滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

519:龍撃準備開始、ツツィア子爵領へ行こう

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「よし、受け取ったな。じゃぁそのかねを貸してくれ。フォチャカの父上殿ちちうえどのへの特別報奨金バウンティーにするから」
 わたしたそばから大金たいきんをぶんどるような真似まねをするやつぁ、本来ほんらいなら素っ首落くびおとされても仕方しかたがねぇ――

 ……ところなんだが今回こんかいは、王族おうそく揉めごと・・・・対魔王結界たいまおうけっかいなか業火かじつを、一遍いっぺんおさめねぇとならねぇわけで。

「よくわからないけど……わかったわ。フォチャカは宿やど仕事しごとを、とても頑張がんばってると聞いてるしね」
 そういってかねを置いたオルコトリアは――
 折角せっっかく央都おうとだからと、どこかへ走り去った。
 やつ本当ほんとう男前おとこまえだな。

 ふぉん♪
『>そうですね。頑固なところはありますが、誠実で理解しやすいです』
 ヴォォォゥン♪

 ずどどどどどどどどっ――――男前オルコが駆けていった方向ほうこうには、魔導騎士団まどうきしだんの詰めしょがある。
 まあなんでも良いやな。
 対魔王結界たいまおうけっかいかな業火ごうかなんでも、一緒いっしょたたかってくれると約束やくそくしてくれたからな。

   §

 私財しざいをつぎ込みフォチャカ嬢じぶんのむすめに、マジックスクロールをたくした、彼女かのじょ父親ちちおや
 かれに会ってスクロールにかんしての、くわしいはなしを聞きたい。
 ほのおを食らい樹木じゅもくへ変える、高等魔術こうとうまじゅつ
 〝炎曲えんきょく苗木なえぎ〟を修得出来しゅうとくできたという、そのかみぺら。

 「もう一つ、宿廊すくろうるが欲しい」ってのが、轟雷おれみちびき出した説破こたえだ。
 ふぉん♪
『ヒント>スクロール/紐で巻かれた書物。
     巻物、ひいては魔法やスキルを覚えられるアイテムのこと』
 うん。もしも手に入れられるなら、是非ぜひとも欲しい。

 ふぉん♪
『>但し、<炎曲の苗木>はフォチャカ限定のユニーク・スキルですので、他の人間が習得することも使用することも不可能です』
 それでもだぜ。似た巻物スクロールがあるなら、さがしておきたい。
 轟雷おれがそう説破せっぱしたんだからよ。

「それで、フォチャカさんのご実家じっかはどちらですか? ヴヴヴヴヴッ♪」
 かたをすくめはちのようにふるえてみせる、蜂の魔神ルガレイニア
 靴底くつぞこゆかに跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
 おびえるフッカじょう本当ほんとうこわいみてぇだな。

「やめてやれ、ルガさん」
 まるで本当ほんとうはちが、威嚇いかくしてるみてぇだろうが。
 普段ふだんやさしいんだが、こう……なんかのはずみで――

 ふぉん♪
『ホシガミー>意地悪スイッチが入ってしまうようですね、プークスクス?』
 そうだなぁ。星神おまえさまが、食堂しょくどうとか小商こあきないに傾倒けいとうしてるみたいなもんなのかもなぁ。

「えーっとチャッカのいえは、たしか……ツツィアりょうの――」
 外套姿がいとうのチャタンパが、うえを向いておもい出している。
「トリュフはしまちじゃ……なかったっけ?」
 短剣武器たんけんぶきを身にまとったリュカテークが、二のうでに付けた手裏剣状しゅりけんじょうやいばに手を当てた。

 こくりとうなずく、ケープ姿すがたのフッカじょう

「それでしたら大女神像だいめがみぞう転移てんいすれば、さほど時間じかんは……帰りが・・・問題もんだいですね」
 わるふざけを止めた蜂女ルガさんが、かえりの心配しんぱいをしている。

「それは、大丈夫だいじょうぶだぞ。こいつら・・・・一緒にセットで連れて行きゃぁ、どっからでも一瞬で戻ってこれる・・・・・・・・・
 おれは根菜いおのはら茅野姫ほしがみに持たせ、その背をぐいと突き出した。

「あらあらまぁまぁ、プークス
 女神御神体いおのはらをうやうやしくかかげる、金糸きんしのようなかみ少女しょうじょ
「ウケッケケケケケケーッ――♪」
 かかげられ、踏ん反りかえる美の女神(笑)イオノファラー

 一緒いっしょに連れていくと、央都おうと守り・・手薄てうすになるが此処ここは――
 行き来の時間じかん短縮たんしゅくするために、女神めがみ茅野姫かやのひめを連れて行く。

 ふぉん♪
『>出かけている間に対魔王結界が決壊したり、巨木の果実をばらまかれて央都に巨木が林立したりしないことを願いましょう』
 それしか有るまい。
 まんいちそんなことになったら、央都おうとおわる。
 ネネルドむら連中れんちゅうが、逞しすぎ・・・・なんだ。

「では、わたくしが行って口添くちぞえをしたほうが、はなしはやいかしら?」
 とは、狐耳リカルル・リ・ご令嬢コントゥル
「いえ、おじょうさまが一定以上いっていいじょう規模きぼまちおもむかれますと、現地げんち子爵家ししゃくけうえしたへの大騒おおさわぎになるかと」
 とは、ルガ蜂顔リオレイニアのメイド・サキラテ

「じゃぁ、ぼくが行こうかニャァ?」
 フサフサの毛を揺らし、ニャァと鳴く。
「そうですね、マジック・スクロールにかんしてなら、我々われわれほど適任てきにんもいないかと」
 手帳てちょうをパタリと閉じ、こっちを見る。
 じゃぁ連れてくか。

「ツツィア子爵領ししゃくりょうでしたらサキラテ家の別宅べったく御座ございますので、わたくし微力びりょくながら――おちからになれるかと」
 水面すいめんのようにあたりをうつし出す、鏡の眼鏡ルガ-サイト
 おれや迅雷ジンライ、フッカやミャッドたちの姿すがたちいさくうつりこんでいる。

「そうだニャァ……もしなにか有ったときに、現地げんちのツツィア伯爵家はくしゃくけかおが利くとたすかるニャァ♪」
 日のもとでも余所者よそものがうろつきゃ、揉めごとになったからなぁ。
 けど、ながもの冒険者ぼうけんしゃは、どこにでも居んじゃね?
 ふぉん♪
『イオノ>えっとね、ぺらぺらり、あった。地続きな隣町のギルドまでならクエストを受ければ、見とがめられることは無いみたいよ』
 てことは隣町となりまちを越えて、クエストも無しで大所帯おおじょたいで居たら、結局目立けっきょくめだっちまうわけか。

 ふぉん♪
『>目的地のツツィア子爵領には、ルガレイニアの実家で有るサキラテ男爵領が隣接していますので、サキラテ一族のご息女がいれば大抵のことには便宜を図ってもらえると思われます』
 そういうことか、じゃぁ連れて――

「いかがでしょうか? ヴヴヴヴヴッ♪」
 かたをすくめはちのようにふるえてみせる、蜂の魔神ルガレイニア
 靴底くつぞこゆかに跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!

「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
 フッカは、ひょっとしたら……はち苦手にがてなのか?
「もう、やめてやれ」
 おれはただよってた迅雷ジンライをつかんで、蜂女ルガさん跳ねる肩・・・・・を――
 ぽんと押さえて止めた。

 鬼娘オルコといい、王都おうとに来るとなんかのたがはずれちまうのか?
 魔術まじゅつ、しかも高等魔術こうとうまじゅつ得意とくいやつこころに触れる何かが・・・央都ここには有るのやもしれねぇ。

「じゃあ、あたし行きたい! いもうとたちのかおを見てきたいっ!」
 とはサキラテ家ご息女そくじょビビビー。
「じゃあ、わたしもっ!」
 レイダも、おおきく手を上げた。

   §

 女神いおのはら茅野姫かやのひめ護衛ごえいに、おれと迅雷ジンライ
 顧問氏ミャッド秘書マルチヴィル護衛ごえいに、第七師団だいななしだん団長だんちょうのご老体ろうたい
 子供こどもたちの護衛ごえいに、おにぎり。
 向こうで馬車ばしゃを引くのに、てんぷらごう

「向こうで調節ちょうせつしてる余裕よゆうがあるとはかぎらねぇから、行くやつ全員座席ぜんいんざせきすわってくれー!」
 おれは高高度用馬車こうこうどようばしゃを取り出した。

結局けっきょく、8にんもの大所帯おおじょたいになっちまったぜ」
 馬車ばしゃ金網かなあみ部分ぶぶんに、迅雷ジンライ式隠しきかく蓑製みのせいほろを――ぶわさぁっ、ぎゅっ、ぱちんぱちんぱちぱちぱちぱちん♪

迅雷ジンライそっちはどーだ?」
「すべてのホックを閉じました。これで雨風あめがぜかみなり火炎かえんたまにも耐えます」
 よし、良さそうだな。

「みゃにゃぎゃにゃぁー
 おないろ子馬こうまへ、颯爽さっそうと飛び乗るおにぎり。
「ひひっひひぃぃぃん?」
 きゅうに乗られ、背後はいごを見ようとクルクルまわり出す――
 黄緑色きみどりいろ騎馬きば

座席ざせきがもうひとつ、空いてるよ? タターちゃんも連れて行きたい」
 あしをブラブラさせるレイダが、いつものように余計よけいなことを。
 おにぎりのぶんが、たしかに空いちまったが――

「それならゲイルくんも、連れて行こうよ」
 ビビビーが椅子いすすわ少年ゲイルを、ゆびさした。

座席ざせきが足りんし、どうせはなしを聞いたら、すぐもどるだけだぞ?」
「「それでも、みんなで行きたい!」」
 あそびに行くつもりだな、こいつらぁ。

「ふぅ、そうしたら第四師団団長ミラカルカも連れてってやらんと……かわいそうだろうが」
 座席ざせきを増やすか?
 こんどはそらうえつぶれるような速さで、カッ飛ぶわけじゃないから――

「じゃぁ、ぼくが残るニャァ。あのへん景色けしきが良いところだから、子供こどもたちを連れて行ってあげて欲しいニャァ♪」
 おやさしいもんだな、ちょっと見直みなおしたぜ。

「そういうことならわしも、護衛ごえいにんゆずろうかのう」
 ご老体ろうたいもか、さすがに人間にんげん出来できてやがるぜ。
 そう言って、そろってふたりが行くさきには――

「がっはははははっはっ――――おらぁ、追加ついかさけもってこぉぉぉぉぃ!」
 ノヴァドや年配ねんぱい学者方がくしゃかたたちが、昼間ひるまから酒盛さかもりをはじめてやがった。
 くそう、うらやましいぜ!
 おれも天狗装束てんぐしょうぞく着替きがえて、混ざりたいくらいだ。

ーーー
子爵領/上位領主から命じられ、その地に赴き根付いた者が治める土地。
男爵領/昔からの豪族が爵位を受け、治めている土地。
辺境伯領/王族や上位領主から叙勲された者が治める土地。
※トッカータ大陸における爵位制度には諸説有り、主な称号となります。
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