504 / 741
4:龍撃の学院
504:王城地下三階、容疑者はリオレイニア?
しおりを挟む
「うぉっほん♪ 規則ですので正直にーぃ、お答え下され。ええと……リオレ、イニア嬢?」
やや横柄な態度の男性が、訥々と言葉を発する。
「はい、もちろんです」
背筋を伸ばし、はきはきと答える怪しげなメイド。
やや大きめなガラス窓の向こうには男女2名ずつ、フル装備の衛兵が待機している。
ここは央都の大女神像がある、王城の一画。
儀式にも使用される、地下祭儀室とやらだが――
とても殺風景で、おおよそ賓客が通されるような場所ではない。
「えっへぇん♪ アナタはぁ、コントゥル辺境伯名代ルリーロさまが飛翔中の空路へぇー、巨大焼夷弾がぁー撃ちぃ込まぁれた際、どちらにぃ、居られましたかなぁ?」
ふっへへぇん♪
やはり気のせいではない。相当に横柄な、その態度。
ヴォヴォゥン♪
迅雷が送ってくる、向こうの映像が揺らめく。
万能の空飛ぶ棒を今使わないで、いつ使うんだってことで――
地下の様子を探らせているのだ。
§
「おい、あの衛兵わぁ、彼女が誰だかわかってねぇんじゃぁねぇーのかぁ!?」
コントゥル辺境伯は、央都の最高権力者である王族と比べた場合。
さほどの優劣は無い、と聞いている。
ならば、コントゥル家に長年仕えてきた貴族家である、サキラテ家令嬢に――
あんな態度を一役人が、そうそう取れるものではないはずだ。
「お、お恥ずかしー限りですららぁぁん!」
大講堂の長机に突っ伏し、平伏する第一王女殿下。
いや、そもそも王様や女王さまに次いで、お偉いはずの王女さまが――
「どぅしてぇ、這いつくばってるっんだぜぇ?」
王女さま直々に、この事態を解決してくれりゃぁすむだろうがっ!
おれたちが居るのは、魔導騎士団の宿泊施設だ。
一番大きな大講堂に、ほぼ全員が詰めていた。
「じ、実わぁー王家直轄の〝召喚の塔〟が壊滅して以来、わが央都の官僚の中に〝王政不要論〟を提唱する者たちが台頭しましてぇ――」
よりにも寄って、祭り事かっ!
そうなるとリオは、反対勢力の手中に落ちてると考えた方が良いか?
「安全のため」とネネルド村へなだれ込んできた、見覚えの無い護衛たち。
アイツらに任せて置いたら、まさかのこんな事態。
装備からすると管轄は、魔導騎士団だろう。
じろりと、睨みつけてやったら――
顧問氏や秘書も、王女に並んで這いつくばった。
やや涙目の王女を、まるで庇うように――「ひっひひひぃぃぃぃぃんっ――!?」
どがぁん――王女が座る長机に体当たりし、身を乗り上げ「ひひひひひぃぃぃぃんっ!?」
「ぎゃっ――!」
黄緑色のでかい子馬に――
「ギャミャァ――!」
翻弄される顧問氏や――
「キャアァァ――!」
秘書たち。
「ららぁぁん――!?」
「ふっるぅん――!?」
そして王族たちも、スパコーンと弾き飛ばされた。
あーぁ、あれ大丈夫か?
ふぉん♪
『>問題は無いと思われ。彼の馬は他ならぬ、ラプトル第一王女が作成したゴーレムですので』
うん、責任の所在は明確だな。
放っとこうぜ、今はソレどころじゃねぇ。
こうして迅雷はリオレイニアの近く(おそらく天井)に張りついていながら、こっちの様子を知ることも出来る。
万能の便利棒は、その名の通りに便利だった。
なんせ高等魔術や特殊な魔法具を使って忍び込んだら、向こうに居る魔術師に一発でバレるらしいからな。
「こらっ! 今は遊んでる場合じゃないのよ!」
そう気を吐くのは侍女リオレイニアの部下、少女メイド・タターだ。
普段は子馬の尻尾にカフスを引っかけられては、そのへんを引き回されている彼女だったが。
「リオレイニア元侍女長が、大変なことになっているんだからっ!」
給仕や家事の師でもある彼女の一大事に、発憤したのか――
「テンプーラゴウ、お座りぃぃぃぃぃぃぃ――っ!」
天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう天馬。
そんな名前《なまえ》だが――
ふぉん♪
『人物DB/天ぷら号
中央都市ラスクトール自治領第一王女
ラプトル・ラスクトールの手による、
自律型四足歩行駄馬』
本当は、猪蟹屋謹製自律型の〝おにぎり〟にちなんで名付けられた、食い物の名前だったりする。
天ぷら号は少女メイドに、引っかかった尻尾を吊り上げられ――どずずぅん!
軽々と召し捕られた。
ふぉん♪
『シガミー>なんだ今の?』
天ぷら号は、王女殿下の魔導工学がみっしりと詰まってるから、ソコソコ重くて子供の力じゃとても持ち上がらねぇはず。
ふぉん♪
『イオノ>あー、タターちゃんを始め、ココに居るメイドちゃんたちにわぁ、〝猪蟹屋のメイド服〟に着替えてもらったからねぇん♪』
なんだと!?
ありゃ試運転……試着がてらってんで、リオにしか渡してなかったんだぞ!?
「にゃっみゃぎゃにゃにゃぁー♪」
遊んでいるとでも思ったのか――手近な王子殿下《サウルース》をひょいと、つまみ上げる猫の魔物。
おにぎりまで一緒になって、王女のまわりを転げまわりはじめた。
「らっらららぁん!?」
「ふっふふるるぅん!?」
翻弄される、王家に連なる者たち。
「馬鹿野郎、危ねぇだろうがっ!」
あーぁ、あれは大丈夫じゃねぇやつだ!
ふぉん♪
『人物DB/試作個体名おにぎり一号
極所作業用汎用強化服シシガニャン自律型
ケットーシィなる猫の魔物に酷似』
ふぉん♪
『>はい。猪蟹屋謹製の軽車両扱い。つまり猪蟹屋備品ですので、シガミーもしくはイオノファラーに』
うん、責任の所在は明確だな。
放っとくわけにはいかんな。今はソレどころじゃねぇってのに!
猫の魔物から、王子殿下を引っぺがしてると――
「――猪蟹屋……央都猪蟹屋の地下設備である、対魔王結界の中に居ました――」
容疑者リオレイニアの言葉に、大講堂に居る全員がピタリと止まり――固唾を呑む。
「――た、対魔王結界!? それはぁ、自白と考えてよろしいか!?――」
大講堂の黒板に張りつく、映像の中。
馬鹿を言い出す、横柄な役人。
「ああもう、この守護所勤めの、この衛兵め――!!」
王子殿下を床に降ろし、おれは憤慨した。
「ちょっと、シガミー黙ってて、向こうの様子が聞こえないでしょ!」
ばかやろう、もとはといやぁ、お前が余計なときに余計なことを言いやがるからこんなややこしいことになっちまったんじゃんか!
「あらら、これは――ものすごく困ったことになるよ?」
ビビビーの顔が真っ白だぜ。
レーニアおばさんが、心配なんだろうが。
「なんだぜ? 困ったことってのわぁ?」
これ以上、どう困るって言うんだぜ?
「だって、あのリオレイニアさんが、ルリーロさまを攻撃した容疑で、お城に軟禁されているんだよ?」
ますます、顔面は蒼白に。
「おう、大変だが伯爵さまも奥方さまも、「一時的の措置で、すぐに釈放される」って言ってたじゃんか?」
確かにリオがかわいそうだが、どういう風に話がこじれようと――
コントゥル辺境伯と名代が、そう請け負った以上、本気で心配する必要は無い。
あの小役人のせいで、長引くことくらいはあるかもしれんが。
戻ってきたら何かうまい物でも作って、食わせてやろう。
「ふぅ――ぅむむむむぅ。間に合えば……良いんだけど?」
ビビビーの心配は、それでも止まらない。
「間に合えばだぁ? 何だかわからんが良く聞け。そもそもの話、リオは自分が仕える奥方さまを狙うような奴には、見えんだろうが――」
ヴュザザッ――質素な机。
両手は革ベルトで縛られ、机に繋がれていた。
その顔は、ルガ蜂の顔に瓜二つ。
遠目で見ると、まるで魔神のようだっだ。
「みえる――な」
ルガ蜂の顔を持つ彼女なら、やりかねないと思えなくもない。
やや横柄な態度の男性が、訥々と言葉を発する。
「はい、もちろんです」
背筋を伸ばし、はきはきと答える怪しげなメイド。
やや大きめなガラス窓の向こうには男女2名ずつ、フル装備の衛兵が待機している。
ここは央都の大女神像がある、王城の一画。
儀式にも使用される、地下祭儀室とやらだが――
とても殺風景で、おおよそ賓客が通されるような場所ではない。
「えっへぇん♪ アナタはぁ、コントゥル辺境伯名代ルリーロさまが飛翔中の空路へぇー、巨大焼夷弾がぁー撃ちぃ込まぁれた際、どちらにぃ、居られましたかなぁ?」
ふっへへぇん♪
やはり気のせいではない。相当に横柄な、その態度。
ヴォヴォゥン♪
迅雷が送ってくる、向こうの映像が揺らめく。
万能の空飛ぶ棒を今使わないで、いつ使うんだってことで――
地下の様子を探らせているのだ。
§
「おい、あの衛兵わぁ、彼女が誰だかわかってねぇんじゃぁねぇーのかぁ!?」
コントゥル辺境伯は、央都の最高権力者である王族と比べた場合。
さほどの優劣は無い、と聞いている。
ならば、コントゥル家に長年仕えてきた貴族家である、サキラテ家令嬢に――
あんな態度を一役人が、そうそう取れるものではないはずだ。
「お、お恥ずかしー限りですららぁぁん!」
大講堂の長机に突っ伏し、平伏する第一王女殿下。
いや、そもそも王様や女王さまに次いで、お偉いはずの王女さまが――
「どぅしてぇ、這いつくばってるっんだぜぇ?」
王女さま直々に、この事態を解決してくれりゃぁすむだろうがっ!
おれたちが居るのは、魔導騎士団の宿泊施設だ。
一番大きな大講堂に、ほぼ全員が詰めていた。
「じ、実わぁー王家直轄の〝召喚の塔〟が壊滅して以来、わが央都の官僚の中に〝王政不要論〟を提唱する者たちが台頭しましてぇ――」
よりにも寄って、祭り事かっ!
そうなるとリオは、反対勢力の手中に落ちてると考えた方が良いか?
「安全のため」とネネルド村へなだれ込んできた、見覚えの無い護衛たち。
アイツらに任せて置いたら、まさかのこんな事態。
装備からすると管轄は、魔導騎士団だろう。
じろりと、睨みつけてやったら――
顧問氏や秘書も、王女に並んで這いつくばった。
やや涙目の王女を、まるで庇うように――「ひっひひひぃぃぃぃぃんっ――!?」
どがぁん――王女が座る長机に体当たりし、身を乗り上げ「ひひひひひぃぃぃぃんっ!?」
「ぎゃっ――!」
黄緑色のでかい子馬に――
「ギャミャァ――!」
翻弄される顧問氏や――
「キャアァァ――!」
秘書たち。
「ららぁぁん――!?」
「ふっるぅん――!?」
そして王族たちも、スパコーンと弾き飛ばされた。
あーぁ、あれ大丈夫か?
ふぉん♪
『>問題は無いと思われ。彼の馬は他ならぬ、ラプトル第一王女が作成したゴーレムですので』
うん、責任の所在は明確だな。
放っとこうぜ、今はソレどころじゃねぇ。
こうして迅雷はリオレイニアの近く(おそらく天井)に張りついていながら、こっちの様子を知ることも出来る。
万能の便利棒は、その名の通りに便利だった。
なんせ高等魔術や特殊な魔法具を使って忍び込んだら、向こうに居る魔術師に一発でバレるらしいからな。
「こらっ! 今は遊んでる場合じゃないのよ!」
そう気を吐くのは侍女リオレイニアの部下、少女メイド・タターだ。
普段は子馬の尻尾にカフスを引っかけられては、そのへんを引き回されている彼女だったが。
「リオレイニア元侍女長が、大変なことになっているんだからっ!」
給仕や家事の師でもある彼女の一大事に、発憤したのか――
「テンプーラゴウ、お座りぃぃぃぃぃぃぃ――っ!」
天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう天馬。
そんな名前《なまえ》だが――
ふぉん♪
『人物DB/天ぷら号
中央都市ラスクトール自治領第一王女
ラプトル・ラスクトールの手による、
自律型四足歩行駄馬』
本当は、猪蟹屋謹製自律型の〝おにぎり〟にちなんで名付けられた、食い物の名前だったりする。
天ぷら号は少女メイドに、引っかかった尻尾を吊り上げられ――どずずぅん!
軽々と召し捕られた。
ふぉん♪
『シガミー>なんだ今の?』
天ぷら号は、王女殿下の魔導工学がみっしりと詰まってるから、ソコソコ重くて子供の力じゃとても持ち上がらねぇはず。
ふぉん♪
『イオノ>あー、タターちゃんを始め、ココに居るメイドちゃんたちにわぁ、〝猪蟹屋のメイド服〟に着替えてもらったからねぇん♪』
なんだと!?
ありゃ試運転……試着がてらってんで、リオにしか渡してなかったんだぞ!?
「にゃっみゃぎゃにゃにゃぁー♪」
遊んでいるとでも思ったのか――手近な王子殿下《サウルース》をひょいと、つまみ上げる猫の魔物。
おにぎりまで一緒になって、王女のまわりを転げまわりはじめた。
「らっらららぁん!?」
「ふっふふるるぅん!?」
翻弄される、王家に連なる者たち。
「馬鹿野郎、危ねぇだろうがっ!」
あーぁ、あれは大丈夫じゃねぇやつだ!
ふぉん♪
『人物DB/試作個体名おにぎり一号
極所作業用汎用強化服シシガニャン自律型
ケットーシィなる猫の魔物に酷似』
ふぉん♪
『>はい。猪蟹屋謹製の軽車両扱い。つまり猪蟹屋備品ですので、シガミーもしくはイオノファラーに』
うん、責任の所在は明確だな。
放っとくわけにはいかんな。今はソレどころじゃねぇってのに!
猫の魔物から、王子殿下を引っぺがしてると――
「――猪蟹屋……央都猪蟹屋の地下設備である、対魔王結界の中に居ました――」
容疑者リオレイニアの言葉に、大講堂に居る全員がピタリと止まり――固唾を呑む。
「――た、対魔王結界!? それはぁ、自白と考えてよろしいか!?――」
大講堂の黒板に張りつく、映像の中。
馬鹿を言い出す、横柄な役人。
「ああもう、この守護所勤めの、この衛兵め――!!」
王子殿下を床に降ろし、おれは憤慨した。
「ちょっと、シガミー黙ってて、向こうの様子が聞こえないでしょ!」
ばかやろう、もとはといやぁ、お前が余計なときに余計なことを言いやがるからこんなややこしいことになっちまったんじゃんか!
「あらら、これは――ものすごく困ったことになるよ?」
ビビビーの顔が真っ白だぜ。
レーニアおばさんが、心配なんだろうが。
「なんだぜ? 困ったことってのわぁ?」
これ以上、どう困るって言うんだぜ?
「だって、あのリオレイニアさんが、ルリーロさまを攻撃した容疑で、お城に軟禁されているんだよ?」
ますます、顔面は蒼白に。
「おう、大変だが伯爵さまも奥方さまも、「一時的の措置で、すぐに釈放される」って言ってたじゃんか?」
確かにリオがかわいそうだが、どういう風に話がこじれようと――
コントゥル辺境伯と名代が、そう請け負った以上、本気で心配する必要は無い。
あの小役人のせいで、長引くことくらいはあるかもしれんが。
戻ってきたら何かうまい物でも作って、食わせてやろう。
「ふぅ――ぅむむむむぅ。間に合えば……良いんだけど?」
ビビビーの心配は、それでも止まらない。
「間に合えばだぁ? 何だかわからんが良く聞け。そもそもの話、リオは自分が仕える奥方さまを狙うような奴には、見えんだろうが――」
ヴュザザッ――質素な机。
両手は革ベルトで縛られ、机に繋がれていた。
その顔は、ルガ蜂の顔に瓜二つ。
遠目で見ると、まるで魔神のようだっだ。
「みえる――な」
ルガ蜂の顔を持つ彼女なら、やりかねないと思えなくもない。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
異世界起動兵器ゴーレム
ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに
撥ねられてしまった。そして良太郎
が目覚めると、そこは異世界だった。
さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、
ゴーレムと化していたのだ。良太郎が
目覚めた時、彼の目の前にいたのは
魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は
未知の世界で右も左も分からない状態
の良太郎と共に冒険者生活を営んで
いく事を決めた。だがこの世界の裏
では凶悪な影が……良太郎の異世界
でのゴーレムライフが始まる……。
ファンタジーバトル作品、開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる