502 / 741
4:龍撃の学院
502:ネネルド村奇譚、魔眼殺しVer2をつくろう
しおりを挟む
「じゃあ、やるぞ。せいぜい10分程度で調整は済むから、協力してくれ」
ヴッ――どんがたがたん。
テーブルと椅子を、桟橋まえに並べた。
「あら、心地よい風ですね。うふふ♪」
さぁぁぁぁっ――――たしかにココは、良い風が吹きやがる。
絵で板を立ち上げ――ヴュゥパ♪
リオレイニアの顔の形だけが、表示された。
解析指南、迅雷でも良いが――
彼女に似合う目隠しの形に、良い案はねぇか?
どうせ新しく、本式の奴を作るなら――
より見た目の良い物に、してやりたいからな。
ふぉん♪
『>そうですね。ふて腐れたイオノファラーの心に寄り添うため収得した【地球大百科事典】スキルを使用すれば、シガミーの没後607年における衣服や生活様式の変移を参照可能です』
わからんと言いたいとこだが、迅雷を介せば色々見られるのがわかりゃ十分だぜ。
ふぉん♪
『解析指南>目隠しデザイン生成を開始します>
1:サングラス、
2:MRヘッドセット、
3:アイマスク(儀礼用、夜会用、睡眠用)。
この中からお好みのデザイン系統を選出してください』
ヴォン♪
『[▒]』
ん? なんだこの図案は?
解析指南が出した枠の隅。
小板がクルクル回って出たり無くなったりを、繰りかえしてるぞ?
ふぉん♪
『ヒント>タブレットを取りだしてください。
自動的に入出力フェイズを進行します。』
やっぱり、わからん。
「シガミー。タブレット……黒板ヲ取りだしてくだサい」
おう、言われるままに取り出す――コトン。
パッ――『この中から、お好きなデザインを何個でも選んでください』
なんか出た。
「好きな物ぉ――じゃぁ、リオ。これ指で押――」
ぱしり。
「私が操作しても、よろしいのですね?」
黒板を取られた。
「ああ、わかるなら、どんどん進めてくれ」
彼女は五百乃大角や迅雷、ひいてはおれがもたらした物を、これまで一番間近で見てきたのだ。
黒板の操作なら、おれより早い。
§
「どんな感じだぁ?」
彼女の背後にまわり、見ていたら――
ヒュパパパパパパパパパパパ、ススススッ、ポンポポン♪
その素早く動く指先に圧倒された。
全部で数百枚位の中から、選ばされただろうか。
その指に、迷いはなく――ヴォォォゥン♪
『あなたが生成した、『目隠しデザイン』は――こちらになります』
出来上がったらしいが……こりゃ、轟雷の顔というか目というか。
おれが死んだ後、600年分の重みというか――
ニゲルがロボットプラモと呼んで、興奮していた何か。
そんなのに、通じるものだった。
「スポーツタイプノ、偏光サングラスのようでスね」
「こいつぁー、随分と尖っていやがるなぁ」
割ったピードロのように、鋭利な感じ。
「幾分、攻撃的にも見えますが、素敵ですね♪」
本人が気に入ったんなら、文句はねぇが――
「見てくれが良くてもコレじゃ、何も見えねぇだろ?」
けど……目隠しの部分が、鏡になってやがるぜ?
「シガミー。調整にも時間が掛かりますので一度、このままのデザインで作成してみましョう」
§
「これは普通に向こう側が、見えていますよ?」
その嬉しそうな顔。
驚いたことに鏡の向こうからは、ちゃんと見えているらしかった。
「ひかりのたま、みずのたま、ひかりのたてよ♪」
灯火が湖面を飛んで行き、たゆたっていた蛸足に当たる。
飛沫が舞い、ひかりのたてが――
ヴォヴォォォォンと広がった。
「今までのように、ほんの少し遅れて物が見える感じがなくなっていますっ♪」
うふふふふふっと、魔法杖を振りまわし、はしゃぐレーニアおばさん(19)。
おれが居た頃の日の本だったら、とうに嫁に行ってる歳だが。
この世界では、まだまだ気ままに独り身の生活を謳歌する歳だ。
はじける笑顔は、とても素敵だった。
だが、おれは正気を保っている。
膝から崩れ落ちるほどの恋に、落ちていない。
と言うことは〝魔眼殺し〟としての機能が、ちゃんと働いている証拠だ。
ふぉふぉふぉん♪
『解析指南>〝白狐の面〟の216枚の魔術光学的構造を、概算化し魔術的特性の持つ質量をキャンセルしました』
光の筋、魔法の神髄。その質量をキャンセル。
概算化し切り捨てても、魔術は発動する。
そう言っているのだ。
常人の約50倍も収得した、おれのスキルと――
前世の修行の記憶が、そう理解したが。
「まて、光に重さなんて、元からねぇだろうが?」
おかしいだろうがよ。
ふぉふぉん♪
『>イオノファラーが生存する2222年現在、重力質量は否定されています。物質とは光が場に止まり続けた結果、質量を持った物です。慣性質量および、魔術光学的な概念の改竄は容易く行えます』
頭の奥が、チリチリしやがる。
なーんか要らねぇスキルを、背負い込んじまったんじゃねぇだろな。
ふぉん♪
『シガミー>まてまてまて。物は光が鈍重になって出来たもんで、無い重さまで引いたと言っているのか?』
そりゃおかしいだろ、光がなきゃこの世は真っ暗だろうが。
演算上も教義上も、絵空事じゃねぇ。
ふぉん♪
『イオノ>坊主、驚異の理解力!』
やかましい!
おまえ、それ言いてぇだけだろうが。
ふぉん♪
『シガミー>その難しい魔術の話と空の話は、ぜひとも後でしようぜ』
リオレイニアの持つ繊細な、魔術操作技術。
その遅延が無くなることで、威力まで少し上がるってんだろ?
良いことずくめの、良いもんが出来たのは確かだろっ?
ふぉん♪
『>はい、上出来と言って良――▼▼▼』
真上からなんか、落ちて来たぁ!?
ヴッ――パシッ、ガキッ!
小太刀を取りだし、鯉口を開ける!
それは丸くてまるで、卵みたいな形をしていた。
ーーー
重力質量/重さに由来する引き合う力。2222年現在、光学的見地から否定されている。
慣性質量/動き続ける、もしくは止まろうとする力。
ヴッ――どんがたがたん。
テーブルと椅子を、桟橋まえに並べた。
「あら、心地よい風ですね。うふふ♪」
さぁぁぁぁっ――――たしかにココは、良い風が吹きやがる。
絵で板を立ち上げ――ヴュゥパ♪
リオレイニアの顔の形だけが、表示された。
解析指南、迅雷でも良いが――
彼女に似合う目隠しの形に、良い案はねぇか?
どうせ新しく、本式の奴を作るなら――
より見た目の良い物に、してやりたいからな。
ふぉん♪
『>そうですね。ふて腐れたイオノファラーの心に寄り添うため収得した【地球大百科事典】スキルを使用すれば、シガミーの没後607年における衣服や生活様式の変移を参照可能です』
わからんと言いたいとこだが、迅雷を介せば色々見られるのがわかりゃ十分だぜ。
ふぉん♪
『解析指南>目隠しデザイン生成を開始します>
1:サングラス、
2:MRヘッドセット、
3:アイマスク(儀礼用、夜会用、睡眠用)。
この中からお好みのデザイン系統を選出してください』
ヴォン♪
『[▒]』
ん? なんだこの図案は?
解析指南が出した枠の隅。
小板がクルクル回って出たり無くなったりを、繰りかえしてるぞ?
ふぉん♪
『ヒント>タブレットを取りだしてください。
自動的に入出力フェイズを進行します。』
やっぱり、わからん。
「シガミー。タブレット……黒板ヲ取りだしてくだサい」
おう、言われるままに取り出す――コトン。
パッ――『この中から、お好きなデザインを何個でも選んでください』
なんか出た。
「好きな物ぉ――じゃぁ、リオ。これ指で押――」
ぱしり。
「私が操作しても、よろしいのですね?」
黒板を取られた。
「ああ、わかるなら、どんどん進めてくれ」
彼女は五百乃大角や迅雷、ひいてはおれがもたらした物を、これまで一番間近で見てきたのだ。
黒板の操作なら、おれより早い。
§
「どんな感じだぁ?」
彼女の背後にまわり、見ていたら――
ヒュパパパパパパパパパパパ、ススススッ、ポンポポン♪
その素早く動く指先に圧倒された。
全部で数百枚位の中から、選ばされただろうか。
その指に、迷いはなく――ヴォォォゥン♪
『あなたが生成した、『目隠しデザイン』は――こちらになります』
出来上がったらしいが……こりゃ、轟雷の顔というか目というか。
おれが死んだ後、600年分の重みというか――
ニゲルがロボットプラモと呼んで、興奮していた何か。
そんなのに、通じるものだった。
「スポーツタイプノ、偏光サングラスのようでスね」
「こいつぁー、随分と尖っていやがるなぁ」
割ったピードロのように、鋭利な感じ。
「幾分、攻撃的にも見えますが、素敵ですね♪」
本人が気に入ったんなら、文句はねぇが――
「見てくれが良くてもコレじゃ、何も見えねぇだろ?」
けど……目隠しの部分が、鏡になってやがるぜ?
「シガミー。調整にも時間が掛かりますので一度、このままのデザインで作成してみましョう」
§
「これは普通に向こう側が、見えていますよ?」
その嬉しそうな顔。
驚いたことに鏡の向こうからは、ちゃんと見えているらしかった。
「ひかりのたま、みずのたま、ひかりのたてよ♪」
灯火が湖面を飛んで行き、たゆたっていた蛸足に当たる。
飛沫が舞い、ひかりのたてが――
ヴォヴォォォォンと広がった。
「今までのように、ほんの少し遅れて物が見える感じがなくなっていますっ♪」
うふふふふふっと、魔法杖を振りまわし、はしゃぐレーニアおばさん(19)。
おれが居た頃の日の本だったら、とうに嫁に行ってる歳だが。
この世界では、まだまだ気ままに独り身の生活を謳歌する歳だ。
はじける笑顔は、とても素敵だった。
だが、おれは正気を保っている。
膝から崩れ落ちるほどの恋に、落ちていない。
と言うことは〝魔眼殺し〟としての機能が、ちゃんと働いている証拠だ。
ふぉふぉふぉん♪
『解析指南>〝白狐の面〟の216枚の魔術光学的構造を、概算化し魔術的特性の持つ質量をキャンセルしました』
光の筋、魔法の神髄。その質量をキャンセル。
概算化し切り捨てても、魔術は発動する。
そう言っているのだ。
常人の約50倍も収得した、おれのスキルと――
前世の修行の記憶が、そう理解したが。
「まて、光に重さなんて、元からねぇだろうが?」
おかしいだろうがよ。
ふぉふぉん♪
『>イオノファラーが生存する2222年現在、重力質量は否定されています。物質とは光が場に止まり続けた結果、質量を持った物です。慣性質量および、魔術光学的な概念の改竄は容易く行えます』
頭の奥が、チリチリしやがる。
なーんか要らねぇスキルを、背負い込んじまったんじゃねぇだろな。
ふぉん♪
『シガミー>まてまてまて。物は光が鈍重になって出来たもんで、無い重さまで引いたと言っているのか?』
そりゃおかしいだろ、光がなきゃこの世は真っ暗だろうが。
演算上も教義上も、絵空事じゃねぇ。
ふぉん♪
『イオノ>坊主、驚異の理解力!』
やかましい!
おまえ、それ言いてぇだけだろうが。
ふぉん♪
『シガミー>その難しい魔術の話と空の話は、ぜひとも後でしようぜ』
リオレイニアの持つ繊細な、魔術操作技術。
その遅延が無くなることで、威力まで少し上がるってんだろ?
良いことずくめの、良いもんが出来たのは確かだろっ?
ふぉん♪
『>はい、上出来と言って良――▼▼▼』
真上からなんか、落ちて来たぁ!?
ヴッ――パシッ、ガキッ!
小太刀を取りだし、鯉口を開ける!
それは丸くてまるで、卵みたいな形をしていた。
ーーー
重力質量/重さに由来する引き合う力。2222年現在、光学的見地から否定されている。
慣性質量/動き続ける、もしくは止まろうとする力。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
異世界起動兵器ゴーレム
ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに
撥ねられてしまった。そして良太郎
が目覚めると、そこは異世界だった。
さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、
ゴーレムと化していたのだ。良太郎が
目覚めた時、彼の目の前にいたのは
魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は
未知の世界で右も左も分からない状態
の良太郎と共に冒険者生活を営んで
いく事を決めた。だがこの世界の裏
では凶悪な影が……良太郎の異世界
でのゴーレムライフが始まる……。
ファンタジーバトル作品、開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる