上 下
583 / 735
5:大森林観測村VSガムラン町

583:大森林観測所への道、ユークリッド山道

しおりを挟む
「ちょっくら、おれがうえから見てくらぁ――!」
 ヴッ――錫杖を取り出しジャリィィィン
 スッタァァァン――――!?
 おれはうえへ跳んだ。

 ヒュォォオォォォオォッ――――♪
 とおくをとりが飛んでいて、かぜ心地ここちよい。
 来た山道やまみちの振りかえれば、レイドむらがちゃんとある。
 そしてみちには、だれも居ねぇ。

 ぐるぐるぐるるんっと錫杖しゃくじょうを振りまわし、向きを変える。
なんだとっ!?」
 道先みちさきに有るはずの、けわしい大森林だいしんりんがなくて――
 ソコには巨大きょだい地割じわれと、ソコから沸き立つ――
 溶けたいわ
 大河たいがのように曲がりくねる、長大ちょうだい大渓谷だいけいこくが――
 何処どこまでもつづいていた。

「おい、このさきにはフカフむらが、あるはずじゃなかったのかぁ?」
 飛び上がったいきおいが尽き、おれは落ちていく。
「ソのハずでスが、全方位ぜンほういスキャン開始かイししマ
 グゥン――――迅雷ジンライ対空たいくうする。

 おれは錫杖しゃくじょうを捨て、迅雷ジンライ回収すぽん♪
 ぱしぱしんと、両手りょうて浮かぶ棒ジンライをつかんだ。

 モソモソむらからガムランちょう近くの火山ダンジョンかりゅうのねどこまで出来できちまった、大渓谷だいけいこくみたいじゃねぇか?
 ヴヴヴヴヴゥゥン――――ゆっくりと落ちていく、おれたち。
 空中ちゅうに浮いた迅雷ジンライは、おもいものはこぶことが苦手にがてだ。
 機械腕プロダクトアームが地に付いてさえいるなら、工房長ノヴァド鉄塊まほうつえだろうが持ち上げられるが。

 したに居る二人ふたりに、こえを掛けようと、したを見た。
「なっ!?」
 どういうことだっ!?
 あしした地面じめんがあるぞ――スタンッ♪
 おれは靴底くつぞこで、地面じめんを踏んだ。

迅雷ジンライ!」
 どういうこった迅雷ジンライ

「スキャン終了しゅウりょう各種かクしゅデータハ現在位置げんザいいち異方性いホうせいが無いことをしメしテおり、ユークリッド空間内くうかンないにおケる連続性れんゾくせいたモたれているコとを示唆しサシていマ
 わからん、どーいう?
きつネたヌきに化かサれているわケでハ無イ、ト言うこトで

 じゃぁ――「おおぉぉおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉーーーーーーーーーーいぃいぃっ!!」
 大声おおごえさけんで見るも――返事へんじがねぇ。だれも居ねぇじゃねぇーか。
 おっさんも神官女性うるらいれんちゅう女将おかみさんも、子供たちがきどもやリオも居なくなっちまったぜ?
 あと、おにぎり騎馬一式きばいっしき五百乃大角いおのはらお猫さまロォグ星神ほしがみ担任教師ヤーベルト――とニゲルまで。

 すっぽ――こぉぉん♪
 てちり。
なにしてんのよ、あんたわぁ
 てちてちてちてちてちてちてちてちり!
 まるでいたくはねぇが、うぜぇ!
 おれはあたまを振り、落ちてきた根菜こんさいさまを、ひっつかむ。

「おまえ、どっから湧いた?」
 ふぉん♪
『イオノ>どっからって、すぐソコからよ? ばかわの?』
 うるせえ。
 ちいさな手が、レイド村の方向もときたみちゆびさした。

 ふぉん♪
『シガミー>おれには誰も居ねぇ道にしかみえんぞ? おっさんや神官ともはぐれたし』
 ふぉん♪
『>私も同様です。現在の外界状況にエラーは発生していません。盗賊の一人が「偽の道」と発言していたことと関係があるのでは?』

「あれっ!? どー言うことぉー? ちょっと女将おかみさんに聞いてく――あれ?」
 すっぽ――こぉーん♪
 またあたまうえから落ちてくる、根菜兼御神体さまいおのはら

「どーしたぁ?」
 まるかおを、良ーくおがむ。
「ホシガミちゃんのあたまに、飛びううれないわよ!?
 まるかおが『(゚⊿゚わよ!?)』と、おどいてやがる。

 ヴヴヴッとふるえる根菜こんさいが――
『(>ロ<;カシャッ♪)』『(ノД`カシャッ♪)』『(|º﹃º)』
 浮かぶブロジェクションBOTみっつ取り出した。
 ヴォヴォ、ヴォヴォ、ヴォヴヴォォォッゥン♪
 一本道いっぽんみちまえうしろ、それと空高そらたかくへ飛ばす。

「――ちょっと迅雷ジンライ、どー言うことわのっ!?
 三つのたまどもは、とうとうかえってこなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遺跡に置き去りにされた奴隷、最強SSS級冒険者へ至る

柚木
ファンタジー
 幼い頃から奴隷として伯爵家に仕える、心優しい青年レイン。神獣の世話や、毒味役、与えられる日々の仕事を懸命にこなしていた。  ある時、伯爵家の息子と護衛の冒険者と共に遺跡へ魔物討伐に出掛ける。  そこで待ち受ける裏切り、絶望ーー。遺跡へ置き去りにされたレインが死に物狂いで辿り着いたのは、古びた洋館だった。  虐げられ無力だった青年が美しくも残酷な世界で最強の頂へ登る、異世界ダークファンタジー。  ※最強は20話以降・それまで胸糞、鬱注意  !6月3日に新四章の差し込みと、以降のお話の微修正のため工事を行いました。ご迷惑をお掛け致しました。おおよそのあらすじに変更はありません。  

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?

レオナール D
ファンタジー
異世界に召喚されて魔王を倒す……そんなありふれた冒険を終えた主人公・八雲勇治は日本へと帰還した。 異世界に残って英雄として暮らし、お姫様と結婚したり、ハーレムを築くことだってできたというのに、あえて日本に帰ることを選択した。その理由は家族同然に付き合っている隣の四姉妹と再会するためである。 隣に住んでいる日下部家の四姉妹には子供の頃から世話になっており、恩返しがしたい、これからも見守ってあげたいと思っていたのだ。 だが……帰還した勇治に次々と襲いかかってくるのは四姉妹のハニートラップ? 奇跡としか思えないようなラッキースケベの連続だった。 おまけに、四姉妹は勇治と同じようにおかしな事情を抱えているようで……? はたして、勇治と四姉妹はこれからも平穏な日常を送ることができるのだろうか!? 

異世界で買った奴隷がやっぱ強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
「異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!」の続編です! 前編を引き継ぐストーリーとなっておりますので、初めての方は、前編から読む事を推奨します。

処理中です...