滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

552:央都猪蟹屋跡地、唯物ライフルをつくろうその2

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「おれたちゃガムラン! おれたちが――っはぁ!」
 うるせぇなぁ!

 仏具ぶつぐである独鈷杵どっこしょ簪代かんざしがわりに、巻いたうしがみに刺し――
 烏天狗役からすてんぐやく裏烏天狗ジンライ子供大1シガミーサイズ人型人形ひとがたを連れてもどると――

 れい無人工房プロダクトマシン勝手かってつくられていた、夜会服姿やかいふくすがた辺境伯へんきょうはく令嬢れいじょう詠唱魔法具ブロマイド
 あのなかはいってた――〝リカルル・リ・コントゥル〟作詞作曲さくしさっきょくきょく

「〽おおきな魔物まものは、取りかこめ!
  火山かざん毒沼どくぬま近寄ちかよらぬ!
  ヴァリィヴァヴァーリ、バリバリリィィィッ?
  おれたちゃガムラン!
  おれたちがガムランランララン!」
 『冒険者ギルドガムラン支部のうた』が、猪蟹屋かじばから聞こえてきた。

「きゃはははっ♪」「くすくすくすすっ♪」
 戸口とぐちを取りかこむ、子供らがきどもにはおおウケだった。

「〽魔物まものと見れば、追いかけろ!
  地割じわれれに大雨おおあめ、逃げかえろ!
  ヴァリィアァントなにそれ、うまいのかぁ?
  おれたちゃガムラン!
  おれたちがガムランランララン!」
 また一番いちばんからか。
 おれと烏天狗役ジンライ横壁よこかべの開いたまどから、ぴょんと鍛冶場かじばへ飛び込んだ。

 鍛冶場かじばと化した元猪蟹屋もとししがにや予定地よていち天井てんじょうには、大穴おおあなが空いている。
 そのおかげでなかは、十分じゅうぶんあかるかった。

「「「「――「「「シガミー、おかえりー♪」――ニャァ♪」」ニャァ♪――」」」」
 せまところでうるせぇ、ただいま。

烏天狗からすてんぐを連れてきたぞ、天狗てんぐは居なかった」
 もし居たら連れてきてと、言われていたが――
「クカカッ――師は所用しょようで出かけてます。こんにちわ」
 ガガァン♪
 高下駄たかげたはレイダざい硬床かたゆかあるくには、五月蠅うるさかった。

「あっ、カラテェーくんだぁ♪」
今日きょうも真っくろふくだね。おぉーい♪」
 戸口とぐちの向こうから、子供らgきどもが手を振ってやがる。

 ヴッ――絵で板エディタで、高下駄たかげたおなかたち選択せんたく
「その鉄下駄てつげたじゃ、あぶないかもしれんから、コイツを使つかってくれ」
 カラン――取りだしたのは、堅木かたぎ出来でき高下駄たかげた
 真っしろ迅雷式隠じんらいしきかくみの鼻緒はなおつくったら、黒尽くろずくめにそこだけ目立めだったから――
 鼻緒はなおいろを、くろに変えてやった。

「みゃにゃぎゃぁー
「ひっひひぃぃぃん♪」
 おにぎり騎馬きばがおれの真似まねをして、窓から入ってこようと・・・・・・・・・・してたから――
 ぱたんとまどを閉めてやった。
 すると、「「「「「「「「あつい!」」」」」」」」とおこられた。

仕方有しかたありませんね、つめたいかぜ!」
 生活魔法せいかつまほう天才てんさいが、小杖つえをくるん♪

 ッヒュォォオォォォッ――――!
 茹だるあつさが、吹きはらわれた。

   §

 灼熱しゃくねつあかりのなか――――シュゴゴゴゴォォォォォッ!
 おれたちはアダマンタイトに浮かび上がる、文様もんようをなぞり――
 点線のような物・・・・・・・をカキィン、カカキィンと穿うがっていく。
 そのくぼひとつで高等魔術こうとうまじゅつ数個分の;;;;複雑ふくざつさ。

 それらは、アダマンタイトせい金型かながたを当てて彫り込んでいる。
 灼熱しゃくねつほのおねっすると、加工かこうしやすくなると言っても――
 アダマンタイトの金型かながたを、こわれずにたたける――
 ノヴァドの金槌まほうつえと、おれがあつかワンハンドガントレットが有ったればこそだ。

 ぽこすん♪
 設計図せっけいずなか姿すがたあらわす――美の女神めがみうつし身。
「(灼熱しゃくねつほのお……たしかぁ〝煉獄れんごく〟って書いて、ゲヘナ・・・って読むのよねぇん――ウケケケッ)」
 姫さんリカルルいまかまどのそばに居ねぇからかまわねぇが、念話ねんわあは気をつけろよ。

 ふぉん♪
『イオノ>えー? いまあたくしさまは、御神体を動かしてないから問題ないわよん?』
 あれ、そうだったか?
 ふぉん♪
『>はい。狐耳族の貴族階級に多く見られる狙撃看破術は、魔法具や類する物を介し念話を発したときにも作用します』
 そうだ、そうだったぜ。
 生身なまみのおれが念話・・はっするぶんには、まるで平気へいきだしな。

「(あぁ――!?)」
 するってぇと今作いまつくってる長銃こいつまさに、姫さんリカルルたちをおびやかす魔法具装備まほうぐそうびそのものじゃね?
「(そうわね)」
 ふぉん♪
『>そうなりますね』

 ヴォォォゥン♪
 おれは画面がめんひとつ出し、武器ぶき全体ぜんたい確認かくにんする。
 おそろしくながいアダマンタイト鉱石こうせきの、長さ・・最大限さいだいげん利用りようした――
 超長ぇ火縄銃・・・・・・設計図ずめん

「(おいこいつのたまわぁ、どのくらいとおくまでとどくんだぜ?)」
 イオノファラーの世界せかい現存げんぞんするらしい、ほし穿うが程強力ほどきょうりょく飛道具とびどうぐ
 それを参考さんこうにして此奴こいついまつくられようとしている。

「(ななめにたかく打ち出したとして、450キロメートルから550キロメートルくらいだったかしらん)」
 それはどのくらいのながさだ?
 ふぉん♪
『>おおよそ江戸と、南海道を繋ぐ距離です』
 そんなにか!?

「(けど実際じっさいに相手あいてを見てねらうなら、せいぜい……10キロメートル限界げんかいわね)」
 10キロメートルだぁ?
 随分ずいぶんみじかくなっちまったが?
「(そうわねぇー。シガミーは地平線ってわかる?)」
 梅干し大アイコンさまが、ぴょんと跳ねる。

 ふぉん♪
『ヒント>地平線/見渡せる限りに遠い、地面のこと。海面や広い湖面上なら水平線と呼ぶ』
 ふぉん♪
『イオノ>この猪蟹屋跡地の屋根から真っ直ぐに狙える範囲は、精々がこの程度ってことなんだけど』
 表示ひょうじされたのは、屋根やねあなが空いた猪蟹屋ししがにやの絵だ。
 みせが乗ったまるかたちには――。
 央都近おうとちかくくのおかや、街道かいどうの絵がえがかれている。

 隣町となりまちはほぼになっちまってて、よくもに落ちねぇもんだぜ?
「(こりゃ地面じめん――ほしか? 神域惑星しんいきわくせいみてぇな?)」
「(そういうことわよん。直径約ちょっけいやく6000キロメートル惑星わくせいヒースのうえに居る以上いじょうたか建物たてもののぼったところで、たかが知れてるのよねぇ
 なんだか腑に落ちねぇが――「おれたちが踏んでる地面に邪魔・・・・・されて、とおくが見えねぇって言うんだな?」

 ぱかーん――ちいさな五百乃大角いおのはらくちおおきくひらいた。
「(坊主ぼうず驚異きょうい理解力りかいりょく!)」
 やかましいが、そのへんがらみの仕事・・を――
 いまおれと工房長ノヴァドが、してる気がしないでもねぇ。

 ふぉん♪
『>ロォグとラプトル王女が施した下書きの文様には、美の女神を奉る未知の構文が存在しています』
 神奉しんぽう言葉ことは……祝詞のりとごとか?

 ふぉん♪
『>はい。世の理を統べるイオノファラーへの働きかけによる、多種多様な弾体制動を実現するための術式と思われます』
「「(わからん?)」――わよ

 ふぉふぉん♪
『>記述の一部はリオレイニアとコッヘル婦人により口語訳化され、約34%の最適化がなされました』
「「(だから、わからん?)」――わよ

 色々いろいろちから見識けんしきを持つ、神々いおのがらその眷属ジンライ
 だがそのじつ来世こっち世界せかいのスキルや魔法まほうかんしては、攻略本とらのまきに載ってることしかわかってねぇ。

 うむ、五百乃大角いおのはらがぁそれじゃぁ、超困ちょうこまるぜ。
 お前暇まえひましてるなら、説明せつめいしてみろやぁ。

「(えっへん、良いわよぉ)」
 ふぉん♪
『イオノ>〝我々プレイヤーや従者NPCには、まだ完全に開示されていない魔術や物理法則や社会規範などがあります。あまりにも困難な状況に陥った場合、当日パッチによる修正を待つか再ログインして、システムAIによる自動補正に活路を見いだしてください。〟だって♪』
 なんだぜ?

 ふぉん♪
『>困ったときにはF.A.T.S.という神々の船に、助けを求める旨のヘルプ文章と思われ?』
 はぁ? 結局けっきょく、スキルや魔法まほうかんするくわしいことは、まるでわからねぇんだな。
 それにそもそも神々かみがみふねは、まだなおってねぇだろうが?

 ふぉん♪
『>はい。F.A.T.S.との回線は途絶中です。オフラインで使用可能なツールは限られています』
 (ぺらぺらぺららり)――必死ひっし攻略本こうりゃくぼんをめくるおとが、念話ねんわとおして聞こえる。
「(ああもう、わかった!)」
 生活魔法せいかつまほうやスキルや高等魔術こうとうまじゅつかんしちゃ、つまるところ――
 根源こんげんいた神々かみがみ知恵ちえが、通用つうようしねぇってことであってるか?

「(ウッケケケケケケッ♪ そうおもっていただいても、かまいませんが、それがなにかぁ!? あたくしさまわぁ、こう見えてもぉ――神様かみっなぁんでぇすぅけぇどぉおぉおぉぉっ!?)」
 両手りょうてを組みはなに押し当て、こうべを垂れる――ちいさなちいさな五百乃大角いおのはら
 美の女神いおのはらアイコンが、神頼かみだのみをはじめやがった。

 虚勢きょせいを張ったかとおもえばなみだぐみ、敬虔けいけん信徒しんとのようにねがさまは――
 神域惑星しんいき御神体像ごしんたいぞうそっくりでなぁ。

「(ふぅーぃ)」
 一先ひとまずわからねぇところは、わからねぇままに――
 やって行くしかあるめぇなぁ。

「「――ヴァリィアァントなにそれ、うまいのかぁ?
 ――おれたちゃガムラン!」」
 おれは意味いみのわからないかたちをしたたがねを、番号札ばんごうふだとおりにえらんで――
 カキィン、カカキィンと仕事しごとすすめていく。
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