

 ふぉん♪
『シガミー>そういや星神さまは、ウチのパーティーになるのか?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>もちろんですわ。シガミーさんと私は、一蓮托生ですもの♪』

「(初耳はつみみだぜ? 冒険者登録ぼうけんしゃとうろくなんてしてたのかよ?)」
「(はい。わたくしも、わすれておりました。くすくすっ)」
 念話ねんわならほかやつに、聞かれる心配しんぱいはない。

 ふぉふぉぉん♪
『カヤノヒメ LV:8
 調理師★★★★★ /超料理術/食物転化/毒物無効/星神
     追加スキル/超体力増強/超筋力上昇/調理指南
 ――所属:シガミー御一行様』
「(シガミーさん不在ふざいおり、イオノファラーさまの食い道楽どうらくたすけになればと――食事しょくじ関連職かんれんしょくに就いたのでしたわ。クスクスプー)」

 ふぉん♪
『リオレイニア>ふぅ、神の名を冠するスキルを、お持ちなのですね。こと神の存在に関することですので、これまで言及を避けてきましたが。カヤノヒメさまは、どちらからいらしたのですか?』

「(おい星神ほしがみ五百乃大角いおのはら迅雷ジンライも居ねぇときに、迂闊うかつなことを言うなよ?)」
「(大丈夫だいじょうぶですわ。そのへんのすり合わせは済んでいますし、シガミーさんとおなじですので。くーすくす)」
 おれとおなじだとぉ?
 ならかくごとは、日の本勢もとぜい全員ぜんいん、〝死んだあとで、この世界せかいに連れてこられた〟ってことくらいだ。

「(はい、そうなります。日のもと……日本にほんは、この惑星わくせい何処どこかに存在そんざいし――そこからの迷い人・・・と言うことで、押しとおす手はずです)」
 それ、聞いてねぇんだがな。又忘またわすれやがったなぁ、迅雷ジンライめ。

 ふぉん♪
『ホシガミー>私がどこから来たのかは、分かりかねます。シガミーさんの体で目覚める前のことは、何も覚えていませんので』
 ふぉん♪
『リオレイニア>ではイオノファラーさまがもどられたら、聞いてみるとしましょう』
「(それなら良いな。彼奴あやつ矢鱈やたらと、べんだけは立つからな)」

 ふぉん♪
『ホシガミー>兎に角、イオノファラーさま縁の神と思ってくださいませ。ご存じの通りに、この体はシガミーさんの数年後の姿ですので、イオノファラー様とシガミーさんお二人の縁者と言うことに相違ありません』

「(このほし三途さんずかわと、ミノタウ……ミノ太郎たろうのこたぁ、ちゃんとだまっとけよ?)」
「(はい。心得こころておりますわ、くすくすくす)」

 ふぉん♪
『リオレイニア>差し出がましいことを、お聴きしてしまい申し訳有りませんでした』
 組んだ手をはなに押し当てる、メイドのなかのメイド。

 ふぉん♪
『ホシガミー>いえいえ、お気になさらず。ちなみに調理師の職を勧めてくれたのは、オルコトリアさんですわ♪』
 星神ほしがみの目が2ひき特撃型改シシガニャンへ、向けられた。

 16ばんと19ばん左右から・・・・かかえられた鬼娘オルコは、満更まんざらでもないらしく――
 かおゆるませていた。
 あの体格がたいじゃ、だれかにかかえられることなんて、滅多めったに無かっただろうからなぁ。

「きゃぁっ!?」
 こえのしたほうを見れば、少女しょうじょメイド・タターが手にした長銃じゅうを木のえだにぶつけていた。
「おいおい大丈夫だいじょうぶか? 収納魔法具しゅうのうまほうぐ仕舞しまっとけば良くね?」
 言ってやる。折角作せっかくつくってやったんだし、使つかってくれや。

「はぁい、そうなんですけれど、さっきまでおにぎりちゃんと……テンプーラゴウ・・・・・・・が、ちかくに居たので――」
「あー、長銃アダマンタイトを持ってないと、また尻尾に噛みつかれる・・・・・・・・・からかぁ」
「はい。じゃぁ、おにぎりさんたちはさきに行っちゃったので、仕舞しまっておきますね」
 ヴルル――すぽぉん♪
 長物じゅうを取り出すときにあぶなくねぇーように、〝手袋てぶくろ〟に収納魔法具しゅうのうまほうぐ仕込しこんである。
 長銃それを持つ両手の位置を・・・・・・、取り出すための鍵にした・・・・のだ。

五百乃大角いおのはら一緒いっしょに居たほうが、たまを込めるのに便利べんりな――――あ!?」
 根菜いおのはらなしで、どうやってたまを撃つんだぜ?

「どうしたんですか?」
 長銃じゅう仕舞しまい、身軽みがるになった少女しょうじょメイド――みなメイドふくを着てるから、もはや〝ただのタター〟だ。

「そういや〝長銃オルタタ〟のたまは、どーするんだぜ?」
 五百乃大角いおのはら迅雷ジンライも、いまは使つかえねぇーぞ?
「それなら、わたくしどもが担当致たんとういたしますわ、プークス
 茅野姫ほしがみ給仕服メイドふくふところから、ひょこりとかおを出したのは――

「そうだ。我々われわれが――我輩わがはい尻尾しっぽ――制御用せいぎょようICチップ――サフランソース――ニャァ♪」
 ねこ精霊せいれいにして、魔法具まほうぐ魔物まもの――ロォグだ。

「わからんが、まかせて良いんだな?」
「はいどうぞ、よしなに?」
 すっと差し出されたのは――かみぺら一枚いちまい

『長銃オルタネーター専用 丸込め価格|(税抜き)
 一撃必殺アダマンタイト弾 100パケタ
 一撃必中ジンライ鋼弾 3パケタ
 一撃必穿ミノタ****徹甲弾 36パケタ
 戦略級選択的接触除草弾ユグドラゴン 時価』

「かっ、金取かねとるのかよぉっ!? しかもたけぇ――――!」
 巨木きょぼくを枯らしたたまかんしちゃぁ、値段ねだんが書いてねぇと来たぜ!

「シガミー、置いていかれますよ」
 ふぉん♪
『リオレイニア>この先はミギアーフ氏を筆頭に、一列縦隊で進んでいくようです』

 ふぉん♪
『ホシガミー>これなら分散コンピューティングによる、演算帯域も確保出来ます』
 わからんが、あいだが空くと……れつ千切れちまう・・・・・・ってことかぁ?

 おれはあわてて「やい11ばんやい、おくれるな!」と、号令ごうれいを掛けた。
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