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4:龍撃の学院

455:猪蟹屋四号店(央都拠点)、無人工房テーマソングと初代ラスクトール王

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「すべテの工程こうテいしょウじテいた、〝待チ時間じかン〟ガ解消かいシょうさレまし
 なんだと?
 けどたしかに、さっきまでとちがって――
 みょう仕事しごとすすみみが、はやくね?

「どういうこったぜ?」
 がさがさ、ドサドサドサ――ガチャガチャガチャン♪
 おにぎりが抜けたところに、途端とたん仕事しごとが積みあがっていく。
「ふぎゃみゃぎゃ――!?
 あわてて飛んでもどる、自律型一号じりつがたいちごう

「〽魔物まものと見れば、追いかけろ!」
 このいさましい、リカルルの歌声うたごえ
 詩に込められた、むくつけき冒険者たちやろうども心意気たましい

 そんなもんには、一切関係いっさいかんけいねぇ――あれだな。
 ちぐはぐだった無人工房むじんこうぼうが、はしからじゅんととのっていくのは――

 ガムランちょう鍛冶工房かじこうぼう工房長ノヴァドたちが、五百乃大角いおのはらうたくちずさみ――
 一心不乱いっしんふらん仕事しごと邁進まいしんする――無我むが境地きょうち

 でもねぇか――演算単位ひとのこころがあるのは、まだ自律型一号いっぴきだけだ。
 こころかよわせる相手あいてが居ない――「どういうこったぜ?」

原材料げんザいりょう加工かコうスるタイミングヲ、的確ニ崩されて・・・・・・・いるようデ
 あー、この――

「〽ウホウホホホォヴォヘェヘェェェェッ――――♪」
 のところか。
 ひとこころがなくたって、こんなもんを聞かされりゃ、すっころんじまわぁ。

 機械しくみ機械しくみすきまをつなぐ銀色のもえない猫の魔物おもちが、定期的ていきてきガクッ・・・ひざを曲げている。
 がさがさ、ドサドサドサ――ガチャガチャガチャン♪
 すさまじいいきおいで製品せいひん出来できあがり、同時どうじ食材しょくざいしたごしらえが終わっていく。

 ソレを見た自律型一号おにぎりまで、「みゃにゃがっ!?」とひざを曲げるにいたり――
 がさがさがさささっ、ドサドサドッサドサッ――ガチャガチャガチャガチャチャン♪
 これだけのはやさで売りもんこしらえられるなら、すこしくらいうたがやかましくても我慢がまんできらぁな。

 ガチャガチャガチャ――――よっと、ガンガンガンガガン!
 おれは姫さんリカルルがら詠唱魔法具えいしょうまほうぐ改造かいぞうして、無人工房むじんこうぼう天井てんじょうに取り付けてやった。
 垂らしたひも一回いっかいひっぱるとおとが鳴り、もう一回いっかいひっぱるとおとが止まる。
 さらにもう一回いっかいひっぱったら、また最初さいしょからおとが鳴るように調整ちょうせいした。
 おもいもよらぬことで、無人工房むじんこうぼう完成かんせいしたが――

「いくらなんでも、「うほうほぼへえ」はねぇやな。子馬こうまもひっくりかえってるしよ。このかんがえたやつかおが見てみたいもんだぜ――――ぷはははははっ♪」
 よし、これでかかえてた仕事しごと大部分だいぶぶんを、無人工房こっちまわせるぜ――ぷはははははっ♪

「「〽ウホウホホホォヴォヘェヘェェェェッ――――♪」」
 ん?
 どうした迅雷ジンライ
 おまえまで「ぼへ」るこたぁ、ねーだろが?

「「〽ウホウホホホォヴォヘェヘェェェェッ――――♪」」
 やっぱり、天井うえに取り付けたのとはべつの「ぼへえ」が、うしろからも聞こえて来やがる。

 おれは振り向いた――――ヴォヴゥゥン!
音声入力おんせいにゅうりょく朱狐しゅぎつねシリーズ装着そうちゃく!」
 それは「ぼへえ」と、おなじこえ

 パァァァァッ――――カシャカシャしゅるるるっパチパチン♪
 寝間着ねまき姿すがた一瞬いっしゅんで、狐面の甲冑しゅぎつねシリーズ一式いっしき早変り・・・した。

   §

「あらまぁ、見事みごとたんこぶさま・・・・・・でございますね? プ-クス
 うるせぇ、さわんな。

「さぁ、おじょうさまもちゃんとしてください」
 魔法杖まほうつえ寝間着姿ねまきすがたのご令嬢れいじょうを乗せ、引っぱってくる給仕服リオレイニア
「レーニアー。あと5ふん~、むにゃぁ?」
 夜遅よるおそくまで起きてるから、朝起あさおきられねぇんだぜ――ふわぁぁふ♪

 今朝けさ食卓しょくたく随分ずいぶんと、にぎやかだな。
 おれとレイダに、リオレイニアとタター。
 それに、リカルルとラプトル王女おうじょと、あそびに来てたビビビーと茅の姫ほしがみ
 おんなばっかり8にん
 かなりおおきな長机ながつくえが、見事みごとに埋まった。
 あさっぱらから、すこし窮屈きゅうくつな気がするぞ、迅雷ジンライ

 ふぉん♪
『>そうですね。食卓中央をイオノファラーが、占拠していますし』

「シガミー、この天狗汁てんぐじるおかわりぃー♪」
 アイスクリームをうしちちで割った、つめてぇ飲みもんじつ好評こうひょうだ。
「はい、よろこんで。けど、〝天狗汁てんぐじる〟は止めとけやぁ」
 妖怪ようかいきもとかはいってそうで、心象イメージわりぃだろうが。

   §

「はーいみなさん知ってのとおり、央都おうと一部いちぶ隆起りゅうきしたやまのような場所ばしょです。町並まちなみが形成けいせいされている城壁じょうへき外側そとがわは、なめらかな丘程度おかていど傾斜けいしゃでほぼ平地へいちですが――」
 やたらとせんほそ担任教師ヤーベルトせんせい黒板こくばんに、おおまかな地図ちずえがいていく。

 ここ央都おうと城壁じょうへきは、幾重いくえにもつらなっている。
 それはうえから見れば、ゆみまとのようだ。
 だがそのまとは、小高こだかおかのようになっていて――
 しかもその一角いっかくを、巨大きょだいあなえぐられている。

「(おい、おれたちの地図ちずすこちがってるぞ?)」
 ふぉん♪
『>目視による測量には、どうしても誤差が生じます。
  それと空間全体における形状の理解力に、個人差もあるようです』

「ヤーベルト先生せんせい王城北側おうじょうきたがわ断崖だんがい理解りかいしてもらうには、よこからみたかたちえがくべきでは?」
 見習みなら教師きょうしリオレイニア先生せんせいが、個人差こじんさ指摘してきした。

「えー? ぎゃくむずしくなぁいかー?」
 うでを組み、小首こくびをかしげる男性教師ヤーベルト

 はやはなしが、央都おうと北側きたがわには、切り立つがけがあるのだ。
 本丸ほんまるである王城おうじょうまもりは、完璧かんぺきと言える。
 だれもがリオレイニアやルリーロのように、空高そらたかくを飛べるわけじゃないからな。

 そして央都おうとにある自然しぜん岩場いわばは、北側きたがわがけにしかない。
「(おい、もう王女殿下ラプトルひめに「そのがけ天狗てんぐ烏天狗からすてんぐが、棲むことになったよ」って言っちまったぞ?)」
 ふぉん♪
『>仕方がありません。まさか昨日の今日で、
  授業の題材にされるとは、思いも寄らなかったのですから』
 そうだな。しゃぁねぇーやな。

「じゃぁ、つぎすすみまーす。元々もともと央都おうと火山かざんでしたが、初代しょだいラスクトールおう火龍かりゅう討伐とうばつし――」
 そうなの? 王様強おうさまつえぇなぁ。

「この大穴おおあな断崖絶壁だんがいぜっぺきは、その熾烈しれつたたかいで出来できたと言われていまーす」
 やまを吹き飛ばす王様おうさまか……辺境伯夫人ルリーロみたいなやつだな。

 それに火山かざんに棲むりゅうってこたぁ、ゲイルのお仲間なかまだろ?
 ゲイルは央都ここに、呼ばねぇほうが良いか?
 ふぉん♪
『>魔王軍の横のつながりは、希薄なようなので問題はないと思いますが、
  猪蟹屋三号店〝かりゅうのねどこ〟の開発のおりにでも、
  確認しておきましょう』
 また仕事しごとが増えた……マジ・・わすれてたぞ。

「それでは、授業じゅぎょうはここまでになりまーす。本日ほんじつより三日間みっかかん王城側おうじょうがわのご厚意こういで、王城おうじょう内城壁うちじょうへき解放かいほうされていまーす」
 男性教師ヤーベルトせんせい面長おもながかおを、見習い先生リオレイニアへ向ける。

本日ほんじつのマナー講座こうざは、おやすみです。有志ゆうしつのり、火山跡見学かざんあとけんがくツアーを開催かいさいしいたします。参加者さんかしゃ昼食後・・・教室ここあつまってくださぁい」
 午後ごごやすみの日には、茅の姫ほしがみ神域惑星しんいき食堂しょくどう開催かいさいされる。

 当然とうぜんそのながれのまま、教室全員クラスぜんいんがツアーに参加さんかすることになった。
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