597 / 739
5:大森林観測村VSガムラン町
597:悪逆令嬢ロットリンデ、迅雷迅雷五百乃大角
しおりを挟む
「こぉらぁーーーーーーーーーーっ! ぅおっ待ちなっさぁいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」
だれが待つかぃ。
どこか浮世離れした風体だと思ったがぁ――
どうやらマジで、ご令嬢らしいぜ。
ズザッ――スタタタタァァン――――♪
おれが全力で、一本道を進むと――
すぐに敵、御簾路頭・厘手が、霞の向こうに消えた。
「むわぁてぇーーーーーーーーい!」
声だけは、聞こえるが、遠くなっていく。
スタタッタァン――――♪
「(小猿ー!)」
うるせぇ、まだ聞こえやがるぜ。
誰が、小猿か。
「しかし、迅雷も五百乃大角も使えねぇんじゃ……やれることが限られるな」
人の名前を覚えるのすら、迅雷任せで苦手になっちまったしよぉ。
「ナぜ、使えナいのですか?」
「そうわよっ、使える物は何でも使うのがぁ、我がイオノフ教の教義ですよぅ?」
はぁ、そりゃ初耳だし、おれぁ料理番で教徒じゃねぇーぜ?
それに〝食える物は、何でも食う〟の、間違いだろぅがぁ。
ヴュパァァッ――ヴォヴォゥン♪
寂しかった画面の表示が、一気に元に戻った。
『巡航モード:87㎞/h』
隅の速さを表す数字が、どこまでも増えていく。
ふぉん♪
『>現在時速87㎞。一時間、半時で22里を走れる速度です』
22里てぇと、甲州街道を半分!?
「じゃなくって――――ばっなっ、貴様らぁ、何をいままで――現を抜かしてやがった!?」
壊れたんじゃ無くてぇ、良かったがぁ!
ふぉん♪
『>現を抜かしていた?』
ふぉん♪
『イオノ>そういえば、ロットリンデさんって方がぁ近づいてきてなかった?』
ふぉん♪
『シガミー>近づいてきたっていうか、出くわして一戦交えちまった!』
「えっ!? これから商売しようって相手と喧嘩って、ばかわの? シガミーはおばかさんわのぅ?」
素っ頓狂なこの声も、聞けるだけありがてぇ。
「へいへい、おれも、そう思うんだがよ。向こうが宮廷料理人とおれを、間違えて飛びかかって来たんだからぁ、仕方があるめぇ?」
「宮廷料理人? 何ノ恨みがアるんでしょうか?」
ヴヴヴッ――相棒が勝手に震えて、革ベルトから飛び出した。
擽ってぇなっ、知るか!
「へいは1回。「女将さんのつてで来た」って言えば、よかったじゃんかよぉ?」
根菜は仕舞っても自分で出てきそうだから、頭の上に乗せてやる。
「言ったが、女将さんのことを「知らねぇ」って言われてよぉ――」
「もー、ホントに使えないわねぇん?」
てちてちてちてちり。
痛くはねぇが、超うぜぇ。
「止めんかぁ! それでも一度わぁ、おれが参ったをして、話をするところまで持ち込んだんだぜ!」
おれにしちゃぁ、上出来だろが。
「まあ良いわぁん。それでその大森林の女王さまは、どこにいるのぉん?」
「此処には居らん。また斬り合いになったから……逃げてきた」
「「なんで!?」――ですか?」
「知らんがぁ、そいつが妙に、お前さま……御神体の〝ねがみめんど〟さまに、ご執心でよ!」
非売品だって言っても、まるで聞きゃぁしなくてな。
「ん? どぅしたぁ?」
まただんまりだぜ。ガシャララッ――何だぜ!?
迅雷がうしろに落ち――五百乃大角が上から落ちてきた。
ズザザザァァッ――――立ち止まり、慌てて落ちた相棒を――
「――追いつきましたわぁ♪」
心の臓が、跳びはねた。
ガシリと後ろから、凄い力で抱きつかれた。
何この、金剛力?
此奴わぁ、角が生えてねぇ――鬼族かぁ?
「迅雷迅雷五百乃大角、解析指南にヒントでもいいからぁ、助けろやぁ!」
身動きが、まるでとれんぞ!?
「うふふ、くすくす♪ あら、助けを呼びますの? では、私も♪」
すぅぅうと息を吸う、薄い胸の平らな感覚。
「ジュークゥ――出てき来なさぁーいぃ!」
くそう、こっちは誰も助けを、呼べてねぇだろうが!
こんな分からず屋がぁ、もう一人増えたら堪ったもんじゃねぇ!
「なぁんだぁーい、ぼくのトリデさぁん――?」
間の抜けた、弱々しい声が――地の底から、聞こえてきた。
だれが待つかぃ。
どこか浮世離れした風体だと思ったがぁ――
どうやらマジで、ご令嬢らしいぜ。
ズザッ――スタタタタァァン――――♪
おれが全力で、一本道を進むと――
すぐに敵、御簾路頭・厘手が、霞の向こうに消えた。
「むわぁてぇーーーーーーーーい!」
声だけは、聞こえるが、遠くなっていく。
スタタッタァン――――♪
「(小猿ー!)」
うるせぇ、まだ聞こえやがるぜ。
誰が、小猿か。
「しかし、迅雷も五百乃大角も使えねぇんじゃ……やれることが限られるな」
人の名前を覚えるのすら、迅雷任せで苦手になっちまったしよぉ。
「ナぜ、使えナいのですか?」
「そうわよっ、使える物は何でも使うのがぁ、我がイオノフ教の教義ですよぅ?」
はぁ、そりゃ初耳だし、おれぁ料理番で教徒じゃねぇーぜ?
それに〝食える物は、何でも食う〟の、間違いだろぅがぁ。
ヴュパァァッ――ヴォヴォゥン♪
寂しかった画面の表示が、一気に元に戻った。
『巡航モード:87㎞/h』
隅の速さを表す数字が、どこまでも増えていく。
ふぉん♪
『>現在時速87㎞。一時間、半時で22里を走れる速度です』
22里てぇと、甲州街道を半分!?
「じゃなくって――――ばっなっ、貴様らぁ、何をいままで――現を抜かしてやがった!?」
壊れたんじゃ無くてぇ、良かったがぁ!
ふぉん♪
『>現を抜かしていた?』
ふぉん♪
『イオノ>そういえば、ロットリンデさんって方がぁ近づいてきてなかった?』
ふぉん♪
『シガミー>近づいてきたっていうか、出くわして一戦交えちまった!』
「えっ!? これから商売しようって相手と喧嘩って、ばかわの? シガミーはおばかさんわのぅ?」
素っ頓狂なこの声も、聞けるだけありがてぇ。
「へいへい、おれも、そう思うんだがよ。向こうが宮廷料理人とおれを、間違えて飛びかかって来たんだからぁ、仕方があるめぇ?」
「宮廷料理人? 何ノ恨みがアるんでしょうか?」
ヴヴヴッ――相棒が勝手に震えて、革ベルトから飛び出した。
擽ってぇなっ、知るか!
「へいは1回。「女将さんのつてで来た」って言えば、よかったじゃんかよぉ?」
根菜は仕舞っても自分で出てきそうだから、頭の上に乗せてやる。
「言ったが、女将さんのことを「知らねぇ」って言われてよぉ――」
「もー、ホントに使えないわねぇん?」
てちてちてちてちり。
痛くはねぇが、超うぜぇ。
「止めんかぁ! それでも一度わぁ、おれが参ったをして、話をするところまで持ち込んだんだぜ!」
おれにしちゃぁ、上出来だろが。
「まあ良いわぁん。それでその大森林の女王さまは、どこにいるのぉん?」
「此処には居らん。また斬り合いになったから……逃げてきた」
「「なんで!?」――ですか?」
「知らんがぁ、そいつが妙に、お前さま……御神体の〝ねがみめんど〟さまに、ご執心でよ!」
非売品だって言っても、まるで聞きゃぁしなくてな。
「ん? どぅしたぁ?」
まただんまりだぜ。ガシャララッ――何だぜ!?
迅雷がうしろに落ち――五百乃大角が上から落ちてきた。
ズザザザァァッ――――立ち止まり、慌てて落ちた相棒を――
「――追いつきましたわぁ♪」
心の臓が、跳びはねた。
ガシリと後ろから、凄い力で抱きつかれた。
何この、金剛力?
此奴わぁ、角が生えてねぇ――鬼族かぁ?
「迅雷迅雷五百乃大角、解析指南にヒントでもいいからぁ、助けろやぁ!」
身動きが、まるでとれんぞ!?
「うふふ、くすくす♪ あら、助けを呼びますの? では、私も♪」
すぅぅうと息を吸う、薄い胸の平らな感覚。
「ジュークゥ――出てき来なさぁーいぃ!」
くそう、こっちは誰も助けを、呼べてねぇだろうが!
こんな分からず屋がぁ、もう一人増えたら堪ったもんじゃねぇ!
「なぁんだぁーい、ぼくのトリデさぁん――?」
間の抜けた、弱々しい声が――地の底から、聞こえてきた。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる