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4:龍撃の学院
436:女神の眷属(ジンライ)、猫と馬を家にとどける
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「カヤノヒメさま、ごちそうさまでした♪」
給仕服のスカートを軽くつまみ上げ、うつむき屈んで片足を引く。
見習い教師の、一礼。
「「「「「「「「「「「「「「「ごちそーさまでした♪」」」」」」」」」」」」」」」
担任教師と生徒たちも、一礼。
少年たちは、腹に手をあて軽くうつむき。
少女たちは、見習い教師の真似をする。
「喜んでいただけて、なによりですわ。またぜひいらして下さいね、くすくす♪」
給仕服のスカートを片手で横に大きくつまみ上げ、やはり片足を引く。
その礼式は、見習い教師とは別の物。
それでも所作は、堂に入った物で――
「まったねぇぇぇぇん――♪」
平手に乗せられた御神体様が、小さな手を振った。
ゴドン――ガチャガチャガチャガチャチャチャチャチャッ♪
黒板横の、ちいさめの扉が閉じられる。
「ふぅー。どーなることかと思ったが、どーにかなったなー」
五百乃大角が癇癪を起こしたときは、肝を冷やしたけど――
「(はい。シガミー)」
ヴォヴォォン♪
うなる相棒も、定格稼働中。
「(茅の姫のアレは、どうなったんだろうな?)」
「(アレとは?)」
アレはアレだぜ、猪蟹屋で出す飲み物の話――。
「にゃみゃがぁ♪」
ぽきゅ♪
「ひひぃぃん?」
ぽきゅら?
「やい、貴様ら。正直、邪魔だぜ」
おれの横の階段をふさぐ、やや大柄な猫と馬の魔物。
「にゃみゃがぁ♪」
目鼻口がなくても、すっとぼけた内面は見て取れる。
「ひひぃぃん?」
つぶらな瞳からは、気が強いのか弱いのかわからん。
コイツらだけで猪蟹屋に帰らせるのも……なんか心配だな。
「えーと、迅雷」
「何でシょうか、シガミー?」
「おまえコイツら、猪蟹屋まで送り届けちゃくれねぇか?」
「私がデすか?」
そうだ。
「リオレイニアに頼むわケには、いきませンか?」
彼女は魔術の実演とかで、授業にかり出される。
「忙しい所に、頼むのも悪ぃだろ」
ここから遠くはねぇけど、ソレでも10分くらいはかかるだろうし。
うーん。そもそも馬猫どもも五百乃大角と一緒に、神域惑星に居てくれりゃ――?
「ひょっとしておまえら、神域惑星の地図作りの手伝いをするのに飽きてたのか?」
「にゃみゃがぁ♪」
「ひひぃぃん?」
聞いてみたが、いまいちわからん。
「(では私に裏天狗の使用を、許可して頂けますか?)」
ふぉふぉん♪
『>汎用強化服二号でも構いませんが』
そうだな、棒の身ひとつじゃ不便だろうし。
「(わかった。轟雷以外は、なんでも好きに使え)」
たしかに辺境と違って、誰でも顔見知りって訳じゃねーから――
誰かが付いてねーと「魔物だ」ってなって、央都の衛兵たちと一戦交えかねねぇ。
「(了解しました。ですが出来るだけお早いお帰りを、お待ちしています)」
どーした。気の弱いことを言って。
「(じゃぁ、今日の授業が終わったら、どーにかしてリオレイニアの躾の勉強を抜け出すから、ソレまで頼んだぜ)」
もし暴れ出すようなら、地下の対魔王結界にでも閉じ込めとけ。
「はイ。それデは行きまスよ。おにギりに、天ぷラ号」
ヴォヴォヴォォォォン――ばたん♪
「にゃみゃがぁ♪」
「ひひぃぃん?」
扉を開け、棒と黄緑色たちが教室を出て行った。
「シガミー。おにぎりたちを先に、帰したのですか?」
「おう、迅雷に頼んだから心配はいらない」
「そうですか。ソレでは本日は気兼ねなく、マナー講座を拡大して開催しますので、そのおつもりで♪」
あー、やっぱり、そういうつもりだったのか。
神域惑星で、みょうに小言が少ないとは思ってたんだよなー。
黒板隅に削れる棒土で書かれた、『本日開催/紳士淑女の社交儀礼講座』。
その下に、『特別拡大版』なんて文字が付け足された。
§
「デは、こノ辺デ良いでシょうか――」
誰もいない通路、木箱が詰まれた影。
浮かんでいた棒が、短くなり――シュカカッ。
ヴッ――ガッシャッ♪
突然姿をあらわした黒装束の小柄な人物に、ガチャリと握られた。
小柄な人物は、棒を懐にしまい――
「さて、おぬしら。儂らだけで歩くのは初めてじゃが、臆することはないぞ」
派手な色の馬の、手綱を手にする。
「では、参ろうかぬぅぉおおぉぉお――――っ!?」
彼が辺りを見わたしたときには、そこに猫の魔物の姿はなく――
「ひひひぃぃぃぃぃんっ?」
嘶き、首を傾げる馬。
「どっ、どこに行きおったっ!?」
ふたりは顔を、見合わせる。
スタタタタッ――ぽっきゅらぽっきゅら♪
やがて小柄と一匹は、小さな通路をのぞき込んだ。
「そこに居ったか!?」
それは三叉路に分かれた、メイン通路ではない。
「みゃんぎゃぁー♪」
軽快な足取りで、ぽきゅぽきゅぽきゅと歩いて行く猫の魔物。
ぽっぎゅみちっ――――「ふっぎゃ!?」
通路に置いてあった箱や本の山に、はさまる魔物。
「まったく、何をしておるのじゃ。まっすぐ家に帰ろうぞ」
手綱を放し、猫の手を引いて通路から抜け出したと思ったら――
「みゃにゃんやぎゃー?」
首を傾げる猫。
「ぬぅ、どうした――?」
振り向く黒づくめ。そこには雄猫もしくは、雌猫以外の黄緑色はなく――
「(ひひひひぃぃぃんっ――――ぎゃぁーっ、馬の魔物だぁぁぁぁっ!?)」
どこか遠くから間抜けた馬の嘶き?と、市民の叫びが聞こえてくる。
ここは1年A組の教室から――わずか50メートル程しか離れていない。
小柄な黒づくめ。その顔布に描かれた『<◎>』の模様が――苦悩に歪む。
「おにぎりよ、拙僧について参れ!」
スタタタッ――――壁を走り、吹き抜けた高い位置にある窓から、外へ飛び出した。
着地し、目を凝らし、黄緑色と市民の影を捉えるやいなや――
矢のように加速する――修験者と呼ばれる人物。
スタタッタトォォン――――――♪。
音がしたときにはもう、遙か先を行く――
その走りは、人知を超えたもので――
修験者が仕える少女の、足さばきを真似たものでる。
「これ馬、天ぷら号よ。どこへ行こうというのか、フォッフォッフォ♪」
努めて冷静に、好々爺の如く振るまう――
黒づくめの、<◎>怪人。
「ひゃぁっ、だ、だれだぁ!?」
「馬の魔物のつぎは――人の魔物が、現れたわっ!?」
がやがやがや。
おそらくは馬におどろき、尻餅をついた中年男性。
その娘らしき女性が、大声を張りあげている。
「ぅぬぅぅ――――!?」
そこで何かに気づき、背後を振りかえる――修験者改め、人の魔物。
彼は、そこに居るはずの誰かを探し、視線をさまよわせ――
やがて目のまえの、建物の二階。
その窓の向こうに佇む黄緑色の、まるで猫の魔物のような人影を見つけるなり――
小柄な体躯を、よろめかせた。
「クカカカカカカッ――!! まったく主らは、大人しく付いてくることも――出来ぬのかぁぁぁぁっ!」
その声量はまさに、彼の天狗と呼ばれる修験者の特性を再現したものであり――
「「「「ひゃぁぁぁっ――!?」」」」
驚き跳ねる、居あわせた市民たち。
「ひひひひひぃぃぃぃんっ――――!?」
驚き駆け出す、馬。
「「「「「「う、馬の魔物だぁぁぁぁっ――――!?」」」」」」
驚きの伝播は、止まらない。
「「「「「「いやまてよ、馬の魔物なんていたっけぇ――――!?」」」」」」
などと興味本位で馬を、追いかけ回す連中まで現れた。
カシャラララッラカシャラララッララッ――――――――ゴドガッシャンッ!
小柄な老人が発する音としては、複雑で金属質な騒音。
それは彼が内包する――――
無限の機械腕の衡が――――
解かれようとしている事を、示していた。
戦慄く、小柄な体躯。
怪音にギョッとする、居あわせた者たち。
アーティファクトである彼、迅雷が所属する『シガミー御一行様』。
その一団が、火山ダンジョンに入った時点で、日本の約1・5倍の長さに達する程の在庫を有する――
彼の通常兵装にして、最大の切り札。
「ちょっと、テェーング様じゃありませんか。しばらくお見かけしませんでしたら、央都に来ていらしたのですね♪」
背後から、そう声を掛けられた老人は――
ヴッ――――じゃっりぃぃん♪
鉄輪の付いた鉄の棒を、空中から取りだした。
老人の主人とおなじ、足軸の動き――ギュキュッ!
振り向いた先に、居たのは――
「ひひひひひひぃぃぃぃんっ?」
黄緑色の馬の魔物のような生物の、手綱を引き――――
「クスクスクスクス、ココォォン♪
こんな町中で私と、立ち合って頂けるのですかぁぁぁぁっ!?」
その口元に宿る、そんな意思。
――――ッィィィィィィイィィィィィィィンッ♪
その両目に宿る、不思議な虹彩。
使用者である少女から、聞いてはいたものの――
自身の認識下において、聞こえないはずの声を聞き――
見えないはずの冷たい殺意を、目の当たりにした――
INTタレット迅雷は――
「リ、リカルル・リ・コントゥル。あいや、助かったわぃ!」
修験者・天狗を装いつつも、素直に感謝を口にするのだった。
給仕服のスカートを軽くつまみ上げ、うつむき屈んで片足を引く。
見習い教師の、一礼。
「「「「「「「「「「「「「「「ごちそーさまでした♪」」」」」」」」」」」」」」」
担任教師と生徒たちも、一礼。
少年たちは、腹に手をあて軽くうつむき。
少女たちは、見習い教師の真似をする。
「喜んでいただけて、なによりですわ。またぜひいらして下さいね、くすくす♪」
給仕服のスカートを片手で横に大きくつまみ上げ、やはり片足を引く。
その礼式は、見習い教師とは別の物。
それでも所作は、堂に入った物で――
「まったねぇぇぇぇん――♪」
平手に乗せられた御神体様が、小さな手を振った。
ゴドン――ガチャガチャガチャガチャチャチャチャチャッ♪
黒板横の、ちいさめの扉が閉じられる。
「ふぅー。どーなることかと思ったが、どーにかなったなー」
五百乃大角が癇癪を起こしたときは、肝を冷やしたけど――
「(はい。シガミー)」
ヴォヴォォン♪
うなる相棒も、定格稼働中。
「(茅の姫のアレは、どうなったんだろうな?)」
「(アレとは?)」
アレはアレだぜ、猪蟹屋で出す飲み物の話――。
「にゃみゃがぁ♪」
ぽきゅ♪
「ひひぃぃん?」
ぽきゅら?
「やい、貴様ら。正直、邪魔だぜ」
おれの横の階段をふさぐ、やや大柄な猫と馬の魔物。
「にゃみゃがぁ♪」
目鼻口がなくても、すっとぼけた内面は見て取れる。
「ひひぃぃん?」
つぶらな瞳からは、気が強いのか弱いのかわからん。
コイツらだけで猪蟹屋に帰らせるのも……なんか心配だな。
「えーと、迅雷」
「何でシょうか、シガミー?」
「おまえコイツら、猪蟹屋まで送り届けちゃくれねぇか?」
「私がデすか?」
そうだ。
「リオレイニアに頼むわケには、いきませンか?」
彼女は魔術の実演とかで、授業にかり出される。
「忙しい所に、頼むのも悪ぃだろ」
ここから遠くはねぇけど、ソレでも10分くらいはかかるだろうし。
うーん。そもそも馬猫どもも五百乃大角と一緒に、神域惑星に居てくれりゃ――?
「ひょっとしておまえら、神域惑星の地図作りの手伝いをするのに飽きてたのか?」
「にゃみゃがぁ♪」
「ひひぃぃん?」
聞いてみたが、いまいちわからん。
「(では私に裏天狗の使用を、許可して頂けますか?)」
ふぉふぉん♪
『>汎用強化服二号でも構いませんが』
そうだな、棒の身ひとつじゃ不便だろうし。
「(わかった。轟雷以外は、なんでも好きに使え)」
たしかに辺境と違って、誰でも顔見知りって訳じゃねーから――
誰かが付いてねーと「魔物だ」ってなって、央都の衛兵たちと一戦交えかねねぇ。
「(了解しました。ですが出来るだけお早いお帰りを、お待ちしています)」
どーした。気の弱いことを言って。
「(じゃぁ、今日の授業が終わったら、どーにかしてリオレイニアの躾の勉強を抜け出すから、ソレまで頼んだぜ)」
もし暴れ出すようなら、地下の対魔王結界にでも閉じ込めとけ。
「はイ。それデは行きまスよ。おにギりに、天ぷラ号」
ヴォヴォヴォォォォン――ばたん♪
「にゃみゃがぁ♪」
「ひひぃぃん?」
扉を開け、棒と黄緑色たちが教室を出て行った。
「シガミー。おにぎりたちを先に、帰したのですか?」
「おう、迅雷に頼んだから心配はいらない」
「そうですか。ソレでは本日は気兼ねなく、マナー講座を拡大して開催しますので、そのおつもりで♪」
あー、やっぱり、そういうつもりだったのか。
神域惑星で、みょうに小言が少ないとは思ってたんだよなー。
黒板隅に削れる棒土で書かれた、『本日開催/紳士淑女の社交儀礼講座』。
その下に、『特別拡大版』なんて文字が付け足された。
§
「デは、こノ辺デ良いでシょうか――」
誰もいない通路、木箱が詰まれた影。
浮かんでいた棒が、短くなり――シュカカッ。
ヴッ――ガッシャッ♪
突然姿をあらわした黒装束の小柄な人物に、ガチャリと握られた。
小柄な人物は、棒を懐にしまい――
「さて、おぬしら。儂らだけで歩くのは初めてじゃが、臆することはないぞ」
派手な色の馬の、手綱を手にする。
「では、参ろうかぬぅぉおおぉぉお――――っ!?」
彼が辺りを見わたしたときには、そこに猫の魔物の姿はなく――
「ひひひぃぃぃぃぃんっ?」
嘶き、首を傾げる馬。
「どっ、どこに行きおったっ!?」
ふたりは顔を、見合わせる。
スタタタタッ――ぽっきゅらぽっきゅら♪
やがて小柄と一匹は、小さな通路をのぞき込んだ。
「そこに居ったか!?」
それは三叉路に分かれた、メイン通路ではない。
「みゃんぎゃぁー♪」
軽快な足取りで、ぽきゅぽきゅぽきゅと歩いて行く猫の魔物。
ぽっぎゅみちっ――――「ふっぎゃ!?」
通路に置いてあった箱や本の山に、はさまる魔物。
「まったく、何をしておるのじゃ。まっすぐ家に帰ろうぞ」
手綱を放し、猫の手を引いて通路から抜け出したと思ったら――
「みゃにゃんやぎゃー?」
首を傾げる猫。
「ぬぅ、どうした――?」
振り向く黒づくめ。そこには雄猫もしくは、雌猫以外の黄緑色はなく――
「(ひひひひぃぃぃんっ――――ぎゃぁーっ、馬の魔物だぁぁぁぁっ!?)」
どこか遠くから間抜けた馬の嘶き?と、市民の叫びが聞こえてくる。
ここは1年A組の教室から――わずか50メートル程しか離れていない。
小柄な黒づくめ。その顔布に描かれた『<◎>』の模様が――苦悩に歪む。
「おにぎりよ、拙僧について参れ!」
スタタタッ――――壁を走り、吹き抜けた高い位置にある窓から、外へ飛び出した。
着地し、目を凝らし、黄緑色と市民の影を捉えるやいなや――
矢のように加速する――修験者と呼ばれる人物。
スタタッタトォォン――――――♪。
音がしたときにはもう、遙か先を行く――
その走りは、人知を超えたもので――
修験者が仕える少女の、足さばきを真似たものでる。
「これ馬、天ぷら号よ。どこへ行こうというのか、フォッフォッフォ♪」
努めて冷静に、好々爺の如く振るまう――
黒づくめの、<◎>怪人。
「ひゃぁっ、だ、だれだぁ!?」
「馬の魔物のつぎは――人の魔物が、現れたわっ!?」
がやがやがや。
おそらくは馬におどろき、尻餅をついた中年男性。
その娘らしき女性が、大声を張りあげている。
「ぅぬぅぅ――――!?」
そこで何かに気づき、背後を振りかえる――修験者改め、人の魔物。
彼は、そこに居るはずの誰かを探し、視線をさまよわせ――
やがて目のまえの、建物の二階。
その窓の向こうに佇む黄緑色の、まるで猫の魔物のような人影を見つけるなり――
小柄な体躯を、よろめかせた。
「クカカカカカカッ――!! まったく主らは、大人しく付いてくることも――出来ぬのかぁぁぁぁっ!」
その声量はまさに、彼の天狗と呼ばれる修験者の特性を再現したものであり――
「「「「ひゃぁぁぁっ――!?」」」」
驚き跳ねる、居あわせた市民たち。
「ひひひひひぃぃぃぃんっ――――!?」
驚き駆け出す、馬。
「「「「「「う、馬の魔物だぁぁぁぁっ――――!?」」」」」」
驚きの伝播は、止まらない。
「「「「「「いやまてよ、馬の魔物なんていたっけぇ――――!?」」」」」」
などと興味本位で馬を、追いかけ回す連中まで現れた。
カシャラララッラカシャラララッララッ――――――――ゴドガッシャンッ!
小柄な老人が発する音としては、複雑で金属質な騒音。
それは彼が内包する――――
無限の機械腕の衡が――――
解かれようとしている事を、示していた。
戦慄く、小柄な体躯。
怪音にギョッとする、居あわせた者たち。
アーティファクトである彼、迅雷が所属する『シガミー御一行様』。
その一団が、火山ダンジョンに入った時点で、日本の約1・5倍の長さに達する程の在庫を有する――
彼の通常兵装にして、最大の切り札。
「ちょっと、テェーング様じゃありませんか。しばらくお見かけしませんでしたら、央都に来ていらしたのですね♪」
背後から、そう声を掛けられた老人は――
ヴッ――――じゃっりぃぃん♪
鉄輪の付いた鉄の棒を、空中から取りだした。
老人の主人とおなじ、足軸の動き――ギュキュッ!
振り向いた先に、居たのは――
「ひひひひひひぃぃぃぃんっ?」
黄緑色の馬の魔物のような生物の、手綱を引き――――
「クスクスクスクス、ココォォン♪
こんな町中で私と、立ち合って頂けるのですかぁぁぁぁっ!?」
その口元に宿る、そんな意思。
――――ッィィィィィィイィィィィィィィンッ♪
その両目に宿る、不思議な虹彩。
使用者である少女から、聞いてはいたものの――
自身の認識下において、聞こえないはずの声を聞き――
見えないはずの冷たい殺意を、目の当たりにした――
INTタレット迅雷は――
「リ、リカルル・リ・コントゥル。あいや、助かったわぃ!」
修験者・天狗を装いつつも、素直に感謝を口にするのだった。
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