滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
593 / 740
5:大森林観測村VSガムラン町

593:大森林境界、破戒僧シガミー(メイド?)VS悪逆令嬢ロットリンデ(吸血鬼?)

しおりを挟む
 すそなが細身ほそみのドレス。
 それがまくれ上がるほどに、ひらかれていく――
 綺麗きれいおんな太股ふともも
 カァンと踏まれた平石ひらいしが、バガンと割れ――
 ぼががんと、はじけ飛ぶ。

 まさかそのとがったかかとの、ぼうささえわぁ――
 魔法杖まほうつえじゃ、ねぇだろうなぁ!?
 素手すでのミスロット・リンデが、さらに歩をすすめると――
 ばっがぁぁぁぁん、ぼぼごごぉぉぉぉんっ♪
 地を爆発ばくはつつよまり――垂直すいちょくに突き刺さっていた、鉄棒てつぼうが吹き飛ぶ!

「お行儀ぎょうぎわりぃぜ? 大森林だいしんりん領主あるじさ――ま――よ――ぉ――!」
 はじけ飛ぶ地面じめん小石こいしや木くずが、空中ちゅうに止まった。

 くるんくるん――くる――る――ん――――ぱ――し――りっ!
 落ちてきた魔法杖まほうつえを、うしろ手に受け取るさまも――ぴたり。
 ミスロット・リンデのうごきが止まった。

 こりゃ念話ねんわなんだっけか……たしか〝思考加速しこうかそく〟とか言うやつ――
 かとおもったが、迅雷ジンライうつつを抜かして止まってる・・・・・以上いじょう、そうじゃねぇ。
 悪鬼羅刹あっきらせつと呼ばれた、おれが日の本いくさつちかった――いつものやつだ。
 言ってみりゃ、せいへの執着しゅうちゃくそのもの。
 仏道ぶつどう帰依きえした身じゃ――皆目かいもく面目めんぼくのねぇはなしで。

 背後せなかから突き込まれた切っさきを避けたり、一里向いちりむこうのやまに生える木の、葉が揺れるのが見えたり。
 甲冑かっちゅうを着た雑兵相手ぞうひょうあいてに生き抜いた、僧兵ぼうずのなれの果て。
 そのわざは、何度か・・・つくり替えられたらしい、いまわらしからだにもいきづいている。

 ぼっ――――!
 突き込まれる鉄棒まほうつえがぁ、おれのくちねらってやがるぜ!

「ッチィイェェェェェェェェェェェェェェイッ――――――――――――――――!!!」
 斬る。斬らんと、こっちがなかからはじけちまわぁ。
 あの重い鉄棒・・・・は、おれの居合いあいより――剣速まあいはえぇ!

 ザッギィィィィィィィィ――――――――――――!
 散る火花ひばなに、目をすがめる。

 ヴォゥ――♪
『HP/■■■■■■■■■□4936/5009
 MP/■■47/48』
 閉じた目にうつる、この世界うつつことわり
 緑色の棒たいりょく紫色の棒まりょくは、迅雷ジンライが見せる画面モニタとはべつに、うつし出されている。

 緑色みどりいろ数字HPが、減ってやがるぜ。
 あの馬鹿力かいりきで、こうも押し込まれちゃ――
 斬られてなくても、つかれが溜まる。

 対外的たてまえにはLVレベル46のおれが、この体力HPを持っていたらおかしい。
 魔力MPすくなさも人並ひとなはずれていて、一般的いっぱんてき冒険者ぼうけんしゃ埒外らちがいに居る。
 もっとも此方こっち本当ほんとうに、まるで上がらないままLVレベル100になっちまったんだから、仕方しかたが無い。
 それでも、追加ついかで取ったスキルのおかげで、ほんのすこし増えてくれたのはありがたい。
 HP・MPこいつ内訳うちわけひとから見られることが無いから、冒険者ぼうけんしゃカードみたいに偽装ぎそうしなくて良いからたすかった。

 そして画面がめんなか
 おれのからだ様子ようすを知らせてくる――
 伸びちじみするぼうや、うごめ波形なみがた
 表示ひょうじされるのは、迅雷ジンライが居なくても使つかえる部分ぶぶんだけで――
 見た目は相当そうとうさびしくなった。

 迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらも、まるで返事へんじをしやがらねぇ。
 神域惑星しんいきわくせいのときは返事へんじが無くても、仕事しごとはしてくれたんだがな。

 ふぉん♪
『シガミー>迅雷、小太刀を出せるか?』
 返事へんじはねぇーし、小太刀こだちも出ねぇ。
 このとんでもねぇ爆発ばくはつする高等魔術こうとうまじゅつと、オルコやノヴァド張りの怪力かいりき
 まだいまのところ、そこまで体力たいりょくけずられちゃいねぇが――
 でかいのを一発いっぱつもらえば、常人じょうじんばい体力たいりょくがあろうと――
 どうなるか、わからん。

 ザッギィ――火花ひばなは、まだ散ってる。
 この間延まのびした刹那せつななか
 この自前じまえでも金剛力パワーアシストなみのちから使つかえるようになった、この体で。
 力一杯ちからいっぱい、押しかえしてるってのに――
 突き込まれた刺刺きっさきが、まるで引きはなせん。

 自分てめえからだおなながさの直刀しゃくじょうを抜くには、一息ひといきかたなを投げ飛ばす必要ひつようがある。
 刺刺とげとげ杖先つえさきは押し込まれる一方いっぽうで、もう鼻先はなさきだ。
 そうなるとさやを持つこしひねり、そららしながらからだを引き――
 さらに踏み込んで――打ち込むしかねぇ!

 こんな芸当げいとうてき轟雷ごうらいや、手足てあし倍加ばいかした鬼娘並おにむすめなみの――
 怪力かいりきだから、出来できることだ。
 斬るのに要る剣速まあいは、向こうの怪力かいりきおぎなってもらう。

 ザギギィ――おれはもう一度いちど、目をすがめ――――

 ギュヴヴヴヴッ――――――『滅モー』
 きゅう画面モニタ一部いちぶが、復活ふっかつしたが――!
 ばかまて、〝滅モードそいつ〟は出すな!
 流石さすがに交渉相手こうしょうあいて二つに・・・、しちまうわけにはいかん!

 仏門ぶつもんはいまえならったけんで、一度いちどだけ出来できたた――飛ぶとりを斬る太刀筋たちすじ
 そいつはこの来世うつつ使つかうと、一町向いっちょうむこうの岩壁いわかべ横薙ぎにする・・・・・・
 そのときは、強化服2号シシガニャンを着ていたが――
 ひよわ星神かやのひめが、おれのからだあやつるために、ホシガミスキルポイント強化きょうかした――
 いまのこのからだじゃ、おなことが――出来ちまう・・・・・だろう。

 糸紡いとつむぎに没頭ぼっとうしたら、からだ勝手かってうごいたことがあった。
 切れが良すぎるせいか、うつつを抜かすと勝手かってうごまわからだ
 座禅ざぜんを組んできょうを読むのも、ひかえてたが――『滅モもどれ』『なしだ』『_きえろ
 よし、あぶねぇわざモードが――消えたぜ!

 ギッギィィィンッ――――あ、いけねぇや!
 どっちにしろ――こしまわして、引きながら――
 ガッギュヂィィィィィィンッ!!
 本気で・・・、斬っちまった!

 刺刺とげとげの付いた魔法杖まほうつえさきが、クルクルとまわる。
 落ちていくおんなうで

わりぃ、つい斬りかえしちまったぜ!」
 やべぇ、蘇生薬エリクサーは!?
 さっき全部ぜんぶ、ばら撒いちまったか!?
 直刀を収めガチリッ♪こしのベルトをさぐりつつ――振りかえる。

おどろきましたわ。ちょっとおどかすだけの、つもりでしたのに♪」
 とてもうでを落とされたやつが、出して良いこえじゃねぇ。
 おれだってうでを斬られたら、さけごえすら上げられず――
 わめき、のたうちまわるだろうさ。

 目のまえに落ちていた、おんなかげがねぇ――何処行どこいきやがった!?

 地に落ちたるは、刺刺の短い鉄棒まほうつえのさきほそうで
 間違まちがいなく、おれのけんおんな魔法杖まほうつえと、おんなうでを切った!

 ほそうでが、ぶるりと震え――ぼごわぁっ!
 腕形うでがた爆煙けむりが、かぜながされた!
 ちっ、してやられたぜ!
 切りむす最中さなかに、てきから目をはなすなんざ……初陣以来ういじんいらいか。

「このわたくしに、回復薬ポーション使つかわせるなんて――――クピクピリ♪」
 そのこえに、かおを上げた。

 みじかくなった魔法杖まほうつえを、垂直すいちょくに立て――
 そのうえに、片足立かたあしだち。

 薬瓶くすりびん二本にほんくわえたご令嬢れいじょうが――どごわっああああああああ――――――――!

 両の掌から・・・・・、ばかのように、どでかい噴煙ふんえんを立ちのぼらせていく!
 それは――それはそれは、いろとりどりで――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...