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4:龍撃の学院

522:ツツィア子爵領紀行、トリュフ橋をわたる

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なげぇ!」
 トリュフばしのたもとに、たどり着いた。

『この先、カピパ
 ラポテパケギウ
 ス領ザンクネリ
 キキマギバネロ
 ベネグラムタタ
 ラディッシュ町』
 立てられた看板かんばんに書かれた文字もじは、ながすぎて6ぎょうもあった。

本当ほんとうだね」
「うん、なかいね」
「そうわね
「プークス
「「「ながいですねぇー」」」
「ウム、ナガいな」
ながぞい」
ナがいでス
「にゃにゃやー
「ひひぃん?」

「ウケケッケケッ♪ これじゃ、〝トリュフ橋近ばしちかくのまち〟って言われるわけよねぇーん
 根菜こんさいいや、丸茸まるきのこめ。
 〝はしちかくでは、うまいきのこ沢山採たくさんとれる〟ってはなしをフッカに聞いてから、俄然張がぜんはり切りやがって。

「そうだねー。そのほうみじかくて済むもんね」
 レイダが、うんうんとうなずき――
「モソモソ家は橋向はしむこうのさかを、のぼりきったところにあります」
 フッカが道順みちじゅん説明せつめいする。

 渓谷けいこくながさは……助走じょそうを付けたら、おれでもわたれそうなくらいか?
 ふぉん♪
『>上空へ空撮ドローンを展開しました。トリュフ橋の全長、61・3メートルです。谷底までの距離は約89メートルで、川は流れていません』
 りゅうの巣を見るのに使つかった板っぺら・・・・を飛ばして、みちさき調しらべたらしい。
 もし迅雷ジンライが日のもとに居たら……おれ一人ひとり天下統一てんかとういつ出来できんじゃね?

 ふぉん♪
『>はい。概算ですが約14年ほどで、〝天下太平〟出来ます』
 出来できるのかよっ!
 けど14ねんってことわぁ、前世ぜんせのおれなら――
 寿命じゅみょうとの勝負しょうぶになるなぁ。

 ガララララッ、ガコガラララララララ――ッ♪
 馬車ばしゃ迅雷ジンライ機械腕プロダクトアーム遠隔操作ちょうせいして、揺れなくなった。

 ぽっきゅぽっきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅぽっきゅむんっ♪
 おにぎり馬車ばしゃは、石造いしづくりのはしを駆け抜け――

「おにぎりっ、止まって! いまおっきな茸見きのこみつけたぁんっ
 阿呆あほうかっ、女神いおのはらめ!
 フッカの両親おやまち安否確認あんぴかくにんさきだって、決めただろうが!

 ガララララッ、ガコガラララララララ――ッ♪
 はしわたりきると、なげぇ名のまちもんは無く――
 馬車ばしゃまち進入しんにゅうした。

 ぽっきゅぽっきゅぽききゅむっ――!?
 軽快けいかい加速かそくしていく、おにぎ――あれ?

なにこの、すごさかぁっ
 とんでもない急斜面きゅうしゃめん速度そくどが落ちる、猫の馬おにぎり

「このうえひとが住んでるのかぁ? まるでがけに棲むとりの巣だぜ」
 ガムランちかくの岩場いわばや、央都おうと断崖絶壁だんがいぜっぺきに棲む天狗てんぐたち……ほどでは無いが、これは――

「こ、ここまできゅうでは、無かったはずですけっ――どっ――ぉ!?」
 驚愕きょうがく困惑こんわくのフォチャカじょう

馬車ばしゃで行けるのは、ここまでのようですね」
 顧問秘書マルチヴィルせきを立とうとしたとき――

「にゃが――
 ぽっきゅぽっきゅぽききゅむっ――!!
 子馬てんぷらごう背負せおった猫の魔物おにぎりが、気をはっした。

「にゃにゃが――
 ぽっきゅぽっきゅぽききゅむっ――!!!
 ぽっきゅぽっきゅぽききゅむっ――!!!!

 ガッタガッタガチャチャタタッ♪
 馬車ばしゃが跳ね――うわぁーぎゃぁぁー!
 子馬こうまつながれた機械腕くびきに、揺さぶられる。

「にゃにゃにゃが――
 ぽっきゅぽっきゅぽききゅむっ――!!!!!
 ひと手足てあし使つかっても、這い上がるのに苦労くろうしそうな急斜面きゅうしゃめん
 石畳いしだたみみちは、とてもなめらかで――

「うみゃにゃにゃが――
 ぽっきゅするん、ぽっきゅぽききゅむっ――すするん!!!!!!
 空回からまわりする、おにぎりの足裏あしうら

 ガッタガッタガチャチャタタッ♪
 ぽっきゅするん、ぽっきゅぽききゅむっ――すするん!!!!!!
 ガッタガッタガチャチャタタッ♪
 ぽっきゅするん、ぽっきゅぽききゅむっ――すするん!!!!!!
「おにぎりっ――――止めろ、止まれ!」
 言ってはみたが、おそかったらしい。

 ふぉん♪
『>極所作業用汎用強化服シシガニャン一号自律型個体名/おにぎりの演算稼働率が急上昇中。
 姿勢制御状態、拡大。ジャイロマスター危険作動域へ突入』

「ふぎゃぁぁみゃにゃにゃぁぁぁごぉぉぉぉぉっ――――――――
 ぽっきゅむむぽっきゅむむむむむむむ、ぽききゅむむむむむむむむむむむむっ――――!!!!!!!!
 ガガガッガガガッガガガガッガガガガガッ――――――――!!!

 立っていたおれは、馬車ばしゃ金網かべてんじょうに――ドッガッ、ゴォン!
――っでぇっ!」
 たたきつけられた!

 ッギャギャッ――――ギュラララッララァァッ!
 車輪くるま空転からまわりし――ふわぁり。
 空中ちゅうに投げ出されたような、感覚かんかく
「ひひぃ――――――――ん?」
 おびえた子馬てんぷらごういななきが、聞こえた気がする。

 さかを駆け上がった馬車ばしゃが――ほぼ真上まうえを向いた。
「「「「「「「「「ぎゃぁぁぁぁあっ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」
 勢い余って・・・・・――――ドドガァァァァァァァン!

 正面しょうめんにみえていた、あばら屋に激突げきとつした!

   §

「やっちまったぜ! 迅雷ジンライ周囲しゅうい警戒けいかい……は第四師団長ミラなんとかもしてくれてるみたいだから――おくほうを見てきてくれ!」
 女の童ミラなんとか魔法杖まほうつえ腰掛こしかけけ――上空そらただよっている。
 行動こうどうはえたよりになる、さすがは師団長しだんちょうだぜ。

「うぅぅぅうぅぅうぅぅっぉぉおぅ――!!!」
 なんかくるしむこえ足下あしもと瓦礫がれきから聞こえてきた。

 全員ぜんいんが降りた馬車ばしゃと、あたりの瓦礫がれきを――すぽん♪
 おにぎりの背中せなかの、収納魔法具しゅうのうまほうぐばこにしまう。
 すると――ごろどさり。
 上下逆じょうげさがさまにひっくりかえった、おっさんがころがり出てきた。

「おとうさんっ!!」
 駆けよるフッカじょう
 なぬ――!?

「チャッカ!? どーしてここにーぃ!? ガムランちょう宿やどでっふ、はたらいていたはずでっふはっ!?」
 抱き合う父娘おやこ
 感動的かんどうてき再会さいかいだが――
 どうにも納得なっとくがいかん。

 フッカ危地きち私財しざいなげうち、〝希少マジック・な巻物スクロール〟を手に入れた人物じんぶつ
 しかもその中身なかみが〝ほのおを消す高等魔術こうとうまじゅつけいであると、確信して・・・・購入こうにゅうしたであろう――
 たぐまれなる才覚さいかくの、持ちぬし
 そんな傑物けつぶつであるはずの、かれ姿すがたはあまりにも――

「ひゃっhっやひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはy――――ぎゃひっ!? あまりにも面白おもひおすひて、ひははんひゃっひゃひゃひゃいひょ
 うるせぇ根菜いおのはらしたを噛むから、もうだまってろ。

「み、見たくないけど……見ちゃう♪」
「ワ、ワレは、精神作用系セイシンサヨウケイ攻撃コウゲキを……受けているのか!?」
「こ、これは、レーニアおばさんに見せたら……いのちあぶないっ!」
 わかる。共感きょうかんしかねぇ。
 いまここに蜂女さんルガレイニアが居なくて、本当ほんとうに良かった。

 ひゅるろらぁー、ゴカシャッ!
 第四師団長しだんちょうも落ちた、たよりにならねぇ。
 だがありゃ・・・、並みの師団長しだんちょうクラスでも無理だ・・・――

 わら上戸じょうごである蜂女リオには到底とうてい、耐えられるではない。
 それをかんえると央都おうとでの、あのなぞわるふざ……茶目ちゃめっ気。
 〝フッカがおびえるから〟と、姪っ子ビビビーと代わった原因げんいん
 あれは・・・自分じぶんの身をまもるために、〝蜂としての本能・・・・・・・目覚めざめた〟――とおもえなくもない。

   §

 びぃんよよよおぉぉぉぉぉんっ♪
 はなしたよこたわる、一対いっついひげ
 その先端せんたんがまるで、うしつののように――ピーンと伸びている。
 もっとも瓦礫がれきに埋まったせいか、片方かたほうはポキリと折れちまってるけど。

 おれたちの担任たんにんヤーベルトよりも、痩せこけたからだつき。
 目鼻立めはなだちはととのっており、なんら面白おもしろいところは無い・・のだ。

 着ているふく両袖りょうそで両足りょうあしえりと、ボタンとポケットの部分ぶぶんで――
 綺麗きれい色分け・・・されていて相当そうとう胡散うさんくさいことになっているが――
 ソコでも無い・・・・・・のだ。

 ふらふらぁ。かたかたよろり。
 上半身じょうはんしん下半身かはんしんみょうなズレ。
 青白あおじろ相貌そうぼうあいまって、もうなんというか――そうだぜ。

はかないんだっぜっ!」
 言ってやったぜっ!
「「「「「ぷうっぐふっひ♪」」」」」
 おれの見立みたてはまとを射ていたらしく、何人なんにんかが吹いた。

 幽玄ゆうげん揺蕩たゆたう揺らぎが、不意ふいに止まり――
 落着おちつきのない目線めせんで、満面まんめん笑顔えがおを向けてくる。
 もはや酔っぱらいのような風体ふうてい、なぜか目をうばわれる些細ささいうごき。

「「「「「「「ぷぅーっ、くすくすくすっ♪」」」」」」」
「ぷっげっらっ
「ププークス
 ひととなりの、全てが・・・面白おもしろかったが――
 居るだけで全員ぜんいんを、笑顔えがお出来できるだとぅ?
 そこで、はたと気づいた。

 ギュッ――目を閉じ腕時計SSWー01LRのカバーをひらき、なかのボタンを押す。
 シュボッ、カシカシカシ♪
 瞼越まぶたごしでも見えるひかり奔流ほんりゅう――よるには使つかえんな。
 からだかたち縁取ふちどべつ方法ほうほうを、あとでかんがえねぇと。

 ふぉん♪
『>了解です、シガミー。ですが敵性は、検出されていませんが?』
 やっぱりか、けど根菜こんさい守銭奴しゅせんどには――見えてた・・・・

 刹那せつな着替きがえが――チキピピッ♪
 完了かんりょうした――ヴュパパパパッ♪
 目を開ければ、強化服10号改シシガニャンなか

 おっさんの、足取り・・・は――ゆっらゆらぁ♪
 迅雷ジンライ経由けいゆ予測演算よそくえんざんを、はるかに凌駕りょうがし――――チチチィー♪
 一秒後いちびょうごありかを、無数むすう増やしていく・・・・・・

「やあやあみなさん、ようへこらそへらゆらゆら――ぬやぬや、ぺけごも?」
 乖離かいりしていく印象いんしょうと、態度たいど
 フッカのオヤジでも、ゆるせねぇ!

その面白ぇ顔をふぎゃにゃぁぁっ止めろってみゃにゃにゃぇんだぁぜっ!にゃぎゃんやぁ!――♪」
 あの動き・・ぉ――なんかのスキルかぁ、高等魔術こうとうまじゅつだなぁぁぁぁっ!?
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