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4:龍撃の学院

431:初級魔法とシガミー、生活魔法のきほんと神域惑星へのとびら

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「いまから、生活魔法せいかつまほうについてのむずかしいはなしをしていきますが――つえよ」
 せんほそ男性教師だんせいきょうしが、背中せなか背負せおったつえ一本いっぽんを取り出した。
 かたむけず、まっすぐ立てたまま手をはなす。

 ふわりと浮いたつえは――フォォォォンッ♪
 教室きょうしつ一番いちばんうしろ、たかいところに立つ見習みなら教師きょうしのもとへ。

 目のまえに飛んで来た魔法杖それを、ぱしりと受け取る研修生リオレイニア

「これは?」
 やや冷ややかなこえ

生活魔法せいかつまほう根源こんげんとはなにかね――リオレイニア先生せんせい?」
 問いかける担任教師たんにんきょうし、えっと?
 ふぉん♪
『人物DB>ヤーベルト・トング
      初等魔導学院1年A組担任教師』
 そうだ。担任たんにんのヤーベルトだ。

魔術構文まじゅつこうぶんえがかずに、じゅつ行使こうしすることでしょうか?」
 答える見習い教師リオレイニア

「はーい。いまリオレイニア先生せんせいは――じゅつ行使こうしすること――と言いましたが、それでは50てんでーす♪」
 そのこえに「はーやれやれ。きみもまだまだですね」という感情かんじょうが込められている。
「んなっ――!?」
 押しつけられた魔法杖まほうつえを振りあげる、生活魔法せいかつまほう天才てんさい
 おいそれ、振り下ろすなよ・・・・・・・

生活魔法せいかつまほうじゅつではありませーん。あくまで手足てあし一部いちぶです。先生せんせい、そのつえを持ったまま「ひのたま」ととなえてみてくださーい」
 手のひらを研修生リオレイニアへ向ける、正教員ヤーベルト

「ひ……ひのたまぁ?」
 太枝ふとえだのような魔法杖まほうつえかまえた彼女かのじょうでには、『見習い』の腕章わんしょう

 ぷすん――ぼごふぁん♪
 ぼわんと、黒煙こくえんはなつえ先端せんたん

「きゃぁぁっ!?」
 ぐわらららぁぁん!
 つえを落とす研修生みならい

「じつはその魔法杖まほうつえには、〝魔術禁止まじゅつきんしのろい〟が掛けられていました……あー、ちょっと待つんだリオレイニアくん。だからぁきみわぁ、〝魔人まじん再来さいらい〟とか言われ――――!?」

   §

生活魔法せいかつまほう魔術まじゅつではありません。それなのにリオレイニア先生せんせいはなった生活魔法せいかつまほう発動はつどうしませんでした。それは何故なぜでしょうか?」
 あたまの毛をチリチリに焦がした、せんほそ男性教師ヤーベルトが――

「ではシガミーくん
 おれを指差ゆびさした。

「は、へい。リオレイニアがま、魔術まじゅつ使つかえなかったのわ――」
 へっ、このおれを名指なざしするたぁ、良い度胸どきょうじゃねーかよ、へへへっ!?
「(シガミー、バイタルサインに異常いじょうが見られます。威勢いせいが良いのは、心中しんちゅうだけなのですか)」
 やかましぃ!
 なんかなっ、このご立派りっぱ教室きょうしつで、おな制服ふくに身をつつんだ――
 しゃらあしゃらした連中れんちゅう一緒いっしょに、すわってるとだなぁ――

「(調度品ちょうどひんちがいはあれど以前聞いぜんきいた〝おやまでの座学ざがく〟の風景ふうけいと、なんら変わりは無いのではないでしょうか)」
 ばかやろう、こういうしゃらあしゃらのわなぁ――
 根っからのおんなじゃねぇーと、そうそううまくは出来できねぇんだよ。

「(ルコル少年しょうねん去年さくねん卒業そつぎょうしたと聞いておりますが)」
 ばかやろう、お貴族きぞくさまと一緒いっしょにするない!

「(ひとまず回答かいとうを。生徒せいとたちの視線しせんが、余計よけいあつまりますよ)」
 ちっ、あとでおぼえとけよ、迅雷ジンライ

「――そ、それが、魔術まじゅつおな手順てじゅんで、つ、使つかわれてるから――で、こ、ごせぇますわぜ?」
「ござるっ♪」
 レイダがうるせぇ。

「ほぅほぅ、魔力量まりょくりょう関係かんけいきみ資質ししつうたがものも居たのだが――どうやらその心配しんぱいは要らないようですね。なんという慧眼けいがん、すばらしーい♪」
 じっと見てやがる。おれには衆道そっち趣味しゅみはねぇ。

「よ、世はすべくうなりだ。おれぁくさっても坊主ぼうずだぜ?」
 とにかく、ここは虚勢きょせいを張っとく。

「なるほど、神官しんかんとしての見識けんしきもお持ちなのですねー。イオノフきょう祭神さいじんで有らせられるイオノファラーさまとも、懇意こんい間柄あいだがらのようですし」
「はぁ? おれぁイオノフ教徒きょうとじゃねぇし、たんなるくさえんだぜ。しいて言うならアイツの料理番りょうりばんをしてらぁ」
 猪蟹屋ししがにや五百乃大角いおのはらめしを食わせるために、つくったものだからな。
 料理番りょうりばんってのは、本当ほんとうのことだ。

「喚・ん・だぁ――♪」
 ぽこ――こぉん♪
 かるい処理落しょりおち。

 てちり――おれのあたまうえに降りたつ、御神体いおのはら
 よんでねぇ、よんでねぇ!
 料理りょうりって単語たんごが、召喚呪文しょうかんじゅもんになっちまった。

「リオ――レーニア先生せんせいよぉ! こいつ、あずかっといてくれやぁ!」
 顕現けんげんした根菜ごしんたいをひっつかんで、リオレイニア先生せんせいを呼びつけた。

「ふぅ、イオノファラーさま。それでは昼食ちゅうしょく時間じかんまで、わたくし一緒いっしょ授業じゅぎょう見学けんがくなさいますか?」
 太枝ふとえだみたいな魔法杖まほうつえつくえに立てかけ、根菜いおのはらを受けとる見習い先生リオレイニア

「ふーん、そーわねー♪ じゃぁお言葉ことばあまえて、この世界せかい魔法水準まほうすいじゅんってやつ見学けんがくさせていただこーかしらぁ♪」
 おやつは、おやつはでるのぉん?
 階段かいだんをのぼり、最後列さいこうれつへ行ってしまう二人ふたり

「――というように生活魔法せいかつまほうは、つえがなくても手足てあしのようにあつかえる、すさまじく基本的きほんてき魔術まじゅつであるといえまーす。わかりましたかぁー♪」
 授業じゅぎょう再開さいかいする、男性教師ヤーベルト

「「「「「「「「「「「「「「「「ははーい♪」」」」」」」」」」」」」」」」
 元気げんきよく返事へんじをする生徒たちがきども
 けどおい、このはなし随分ずいぶんとややこしくねぇか?

「(かれの言わんとしていることはわかります。生活魔法せいかつまほう魔術まじゅつとは分けて・・・かんがえられていますが、じゅつ行使こうしつえ必要ひつようないだけで、根源こんげん魔術まじゅつなんら変わらないことを説明せつめいしたかったのだとおもわれま)」
 うーん、つまりは鬼族オルコトリアはなところの、高等魔術こうとうまじゅつが――おれたちにとっての生活魔法せいかつまほうみたいなモンなんだろう?

「(それは、また語弊ごへいのある理解りかいをしましたね。では、鬼族オーガ王族おうぞくにとっての生活魔法せいかつまほうとは、どういったものととらえられますか)」
 うーぬ、金剛力こんごうりきとか夜眼よめとか、勇者ゆうしゃニゲルを召喚しょうかん出来でき血筋ちすじとかか?

「(あながち間違まちがいとは言い切れませんね……人的じんてき特異点説とくいてんせつ再浮上さいふじょうきざ)」
 わからんが、それ……良い意味いみじゃねぇのはわかってるからな。

   §

「きゃっほぉぉぉぉぉぉぉいっ――――♪」
 ねぇねぇ、ごはんなんでしょ!?
 落ち着け、根菜こんさい
 リオのかたうえで、はしゃぐんじゃねぇやい。

「せっかくだから、おまえさまも食堂しょくどうへ行くぞ」
 一人分用意ひとりぶんよういしてもらって、足りねぇときは――
「(はい。かまどだけ借りて、なにつくりましょ)」

 ゴドン――ガチャチャリ♪
 そのとき壇上奥だんじょうおくちいさめのドアが、ひとりでにひらいた。

「あら、みなさまおそろいで。くすくすす
 なかからあられたのは――おれそっくりな猫耳ねこみみメイドだった。
 一斉いっせいに見つめられても、どうじない胆力たんりょくは――
 さすがは、かみなのかもしれない。

「また、来たのか?」
「はい本日ほんじつは、神域惑星わがやへおさそいに来ました。うふふ♪」
 そういや、きょうこそ、食材しょくざい見繕みつくろいに行かねぇとな。
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