滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

565:おとぎ話と龍撃戦、執事服と弾丸

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巨木きょボく木龍キりゅう停止ていシしまシた
 ヴォヴォォゥン♪
 迅雷ジンライが飛んできた。

なんだとっ!――ニャァ♪」
 部屋へやかべ表示ひょうじされていた景色けしきが――ヴュオォゥン♪
 上空うえからのものに、切り替わる。

 ガムランちょう火山かざんダンジョンと魔物境界線まものきょうかいせんとりですべてを、見渡みわたせるほど遠景えんけい
 よこたわる巨木きょぼく太枝ふとえだがうねうねと、まるで大河たいがのようだ。

たすかったけど、なんでだぜ!?――ニャァ♪」
 これ以上いじょうたまごを飛ばされたら、やばいところだった。
 なんせ、追いかける人員やつが居ねぇ。

類推るいスいになりマすが、火山かザんダンジョンまエ被弾ひダんシたサい熱量ねツヲ――消費しょうヒしつくシたとおモわれマ
 対魔王結界たいまおうけっかい煉獄ゲヘナをアダマンタイトに使つかうと、目減りする・・・・・のとおなじか?
 ふぉん♪
『>はい。火山ダンジョンからの距離を考えると、この膠着状態はしばらく続くと思われます』

「どうやら、そうみたいですわね――♪」
 ガチャガチャ♪
「ふぅ、かろううじてしのぎきりましたが――」
 ヴヴヴヴッ♪
 二足歩行にほんあしもどったご令嬢リカルルと、大きな蜂ルガレイニアが、駆け込んできた。

「はぁはぁ、ふぅふぅ、ひぃひ――!?」
 そしてはちしり邪魔じゃまにされ、素っころぶメイド服姿ふくすがた前掛けエプロン頭飾りプリム無し)の青年ニゲル
 随分ずいぶんと、ずた襤褸ぼろじゃねーか。

 ひめさんのところ執事しつじが、着流しの服・・・・・うえから着てただろ――
 あれをつくってやるか。

 ふぉん♪
『>イオノファラーのライブラリより、〝ロングテールコート〟をピックアップ。
  作成しますか Y/N?』
 よし、やってくれ。
 出来できたらおれがこっそり一筆入ひとふでいれて、絶対ぜったいやぶけないようにしてやる。

   §

「コッヘル婦人ふじん本当ほんとう大森林だいしんりんなかには、回収かいしゅうに行かなくて良いのかしら?」
 四つあしを止め、二本足にほんあしで立つご令嬢リカルル随分ずいぶんと――見栄え・・・がしやがるな。

 ふぉん♪
『>〝大森林〟はガムラン町以外で魔物境界線に接する、唯一の地であり、過酷な土地のようです』
 いまとなってはつよ魔物まものも出ねぇだろうが、そんな場所ばしょはなしは……いままでろくに聞かなかったぞ?

「ヴュザザッ――あそこニは、こわーイ吸血きゅウけつおばサ……凄腕すごウで冒険者ぼうケんしゃノおネえさンが居るかラ、安心あンしんシてマかせてオけば良いサね――」
 丸茸まるきのこ白目しろめ)が、女将おかみさんのようなこえで、そう言う。

「では、女将おかみさんの判断はんだんにおまかせするとしても……どのみち、このままでは、ジリ貧ですね――ヴヴヴヴッ♪」
 蜂の魔物ルガレイニアが、やけ気味ぎみだ。
 なんとかしねぇと。

   §

 みみつんざくほど轟音ごうおんよりも、先に・・到達とうたつする――はやさ。
 そしてその速さは・・・風雲かざくも従える・・・

 此方へ向かってくる・・・・・・・・・光影ひかりは――ふぉん♪
『>全部で12。木龍の卵の残りと同数で』

 ゴゴォゴガガガァァン――ほぼ同時どうじ
 やはり銃身バレル一本いっぽんしかないのに、あの長銃オルタタタタ一遍いっぺん弾丸たまを――
 何発なんぱつでも込められる、みてぇだぜ?

「ヴュザッ――いよぉし、全弾命中ぜんだんめいちゅうわよ――」
「ひゅうー♪」
「やりますわね、ウチのメイドも♪」
「いーえ。タターさんはもう私専属わたくしせんぞくメイドと言っても、過言かごんではありませんらららぁん♪」

 凍った巨大卵が・・・・・・・、どごんばがんごどがばーんと次々つぎつぎに落ちてくる。
氷弾ひょうだんつらぬかれたたまごが、今後こんど吹雪ふぶきでも吹き出したら・・・・・・、どうしようかとおもったが――」
 ふぉん♪
『>木龍の卵の生命活動が、停止しています。これなら問題なく格納出来ます』
 なにかの手違てちがいで〝たまご〟を取り出しかねないから、迅雷ジンライなかにも――
 おにぎりに背負せおわせてる特大とくだいの、収納しゅうのう魔法具箱まほうぐばこなかにも――
 仕舞しまうことは、出来できない。

「(どうする? 迅雷ジンライこう補強ほきょうした収納魔法具しゅうのうまほうぐにでも、仕舞しまっておくかぁ?)」
 ふぉん♪
『>ひとまずはそれで凌げます。この卵が仕舞われていた宝箱の解析が済み次第、専用の収納魔法具箱を再作成します』
 じゃぁ、そうしてくれ。

「じゃあ回収かいしゅうしてくるが、木龍きりゅうたまごは、おれと迅雷ジンライ責任せきにんを持ってあずかるぜ!」
 撃ち落とされたたまごが溶けないうちに、いそいで回収かいしゅうするぞ。

 ヴッ――縦横たてよこおなくらい分厚さ・・・の、収納魔法具しゅうのうまほうぐを取り出した。

「それにしても、見事みごと伝承でんしょうとおりでしたねぇ」
 卵回収たまごかいしゅう手伝てつだいについて来てくれた黒騎士エクレアが、そんなことを言って――

「がははははっ! 〝たまごはまだこんなにたくさん、あるんだから〟なぁ♪」
 おなじく付いて来てくれた工房長ノヴァドが、そんなふう返した・・・

 なんのことだぜ?
 ふぉん♪
『>該当する項目は一件。件の『おうさまと、りゅうのまもの』の一節のようです』
 わからんがいまは、たまご回収きしゅうさきだぜ。

   §

「じゃぁあとは、あの止まってくれてる・・・・・・・・巨木きょぼく退治たいじすりゃ良いわけなんだが――」
 ふぉん♪
『>ロングテールコートを一件完成しました。
 >運搬中
 >1秒後に〝シシガニャン・へっど〟搬出口より、お届けします』

下手へたに燃やそうとすれば、またながふとくなるよねー?」
 うなだれるニゲル青年せいねん

「よし、出来できた。此奴こいつを着てみてくれ♪」
 ぽぽぉん♪
 あたまの後ろジンライから天辺うえとおって、画面がめんのむこうに『はこ』の絵があらわれた。
 おおきくくちを開けると――

「ぅんぐわぁにゃぁぁぁっ――――すっぽこん♪」
 シシガニャン10号改ごうかいくちから、ひらたい紙箱はこが出た。

   †

「……これちょっと、派手はでじゃないかい?」
 ニゲルに着せたのは、今作いまつくった一張羅いっちょうらだ。
 あおみがかった黒地くろじに、うえからしたまで銀線ぎんせん二本にほん
 肩口かたぐちからすそまで引かれたソレは、一カ所いっかしょだけギザギザに折れ曲がっている。

「あらニゲル、中々素敵なかなかすてきですわよ♪」
 巨木きょぼく木龍きりゅうとの決戦中けっせんちゅうに、降って湧いた休息きゅうそく

「えっ――本当ほんとうかい!?」
 破顔はがんする兵六玉おまぬけさま
「ええ、これなら――ほら、手を貸して♪」
 身を寄せ青年ニゲル両手りょうてを取る、ご令嬢リガルル

 くるんくるるんと三回転さんかいてん
 そのかおたのしげで、翻弄ほんろうされる青年せいねんを――真っ直ぐ見つめている。

「リ、リカルルルルルゥッ――!?」
 引きずりまわされちゃ居るが、素っころばねぇのは――
 〝勇者の歩みブレイブ・ステップ〟スキルを、使つかってやがる。

「くすくす、ルが・・おおいですわよ?」
 あれ? なんか良いかんじじゃね?
 基本的きほんてきにおれや丸茸いおのはらは、ニゲルのこい応援おうえんしている。

「ヴヴヴッ――?」
 ちがうぞ? 〝ルガ・・ばち〟とは言ってねぇぞ。
 基本的きほんてき蜂女ルガさんは、悪い虫ニゲル敵視てきししている。
 けどいまだけは、止めてやれや。

「――さま、――」
 んぁ?
 気配・・かんじ振りかえると――戸口とぐち王女殿下ラプトルひめが!
 しきりに杓子しゃくしを振り下ろしてるが、ありゃ――どっちを・・・・たたく気だぜ!?

 見ればおれたち以外いがいが、居なくなってる。
 黒騎士くろきし工房長こうぼうちょうも、レイダもビビビーも。
 逃げおくれた第四師団長ミラカルカが、まどから伸びた手に引かれて姿すがたを消した。
 くそう、おれを引っ込めてくれるまども手も、手近てぢかに無ぇ――!!

 ふぉふぉん♪
『イオノ>珍しく真面目にお仕事に従事する、あたくしさまを差し置いて、楽しそうですね、そーですね?』
 部屋へやつくり付けの、立派りっぱ石机いしづくえ
 そのうえ設置せっちされた、ギルド支部出張所しゅっちょうじょ台座だいざ
 本来ほんらい小型こがた女神像めがみぞうが乗せられる場所そこには、丸茸御神体いおのはら(白目)が――「どろン――
 乗せられてたんだが……消えやがった!?

 つぎからつぎへと余計よけいげいを、おぼえやがって――!

 ヴォォゥゥン♪
『戦略級選択的接触除草弾ユグドラゴン』
 なんかの画面がめんが、勝手かってに出たぜ?
 わるそうなかおえがかれた茄子なす……いや、こりゃまさかぁ火縄ひなわたまかぁ!?
 けどこれが、どうした?

 ふぉん♪
『>デバイスID#10286が〝管理者権限〟で〝射撃諸元算定|(データコンピュータ)プログラム〟を実行中』
 と言うと?
 ふぉん♪
『>狙撃手であるタターへ提示するため、こちらへ狙いを定めていると思われます』

 ふぅん、茄子なす……じゃなけりゃ木の芽か、けものつめみたいなのが――
 いまから此方こっちへ、飛んでくるらしい。

戦略せんりゃく……きゅう……ちょっと待て、これ『くさのぞく』って書いてね?――ニャァ♪」
「ヴヴュザッ――そうわよ――」
 五百乃大角いおのはらこえが、耳栓越みみせんごしにしやがるぜ。

 石机いしづくえうえ台座だいざを、もう一度見いちどみたら――
 今度こんど浮かぶプロジェクションBOTが、乗ってやがる。
『(Θ_<カシャッ♪)』
 なぁっ――!?

 ふぉん♪
『>プライマリデバイス、〝いつも使う御神体〟として登録したプロジェクションBOTは、食事をすることや、おにぎりの背負った中継機を介した通話が可能になります』
 ほんとうに要らないげいばかり、おぼえやがって――!

「おれが薬草師やくそうしと知っての――――狼藉ろうぜきかぁ!――ニャァ♪」
 前世ぜんせの〝仏道ぶつどう帰依きえしたおれ本分ほんぶん〟が、「さとれ」なら――
 今世こんせの〝薬草師おれ本分ほんぶん〟は、「くさあつめろ」だぞ!?

「ヴュザヒュッ――ぅぎゃ!? うるさい――」
『(lll゚Д゚カシャッ♪)』
 かおあおくする、浮かぶたま

「まさか、この辺一帯へんいったいくすりになるくさおおぉー、根こっそぎ枯らしちまう・・・・・・つもりじゃねぇだろぉーなぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」
 ばかやろーう!
 ふぉん♪
『シガミー>この辺は特に貴重な薬草が山のように取れる、最高の〝薬草狩り場〟なんだぜ!』

「ザザザヴュッ――どのみち、あの巨木きょぼく育ちきったら・・・・・・水源すいげんとぼしいこのエリアじゃ、羽根芋一本生はねいもいっぽんはえなくなるわよ――」
『(◎_◎カシャッ♪)』

ぁ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!――ニャァ♪」
「gjづうdjfっj――――ぷすん
 白煙はくえんと化し、姿すがたを消す浮かぶ球いおのはら

「やい、撃つのを止めんかぁ!――ニャァ♪」
 ふぉん♪
『>デバイスID#10286との接続が、途絶しました』
 迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらに、もう一度繋いちどつなげ!

「「「シ、シガミー?」」」
 呆気あっけにとられる主従しゅじゅうと、わるむしをかき分け――
 おれはそとへ飛び出した。
 おにぎりが居るとうに上がりゃ、こっからでも視線しせんとおる。

 ふぉん♪
『>女神像通信は、接続を維持しています』
 はぁ? いま接続つながりが切れたって言っただろぅがぁ!
 ふぉん♪
『>通話不能なのは、御神体デバイスが停止しているからと思われ』

「なんだとぉ――はつが効き過ぎたか!?――ニャァ♪」
 丸茸あいつ伸びてる・・・・あいだは、念話ねんわ通信つうしん出来できん!

長銃ちょうジゅう状態じょうタいハ、おニぎりが背負せオっタ基地局きちキょくアンテナへ接触せっシょくするコとで――リアルタイムニ参照さンしょう可能かノう
 くそう、せめて向こうの様子ようすさぐらんと。

「むあにゃぎゃにゃぁぁん――――
 てつぼう背負せおった猫の魔物風おにぎりが、とううえかぜに吹かれている。
「ひっひひひぃぃぃん?」
 とうにはのぼれない子馬こうまが、とう天辺てっぺん見上みあげていた。

 ぽぎゅごん――おれは子馬こうま背中せなかを、踏み台代だいがわりにする。
 そして、ぽきゅぽきゅきゅと、とうかべを駆け上がった。

「みゃんやにゃにゃにゃぎゃぁー!」
 なにかを言うねこ魔物風まものふうに、取り付いたとき――
 怖気おぞけはしった。
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