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5:大森林観測村VSガムラン町
592:大森林観測所への道、一触即発
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「それであなたは、本物なのかし……ら?」
細首が、ぐりんと曲がる。
「ああ正真正銘、生きた人間だぜ。大森林観測村とやらに、用があってきた!」
錫杖を肩に立てかけ、「ぬ゛ぅん」と刀印を切る。
「あら、忍者ね?」
忍者……透波のことを、五百乃大角がそう呼んでなかったか?
「私知っていますのよ、ニンニンでござる♪」
収めた刀を鞘から突き出すような、下手くそで出鱈目な印。
こいつも五百乃大角同様、物を知らんようだ。
それでもやはり何時かの何処かの、日の本の生まれであることは疑いようもねぇ。
だが迅雷も五百乃大角も居ねぇ所で、下手な話し方をすりゃ――
クエストも日の本がらみの話も、拗れちまいかねん。
せめて茅野姫でも居てくれりゃ、良かったんだが。
ふぉん♪
『シガミー>茅野姫いるか?』
返事がねぇ。
ふぉん♪
『シガミー>リオレイニアでも良いから、居るか?』
やっぱり返事は、返ってこねぇ。
そもそもこの、ご令嬢……ミス・ロットリンデわぁどうやって、この世界に来た?
そんな話を、どうやって切り出したらいいんだぁ?
「ふん、この私の渾身の一撃を躱すような、忍者メイドさんがウチの村に――ご用?」
その瞳が細められ、傍らの石ころを蹴り飛ばした!
ぐわわららん――ズゴオォオン!
椅子の足に直立していた鉄の棒が、地面に落ちる。
山道に雑に敷かれていた大きな平石が、ゴバキャッと割れた。
あの鉄棒は思ってたよりも、さらに重いぞ!?
鍵剣セキュアほどでは、ねーだろうが。
あの細腕に惑わされると、死にかねねぇ。
おれは辺りの気配を探る。
仲間が居る様子はねぇ。
そして、鳥の一匹も飛んでない。
そういや地面を転げまくったのに――
虫の一匹にも集られてねぇ。
「さっきまで居た猫の魔物の様な不思議な生き物と、まるで武器のような子供たちは――貴方の差し金かしら?」
彼女の足下に転がった、平石の小さな破片。
バキ、ボコゴン♪
それがはじけ飛び、小さな爆煙を立ち上らせた。
その色は藤紫。
青紫の明るい色味だ。
こんな色は是非とも、リオレイニアに着せてみたい。
迅雷が居ねぇのが惜しい。記録しておけねぇ。
「ばかを言うなっ! ありゃぁそっちの、仕込みだろうがっ?」
じりじりと間合いを離すと――カツンッ♪
「そんな訳が有るはずが、ありませんでしょう!? あんな悪趣味な!」
長い足で、一息に詰められた!
「悪趣味なのには同感だぜ。この山道の……本物の山道に居る子供たちの姿を、写し取ったんだと思うが?」
「姿を写し取った? まさか……ぶつぶつ……宮廷魔導師の罠っ?」
なんかブツブツ言い出す、御簾路頭厘手。
ひとまず五百乃大角たちを、元に戻さねぇと。
「なぁ、おれたちはガムラン町から来た! あんたの知り合いの女将さん……えっと、コ……何たら夫人、なんだっけか、刀汝……そうだ、小腹減るだ! 〝刀汝・小腹減る〟の紹介で来た!」
おれは錫杖を構え、じりじりじりじりと間合いを開ける。
「とうなこ・ばらっへる……どこかで聞いたような……初耳のような?」
ありゃ? 古い知り合いだって言ってたがなぁ? 忘れてるのか?
ヴヴヴウヴュゥゥゥン♪
迅雷が止まっちまったからか、飛ばしておいた泥音が降りてきた。
「おっとととっ、回収しとくか」
虫を捕まえるように、上下から――ぱしん♪
「何ですのその、不思議と平たいリモコンヘリはっ!? やっぱりあなたっ、宮廷魔導師ですわね! そもそも、こんなに柄の悪い小猿メイドが居るはずがありませんわっ!!」
ボゴゴゴゴボォン――――小石や枯れ草が、彼女から広がるように爆ぜていく。
魔法杖くらい、ちゃんと使えやぁ。
「違うぜ、宮廷魔導師なんかじゃねぇ! おれぁ、美の女神・五百乃大角のぉ料理番だぜ!」
おれは、腰を落とし――地をつかむ。
そして――ガキリッ♪
錫杖の柄頭を捻り、仕込み直刀を開けた。
細首が、ぐりんと曲がる。
「ああ正真正銘、生きた人間だぜ。大森林観測村とやらに、用があってきた!」
錫杖を肩に立てかけ、「ぬ゛ぅん」と刀印を切る。
「あら、忍者ね?」
忍者……透波のことを、五百乃大角がそう呼んでなかったか?
「私知っていますのよ、ニンニンでござる♪」
収めた刀を鞘から突き出すような、下手くそで出鱈目な印。
こいつも五百乃大角同様、物を知らんようだ。
それでもやはり何時かの何処かの、日の本の生まれであることは疑いようもねぇ。
だが迅雷も五百乃大角も居ねぇ所で、下手な話し方をすりゃ――
クエストも日の本がらみの話も、拗れちまいかねん。
せめて茅野姫でも居てくれりゃ、良かったんだが。
ふぉん♪
『シガミー>茅野姫いるか?』
返事がねぇ。
ふぉん♪
『シガミー>リオレイニアでも良いから、居るか?』
やっぱり返事は、返ってこねぇ。
そもそもこの、ご令嬢……ミス・ロットリンデわぁどうやって、この世界に来た?
そんな話を、どうやって切り出したらいいんだぁ?
「ふん、この私の渾身の一撃を躱すような、忍者メイドさんがウチの村に――ご用?」
その瞳が細められ、傍らの石ころを蹴り飛ばした!
ぐわわららん――ズゴオォオン!
椅子の足に直立していた鉄の棒が、地面に落ちる。
山道に雑に敷かれていた大きな平石が、ゴバキャッと割れた。
あの鉄棒は思ってたよりも、さらに重いぞ!?
鍵剣セキュアほどでは、ねーだろうが。
あの細腕に惑わされると、死にかねねぇ。
おれは辺りの気配を探る。
仲間が居る様子はねぇ。
そして、鳥の一匹も飛んでない。
そういや地面を転げまくったのに――
虫の一匹にも集られてねぇ。
「さっきまで居た猫の魔物の様な不思議な生き物と、まるで武器のような子供たちは――貴方の差し金かしら?」
彼女の足下に転がった、平石の小さな破片。
バキ、ボコゴン♪
それがはじけ飛び、小さな爆煙を立ち上らせた。
その色は藤紫。
青紫の明るい色味だ。
こんな色は是非とも、リオレイニアに着せてみたい。
迅雷が居ねぇのが惜しい。記録しておけねぇ。
「ばかを言うなっ! ありゃぁそっちの、仕込みだろうがっ?」
じりじりと間合いを離すと――カツンッ♪
「そんな訳が有るはずが、ありませんでしょう!? あんな悪趣味な!」
長い足で、一息に詰められた!
「悪趣味なのには同感だぜ。この山道の……本物の山道に居る子供たちの姿を、写し取ったんだと思うが?」
「姿を写し取った? まさか……ぶつぶつ……宮廷魔導師の罠っ?」
なんかブツブツ言い出す、御簾路頭厘手。
ひとまず五百乃大角たちを、元に戻さねぇと。
「なぁ、おれたちはガムラン町から来た! あんたの知り合いの女将さん……えっと、コ……何たら夫人、なんだっけか、刀汝……そうだ、小腹減るだ! 〝刀汝・小腹減る〟の紹介で来た!」
おれは錫杖を構え、じりじりじりじりと間合いを開ける。
「とうなこ・ばらっへる……どこかで聞いたような……初耳のような?」
ありゃ? 古い知り合いだって言ってたがなぁ? 忘れてるのか?
ヴヴヴウヴュゥゥゥン♪
迅雷が止まっちまったからか、飛ばしておいた泥音が降りてきた。
「おっとととっ、回収しとくか」
虫を捕まえるように、上下から――ぱしん♪
「何ですのその、不思議と平たいリモコンヘリはっ!? やっぱりあなたっ、宮廷魔導師ですわね! そもそも、こんなに柄の悪い小猿メイドが居るはずがありませんわっ!!」
ボゴゴゴゴボォン――――小石や枯れ草が、彼女から広がるように爆ぜていく。
魔法杖くらい、ちゃんと使えやぁ。
「違うぜ、宮廷魔導師なんかじゃねぇ! おれぁ、美の女神・五百乃大角のぉ料理番だぜ!」
おれは、腰を落とし――地をつかむ。
そして――ガキリッ♪
錫杖の柄頭を捻り、仕込み直刀を開けた。
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