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4:龍撃の学院

534:猫の魔物はケットーシィ、デェーンデデェンデェンデェーン♪

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「「あっ! シガミーばっかりずるいっ!」」
 子供こどもらがむらがってきた。
 生意気なまいきレイダ、ビビビーおじょうさま、火龍少年かりゅうしょうねんゲイル、第四師団長だいよんしだんちょうミラカルカ。
 一斉いっせい外套姿の猫おねこさまを撫でようと、手が伸びてきやがる。

邪魔じゃまだっぜ、おまえらぁ!」
 タタン――ストォン!
 おれはおねこさまをかかえて、長持たからばこへ飛び乗った。
 アダマンタイト鉱石こうせきふとさは、丸茸いおのはらあたまくらい。
 ながさは……1・5シガミーおれひとりはんだったか?

 実際じっさいかなりながいな。鬼娘オルコトリア大剣たいけんくらいは、あるんじゃないか。

 ふぉん♪
『>あれ? これフォーマット出来るんだけど?』
 画面モニタなかにも居る丸茸御神体いおのはらさまが、お宝アダマンタイトゆびさした。

 封大禍苞苴ふうおおまがつとぉ……ふうじた大禍おおまが苞苴つと……土産みやげをくれてやるだとぉ?
 子細しさいわからんがぁ、随分ずいぶんとおさやしいことだな?
 迅雷ジンライ説明せつめーしろ。

 ふぉん♪
『>F.A.T.S.、つまり神々の船の理でアダマンタイトを清めると、AOSがインストール可能になるということです』
 ヴォヴォヴォゥン♪
 AOSエーオーエスてのわぁ、猪蟹屋ししがにや総力そうりょくをあげてさがしてる……酢蛸SDKのことか?
 ふぉん♪
『>ほぼ、そう考えていただいて、差し支え有りません』

「やい、おねこさまよ」
 おれはアダマンタイトにほおずりするねこを、ひょいと持ち上げた。
「ふにゃぁー?」
 外套ローブ背中せなかに垂れた頭巾ずきんところを、つかんで持ち上げたら。
 ものすご気の抜けた・・・・・つらで、にらまれた。
「ニゲルみてぇなつらしてねぇで、仕事しごとはなしすすめるとしようぜ?」

 ふぉん♪
『イオノ>量子フォーマットとD言語規格のセッティングには、時間かかっちゃうけどね』
 よし、わからんがわかった。
 なら、このアダマンタイト鉱石こうせきだけは、なんとしても――
 猪蟹屋うちがもらう。

 状況じょうきょうとしちゃぁ、おれと迅雷ジンライとおっさんと冒険者ぼうけんしゃさまさまのぉ、四人よにん山分やまわけってところだろうが。

「にゃにゃにゃにゃやーん!」
 おねこさまが、ジタバタとあばれ出すが――
 ねこ手足てあしはまるで、おれにとぼかなかった。

 おれたちの状況じょうきょう把握はあくしたうえで、『どんな炎系の攻撃にも対抗出来る装備が作れる』と言わしめる装備それにも興味きょうみは湧くが――

 使い道・・・なやむのわぁ、手に入れてからだぜ。
 さてさて、まずはおっさんにおうかがいを立て――

「デェーンデデェンデェンデェーン♪」
 たとえるならボスせんまえの、いな予感よかんを――
 音楽おとにしたような。

 みんなが注目ちゅうもくする、視線しせんさき
 長椅子ながいすたたず五百乃大角いおのはらが――薄桜色うすさくらいろスマホを取り出した。
「あらん? おひめちゃんからの着信ちゃくしんわよ
 プッ――♪
「はい、もしもしぃ。斧原おのはらでぇーす
 おまえそれ、本当ほんとうの名だろう?

「――もしもしって、なんですの?――」
 かろやかで横柄おうへいつややかさ。
 りんとしたこえスマホから漏れ、こっちまで聞こえてくる。
 五百乃大角いおのはらが〝お姫ちゃん・・・・・〟と呼ぶのはもっぱらだ。
 そう、伝説でんせつ聖剣せいけんが抜けなくて、はらいせに家宝かほう宝剣ほうけん全部使ぜんぶつかって――ぶち折った・・・・・といういわく付きの――
 コントゥル辺境伯家へんきょうはくけ令嬢れいじょう

 冒険者ぼうけんしゃギルドガムラン支部受付嬢しぶうけつけじょうまたの名を〝聖剣切せいけんぎり〟。
 ガムラン最凶さいきょうにして魔物境界線ガムラン代表だいひょう、リカルル・リ・コントゥル。

「もしもしって言ったら、かめじゃなくって――どーしたのぉー? こっちわぁ、とっても面白・・……じゃなくってー、大変たあいへえんなことになってるわよぉーう
 この通話かいわスマホ・・・なるいたを、かいしておこなわれている。

 神々かみがみ世界せかい通信機つうしんき
 遠方えんぽう会話はなしをするための魔法具まほうぐ
 この世界せかいにも発掘魔法具はっくつまほうぐとしてつたわっているが――
 それは、おれの二のうでながさもある、ふとめの長箱ながばこだ。
 それとおな機能ことが、あの薄板スマホにも出来できている。

 ニゲルが日のもとから持ち込んだスマホとやらそいつを、スキルと無人工房むじんこうぼう複製ふやした。
 だから仕組しくみは完全かんぜんにはわからんままだが、便利べんりなのだけは良くわかっている。
 ニゲルのはもとからあおで、リカルルのをあかに変えて、五百乃大角いおのはらのは……今日きょう薄桜色ピンクいろ
 おれには迅雷ジンライが居るから、要らねぇもんだが――
 みんなが持ってると、おれも一枚欲いちまいほしくならんでもねぇな。

「――それはコッチのセリフですわっ! すぐもどるというおはなしでは、なかったのかしらぁ? イオノファラーさ・ま・あ?――」
 ありゃ? たしかにはなしを聞いて、すぐもどる手はずだったが――
 なにおこってやがる?

「ぎゃっひっ――――し、シガミーさんへいまぁ、代わりますのでぇ
 そう言って御神体じぶんよりおおきな薄板スマホを、「へぃ、パースっ」と投げて・・・寄越よこ丸茸メガミ

「あっぶねーぇ!」
 つい受け取っちまったぜ!
「みゃにゃん♪」
 ねこに逃げられたぞ。

「――ちょっと、聞いていらっしゃいますの!?――」
 うへぇ――!
 最初さいしょこそ見てくれのはなやかさと、すじとおったまっすぐな心根こころねに――「こいつぁみどころが有る」なんておもったし――
 戦闘狂の悪い癖けんかっぱやささえ出なけりゃ――中々なかなか、良いおんなになるんじゃねぇかなんて――へへっ♪

 なんて――おもっていたときもありました。
 最初はなっから飛びつかれて、つぎには……くびを飛ばされそうになったし――
 この声・・・に、あまり良い印象いんしょうはねぇ。

「どーしたぁ? こっちわぁ、どでけぇ土塊のゴーレム・・・・・・・やら、本物の猫・・・・やら、ひょろなげアダマンタイト・・・・・・・やらで大変てーへんなんだぜ?」
 おっさんの面白おもしれつら精神作用系せいしんさようけいスキルの不気味ぶきみささとか、あとぬししか居ねぇみょうなダンジョンとか、やたらとなげまち名前なまえだとか――
 はなしてぇことが、やまほどあるぜ。

「はぁ? こちらのほうが大事おおごとで――ちょっとソレ全部・・・・、聞き捨てなりませんでしてよっ!?」
 おじょうさまー、避難ひなんしてくださいませ――ヴヴヴヴヴヴッ♪
 薄板おうとから、蜂女ルガさんこえも聞こえてくる。
 ブツン――プーップーップーッ♪
 通話スマホが切れちまった。

「おい、切れちまったぞ?」
 おれは薄板うすいた仕舞しまう――すぽん♪
 折角せっかくだからもらっとく。

 央都むこうなんか起きてるとしても、心配しんぱいするほどのことではない。
 魔王まおうという生物いきものたおした冒険者ぼうけんしゃパーティー、〝聖剣切りの閃光ヴォルトカッター〟のほとんどと――
 勇者ゆうしゃのなりそこない(揚げ物・・・)に、木さじ食堂しょくどう女将おかみ人類最高じんるいさいこうレベルたい)までが、央都おうとに詰めてる。

 おれでも、あの布陣ふじんくずせん!
 しかし、なんなんだってんだよわぜ!

「おい、茅野姫ほしがみさまよ!」
 面白おもそうなところくびを突っ込もうとして、うろうろさまよう金糸きんしかみ少女しょうじょを呼びつけた。

なんでしょう、プークス
 うれしそうに、計算魔法具けいさんまほうぐを出すな。

央都おうと此処ここを、いますぐつなげるか?」
 計算魔法具しょうばいどうぐを取り上げつつ、たずねる。

いますぐというわけには――神域惑星しんいきわくせい御神体像ごしんたいぞうに付いた転移陣てんいじんとびらは、ネネルドむら央都おうと大講堂だいこうどう二カ所にかしょつながっております。これ以上いじょうつなぐには、どちらかひとつを閉じなければ・・・・・・なりません、うふふ
 順路的じゅんろてきにはネネルドむらのを閉じて、此処ここつなぐしかないな。

「そうするしかねぇよなぁ。よし、やってくれ!」
「では、絶対ぜったい動かない壁・・・・・しつらえられた〝要らない扉・・・・・〟をひとつ、お貸しくざさいませ?」
 と手のひらを向けられたので――
 おれは家主やぬしであるフッカ父おっさんに、手のひらを向けた。

「むふぅむ? 動かない壁・・・・・? 詳しいことわはーん、わっかりかねまっすがっはーんぁ――このまち動かない壁など・・・・・・・御座ございませんが? ソレがなにか?」
 おっさんの言うことは、もっともだった。
 このまち地下ちかダンジョンのボス大きさ・・・によって、地面じめん翻筋斗打もんどりう仕様しくみだからなー。
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