滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
460 / 740
4:龍撃の学院

460:央都猪蟹屋プレオープン、茶会と小言と獅子頭

しおりを挟む
「まさかこんなちいせぇ種火たねびが、あそこまでふくれ上がるとはおもってなくてよ!」
 まだひとつのこってた、ちいさな「ひのたま」。
 それをヴッ――取りだした団扇うちわで、たたいて消した。

 わいわいがややや、にゃみゃがぁ♪
 きゃはははうふふ、ひっひひぃん?
「おかわりを――」「わはひも――!」「ははふひははほ――♪」
 おれが巻き起こしたことではあるが、この世界うつつ連中れんちゅうは――
 どこか浮世離うきよばなれが、過ぎる。

「みんなっ、あとおっちゃんもすまねぇ!」
 おれは誠心誠意せいしんせいいこうべを垂れた。
 なんせこいつぁ――
 不慮ふりょ事故じことか手違てちがいいで、済むはなしじゃねぇ。
 おれの料理りょうり仕上しあげっていう、〝見世物み8せもの〟だからな。

「うふふふっ♪」
 生意気なまいき子供こどもレイダが、わらいやがる。
 やいてめぇ。本気ほんきわるいとおもってんだぜ!
 ぎっとにらむと――
「シガミーの出しもので、爆発ばくはつしなかったのなんてないでしょ。つぎわたし、わたしにもやらせて!」
 取りつくしまがねぇ。

「ひゃぁぁっ――――かわいい♪ ふわっふわの、もっこもこ♪」
 ビビビーが、チリチリになったおれのかみを、おおきなくしいている。

わタし算出さンしゅつしタ燃焼規模ねんしょウきぼ大幅おオはばニ超エ、831・5KWキロワットアワー到達とうタつしマした。マナノ大気成分たいきせいブんへノ影響えいキょう考慮こウりょしていナかった、わたシ責任せきニんデす。みなさマへ謝罪しゃザいいたシ――――」
 迅雷ジンライも、こう言ってることだし……そろそろ勘弁かんべんしてくれ。

「けどこれ、おじょうさまか奥方おくがたさまに知られたら――こまったことになるかも知れませんよ?」
 なんだと!? リオがおれのあたまながめ、そんなおどしをかけてきた。
 おれはもう一度いちどあたりを見わたす。

 ふぉん♪
『ホシガミー>くすくす。心配せずとも、人的被害はありません』
 高床たかゆかにした、石床いしゆか階下した
 厨房ちゅうぼうから、茅の姫ほしがみ一行表示ティッカーを飛ばしてくる。

「みゃにゃぎゃぁー
 いや呑気のんきにしてる場合ばあいじゃねーぞ。
 おまえは片耳かたみみまわりが、焦げてる。
「ひひひひひぃぃん?」
 おまえは、あしさきが焦げてる。

 おれは、手にした猪蟹屋ししがにや団扇うちわで――
 寄ってきたねこうまを、ばったばたとたたき。
 そのすすはらってやった。
 コイツらの毛皮けがわ伯爵令嬢リカルル伯爵夫人ルリーロ、そして変異種ヴァリアント攻撃こうげきはじ性能つよさがある。
 これを破いた・・・のはニゲルの、攻撃力こうげきりょく34をほこる『まがい物の聖剣(安物)』。
 それと、フェスタの舞台ぶたいで立ち合った烏天狗おれの『仕込み錫杖(直刀)』だけだ。

 すすが落ち、綺麗きれいになった猫馬どもやつらは――
 テーブルへもどり、菓子プリンを食べはじめる。
 おまえらは……はながねえから気にならんのかもしれんが。
 大食おおぐらい席以外せきいがいの、みんなのさじが止まってる。

「ふんふん、木が燃えたにおいがするかぁー?」
 このすすを、どうにかしねぇと。
 焼けた櫓組やぐらぐみのかべ天井てんじょうを、あたらしくつくなおすにも――
 子供こいつらを一度いちど退かさねぇといけねぇ。
 きゃくとして呼んだわけだし……そいつぁ、うまくねぇ。
 どうすりゃ良い?

 ふぉん♪
『解析指南>炭化した表面を構造色で塗り替えることで、炭素分子の剥離を防ぐことが可能です』
 わからん。
 ふぉん♪
『ヒント>ゲタスベール/量子記述的に再配置された表面構造は、構造色の構造を含みます』
 わからん。

「(下駄げたの歯に塗布とふしていた〝栴檀草せんだんそう〟のような構造こうぞうを、漆喰しっくいがわりに使用しようしま)」
 水平すいへいたおれ、平謝ひらあやまりをしていた相棒あいぼうが――ヴォヴォォンと起き上がり寄ってきた。
「そいつぁー、どーすりゃ、良いんだぜ?」
 向きを自由じゆうに変えられる、栴檀草の実ひっつきむし
 かべをすべったり天井てんじょうに張りつく以外いがい使つかかたを、おれは知らん。

わたシをかザして、焦ゲた木ノイろ塗り替えて・・・・・くダさ
 じゃあ、まずはソレをやっちまうか――迅雷ジンライをひっつかむ。

「えっ!? なにそれ面白おもしろそう! やるっ! わたしがヤル!」
 相棒ジンライをレイダにうばわれた。
「まてこら、かえ――!?」
 目のまえに、質素しっそ可憐かれんな……美の魔神イオレイニア降臨したたちふさがる

「シガミー。これからは即興そっきょうげい披露ひろうすることを、ひかえていただけませんか?」
 仏道ぶつどう帰依きえしたおれでさえ――とりこにされちまうひとみ
 魔眼殺まがんごろしの黒眼鏡越くろめがねごししでも――そういつまでもめつけられたら。
 どーにかなっちまうかもしれねぇから、目線めせんを逸らす。

「へぁ? そりゃこまる、いざってときの見せもんがなきゃ――」
 仁王立におうだちの、美の魔神イオレイニア
 質素しっそなドレスがはためく。

「でしたら、わたくしとレイダの了承りょうしょうを、取り付けてからにしてください」
 魔神まじんが、おれのうしろろあたまに取り付いた。
 うすいしりでどかりと、ビビビーがよこ退かされる。
 まだ、ご立腹りっぷくらしい。
 ビビビーに八つ当たりを、するくらいには。
 ここは言うことを聞いておく。

「んぁーうん。わかった。言うとおりにするぜ」
 実際じっさい毎度毎度まいどまいど騒動そうどうを起こしちまってるしな。

「(迅雷ジンライ、そっちはまかせても良いか?)」
 もさもさもさ。
 いつも、するりとはいっていた手ぐしが――
 ぎゅぎぎ――「た、いてぇ!」

「(はい。了解りょうかいしまし)」
 相棒あいぼうが、子供レイダに振りまわされても頑張がんばってる。
 おれも頑張がんばらねぇとな。

「ヴィヴィー。そのブラシを貸していただけますか?」
「いーよ、レーニアおば……レーニア先生せんせい。はい♪」
 ビビビーがおおきなくし手渡てわたし、塗装とそうはじめたレイダのもとへ駆けていく。

「どうぞ、お使つかください。プークス
 茅の姫かやのひめ配膳はいぜんのついでに、おおきめのかがみを――ゴトン♪
 目のまえに、置いてくれた。

「わ、わるいな。おれのかみなんか、どうでも良いぞ?」
 かがみうつりこむおれのあたまは、まるで獅子頭ししがしらだ。

「どうでも良くはありません! このかみをあのお二人ふたりに見つかったら、きっとわたしも……ふぅ、おこられますので」
 くしを入れるたびに、もっさりとふくれあがる、金糸かみたば
 あのお二人ふたりというのは、コントゥル母娘おやこのことだ。
 さっき言ってた、「おこられる」というのは――
 ひょっとしたら、おれのかみが焦げちまったことか?

「じゃぁ、こいつを使つかってくれ」
 ヴヴッ――――ふわさっ。
 なにもない空中ちゅうから、一本いっぽんおびを取りだした。
 天衣無縫てんいむほうスキルを使つかわず、エディタで縫い合わせただけのぬのだ。

 ふぉん♪
『紫色のリボン』
 頑丈がんじょうだけど装備そうびとして仕上しあげてないから、防御力DEFは付かなかったみたいだ。

「おや、これは――れい測定時そくていじ着用ちゃくようしていたリボンですか?」
 おっちゃんが、四角い器プリンを手に寄ってきた。
 わいわいがややや、にゃみゃがぁ
 きゃはははうふふ、ひっひひぃん?

「シガミー! その装備そうび使用しようは、保留ほりゅうしたはずではっ!?」
 黒眼鏡サングラスそこから――ぎろり!
 眼孔がんこうななめになり、表情ひょうじょうがふたたびけわしくなった。

「いや、これはだなぁ――!?!?」
 わいわいわいがやがやわい!
 みゃにゃぎゃにゃひひひひひひぃん?
 ぎろり!

「カヤノヒメちゃんの、青空食堂あおぞらしょくどうは良かったけど……」
「シガミーちゃんのおうちは、まだ出来できてないのかな……」
 子供こどもたちが飽きちまって、さわはじめた。どうするよ。
 ここで失敗しっぱいするとはじまったばかりの央都猪蟹屋《おうとししがにや》に、けち・・が付きそうだぜ。
 この場をどうにかしのいでくれやぁ、五百乃大角かみさまよぉう!

 ヴヴヴヴヴヴヴウッ――――――――カチャカチャカチャカチャ!
 ヴヴヴヴヴヴヴヴッ――――――――コトコトコトコトコトコトコトコトン!
 プリンという菓子かしおかわり・・・・が、全員ぜんいんせきに置かれた。
 それと収納魔法インベントリから、いままで貯めておいた蘇生薬エリクサーも取り出され――
 なぜか一緒いっしょならべられた。

 ぽこ――こぉん♪
 かるい処理落しょりおち。
 同一どういつエリアない再展開いどうでも、負荷ふかが掛かるらしい。

「ウッケケケケケケケケケケケケケケッ――――――――みなさん、おわすれではなぁいですぅーくわぁぁー? あたくしさまが、かの美の女神イオノファラーであることおぉー。このあたくしさまの料理番りょうりばんを――イジメるなら、相手あいてになりますよぉ
 おれのあたまうえ顕現けんげんし、降りたつ根菜いおのはら

 た、たのもしいな。
 しいたげられてるわけじゃねぇが――
 めずらしくたのもしいな、おまえさまよぉ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

処理中です...