滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

413:初等魔導学院、廊下のつきあたり

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「どうぞコチラへ」
 ゴドン――ガチャガチャガチャガチャチャチャチャチャッ♪
 さっきおれたちが居た教室きょうしつの、黒板横こくばんよこへつながるドア
 ちいさめのドアが、そのかたちおおきさを――めまぐるしく変えていく。

 やがてとびらひらき――こつこつこつん。
 その向こうへ、あるいて行ってしまう学院長がくいんちょう

 おれはドアのむこうへ、あたまを出した。
 ココはどこだぜ?
 さっきの教室きょうしつじゃねぇぞ。

「(最寄もよりの女神像めがみぞう位置いち通路つうろ形状けいじょうから、さきほどの教室きょうしつがあった建物たてものはずれであるとおもわれま)」
 ヴォォォン♪

「このとびらは、この建物たてものなか自由じゆう移動いどうできるのか?」
 おそるおそる付いていくと――背後はいごドアが閉じられる。
 振りかえったときには――そのかたちなんの変哲へんてつもなくなっていた。

「はい。わたくしはなれるとドアの持つ記憶きおくが、クリアされてしまいますが」

 がやがやがやややや。
 廊下ろうかには、生徒せいとたちがならんでた。

「へぇー、地味じみ便利べんりねぇん
 収納魔法具しゅうのうまほうぐ格納された・・・・・御神体いおのはらが、画面がめんなかでだらけてやがる。
 意識アイコンだけのときとはべつに、御神体本体ごしんたいほんたい映し身アイコンも、ひとわくよけいに使つかわれていた。
 ふたつならんだ五百乃大角いおのはら怖気おぞけはしる。
 一瞬いっしゅん、身がまえちまったがひとつは、おれがつくってやった五百乃大角いおのはら御神体からだだ。
 ふたりぶん食費しょくひが掛かるわけじゃねぇ。

「そうですね。条件じょうけんさえそろえば、魔導学院まどうがくいん敷地内限定しきちないげんていですが、ほかの建物たてもの移動いどうすることも可能かのうですので、横着おうちゃくするのにも使つかえますよ。ふふ」

「そりゃ、良いなぁー(迅雷ジンライ、おまえならとびらに、転移魔法具てんいまほうぐ仕込めるか・・・・・?)」
「(転移扉てんいドア起点きてんとなる学院長室がくいんちょうしつ構造こうぞうを、もうすこしくわしく知らなければ――現状げんじょうでは無理むり)」
 だよな。まず転移魔法てんいまほう使つかえん。
 かならずおおきな女神像めがみぞうを、かいさねぇと転移てんい出来できない。
 それをちいさな魔法具まほうぐで、再現さいげんする方法ほうほうなんて――見当けんとうも付かん。

「では手続てつづきがありますので、失礼しつれいいたしますね」
 学院長がくいんちょうは手にした〝クエスト依頼書いらいしょ〟をヒラヒラさせ、れつさきほうあるいて行ってしまう。

「シガミーちゃん!」
 ガシリとうでをつかまれた。

「わっ!? おどかすなっ!」
 メイドなのか魔術師まじゅつしなのか、はっきりしない格好かっこう少女しょうじょに、しがみ付かれる。

「ちゃん……はやめろや」
 振りほどこうとしても――
「じゃぁ、シガミーさま!」
 がしりと手をつかまれる。

「よけいにやめんか!」
 だから、まとわり付くなよ――
 つよく振りはらったら、怪我けがをさせちまいかねない。
「じゃあ、なんて呼んだら良いの?」
 ジタバタともがくしかない。

「シガミーで良いぜ。こっちもタターって呼んでるんだからよ」
「じゃぁシガミー。シガミーは冒険者ぼうけんしゃカードを持ってるのに、なんでここに居るの?」
 あたりを見まわしたられつさきほうに、『ギルド支部出張所』なんて看板かんばんが出てた。

学院長がくいんちょう先生せんせいに、つれてこられたんだぜ。たぶん、クエストの依頼いらいを受けることになる」
 かくすようなことでもないから、はなしておく。

「そーなの? じゃぁ、一緒いっしょに居てっ!」
 だから、しがみ付くなよ。
 まったくなんだぜ、あまえてやがる。

「リオ……レイニア先生せんせいわぁ、どーした?」
 れつ先頭せんとうにも……居やがらねぇし。

「リオレイニアさんは女神像めがみぞうがある通路つうろおくに行っちゃって、わたしひとりだとこころぼそいのっ!」
 手に持つのは、いたに乗せられた紙切かみきれ。

『冒険者とうろくのてびき
 なまえ: タター
  ひとつめ/ まほう使い
  ふたつめ/ まじゅつ師
  みっつめ/ とうぞく』
 それには手書てがきで、名前なまえ職業しょくぎょうが書きこまれていた。

「あれ? そーいやタターは冒険者登録ぼうけんしゃとうろくをしてないのに、なんで魔法まほう使つかえるんだ?」
 ぽこ――こぉん♪
 かるい処理落しょりおち。

 てちり――おれのあたまうえに降りたつ、御神体いおのはら
 やい、頭の上そこ土間どまがわりに使つかうなっ!

生活魔法せいかつまほうわぁだれにでもぉー、使つかえるぅでしょぉぅ
「いまいち魔法まほうとか魔術まじゅつとかの、くわしいところが……わからねぇんだよなぁ」
 生活魔法せいかつまほう以外いがい一切合切いっさいがっさいまるごと全部ぜんぶ迅雷ジンライとおれのスキルでなんとかしてきちまったからな。

生活魔法せいかつマほう権化ごんゲでアる、リオレイニアに師事シじしてオきながら……まルで進歩シんぽが見られませンからね――向キ不向ふムきもありマ
 浮かぶ独古杵ぼうが、意見いけんをしやがる。
「ばかやろーう。おれぁ、ちゃんと乾燥かんそうさせる魔法まほう使つかえるようになったし――生活せいかつこまることは、もうなくなったぜ?」
 相棒ジンライにらみつけてやる。

「向き不向ふむき……そうだね。シガミーは薬草師なのに・・・・・・、ビックリするほどつよいもんね……しかもこんなに、カワイイのに」
 いたに乗せたかみを、にらみつけるタター。

『冒険者とうろくのてびき
 なまえ: タター
  ひとつめ/ まほう使い
  ふたつめ/ まじゅつ師
  みっつめ/ とうぞく』

「それよぅ、うえのふたつはわかるが、最後さいごのはどういうわけだ?」
「もし魔法関係まほうかんけいのがえらべないときは、せめて身軽みがる職業しょくぎょうえらんで、〝テンプーラゴウ〟に引きずられないように・・・・・・・・・・したいの!」
 あー、いつもことあるごとに、引きずられてたもんなぁ。

「ふぅん――――ってなんだぜ?」
 がやがやがやややっ!
 どやどやどやややっ!
 いつのまにか生徒せいとたちが、おれたちをかこんでいた。

「「「「「「「「「「「「シガミーちゃん!」」」」」」」」」」」」
 全員ぜんいんが手にいたを、持ってやがる。
「なんでぇいなんでぇい、どーしたぁ?」

「「「「「「「「「「「「下位職業かいしょくぎょうだとLVレベルが上がりやすいって言うけど、そのへんどーなのぉっ!?」」」」」」」」」」」」
 あ、合点がてんがいったぞ。
 さっきおれのLVを知られても、そこまで大騒おおさわぎにならなかったのは――

「うぷぷっ、これわぁシガミー。〝薬草師やくそうし〟だとおもって舐められてんじゃね・・・・・・・・・
 やかましいぞ、根菜いおのはら

 むしろ、本当ほんとう追加ついかスキルは120を越える、おれからしたら――
 かるく見られるくらいで、ちょうど良いってもんだぜ。
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