499 / 741
4:龍撃の学院
499:ネネルド村奇譚、看板娘と女性冒険者装備について
しおりを挟む
「バカを言うなよ。リオレイニアは猪蟹屋の看板娘なんだからさー」
いつもはおれが言われてることだが――「もっとちゃんとしてくれ」だぜ。
「看板娘ならシガミーやレイダが、居るではないですか?」
ガムラン随一の(隠れ)モテ女が、こうして暇そうにしてたら――
いつもならとおくから若い衆が、美女の様子をうかがってるもんだが。
今日はまるで、それがなかった。
そう言う意味で頭陀袋は、とても役立っている。
「いいや、二号店の客の入りでわかったことだがなぁ――冒険者たち、特にガムランの冒険者どもは、リカルルさまやリオくらいの歳の店員や給仕を見に来てるんだよ」
決して、おれやレイダみたいな子供を、見に来ているわけじゃない。
本店向かいの婆さまは、おれやレイダを気に掛けてくれてたけど。
「お嬢さまは明らかに、シガミーやレイダを見に来ていますよ?」
思案に暮れる、元美女。
頭陀袋でも白い仮面や眼鏡よりは、表情をつかみやすいのが笑えた。
ヴォヴォォォォンッ♪
「アれ……リカルルハ例外でス。基本的ニ男性客はリオレイニアヲ。女性客ノ場合ハ、ネコアタマやおにぎりノ頭ヲ撫でに来店してイます」
周囲の索敵が終わった、空とぶ便利棒が戻ってきた。
異常はなく、平和そのものだ。
「ネコアタマなぁー、本当にもてるからなぁ。さしずめ看板息子ってのは認めよう――」
男としちゃ、うらやましいと思わなくも無いが――
「だが、なんだぜ? おにぎりもってのわぁ?」
猫の魔物扱いされて、追いかけ回されるってんならわかるけどよ?
「そういえばカブキーフェスタ以降、おにぎりを訪ねて来店される若い女性冒険者が増えたと聞いています」
頬に手を当て思案する頭陀袋。まるで様にならねぇ。
「そりゃ、なんでだぜ?」
おにぎりは女将さんや茅野姫や、この猪蟹屋番頭株リオレイニアに付き従って――
ガムラン町や神域惑星を、つねに往復している。
「わかりませんが……〝頭を撫で、撫で返され、ご満足されると串焼きを一本購入してお帰りになる〟と聞いております、ふふふ♪」
おにぎりのことをかわいいと思ってくれてるのは、ありがたいことではあるのだが――
「ぬぅ、あぶなくはねぇのか? 万が一、誰かが転んで、どつき合いにでもなった日にゃ――」
大惨事じゃね?
「問題ないト類推しマす。ガムラン町ノ女性冒険者ノ防御力ハ央都の一般的ナ同年代の女性ト比べテ、約15倍ニ相当しますノで」
んー?
普通の若い女の防御力が8として、120?
ルリーロとかリカルルとか、化け……とんでもねぇ連中を見なれたから、見当が付かん。
おれは隣に座る頭陀袋装備の、美の権化(?)を――
しめしめうっひっひ♪
品定めするように、上級鑑定してみた。
チーン♪
『リオレイニア・サキラテ
装備/初心者用魔法杖
コントゥル家の簡易インナーアーマー
コントゥル家の給仕服
コントゥル家の従者用靴』
「こらっ――――いくらパーティーメンバーでも、女性の体をなめ回すように、盗み見るものではありませんよ」
つん――指先で額を突かれた。
「あ、いけねっ。つい盗み見るような真似をしてすまん。普通の若い女が、どれくらいの防御力を持ってるのか気になってなぁ」
よほどじっくり見つめないと、詳しい強さや装備品の詳細は出てこないからな。
「構いませんが今後は一言、断ってから上級鑑定すること。よいですね?」
コトリと置かれる、鉄の棒みたいな物。
「へい、肝に銘じらぁ――?」
棒には紐が付いているなと、見つめていたら――
「これはコントゥル家に仕える執事長や小隊長や侍女隊班長か、またはより上の役職へ支給される、特殊な魔法具です」
それほど数は無いらしい。初めて聞いたし。
「この魔法具は上級鑑定を阻害することで、コントゥル家の装備の情報漏洩を防ぐものです」
棒を外した途端に、追加の情報が画面に現れた。
ふぉふぉん♪
『リオレイニア・サキラテ(New>19)
New>サキラテ家37代目筆頭従士
装備/New>主兵装<初心者用魔法杖>
New>副兵装<風塊の魔杖>
New>猪蟹屋の頭陀袋
New>王虎の肌着
コントゥル家の簡易インナーアーマー
New>コントゥル家の可憐なメイド服
New>コントゥル家の俊敏な靴』
追加部分に表示された『New>』の図案が――
点滅して消える。
ヴュッパパッ♪
『HP:■■■■■■■■■
MP:■■■■■■■■■
攻撃力:247
防御力:140』
なんか、全部見えちまうってのはドキドキするな。
けど妙に少なくね?
迅雷どう思う?
ふぉん♪
『>普段使いの装備と思われますが、元S級冒険者の装備としては、多少の性能不足を感じます』
だよな。
そうだ、アレはどんな感じだったっけ?
ふぉふぉん――チカチカチカ♪
『日夜シリーズ一式【終日】
全防御力日中336~夜半784(+229~+677)。
全魔法攻撃力日中342~夜半81(+143~-118)。
時間帯によって追加効果が変わる、
摩訶不思議な魔術師向け防具一式。
追加効果/日中INT+30/AGL+30
条件効果/日没中にHPが一割を切ると女神の加護により、
STR+30/ATK+30/VIT+30
装備条件/INT25。成人女性または、成人前の子供』
ブクマから呼び出したのは――
魔術師フッカに作ってやった、一式装備。
防御力が最低の状態でも、かるく300を越えてやがる。
これと比べたら頭陀袋嬢の装備は、随分と心許なかった。
いつもはおれが言われてることだが――「もっとちゃんとしてくれ」だぜ。
「看板娘ならシガミーやレイダが、居るではないですか?」
ガムラン随一の(隠れ)モテ女が、こうして暇そうにしてたら――
いつもならとおくから若い衆が、美女の様子をうかがってるもんだが。
今日はまるで、それがなかった。
そう言う意味で頭陀袋は、とても役立っている。
「いいや、二号店の客の入りでわかったことだがなぁ――冒険者たち、特にガムランの冒険者どもは、リカルルさまやリオくらいの歳の店員や給仕を見に来てるんだよ」
決して、おれやレイダみたいな子供を、見に来ているわけじゃない。
本店向かいの婆さまは、おれやレイダを気に掛けてくれてたけど。
「お嬢さまは明らかに、シガミーやレイダを見に来ていますよ?」
思案に暮れる、元美女。
頭陀袋でも白い仮面や眼鏡よりは、表情をつかみやすいのが笑えた。
ヴォヴォォォォンッ♪
「アれ……リカルルハ例外でス。基本的ニ男性客はリオレイニアヲ。女性客ノ場合ハ、ネコアタマやおにぎりノ頭ヲ撫でに来店してイます」
周囲の索敵が終わった、空とぶ便利棒が戻ってきた。
異常はなく、平和そのものだ。
「ネコアタマなぁー、本当にもてるからなぁ。さしずめ看板息子ってのは認めよう――」
男としちゃ、うらやましいと思わなくも無いが――
「だが、なんだぜ? おにぎりもってのわぁ?」
猫の魔物扱いされて、追いかけ回されるってんならわかるけどよ?
「そういえばカブキーフェスタ以降、おにぎりを訪ねて来店される若い女性冒険者が増えたと聞いています」
頬に手を当て思案する頭陀袋。まるで様にならねぇ。
「そりゃ、なんでだぜ?」
おにぎりは女将さんや茅野姫や、この猪蟹屋番頭株リオレイニアに付き従って――
ガムラン町や神域惑星を、つねに往復している。
「わかりませんが……〝頭を撫で、撫で返され、ご満足されると串焼きを一本購入してお帰りになる〟と聞いております、ふふふ♪」
おにぎりのことをかわいいと思ってくれてるのは、ありがたいことではあるのだが――
「ぬぅ、あぶなくはねぇのか? 万が一、誰かが転んで、どつき合いにでもなった日にゃ――」
大惨事じゃね?
「問題ないト類推しマす。ガムラン町ノ女性冒険者ノ防御力ハ央都の一般的ナ同年代の女性ト比べテ、約15倍ニ相当しますノで」
んー?
普通の若い女の防御力が8として、120?
ルリーロとかリカルルとか、化け……とんでもねぇ連中を見なれたから、見当が付かん。
おれは隣に座る頭陀袋装備の、美の権化(?)を――
しめしめうっひっひ♪
品定めするように、上級鑑定してみた。
チーン♪
『リオレイニア・サキラテ
装備/初心者用魔法杖
コントゥル家の簡易インナーアーマー
コントゥル家の給仕服
コントゥル家の従者用靴』
「こらっ――――いくらパーティーメンバーでも、女性の体をなめ回すように、盗み見るものではありませんよ」
つん――指先で額を突かれた。
「あ、いけねっ。つい盗み見るような真似をしてすまん。普通の若い女が、どれくらいの防御力を持ってるのか気になってなぁ」
よほどじっくり見つめないと、詳しい強さや装備品の詳細は出てこないからな。
「構いませんが今後は一言、断ってから上級鑑定すること。よいですね?」
コトリと置かれる、鉄の棒みたいな物。
「へい、肝に銘じらぁ――?」
棒には紐が付いているなと、見つめていたら――
「これはコントゥル家に仕える執事長や小隊長や侍女隊班長か、またはより上の役職へ支給される、特殊な魔法具です」
それほど数は無いらしい。初めて聞いたし。
「この魔法具は上級鑑定を阻害することで、コントゥル家の装備の情報漏洩を防ぐものです」
棒を外した途端に、追加の情報が画面に現れた。
ふぉふぉん♪
『リオレイニア・サキラテ(New>19)
New>サキラテ家37代目筆頭従士
装備/New>主兵装<初心者用魔法杖>
New>副兵装<風塊の魔杖>
New>猪蟹屋の頭陀袋
New>王虎の肌着
コントゥル家の簡易インナーアーマー
New>コントゥル家の可憐なメイド服
New>コントゥル家の俊敏な靴』
追加部分に表示された『New>』の図案が――
点滅して消える。
ヴュッパパッ♪
『HP:■■■■■■■■■
MP:■■■■■■■■■
攻撃力:247
防御力:140』
なんか、全部見えちまうってのはドキドキするな。
けど妙に少なくね?
迅雷どう思う?
ふぉん♪
『>普段使いの装備と思われますが、元S級冒険者の装備としては、多少の性能不足を感じます』
だよな。
そうだ、アレはどんな感じだったっけ?
ふぉふぉん――チカチカチカ♪
『日夜シリーズ一式【終日】
全防御力日中336~夜半784(+229~+677)。
全魔法攻撃力日中342~夜半81(+143~-118)。
時間帯によって追加効果が変わる、
摩訶不思議な魔術師向け防具一式。
追加効果/日中INT+30/AGL+30
条件効果/日没中にHPが一割を切ると女神の加護により、
STR+30/ATK+30/VIT+30
装備条件/INT25。成人女性または、成人前の子供』
ブクマから呼び出したのは――
魔術師フッカに作ってやった、一式装備。
防御力が最低の状態でも、かるく300を越えてやがる。
これと比べたら頭陀袋嬢の装備は、随分と心許なかった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!
異世界起動兵器ゴーレム
ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに
撥ねられてしまった。そして良太郎
が目覚めると、そこは異世界だった。
さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、
ゴーレムと化していたのだ。良太郎が
目覚めた時、彼の目の前にいたのは
魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は
未知の世界で右も左も分からない状態
の良太郎と共に冒険者生活を営んで
いく事を決めた。だがこの世界の裏
では凶悪な影が……良太郎の異世界
でのゴーレムライフが始まる……。
ファンタジーバトル作品、開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる