滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

559:央都宿泊施設大講堂、音速狐捜索開始

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 ぎゃがやがややややや、どがどがががごっごごぉん!
 どたどたどたたたた、わいわいわわわわい!
 うるせぇ。ここは大講堂だいこうどう
 おれたちが央都おうと間借まがりしてる建物たてものなかで、一番大いちばんおおきな部屋へやだ。

 おおきな黒板こくばんえがかれてるのは、おおきな楕円ながまる
 央都建国おうとけんこくあかしである、初代国王しょだいこくおうりゅうたたかいの傷跡きずあと――りゅうの巣。
 そこからあらたに見つかった、巨木きょぼくを生やす巨大きょだい木の実たまご
 茹でると煉獄れんごくほのおを吐き、湿地帯ぬかるみに埋まれば――
 巨木きょぼくと化す、なぞたまご

 えがかれた楕円それは、これからとどむべき強敵てきあらわしているのだ。
 『木龍の卵』なんて名が、いつの間にか付けられてるぞ。

「ではこれでようやく、辺境伯へんきょうはく名代みょうだい捜索そうさくに取りかかれますね♪」
 うれしそうなガムラン随一ずいいち男前おとこまえ
 かれエクレアはひめさん付きの〝聖剣切りの閃光ヴォルトカッター〟にはいまえは、奥方さまルリーロ護衛ごえいだったと聞いている。

「それで、シガミィー? あたしを呼びつけておいてまさか、なにもなしだなんて言わないわよねぇー?」
 パリッ、ヴァリッ――鬼の娘オルコ一本角つのから雷光らいこうが、漏れてやがる。
 出来できるか!
 巨大卵きょだいたまごからかえった〝りゅう〟と一戦交いっせんまじえさせてやるからと、呼びつけた手前てまえ
 「調伏ちょうぶく出来できたから、たたかうのは無しになった」だなんて、言えるわけがねぇ!

 ただでさえつよ魔物まものが出なくなり、「強敵てきが居なくて、レベルアップ出来できない」と出会であがしらなぐりつけてくるような、心持こころもちなのだ。
 もし約束やくそくやぶろうものなら、おれは鬼の娘こいつ本当ほんとうに――
 いのちのやりとりを、かんがえなきゃならなくなる。

「わ、わかってるぞ。巨木きょぼくたね……『木龍きりゅうたまご』なっ!? あれがもう一個いっこ、見つかったからよ! 安心あんしんして存分ぞんぶんに、あばれてくれやぁ!」
うそついたらシガミーに、相手あいてをしてもらうからね?」
 そうすごんでから鬼の娘オルコトリアは、去って行った。

「へぇー、『木龍きりゅうたまご』ぉ? そぉんなお名前なまえになったのねぇ。素敵すてきだけどぉ――あれ本当ほんとうならさぁ、ももみたいのがってないとぉ、おかしいわのよねぇ

 そういや召喚しょうかんとうがあった、かくざとのような場所ばしょ
 あそこで此奴こいつさまは――木の実っつうか、ももをたらふく食ってやがったっけな。

 手近てぢかな床をころがり、「あのももが生るならぁ、巨木きょぼくも生やしておいてあげても、良いんだけどねぇー……じゅるり
 などとのたま丸茸まるきのこのまえに靴足くつあしを、スタンと置いてやる。

阿呆あほうか。あんなやっかいなもんわぁ、一本いっぽん十分じゅうぶんだぜ」
 丸茸まるきのこがぴょこんと、飛び乗ったのをかんじたら――
 あしまわして、はこび込んだ長銃ちょうじゅう土台どだいわたしてやった。

「こらシガミー。淑女しゅくじょあしひろげたり、持ち上げたりしてはいけませんよ――ヴヴッ?」
 さすがにみんな見慣みなれたのか――「はち? はちよっ!? はち魔物まものだぁぁ!」と取りみだやつも居なくなった。

 それでもやっぱりフッカだけは、あの眼鏡めがね(〝ルガーサイト【銀相】〟)を掛けたリオレイニアには近寄ちかよろうとはしなかった。
 はち魔物まものてのは、ルガ蜂のことだろう?
 よっぽどだな。

 ふぉん♪
『>ルガ蜂の棲息分布と、特選キノコの産地は重なることが多いという記述を発見しました』
 するとルガ蜂嫌ばちぎらいも、生まれそだった土地柄とちがらかもしれないか。

「えぇっ、あのたまごは〝もも・・〟と言うんですのね? わたくし、〝木龍きりゅうのたまご〟と書いてしまいましたわっ!?」
 がごん――!?
 大講堂だいこうどうすみいたに、なにかを書き込んでいたリカルルがてんあおぐ。
『コントゥル辺境伯名代ならびに、木龍の卵追跡本部』
 また立てかけるつもりか。
 「書きなおしますわ」と看板かんばん裏返うらがえす、令嬢れいじょうを止める。

「いやももってのわぁ召喚しょうかんとうに生えてた神木しんぼくってたやつでな。〝木龍の卵そのとおり〟とはまるで別物べつものだぜ」
 おおきなももなら菓子かし使つかえるから、有るなら是非欲ぜひほしいが――ねえもの仕方しかたがねぇ。

「そうわね。食べられない巨木きょぼくの実を、〝もも〟って呼ぶのは抵抗ていこうがあるわ
「そうですの?」
 じゃぁとご令嬢れいじょうは、また看板いた大扉横おおとびらよこに立てかけた。

 ふぉん♪
『イオノ>茅野姫ちゃん、神域惑星で〝桃〟って果物は見つかったぁ?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>いいえ。シガミーさんのスキル【地球大百科辞典】を頼りに、神域の開墾は進めていますけれど、まだお目に掛かったことは有りませんわ』
 ねぇのか。

 食えるか食えないか。うまいかうまくないのか。
 それがどれくらい希少レアで、気になる霊刺秘レシピ存在そんざいするのか。
 そういう見識けんしき、いや食い道楽どうらく矜持きょうじは――
 食えるものに、あまところなくそそがれる。
 つまり、あまりにも食いたい気持きもちがつのれば――
 丸茸まるきのこさまは、あの巨木きょぼく大量に育てかねない・・・・・・・・・ってことで。
 神域しんいきに生ってくれてりゃ、たすかったんだが。

   §

 ヴォヴォゥゥン♪
 黒板こくばんうつし出された地図ちずに――
 見覚みおぼえの有る地形ちけいがが、表示ひょうじされていく。

「ツツィア子爵領ししゃくりょうですわね。そしてこっちが大渓谷だいけいこく――」
 リカルルがゆびで指ししめしたのは、地図ちず分断ぶんだんする巨大きょだい亀裂きれつだった。

「このさき地図ちず途切とぎれたさきに、火山が有る・・・・・ってんだな?」
 おれは1シガミーに伸ばした迅雷ジンライで、奥方さまルリーロがすっ飛んでった方向ほうした。
「はイ。こノf先《さキ》ノ区間くかンハ、マだ完全かんゼんノは測量そクりょうが済ンでいませ
 そうしたら、追いつけねぇにしても――
 あのとき直ぐ追いかけたほうが、良かったかぁ?


「ぶぅぅぅうぅっぉぅぉっ♪ ぶぅぅぅうぅっぉぅぉっ――――♪」
 長銃ちょうじゅううえに乗り、地図ちずながめていた丸茸御神体いおのはらから――とんでもねぇおとが、飛び出しやがった!
 ソレはまるで、出陣しゅつじん合図あいずのようで――
 法螺貝ほらがいとか大角はら……修験者しゅげんじゃが持ちあるいた山歩やまあるようの、角笛つのぶえおとそのものだった。

「うるっせぇぞ、五百乃大角いおのはらぁ! 陣貝ほらがいなんぞ吹きやがって!」
 怒鳴どなりつけてやったが、何処吹どこふかぜで――
「あら? ルリーロちゃんから着信ちゃくしん?」
 自分じぶんよりもおおきな薄板スマホを取り出し、みみへ当てる五百乃大角いおのはら御神体ごしんたい

「えーぇー、そーわのぉー? ウ・ケ・ルー♪ なんかねー。いまガムラン最寄もよりの火山かざんダンジョンに居るんだってーぇ
 そんなところまで、すすんでやがったか。

 火山ダンジョンかりゅうのねどこは、〝火龍少年かりゅうしょうねんゲイル〟とおれたちがやり合った場所ばしょだ。
 そのうえ、あの〝ミノタウロース〟とおれがいのちがけの果たし合いをした場所ばしょでもある。

 けど、〝トリュフ橋近くの町モソモソむら
〟から、ガムランちょうあたりと言ったら「とんでもなく、とおいだろうが!?」
 一体いったいどうなってやがる?
 おれはむんずと五百乃大角いおのはらを、とっつかまえた。

「えぇー――大渓谷だいけいこく辿たどったら、いつの間にか行き着いたぁ!?
 じゃぁ大渓谷きれつが、ガムランちょうちかくまで続いてる・・・・ってことか?
 そんなのは初耳はつみみだぜ。

「よくそんなところまでぇー、一息ひといきにすっ飛んで行けたわねぇん
 ふぉん♪
『>ルリーロが騎乗した〝ルードホルドの魔法杖〟は今回、火龍ゲートルブという外部活力源を搭載していないはず』
 そうだな。とてもじゃねぇが、音より早く・・・・・飛び続けられる・・・・・・・わけがねぇぜ。

 ふぉん♪
『イオノ>亀裂からマナが吹き出してて、そのお陰で疲れ知らずで飛べたってさ」
 なにが起きてる?
 土地とちのことわぁ、土地神ほしがみに聞くしか有るまいが――

「まあ、なんにしてもだぜ!」
 おれはひろげていた装備品そうびひん丸茸まるきのこを、まるごと仕舞しまって――
居場所いばしょがわかったんなら、いそぐぞ!」
 しかも行きさきはガムラン町最寄ちょうもよりだってんだから、大女神像だいめがみぞう転移陣てんいじん使つかうまでもねぇ。

 ギュッ――目を閉じ腕時計SSWー01LRのカバーをひらいた。
 シュボッ、カシカシカシ♪
 刹那せつな着替きがえが――チキピピッ♪
 完了かんりょうし――ヴュパパパパッ♪
 一瞬いっしゅん強化服シシガニャン着替きがえ、画面表示がめんひょうじがでた。

茅野姫かやのひめぇー、とびらひらいてくれやぁ!」
 ここ大講堂だいこうどうには、神域惑星しんいきわくせいへのとびらがあり――
 神域むこうからは御神体像ごしんたいぞうちからで、かねも掛からずに――
 ガムランちょう超女神像ちょうめがみぞう転移出来てんいできる。

「はぁーい♪ ひらきましたわぁー、ププークスクスッ
 おれたちは大慌おおあわてで、神域惑星しんいきへのとびらくぐった!
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