上 下
601 / 737
5:大森林観測村VSガムラン町

601:悪逆令嬢ロットリンデ、商会長にしかられる

しおりを挟む
「こぉら、ロットリンデちゃん! 10ねんぶりのビッグウェーブ……もとい、おきゃくさまになんてことをしてるのかしらぁ?」
 やや恰幅かっぷくが良いが、女将おかみさんみたいなからだつき。

「っぎゃっ――宮廷魔導師きゅうていまどうし!?」
 かかとたかくつを脱ぎ捨て一目散いちもくさんに、逃げ出す悪逆令嬢ミスロットリンデ

「ロットリンデー! どうせあとで商会長しょうかいちょうから〝魔導固まどうがためめ〟を食らうことになるんだから、いまつかまっておいたほうとくだよー」
 れい偽の道の箱・・・・・を持つ、銃吼氏じゅうくしが――チャリン♪

 金貨パケタ一枚いちまいはこに空いた細穴ほそあなに落とした。

「それ、自販機じはんきみたいだね♪」
 ニゲルが目を、かがやかせた。
 日本刀かたな根菜いおのはら詠唱魔法具ブロマイドを見たときの、悪逆令嬢ミスロット・リンデのようだ。

 パタパタパタパタタタッ――――♪
 ひらかれいたぺらになった追いつかれた・・・・・・ご令嬢ミスロットが――「ぎゃふぅん!」
 断末魔だんまつまを上げ、姿すがたを消した。

「まさか……ひと格納出来かくのうできる、収納魔法具しゅうのうまほうぐ――!?
 わなわなと口元くちもとふるわせる、星神茅野姫ほしがみかやのひめ
 その手に――ヴッ♪
 計算魔法具けいさんまほうぐが、取り出された。

 迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほうとはべつの、自前じまえ収納魔法しゅうのうまほうを持つ彼女かのじょは――
 気立きだては良いが、守銭奴しゅせんどなのが……たまきずだった。

 片手かたてかかえたお猫さまケットーシィに、手渡てわたされる計算魔法具しゅせんどごようたつ
 パチパチポチペチリと――火を噴く得物えもの
 そういや、あのケットーシィおねこさまも、強突張ごうつくばりだったぜ。

 パタパタパタパタパタタム、カシャガチャン♪
 一直線いっちょくせんに伸びていた魔法具箱いたっぺらが、閉じられた。
 ――とおもったら即座そくざ一辺いっぺんだけ、ふたひらく――カヒュゥーイ♪

「にゃわっ!?」
 展開てんかいされた悪逆令嬢ロットリンデが、銃吼氏じゅうくしの……目のまえにストンと、落ちてきた。

 ふぉん♪
『シガミー>そうだぜ茅野姫。迅雷と根菜が、壊れちまったみてえなんだが?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>壊れると言うことはあり得ません。神力切れでは?』

 神力棒モバイルバッテリーを、こしのベルトに刺し――チッ♪
 迅雷ジンライに繋いでみる――ブツン♪
 ふぉん♪
『シガミー>繋いだが、うんともすんとも言いやがらねえ』
 たしかに本当ほんとうこわれたっていうなら――このあた一帯いったい、吹っ飛んでねぇとおかしい。

 ふぉん♪
『ホシガミー>電池切れでないのでしたら、女神像OSを更新すれば宜しいかと』
 女神像めがみぞう背中せなかはこで、なおるんだな?
 ふぉん♪
『シガミー>あの箱型の収納魔法具箱に入ったのが、悪かったのかもしれんな』
 五百乃大角いおのはらふところから取り出してみたが――そもそも此奴こいつに、神力棒ぼうを刺すあなは空いてねぇ。

「ロットリンデちゃぁん――つーかーまーえーたぁー♡」
 女将おかみさんのような、絢爛豪華ボバボーン体格たいかく女性じょせい
 商会長しょうかいちょうと呼ばれたおんなは……間違まちがいなく女将おかみさんの縁者えんじゃだ。

「ひゃぎゃっ――!?」
 こしにがっちりと、しがみ付かれ――
 必死ひっし藻掻もがく、、御簾路頭厘手ミスロットリンデ
 あの大申紛おおざるまがいの怪力かいりきでも、振りほどけねぇのか。
 たぶん女将おかみさんの、姉妹しまいなんだろうが――世もすえだぜ。

 組み付いたまま背後うしろまわり込み――――ブゥオッ!
 持ち上げられるご令嬢ミスロット――「にゃわやー!?」
 こしをを反らし――――ドゴォォォォッゥン!
 ご令嬢ミスロットからだが、地面じめん突き刺さった・・・・・・

 あーあー、大股おおまたひらいてなんてぇ格好かっこうだぜ。
 あれよりかは、まだウチのかみさんのほうが、慎みがあらぁな・・・・・・・

「「「「「あっ、イオノファラーさまだ♪」」」」」
 生徒せいと教師きょうし何人なんにんかが、シシガニャンから飛び降りた。

 白目しろめを剥いた根菜こんさいを、かかげて見せたら――
 イオノフ教信徒きょうしんとどもがひざを突き、組んだ手をはなに押し当てた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

キャラ交換で大商人を目指します

杵築しゅん
ファンタジー
捨て子のアコルは、元Aランク冒険者の両親にスパルタ式で育てられ、少しばかり常識外れに育ってしまった。9歳で父を亡くし商団で働くことになり、早く商売を覚えて一人前になろうと頑張る。母親の言い付けで、自分の本当の力を隠し、別人格のキャラで地味に生きていく。が、しかし、何故かぽろぽろと地が出てしまい苦労する。天才的頭脳と魔法の力で、こっそりのはずが大胆に、アコルは成り上がっていく。そして王立高学院で、運命の出会いをしてしまう。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【全12話/完結】リタイア勇者たちの飲み会

雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
◇12/20:::HOT90位ありがとうございました!RPGで言うところの全クリをした後、富も名声も女も時間も何もかもを満喫しつくした「元勇者=リタイア勇者」たちと、設定上やられ役=悪役キャラの魔王や魔女たちが繰り広げる、ほのぼの居酒屋同窓会。 自己中神様にハレンチ女神。不倫二股ヒロインたちも登場して、毎夜毎夜飲みまくる、胃袋ブレイク。 (いろいろ増えるよ。登場するよ) ※加筆修正を加えながら、ゆっくり更新中です。 ※第二回お仕事コン楽ノベ文庫賞の受賞候補作品でした。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

処理中です...