滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
477 / 740
4:龍撃の学院

477:大陸間弾道卵の謎、ネネルド村上空

しおりを挟む

 エドはふたりを見て、にこっと笑う。ジーンもディアも、なんだか嬉しそう。

「今度、ぜひ遊びに来てください。みんな、リザ姉様のお友達と会ってみたいって言ってましたし」
「そうなの?」

 私は目を瞬かせてエドに視線を向けた。エドは肯定するように首を縦に動かす。

「うん。アカデミーに入学してからのリザ姉様の話も、もっと聞きたいし!」

 目をキラキラと輝かせるエドにそっと手を伸ばして、その頭を撫でた。シー兄様も、アル兄様も、それに私も。アカデミーに身を置いているから、きっと寂しいのよね。

「そうね、建国祭が終わったらたくさん話しましょう」
「うん!」

 心底嬉しそうなエドを見て、エド宛に手紙をたくさん出そうと決めた。

「長期休暇が待っていますものね」
「そうね。時間が合えばお邪魔したいわ」
「……そういえば、ディアは長期休暇の間、どうするの?」

 長期休暇はそれぞれ地元に戻る人が多い。アカデミーの寮はどうなるのかしら? ディアは留学生だから……。

「アカデミーの寮に残るつもりだったけど……?」

 キョトンとしたようなディアの表情に、私たちはじっと彼女を見た。ジーンが言いづらそうに眉を下げて、それからおずおずと口を開く。

「あ、あのね、ディア。長期休暇の時は、アカデミーの寮を閉めるのよ」
「え?」

 初耳、とばかりにディアが目を丸くする。

 ――長期休暇はもう目の前だ。

「……エド、お母様たちは夜には家に帰って来る?」
「うん、帰って来るよ。お母様は」
「そう。じゃあ、長期休暇の間にディアと一緒に暮らせないか、聞いてみてくれない?」
「わかった。お母様に聞いてみるね!」

 エドが明るくそういうと、ハッと我に返ったディアがおろおろとし始めた。アンダーソン邸は広いし、ディアがひとり、長期休暇の間に暮らしても問題ないだろう。そう判断して、エドに声を掛けたのだ。

「そんな、迷惑では……?」
「私は全然。アンダーソン邸、広いし、使っていない部屋たくさんあるのよ」
「クラウディア王女と遊べたら嬉しいな!」
「リザ、エドワード様……」

 ディアがちらりと私たちを見て、それから「ありがとう」と微笑んだ。
 ……アル兄様とヴィニー殿下の言葉が本当なら、この長期休暇の間に、シー兄様とディア、少しは進展するかもしれないわね……。

 どう進展するのかは、わからないけれど。

「それじゃあ、失礼しました」
「エド、ゆっくり休むのよ」
「はぁい」

 エドは私たちに向かってぺこりと頭を下げると、控室から出て行った。私たちは軽く手を振りながら彼を見送った。

 ぱたんと扉が閉められて、私たちは互いに顔を見合わせた。

「長期休暇のことは知っていたけど、アカデミーの寮のことまでは知らなかったのね?」
「ええ。……もしかしたら、聞いていたかもしれないけれど、ダンスのことで頭がいっぱいだったし……」

 頬に手を添えて、眉を下げるディア。……確かに、建国祭のことで頭がいっぱいの時に聞いていたら、アカデミーの寮のことは頭の隅に追いやられるかも、と思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【全12話/完結】リタイア勇者たちの飲み会

雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
◇12/20:::HOT90位ありがとうございました!RPGで言うところの全クリをした後、富も名声も女も時間も何もかもを満喫しつくした「元勇者=リタイア勇者」たちと、設定上やられ役=悪役キャラの魔王や魔女たちが繰り広げる、ほのぼの居酒屋同窓会。 自己中神様にハレンチ女神。不倫二股ヒロインたちも登場して、毎夜毎夜飲みまくる、胃袋ブレイク。 (いろいろ増えるよ。登場するよ) ※加筆修正を加えながら、ゆっくり更新中です。 ※第二回お仕事コン楽ノベ文庫賞の受賞候補作品でした。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...