滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

535:猫の魔物はケットーシィ、ツツィア子爵と三枚目の扉

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「プークス♪ それはこまりましたねー。女神像めがみぞうなら確実かくじつ位置特定ポジショニング出来できるから――ドアさえ付ければとおれるのですけれど
 まるでこまらないかおのまま、通路つうろあるいて行く茅野姫ほしがみ
 そうだな、このまちいまある女神像めがみぞう出張所しゅっちょうじょのだから、えらくちいさい。
 ドアを付けてもとおれるのは、それこそねこくらいのもんだぜ。

「みゃんにゃ――♪」
 二本足ちどりあしあるく、ちいさな外套姿ローブすがた
 そのうしろを子供こどもたちが、「待ってー♪」と付けまわす。

「待ちたまえきみたち、わたくし使用中しようちゅうです!」
 通路つうろへ出ておくを見ると――そんなこえが飛んできた。
 通路つうろには白線はくせんが引いてある。
 ふぉん♪
『>此処で待機して順番を待つのが、ルールのようですね』
 じゃぁ、そうするか。

「みゃにゃにゃにゃぁー、みゃにゃんにゃぁーん♪」
 外套姿ローブすがたねこが、こっちを見上げてなんか言う。
「にゃみゃぁぁみゃんやごにゃぁー、みゃにゃにゃにゃや――――
 子供たちがきども最後尾さいご黄緑色きみどりいろをしたやつを見たら――

『「あの龍脈結晶石で装備品を作らせてくれるなら、小さな女神像に大きなドアを取り付けてあげても良いにゃ♪」って言ってるんだもの』
 そんな文字もじが、木のいたに浮かぶ。

「なに? おねこさまは、そんなことが出来できるのか?」
 ふぉん♪
『>ケットシーと呼ばれるような伝承上の疑似生物は、日の本にも多数、存在していたようです』
 まぁ時々ときどき人里ひとざとでも出くわすことくらいはあったが。

 ふぉん♪
『ヒント>ケット・シー/博識な猫の精霊。魔法の道具を作り出すと言われている』
『ヒント>和御魂/ニギミタマ。柔和な精神を持つ霊魂【地球大百科事典】』
 地球大百科事典おれのスキルが、そんなことをつたえてくる。
 珥岐瀰多摩ニキミタマってなぁ、つまるところかみさんだろうがよ。

 ラプトル王女殿下おうじょでんか強化服おにぎり特撃型どもなかまたちを、器用な猫の魔物たち・・・・・・・・・って呼んでた。
 こっちの世界せかいじゃ、あくまで魔物扱い・・・・のようだがぁ――

「ふむ。なかなかはなしが分かる、おねこさまのようだぜ」
 おれはお猫さまケットーシィを、ひょいと抱きかかえた。

「みゃにゃんにゃ♪」
 うむぅ。おねこさまはひと言葉ことばがわかるが――
 おれに猫古代語・・・・は、まるでわからん。なんだって?
「にゃみゃぎゃにゃにゃぁ、みゃ――
 カタン――木のいたを、こっちへ向けるおにぎり。

『「さっきの半額負けた分で、ドアを作ってあげる」って言ってるもの』
「ドケチか! まるで星神かやのひめみてぇな、がめつさだぜ!」
 いけねっ、つい本音ほんねが。
「シガミーさん、何か
 なんでもねぇ、なんでもねぇ。

「ならひとまず、女神像めがみぞうしょう)にひととおれるとびらを付けてもらおうぜ。その出来できを見て、アダマンタイトを・・・・・・・・どうするか・・・・・判断はんだんするとしよう」
 かかえたねこ提案ていあんした。

「まちたまえ、冒険者ぼうけんしゃきみ! それはツツィア子爵家嫡子ししゃくけちゃくしとして、みとめられないっ!」
 女神像めがみぞうしょう)を使つかい終わった……ドレスのような甲冑姿かっちゅうすがたが、おれに手甲てっこうを突きつける。
 やっぱり、この冒険者ぼうけんしゃさまわぁ、おんなにしか見えない。

「(おい、「女神像めがみぞうしょう)にとびらを付けるな」と言われたぞ?)」
 ふぉん♪
『>この場合、アダマンタイトの所有を巡る話かと』

 ガラララッララララッ――――ヒヒィィン♪
 なんだ?
 そとからうまいななきが……「ひっひいぃん?」
 子馬てんぷらごうは、張り合わなくて良いから。
 せまいから、通路つうろはいってこなくて良いから。

 ちゃんとしたうまの、いななきが――
 ヒヒィン、ヒヒヒィィン、ヒヒーン――♪
 どんどん増えていく。

   §

ひかえ居ろう、ツツィア子爵ししゃく御前ごぜんである!」
 随分ずいぶんふるめかしいかんじの騎士きしどもが、ぞろぞろとはいってきやがったぞ。
 おれたちは、通路つうろめんした応接室リビングまで後退こうたいした。

 ドガドガドガガン、ガッシャガッシャガシャシャン♪
 数名すうめい騎士きしに、次いであらわれたのは――
「うぉっほんおっふぉん、うをふぉっほぉーん♪」
 あ、こいつがどういうやつかは、一目ひとめでわかった。

 フッカ父おっさん色違いの服・・・・・
 それの甲冑版・・・だった。

 ふぉん♪
『シガミー>おにぎりよ、お猫さまに伝えろ。女神像に今すぐ扉を付けろと』
 おれは愛想笑あいそわらいを浮かべ、一行文字ないしょばなしながした。

「にゃみゃぎゃにゃみゃぎゃやー
 秘密裏ひみつりつたえられる、秘密ひみつ要請ようせい
「みゃにゃにゃん、みゃーん♪」
 あれ? 「わかったニャ、すぐ取りかかるニャ♪」てかんじじゃねぇぞ。

 ふぉん♪
『シガミー>なんだって?』
「みゃにゃぎゃにゃにゃーん、みゃぎゃにゃぎゃやーにゃぎゃにゃんぎゃー――
 ぎにゃぎにゃうるせぇ。

『「高級茸の料理提供と、アダマンタイト装備製作代金が先だよ」って言ってるもの』
 本当ほんとうにがめついな、おねこさまわぁ。
 あと木板それ使つかうな、仕舞しまえ。
 ねんのため一行表示ティッカーはなせ、騎士きしなか獣耳けものみみかぶとのが居る。

「ひそひそ……具体的ぐたいてきにはいくら・・・なんだぜ……ひそひそ……場合ばあいによっちゃ、後払あとばらいになるぞ」
 なんせいま猪蟹屋うちにはかねが無ぇ。

「みゃにゃにゃん、みゃーん♪」
「こしょこしょ……にゃみゃぎゃにゃみゃぎゃやー……こしょこしょ
 すぽんと木板きいたを、仕舞しまうおにぎり。
 でかいあたまをぽこむゅと、おれにぶつけ、ねこ密談みつだんする――黄緑色きみどりいろの化けねこ

「「「「「うぬうっ、ねこ魔物まものかっ!?」」」」
「モロヘイヤーきょうを、おまもりするのじゃぁー!」
「レフォールおじょうさまも、はやくこちらへ!」
 ドレスのような甲冑かっちゅう着込きこんだ、獣耳けものみみ女性騎士じょせいきしが――
 冒険者レフォールさまの手を引く。

「だれがおじょうさまですか! ぼくおとこですよ!」
 なんだと、そうなのか?
 すっぽこ――こぉん♪
 て・ち・り。

「ふっふぅーん♪ だぁからぁ、言ったでしょぉー?」
 うぜぇ。おれの頭上あたまに、うぜぇのが降臨こうりんしやがった。
 ふぉん♪
『>恋愛相談所所長の鑑識眼を、みくびってもらっちゃこまるわよぉん♪』
 ヴォォォォォゥン♪
『――(◎_◎カシャッ♪)』
 その目やめろ、浮かぶプロジェクションBOTも出すな。
 ふぉん♪
『シガミー>恋愛相談って言ったって、ニゲル専用じゃねーか』

 ふぉん♪
『おにぎり>「636000000パケタになるよ。1パケタも負からないよ」って言ってるんだもの』
 なんだその、9けた数字すうじわぁ?
 なんだっけ? あ――――アダマンタイトの加工代かこうだいかっ!?
 やべぇ、超高ちょうたけぇ!

「みゃにゃん♪」
 くそぅ。かわいいつらして、この強突張ごうつくばりめ。
「それだけの大金たいきんわぁ、猪蟹屋おれ全部ぜんぶを売ってもあつまらん……ミノタウのつの全部売ぜんぶうれても、到底足とうていたりんだろう……ぶつぶつ」
 おれがねこひげかぞえてたら――

「みゃにゃやっ――!?」
 いままでのらりくらりと、尻尾を揺らしていた、お猫さまが――
 おれのかおに飛びついてきた!

「ぐわわわわぁー!?」
 おののくおれ。はだけた外套がいとうからさわる、ねこはらがあったけぇ。

 ふぉん♪
『おにぎり>「ミノタウっていった? いまミノタウロースって言ったみゃ?」って言ってるもの』

「おう言ったぞ……ひそひそ……ミノタウロースの素材そざいはあらかた使つかっちまったが、長太ながふとつのは売るほどのこってる」
 おれはねこくびをつかんで、ベリベリと引き剥がす。
 ギギギッィ――「痛ってぇな!」
 ほほつめを立てられた――ぼとん、チャッ!

 落としたねこが、通路つうろおくへ駆けていった。

「な、なんだ、すこ図体ずうたいおおきいだけの、ケットーシィではないか!」
おどかすでない、まったく!」
「ミギアーフきょうは、いずこか!」
 われかえ騎士きしたち。

「そこっ、こう御前ごぜんであると言っておろうが、頭がたかい!」
 ふるめかしい甲冑連中かっちゅうれんちゅうが、手にした小旗こばたかかげる。
 ツツィア子爵家ししゃくけ紋章もんしょうだ。

「へへはへぇー!」
 おれは這いつくばり、こうべを垂れる。
 おれは此奴こいつ群雄割拠ぐんゆうかっきょ戦国せんごくを、生き抜いた。
 来世らいせ此処ここでもしたたかに、生き抜く所存しょぞんであらぁな。

 ぱっがぁん――通路つうろおくから、おおきな物音ものおと白煙はくえん
 白煙はくえんなかから姿すがたあらわしたのは――

「あら? 奇遇きぐうですこと♪ わたくしもぉトッカータ大陸たいりくでは、そこそこ頭が高い・・・・ので・す・け・れ・どぉ?」
 りんとしたこえ。ココォーン♪

「まってよっ……くださいよっ。護衛ごえいぼくより、さきに行っちゃ駄目だめだっ……いけませんよ」
 覇気はきの無いこえ

 出た。出やがった。
 ねこかかえた狐耳きつねみみさまが、にたりとわらった。
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