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4:龍撃の学院

577:龍撃の学院、魔導騎士団総大将と一年A組特別報奨金

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 奇祭きさいタコゥパから、翌々日よくよくじつ
 事態じたいおもいも寄らないことに、なってやがるぞ。

 〝謁見えっけんの間〟にならぶのは、おれたち猪蟹屋一味ししがにやいちみ一年A組いちねんエーくみ級友たちクラスメートだ。

おもてを上げよ」
 こうべを垂れるみな頭上ずじょうへ掛けられる、しずかなこえ

「はっ! みんなぁー、かおを上げて良いぞー」
 あまり、やる気はかんじられないこえ
 男性教師だんせいきょうしが、そう号令ごうれいを掛けると――
 もたもたと一糸揃いっしそろわずに、かおを上げるおれたち。

 正面しょうめんに立つのは、げんラスクトールおう
 となりに、たぶん王妃おうひ
 そのとなりには、サウルース王子おうじとラプトルひめならんでいた。

 横目よこめみぎを見りゃ――
 ガムランの親方おやかたさまであるコントゥル辺境伯へんきょうはく奥方おくがたさまや、ほか上級貴族じょうきゅうきぞくたち。
 さらに現王族げんおうぞくとは政敵せいてきであるはずの連中れんちゅうも、ましたつら参列さんれつしてやがる。
 そのかおにはもはや、不平ふへい不満ふまんはなさそうだが。

 そして反対側はんたいがわならぶのは、どこか場都合ばつが悪そうな魔導騎士団まどうきしだん師団長しだんちょうたちだ。
 そこそこあった揉めごとほとんどを、おれたちが解決かいけつしちまったからな。
 第一師団だいいちしだん団長だんちょうケッピンの目が、どこか泳いでる。

 その上手かみて顧問氏こもんしが居て、顧問秘書こもんひしょかかえられるお猫さまケットーシィが居て――
 その最後尾まっせきには、モコモコがみに巻きつの頭突き女モゼルたちも居た。

 顧問氏こもんしよりも、上手かみてに立つ男性だんせい
 たぶんかれが、騎士団総長きしだんそうちょうとやらなのだろう。
 その威風堂々いふうどうどうとしたたたずまいは、さすがはLVレベル70ともうわさされる強者つわものだった。

 ココまでは良い、わかる。
 左列されつ魔導騎士団まどうきしだんから学者方がくしゃかたまでのまとやくが、勢揃せいぞろいしてるらしい。
 なんの不思議ふしぎ不自然ふしぜんもねぇ。

 ふぉん♪
『>元魔導騎士団総大将はコントゥル辺境伯名代、つまりルリーロ・イナリィ・コントゥルと聞いていましたが』
 そう、元魔導騎士団もとまどうきしだん総大将そうだいしょうさまは、妖弧ようこルリーロそのひとだ……子細知しさいしらんがそうらしい。

 なら、魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうは――すっぽこん♪
 おれのあたまうえに、てちりと降り立つ五百乃大角いおのはら御神体ごしんたい

「あれっ? 女将さんじゃんか・・・・・・・・、なんでそっちに居るのぉん? ウケルー
 ばかやろう! この場のほとん全員ぜんいんが、おなじことをかんがえとるわい!

 ソレが彼女かのじょ正装せいそうなのだろう。
 鉄鍋てつなべのような鉢金かぶとに、簡素かんそ胸当むねあてに、ちょっといかつい手甲てっこう甲懸こうかけ

 ふぉん♪
『>あの防具一式は97%の確率で、アダマンタイト製です』
 姿形すがたはニゲルの革鎧一式やすものと変わらんが、性能せいのう段違だんちがいなんだろう。
 それでも、かりにも現魔導騎士団総大将はたがしら装備そうびするようなものには見えねぇが。

 ふぉん♪
『>あの頭の鍋も、アダマンタイト製です』
 ふぉん♪
『ヒント>両手鍋/持ち手が二つ付いた中型の調理鍋。
     胸甲・手甲・足甲/ブレストプレート、ガントレット、グリーブと呼ばれる部位甲冑』
 ふぉん♪
『シガミー>やっぱり鍋か?』
 けどよく見りゃ、魔導騎士団まどうきしだん紋章もんしょうはいってるな。

「あはっははははははっ♪ なにかくそう、このトゥナ・コッヘルが魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうさねっ!」

 ざわつく謁見えっけんの間。
 ざっと目をはしらせたところおどろいていないのは――
 王様おうさま王兄殿下おうけいでんか騎士団総長きしだんそうちょう辺境伯へんきょうはく
 そして前任もと魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうさまと、魔導騎士団まどうきしだん魔術まじゅつ研究所けんきゅうじょ術開発部じゅつかいはつぶ顧問技師こもんぎしくらいだった。
 奥方さまルリーロに、ミャッドめ。

 サッ――――ガシャッ!
 てのひらを突き出し、場をしずめる総大将おかみさん

「いろいろな経緯けいいで、あたしが魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうってことは、ずっとかくされてたんだけどさ――」
 何故なぜか〝木さじ(超特大ちょうとくだい)〟を、背中せなかから抜く魔導騎士団まどうきしだん総大将そうだいしょうにして――
 木さじ食堂しょくどう女将兼おかみけん、コッヘル商会しょうかい関係者かんけいしゃ

 おいあの木さじもじつわぁ、アダマンタイトとか言い出すなよ!?
 ふぉん♪
『>いえ、あれは堅木の削り出しのようです。魔導伝導率は多少、高いようですが』

亡国ぼうこくうれいがなくなったいま、こんな取って付けた身分みぶんを――かく必要ひつようは、なくなったってわけさねっ♪」
 ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅん――――ガガァァン!
 継ぎ目一めひとつ無い、大女神像だいめがみぞうの間とおなかた石床いしゆかに、ひびはいった!

 ふぉん♪
『>〝文句がある奴ぁ掛かってこい〟という、意思表示と思われ』
 そうだな……木さじには、罅一ひびひとはいってねぇ。

 リカルルもニゲルもリオレイニアも――
 騎士団きしだん師団長しだんちょうたちも、列席れっせき学院長がくいんちょう教師陣きょうしじんも――
 全員みんないきを止めてやがる。

「っはひゅ――!!!」
 ヴッ――――錫杖しゃくじょうを取り出した、おれは――――
 くるっるっ、すぽん――――ゴゴォン、じゃっりじゃらららっ♪
 得物えものをつかみそこね、無様ぶざまにもゆかに落とした。

   §

「ふふふっ、ふぁぁーっはっはっはっはぁ♪ とても良い余興よきょうであったぞ♪」
 王様おうさまが場を、ゆるめてくれたが。
 うでおぼえがあるやつ全員ぜんいんかたいきをしてやがるぜ。

とくに、そこの魔導学院生徒まどうがくいんせいとよ。本気ほんきを出した魔導まどうアーツ継承者相手けいしょうしゃあいてに、よくぞ刃向かえた・・・・・もんじゃなぁ――――――――?」
 王様おうさま視線しせんかんじる。

 おれはひろった錫杖しゃくじょうで、からだを起こす。
「シ、シガミー・ガムリャンだですわ、ぜ。へへはぁーっ!」
 必死ひっし返事へんじをし、呼吸いきととのえる。

「ぷぷぷー♪ ガムリャンだって
 ばかやろう根菜こんさいマジ・・だまってろ!

「うむ、その名。おぼえておくぞ。では本題ほんだいはいるとする」
 そんな王様おうさま言葉ことばはじまった謁見えっけんは、30分程ふんほどでおひらきになり――

 ガチャガチャガチャガチャガチャチャリン♪
 一人頭ひとりあたま、100パケタ。

 巨木きょぼく木龍討伐きりゅうとうばつたいする、特別報奨金バウンティである。
 タターとオルコトリアには追加ついかで300パケタ。

「なおこの報奨金ほうしょうきんは、ギルド経由けいゆではなく――だい63だいラスクトールおう、トリケラート・メガロム・ラスクトールよりあたえるものとする」
 ざわわわっ――がやややっ!?
 これには女将おかみさんのはつを食らっても、じっとしていた連中れんちゅうどよめいた。

大義たいぎであったタター・ネネルドならびに、オルコトリア・ダブルグレイブよ!」
 ようやく終わりか……つ、つかれた。

「じゃぁ、王様おうさまー! まったねぇーん
 根菜こんさい、おまえぇー!
 あたまうえの揺れ具合ぐあいで、ちいさな手を振ってるのがわかる。

「うむ、イオノファラーさま。またさけでも酌み交わそうぞ♪」
 えっ、どういうこと?
 根菜こんさいさまは王様おうさまと、面識めんしきがあったのかよ!?

   §

 タターには上級鑑定じょうきゅうかんてい見舞みまきんとして、さらに500パケタ。
 こっちもれい上級鑑定料金ぼったくりから即日そくじつ支払しはらわれた。
 タターの開いたくち三日みっかほど閉じなかったから、そのあいだくち菓子かしみんなからほうり込まれてた。

 大講堂だいこうどうもどった一年A組いちねんエーくみは、はちの巣をつついたようなさわぎとなった。

 ざわざわざわざわわっ――♪
 きゃいきゃきゃきゃい――♪
 お貴族きぞくさまの子息子女しそくしじょとはいっても、子供こども自由じゆう使つかえるかねを持っているわけじゃ無い――のだろう。
 当然とうぜん喧騒けんそぷおおきくなろうというものだが――

 みな関心かんしんは、ギルドタウリン・支部職員ハラヘリアル黒板横こくばんよこに張り出した――
 一枚いちまい紙切かみきれに、向けられている。

『~治外法権領<大森林観測所>との、交易締結クエスト~
 支度金として500パケタ。帰還時に一人につき、
 250パケタ支払われます。
 なお交易締結の暁には、フカフ村周辺区域の下賜もあり。
     ――央都ラスクトール自治領ギルド本部』
 まったくなんてクエストを依頼いらいしやがる、王様おうさまェ。

「ププププププププププププププークスゥフフウフフゥププーッ
「ニャッフフフフフフフフフフフウフフフフフフフフフフフフッ♪」
 猪蟹屋うち守銭奴しゅせんどと、喫茶店うち守銭奴しゅせんどが、はしゃいじまって手が付けられん。

「ウッケケケッケケケケケケケケッケケッウケッケケケケケケッ
 いや、お前さまいおのはらべつに。はしゃぐ必要ひつようねーだろ?
 ふぉん♪
『>大森林エリアの記述に〝食材の宝庫〟と有ります』
 あー、そういうことか。

 けど出発しゅっぱつ来年らいねんはるみたいだから、ソレまでおれは羽根はねを伸ばすとするぜ。
 ふぉん♪
『>はい。王都へ来る前も来てからも、一息つく暇もありませんでしたから、ゆっくりと体と心を休めましょう』

 おうょ、よぉく見とけやぁ。全身全霊ぜんしんぜんれいこんしんっの力一杯ちからいっぱい――
 非の打ちどころしか・・ないほどだらけきってやる・・・・・・・・からなぁーっ♪
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