滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

458:央都猪蟹屋プレオープン、タウリンと洞窟カフェ

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先日せんジつハ、シガミーガ大切たイせつ測定魔道具そくてイまほうぐ破損はそンしてシまい、もウわケありませんでシ
 ヴォォォォンッ――♪

 換気口かんきこうから、迅雷ジンライもどってきた。
 おれはうしろがみ独古杵どっこしょを、収納魔法しゅうのうまほうへ――すぽん♪
 こっそりと、普通ふつうかんざしと取りかえておく。

「まだ原因わけもよくわかっちゃいねぇが、ありゃぁ一方的いっぽうてきにおれがわるかった。堪忍かんにんしてくれやぁー」
 ふとももに両手りょうてを置き、へへぇとくかこうべを垂れた。

「いえいえ。それほど高価こうか魔法具まほうぐではありませんし」
 そう言ってくれるのは、ありがたいが。

「あとで詫びをいれに行くつもりだったんだがぁ、どうにもいそしくてなっ――」
 央都おうとにギルド支部しぶ何カ所なんかしょか有る。
 大女神像だいめがみぞうがあるイオノフ教大神殿きょうだいしんでんの向かいに、ギルド本部・・・・・建物たてものがあるのも知ってる。
 ギルド本部・・はギルド職員しょくいんのための施設しせつで――
 なかがどうなってるのか、冒険者おれたちはよく知らん。

本当ほんとうにおかまいなく。わたし査定さていにも影響えいきょうはないので気にする必要ひつようはありません」
 このおっちゃんは五百乃大角いおのはらみてぇなはらをしてるわりに、言動げんどうにそつがねぇ。
 仕事しごと出来できやつは、ちかくに居るだけでなにかしらのたすけになる。
 おれが前世ぜんせつちった、生き抜くための指南ヒントのっとり――

「じゃぁ、今日きょうはどんな用事ようじだい? 猪蟹屋うちにあるもんなら、なんでも好きに持ってってくれ!」
 ぱんと景気けいきよく手をたたき、土間どまに詰まれた自慢じまん品々しなじなをまえに――
 諸手もろてを挙げてみせる。

「いいえ、そういうわけにはまいりません。本日ほんじつうかがったのは別件べっけんです」
 そう言ってかばんから取り出されたのは――
 一冊いっさつ冊子さっし

『小型女神像/取扱説明書』
 女神像めがみぞうの絵が描いてあるぞ?

「リオレイニア非常勤ひじょうきん教員きょういんから、使つかかたおしえて欲しいという依頼いらいがありましたので、こうして参上さんじょうした次第しだいです」
 ふぉん♪
『>カウンター横の、イオノファラーを置くための台座。
  その使い方についての話と、思われます』

「あー、うーん。まいったぜ、これから子供がきどもが押しよせて来やがるってのに……おっちゃんは今日きょう時間じかんはあるのかい?」
 「ひまかい?」と、目を見る。

本日午後ほんじつごご学院がくいんがおやすみですし、もう仕事しごと所用しょようもありませんが」
 「ひまですね」と、目を見返みかえされた。

「なら、ちいと待ってちゃくれねぇか? いまからつく菓子かしを、是非食ぜひくってもらいてぇんだ♪」
 おれは、土間エントランスからつながる廊下ろうかへ駆け込み――
「おまえら手伝てつだえ! 地下ちかにフェスタのときみたいな、座席ざせきつくるぞ!」
 なにもない部屋へや
 行儀良ぎょうぎよ正座せいざする、猫と馬・・・号令ごうれいを掛けた。

「ぐーすやぁ……みゃにゃがぁー
「ぶふひひぃん? ……ひひひぃぃぃん?」
 器用きようにも狸寝入たぬきねいりをしていた、ねこうまくびをもたげる。
 コイツらは寝る必要ひつようがねぇから、無人工房むじんこうぼう仕事しごとが終わると――こうして時間じかんを持てあます。

「ぶふひひひぃぃん?」
 寝ぼける猫の魔物おにぎりうしくびくわえて――ぽっきゅらぽっきゅららと。
「ふぎゃみゃにゃがにゃ――!?
 引きずられる猫の魔物おにぎりと、おっちゃんの目が合った・・・・・

「おや、これはめずらしいですね。ケットーシィと、見たことのない……子馬の魔物ですか・・・・・・・・?」
 すげぇ、おにぎりたちをみてどうじなかったのは――コントゥル家の騎馬隊隊長きばたいたいちょうに次いで二人目ふたりめだ。

かやひめさまっ、お客人きゃくじん食堂しょくどう――応接室おうせつしつへおとおししてくれ。あと、おにぎりたちに、神域惑星しんいき使つかってる、あの四角しかく小鉢こばちを40……いや、100個くらい持ってこさせてくれ――――どかばたん!」
 さぁいそしいぞ。
 猪蟹屋地下ししがにやちか耐爆耐熱耐魔法フルレジスト超多目的ちょうたもくてき対魔王結界スペース改装かいそうするべく――
 おれは、階下かいかへの階段かいだんを駆け下りた。

   §

「あれ? 地下ちか洞窟どうくつが、おみせになってる♪」
 猪蟹屋従業員ししがにやじゅうぎょういんから、学友がくゆうたちをまもっているつもりなのか――
 生意気なまいき有名ゆうめいなレイダが、身をかがめつつおりてきた。

 うぞぞろうぞぞろ、がやがや、ややがやっ――「みゃにゃぎゃぁぁ――

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うぎゃっつ!? ねこ魔物まものだっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 今日きょうは、いつものA組クラスだけじゃなくほか教室きょうしつらつらも居る。
 初見しょけんは、こうしておどろくのが普通ふつうだ。

「あの子は、だいじょうぶですわ。つよたたいたりしなければ、やりかえされることはありませんもの♪」
 ビビビーが説明せつめいを、かってでてくれる。

「「「「「「つよたたくと……やり返すんだ・・・・・・?」」」」」」
 子供こどもたちのなかでも冷静れいせいやつらが、肝心かんじんところに気づいた。

「ひっひひひぃぃぃん? ひんひんひひぃぃん?」
 つぎはてんぷらごうばんでしょ?
 ねぇ、てんぷらごう出番でばんはここでしょ?
 とでも言いたげな、大暴れはしゃぎよう

 ぽきゅぽぽきゅぽぎゅらららっ――!
 手綱たづなをつかんでいた、かやひめが引きずられるが――
 まあ、放っとく。
 子馬てんぷらごうはおにぎりとちがって、悪さ・・はしねぇからなぁ。

 子供こどもたちとの距離kとりを詰めていく子馬こうま
 ぎゃく子馬こうまから距離きょりを取る、子供こどもがひとり。
 おおきく遠回とおまわりし、おれの背にかくれる給仕服姿メイドすがた子供こども

「シガミー、お手伝てつだいすることが有れば言って♪」
 はなれていく子馬こうまから目をはなさない、ネネルドむらのタター。
 どういうわけだか彼女かのじょは、ラプトル王女おうじょつくったあの馬ゴーレムてんぷらごうに――
 毎度まいど袖口カフスを引っかけられ、引きずられるのだ。

 この対魔王結界ちかどうくつ王女謹製おうじょきんせいの巨大きょだいゴーレムで――しかもそのはらなからしい。
 伯爵令嬢はくしゃくれいじょう天狗役てんぐやく熾烈しれつ試し斬り・・・・に耐えたことから――
 〝魔王まおうという生物いきものふうじ込めるためにつくられたもの〟であることは間違まちがいないが――
 この洞窟どうくつ地中を歩く様・・・・・・というのは、いまいち想像そうぞうできない。

 そんな殺風景さっぷうけい場所ばしょいまは、その様相ようそう変化へんかさせ――
 とても地下洞窟ちかどうくつや、対魔王結界たいまおうけっかいにはみえない。

「へぇー。ビオトープをながめられる、洞窟どうくつカフェなんてぇ素敵すてきじゃないのよさぁー
 女神イオノファラー御神体ごしんたいである五百乃大角いおのはらうつし身(物理ぶつり)が、歓声かんせいを上げる。

 檜舞台ひのきぶたい櫓組やぐらぐみのテーブルせき
 茅の姫ほしがみ出してくれた・・・・・・木々きぎが生いしげる、いまの有りようは――
 ふっふっふっ、とても洞窟どうくつにはみえないだろうさ。

「良いわね、乗ってきたわぁ♪ さぁ、メニューを。メニューをお寄越よこしなさぁい
 ちっ、おまえさまは、またガッツリ食う気か?
 子供たちがきどもは喜んでくれてるが、かみさんは櫓組やぐらぐみのかこいを一瞥いちべつしたきり――
 降りたったテーブルのうえなにかを、さがはじめた。

 ふぉん♪
『>ガムラン温泉街の仕事にも引けを取らない、
  良い仕事と自負しています。気落ちする必要はありません』
 だぜよなぁ。

 階段途中かいだんとちゅうつくった頑丈がんじょうな木の足場あしば
 そこへ石床いしゆかを敷き、可愛かわいらしいつくえ椅子いすならべた。
 「にわを出せる」と言うから茅の姫ほしがみにまかせた〝にわ〟も、相当立派そうとうりっぱだ。
 っていうか木々きぎまるく刈り込んだありゃぁ……おにぎりや、でかい子馬こうまか?
 子供こどもたちが、目をかがやかせる。

「どうぞ、メニューです♪」
 タターが、出せる料理の一覧おしながき――光る黒板タブレットをテーブルに置いてった。

「ふふーん♪ このたてだかよこだかわからないほど肉厚にくあつなお肉料理にくりょうり――ステキ♪」
 いつの間にかせきに着いていた、大食らいの子供ビステッカ

「あら、ほんとねぇん――ステキ♪ じゃぁ、あたくしさまもおなものおぉー♡」
 五百乃大角おまえさまがたは、本当ほんとうにまた食う気か。

 ふぉん♪
『>喰らいつくビステッカじょうを振り切り十数皿平らげてから、
  2時間49分しか経過していませんが?』
 ふぉん♪
『イオノ>うん。岩壁ツアーは良い腹ごなしになるわねぇん♪』
 だめだな。まるではなしつうじてねぇ。

「では、わたくしおなものをいただけますか? 規定きてい料金りょうきんは、お支払しはらいいたしますので」
 あれ? なんでか、この大食らい席・・・・・にもう一人ひとりすわってるやつがいるぞ。
 それは食堂しょくどう……応接室おうせつしつへおとおししたはずの、ギルド支部職員しぶしょくいんのおっちゃんだった。
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