上 下
482 / 739
4:龍撃の学院

482:ネネルド村奇譚、躙り口とタター家

しおりを挟む
 女神像めがみぞう場所ばしょを聞こうと、村長そんちょうさがしてたら――ヴュゥゥゥゥンッ♪
 なんでか突然とつぜん絵で板エディタ空中ちゅうを〝切りわけるとき・・・・・・・みたいな格子・・〟があらわれた。

「「「ぎゃぁっ!?」」」
 格子・・ちかくに居た村人むらびとたちが、あわてて逃げてくる。

 ふぉん♪
『>作成した住居と住居の間の壁が、空間矩形選択されています』
 だな。五百乃大角いおのはらがなんかしたか?
 振りかえり、魚の卵うまそうなのさがす。
 いややつはムシュルがいを、つまみ食いするのにいそがしそうだぜ?

 チキッ――バッガァァン!
 かべ爆発ばくはつし、木屑きくずかぜながされる。
 あらわれたのは、えらくちいせぇが……とびらか?

 ゴドン――ガチャチャリ♪
 それ複雑ふくざつに、こっちへ向かってひらいた。

「あら、みなさまおそろいで、くすくすす
 なかからあられたのは――おれそっくりな猫耳ねこみみメイド。
 とびらさえ有るなら、どこへでも……いや、とうとうとびらがなかったところにまでつらを出しやがった。

 村人むらびとたちに一斉いっせいに見つめられても、どうじない胆力たんりょくは――
 さすがは、かみなのかもしれないが。

「やい、いきなり爆発ばくはつしたら、あぶねぇだろうが?」
 さき格子で括った・・・・・・のは、〝人が居るかど・・・・・・うかを探った・・・・・・〟ってことなんだろう。
 けどあぶねぇことに、かわりはねぇ。

 猫耳メイドかやのひめ中腰ちゅうごしになり、じりじりとこちらへ出てきた。

「ネネルドむらみなさま。おどろかせてしまって、ごめんなさい。わたくしはカヤノヒメ。そこに居るシガミーの縁者えんじゃ……家族かぞくですわ。以後いご見知みしりりおきを、くすくすす
 実際じっさいからだはほとんどおなじだから、家族かぞくみたいなもんではある。
 なによりそう言った方が、通りが良い・・・・・

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>なにやら楽しそうな予感がしたのでネネルド村近郊の、この女神像へ繋げたのですわ、プークス♪』

 ヴォォゥン♪
 一行表示ティッカーつづいてあらわれた小窓こまどは、おれや迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらにしか見えないものだ。
 そこに表示ひょうじされたのは、神域惑星しんいきにある御神体像メガミぞう
 その背中せなかに付いた、ちいさめのとびら
 アレあれをどこにでもつないで、どこからでも出てくるようになっちまった。

 いやまて……よく見れば、ぞう両肘りょうひじあいだ何か有るぞ・・・・・
 敬虔けいけんなイオノフ教信徒きょうしんとのように、組んだ手のしたあたり。
 そこにはさらちいさなとびらが、増設されていた・・・・・・・

 ふぉん♪
『ホシガミー>ちょうど良いスペースがありましたので、もう一つ接続先を設定しましたわ♪』
 とびらだらけになっちまった五百乃大角いおのはらぞうは――
 多少たしょうあわれにかんじじなくもない。

 背中せなかとびらは、央都おうと大講堂だいこうどう接続せつぞくされている。
 そしてむねあたりにつくられた、それよりもさらにちいさな――
 まるで草庵茶室そうあんちゃしつの、にじぐちみたいなとびら
 それをこのネネルドむらつないで、さっそく面白い様子・・・・・見物けんぶつに来やがったってわけか。

 ふぉん♪
『ホシガミー>神域惑星の管理に際して、その全権を任されていますもの。見逃す手はないですわ、くすくす?』
 ぐっ、星神こいつからしたら〝おれたちの面白おもしろおかしい様子ようす見逃みのがさないこと〟と――
 神域惑星しんいき、つまりおれたち五百乃大角いおのはら一味いちみ全保有ぜんほゆう食材管理しょくざいかんりは――
 どっちもたのしくて、面白おもしろおかしいってこと……らしいぜ。

「あれまぁ、どこからあらわれたんだい?」
「シガミーちゃんに、そっくりだねぇー!」
「そうしたらシガミーちゃんの、おねえちゃんかい?」
「こりゃまた姉妹しまいそろって、美人びじんさんだねぇ♪」
「「「「「うふふふふふふふっ、あははははははっ♪」」」」」
 だからむら女衆おんなしゅうがどんどん増えるのは、どいうわけだぜ?

 巨木きょぼくみきがわから出てきた、〝女神メガミ料理番りょうりばんあね〟と言い張る小娘こむすめ
 そんなあやしげなものを、ひとしきりくびをかしげてわらったあとは――
 一切合切いっさいがっさい、呑み込んじまう――
 きもの据わりようったらねぇぞ?

 おい迅雷ジンライ。ネネルドむらかんして、調しらべられるだけ調しらべとけ。
 五百乃大角いおのはらがもつ〝この世界せかいすべてが書かれたとらまき〟の一部いちぶを、いまは見られるんだろぅ?
 ふぉん♪
『>希少食材や調理レシピ、装備クラフトレシピに限られますが?』
 たとえめし装備作そうびづくりにかんする事柄ことがらに、限られていた・・・・・・としてもだ。
 ふぉん♪
『>了解しました』

「あらあらまぁまぁ、すいぶん沢山たくさん食材しょくざいですねぇ、プークス
 食材しょくざいやまをまえに、大鍋おおなべをゴトリと置く。
「さぁ、ではなにをおつくりいたしましょう? うふふふ
 大鍋おおなべにムシュルがいの剥き身や切った野菜やさいを、ぜんぶ入れちまうおれあね
 あああもう全部入れちまったら・・・・・・・・・、よせなべくらいにしかならんだろうが。

「それにしても、村人むらびとさんがたくさん居ますねー、ププークス
 茅の姫ほしがみまよいのないながれるような手際てぎわで、四角しかく小鉢こばち大量たいりょうならべだした。
 これからますますあつくなるって時分じぶんに……寄せ鍋・・・
 あついときのなべも、おつ・・ではあるが?

 そして小鉢こばちをまえに、嬉々ききとして計算魔法具けいさんまほうぐはじはじめやがった。
 この小鉢こばちわぁ、冷てぇ菓子・・・・・を出すのに……使つかってるやつだろ。

「このむらはタターの故郷こきょうだぞ? 間違まちがっても……守銭奴しゅせんどなまねはするなよ?」
 ぴくりとからだふるわせる、小商こあきないが趣味しゅみかみ
 大方おおかた熱々あつあつなべを食わせて、〝つめてぇ菓子かしを売り込む魂胆こんたん〟だったんだろうな。

 ふぉん♪
『>そして、カヤノヒメ。アナタが〝接続〟したのは女神像ではありません。巨大な木の幹、その奥深くです』
 そうだぜ、うしろ見てみろや。おまえさんが出てきたのは、すごくふとくてなげ木だぞ・・・

「そんなはずは、プークス
 振りかえる、星神茅ほしがみかやひめ
 ふぉん♪
『シガミー>な? どこから見ても、木だろうが?』
 くびをかしげ合う、おれと瓜二うりふたつなやつ

 ふぉん♪
『>ですが、カヤノヒメの繋いだ神域惑星の扉は』
 ああ、超使ちょうつかえる。正直しょうじき超助ちょうたすかる。
 またかえりも馬車ばしゃかついで、太鎖ふとくさりに引かれた日にゃ――
 央都おうと城壁じょうへき突き刺さる・・・・・に、決まってるからな。

   §

「どうも、ちちのルースターです」
「うふふ、ははのイフターです」
「えへへ、いもうとのジターだよ」
 タター一家いっか:をひきつれ、少女しょうじょメイド・タターやレイダやおにぎりたちがもどってきた。

「こんにちわぁん、ご無沙汰ぶさたしてますわぁ――レーニアちゃぁん、れいものおぉーおわたしぃーしーてーねぇーん♪」
 おおきなつつみとちいさなつつみと、やたらとながつつみが長机テーブルに置かれた。

はじめましてぇー。アナタの世界せかいのよりどころでぇーすーぅ。イオノファラーをしていますわぁ
 おおきなつつみのうえ颯爽さっそうと、ご登壇とうだん御神体ごしんたい

「やや、辺境伯へんきょうはく名代みょうだいさま!? なんと見事みごとさかなたまごか♪」
 興奮こうふんする、タター父ルースター
「あらあら、まぁまぁ。こんなにおいしそうなおさかなたまごは、見たことがないですよ♪」
 おなじく興奮こうふんする、タター母イフター

料理番りょうりばんの、シガミーだぜわよ」
INTインテリジェンスタレットノ、迅雷ジンライ
 いちおう、おれたちも名乗なのったが――
 それどころでは無いようだぞ?

「タター。今日きょうは、ご馳走ちそうですよ♪」
「やったね、おねえちゃん♪」
「えぇーっ!? みんなちがうよ、それは魚の卵ごちそうじゃないよ? イオノファラーさまだよ!?」
 どうやら五百乃大角いおのはらは、このあたりでもめずしい食材しょくざい瓜二うりふたつらしいぜ。 

「おう、食えるもんなら、遠慮えんりょなく食ってくれ!」
「こら、シガミー! 不敬ふけいですよぉーん
 ふぉふぉん♪
『イオノ>なんかさ、魚の卵さまさぁ。侮れなくね?」
 たしかに、ここまでくちそろえて〝うまそう〟と言われると――
 おれも〝料理番りょうりばん〟のはしくれだし――多少気たしょうきになって来た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スター・スフィア-異世界冒険はお喋り宝石と共に-

黒河ハル
ファンタジー
——1つの星に1つの世界、1つの宙《そら》に無数の冒険—— 帰り道に拾った蒼い石がなんか光りだして、なんか異世界に飛ばされた…。 しかもその石、喋るし、消えるし、食べるしでもう意味わからん! そんな俺の気持ちなどおかまいなしに、突然黒いドラゴンが襲ってきて—— 不思議な力を持った宝石たちを巡る、異世界『転移』物語! 星の命運を掛けた壮大なSFファンタジー!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...