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4:龍撃の学院
404:魔法使いシガミー、404NotFound
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「まったくもう、アナタたちときたらっ!!! どうしていつもいつも、思いもよらないことを起こすのですかっ!?」
ここは、いまさっきおれたちが追い詰められた、三つ叉の建物。
その一階玄関。
「おいオマエ、言われてるぞ?」
おれは、いつもいつも悪さをしているわけじゃねぇからな。
「え? 言われてるのは、君だよね?」
魔法杖で、突いて来やがった。
ソッチがその気なら、こっちだって――
ベルトに刺しておいた独古杵(短)で、突きかえしてやる。
ふぉん♪
『ヒント>404NotFound』
迅雷をつかんだら、ヒントが何かを伝えてきた。
わから――
――くるん!
目の端《はし》で、リオの小さい魔法杖が一閃。
――――――――ガラララララララッドッシャァァァァァァン!!!
杖の先から、空中に落ちる稲妻!
「「「「「「「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」」」」」」」
おれとこいつと、同じフロアにいた学校の事務方たちが――
一斉にひっくり返った!
「お、おい、こりゃ本気だぜ」
となりを見たら、魔術師の帽子が落ちて――
「う、うん、相当怒ってるね」
その顔が見えた。
静かな声と、美の女神をも虜にしたリオレイニアの家系。
どんな顔してやがるんだと思ってたが――
リオレイニアと同じ銀の髪。
肩までの髪は一房、編み込んであり――
長い糸切り歯が、口から覗いている。
なんというか――とても愛嬌のある顔だ。
人心を惑わす、リオの素顔。
そういう姿形や魅了スキルは持ってなさそうで、ひとまず安心したが。
それでも――ガムラン代表には会わせねぇ方が良いだろうなー。
「ほら、つかまれ」
飛び起きて手を差しだすと――
「ありがとう」
かわいらしい子供が、手を取り笑った。
「「「「「「「「ま、魔神の再来!!」」」」」」」」
リオレイニアから後ずさる、大人たち。
恐れられるリオレオニア。
おれたちは、そのかたわらへ歩いて行く――
「ごめんなさい」
目を伏せ、肩をすくめる子供。
「かたじけないでござる」
おれも首を垂れた。
「ぷくくくくくっ……ひそひそ……な、なぁにその言葉ぁ!? カタジケーゴザル……ぐふふひっ♪」
横目で見たら、むこうも横目でコッチを見ていた。
「なんだとっ……ひそひそ……由緒正しい、お武家の言葉に文句を付けるなってんでぇい!」
「あなたぁたぁちぃー?」
〝魔神の再来〟が、さっき空を飛ぶのに使ってた、柱みたいな魔法杖を取りだし――ゴッゴン♪
「「――っ!?」」
声にならない声をあげる、おれたち。
こいつもリオの縁者なら、その恐ろしさは知っているのだろう。
「「「「「「「「ま、魔神の再来の再来――――!?」」」」」」」」
我先にと、逃げていく大人たち。
ヴァチヴァ――――――――――――――!?!?
今度は空中に落ちる稲妻が、とぐろを巻き――――
あまりにも強烈な光は、漆黒の影を作り出す!
――――――――ガラララララララッドッシャ――ぽふん♪
「んぁ、不発か?」そう思って上を見たら――ボッガァン♪
吹きぬけの高い天井に取り付けられていた――魔法具のようなもの。
それが爆発した。
ゴゴガァァン、ボボボゴゴゴッ、ゴガガァァァァァァァァァァンッ!!!!!!
爆発の騒音は、なぜか外へと続いていく。
「な、何ごとですか!?」
不測の事態に周囲を見わたし、クルクルと回る給仕服。
直接、魔法具を狙ったわけじゃないが――
ぶっ壊したのは、間違いなく彼女の高位の魔法だ。
ふぉふぉん♪
『>シガミー、5秒後にINTタレット迅雷復帰します』
お?
「目ぇ覚ましたか、迅雷♪」
パラパラと落ちてくる瓦礫を避け、うしろの壁まで避難する。
「誰と話してるの?」
あとを付いてくる子供(かわいい)。
おれのベルトから独古杵が、ひとりでにすっぽ抜けた。
「ハじめまして。オ嬢さン。私ハインテリジェンス・タレット。形式ナンバーINTTRTT01デす。以後おみしりオきを」
ヴォヴォォォン♪
低い唸りは、神力を使っている証だが。
人によっちゃ、圧を感じる。
「喋った!? まさかアーティファクト!?」
口元へ両手をそえる子供(かわいい)。
「おう、おれの相棒の迅雷だぜ!」
おれは独古杵をつかみ――シュッカァァン♪
1シガミーの長さにのばして――ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュルルルン♪
かるく振りまわす。
「伸びる棒のアーティファクトを操る、金の髪の女の子……まさか、シガミー御一行様の……リーダー?」
その大きな瞳が、さらに見開かれた。
「おぅ、リオから聞いてたのか? おれがガムラン町のアイドル、泣く子も黙るシガミーさまだぜっ!」
見得を切ってやった。
何ごとも、最初が肝心だからな。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? ――杖よ!」
ヴォォーゥン♪
背負ってた杖を、パシリとつかみ――
出会ったばかりの子供(かわいい)が――
脇目も振らずに、飛んで逃げていった。
「嫌われてしマいましたね……」
落ち込む迅雷。
「いや、突然棒を振りまわした、おれが悪ぃ……」
おれは迅雷をシュルル、カチリ♪
独古杵サイズに戻し、近くの椅子に座った。
目のまえには、大勢の大人たちに魔法杖を向けられ――
両手を挙げるリオレイニアの姿。
仮面の下の顔が、青ざめているのがわかる。
「はぁ、何かもう、色々駄目だな……」
レイダの用事が済んだら、例のコントゥル家御用達の箱入りの菓子を――
買いに行こうと、思ってたんだがなぁ。
ふぉふぉん♪
『>特撃型シシガニャン10号改、ならびに轟雷を、
使用可能状態で待機させますか?』
「(ばかやろーう! 念のため準備だけしとけやぁ……)」
ここは、いまさっきおれたちが追い詰められた、三つ叉の建物。
その一階玄関。
「おいオマエ、言われてるぞ?」
おれは、いつもいつも悪さをしているわけじゃねぇからな。
「え? 言われてるのは、君だよね?」
魔法杖で、突いて来やがった。
ソッチがその気なら、こっちだって――
ベルトに刺しておいた独古杵(短)で、突きかえしてやる。
ふぉん♪
『ヒント>404NotFound』
迅雷をつかんだら、ヒントが何かを伝えてきた。
わから――
――くるん!
目の端《はし》で、リオの小さい魔法杖が一閃。
――――――――ガラララララララッドッシャァァァァァァン!!!
杖の先から、空中に落ちる稲妻!
「「「「「「「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」」」」」」」
おれとこいつと、同じフロアにいた学校の事務方たちが――
一斉にひっくり返った!
「お、おい、こりゃ本気だぜ」
となりを見たら、魔術師の帽子が落ちて――
「う、うん、相当怒ってるね」
その顔が見えた。
静かな声と、美の女神をも虜にしたリオレイニアの家系。
どんな顔してやがるんだと思ってたが――
リオレイニアと同じ銀の髪。
肩までの髪は一房、編み込んであり――
長い糸切り歯が、口から覗いている。
なんというか――とても愛嬌のある顔だ。
人心を惑わす、リオの素顔。
そういう姿形や魅了スキルは持ってなさそうで、ひとまず安心したが。
それでも――ガムラン代表には会わせねぇ方が良いだろうなー。
「ほら、つかまれ」
飛び起きて手を差しだすと――
「ありがとう」
かわいらしい子供が、手を取り笑った。
「「「「「「「「ま、魔神の再来!!」」」」」」」」
リオレイニアから後ずさる、大人たち。
恐れられるリオレオニア。
おれたちは、そのかたわらへ歩いて行く――
「ごめんなさい」
目を伏せ、肩をすくめる子供。
「かたじけないでござる」
おれも首を垂れた。
「ぷくくくくくっ……ひそひそ……な、なぁにその言葉ぁ!? カタジケーゴザル……ぐふふひっ♪」
横目で見たら、むこうも横目でコッチを見ていた。
「なんだとっ……ひそひそ……由緒正しい、お武家の言葉に文句を付けるなってんでぇい!」
「あなたぁたぁちぃー?」
〝魔神の再来〟が、さっき空を飛ぶのに使ってた、柱みたいな魔法杖を取りだし――ゴッゴン♪
「「――っ!?」」
声にならない声をあげる、おれたち。
こいつもリオの縁者なら、その恐ろしさは知っているのだろう。
「「「「「「「「ま、魔神の再来の再来――――!?」」」」」」」」
我先にと、逃げていく大人たち。
ヴァチヴァ――――――――――――――!?!?
今度は空中に落ちる稲妻が、とぐろを巻き――――
あまりにも強烈な光は、漆黒の影を作り出す!
――――――――ガラララララララッドッシャ――ぽふん♪
「んぁ、不発か?」そう思って上を見たら――ボッガァン♪
吹きぬけの高い天井に取り付けられていた――魔法具のようなもの。
それが爆発した。
ゴゴガァァン、ボボボゴゴゴッ、ゴガガァァァァァァァァァァンッ!!!!!!
爆発の騒音は、なぜか外へと続いていく。
「な、何ごとですか!?」
不測の事態に周囲を見わたし、クルクルと回る給仕服。
直接、魔法具を狙ったわけじゃないが――
ぶっ壊したのは、間違いなく彼女の高位の魔法だ。
ふぉふぉん♪
『>シガミー、5秒後にINTタレット迅雷復帰します』
お?
「目ぇ覚ましたか、迅雷♪」
パラパラと落ちてくる瓦礫を避け、うしろの壁まで避難する。
「誰と話してるの?」
あとを付いてくる子供(かわいい)。
おれのベルトから独古杵が、ひとりでにすっぽ抜けた。
「ハじめまして。オ嬢さン。私ハインテリジェンス・タレット。形式ナンバーINTTRTT01デす。以後おみしりオきを」
ヴォヴォォォン♪
低い唸りは、神力を使っている証だが。
人によっちゃ、圧を感じる。
「喋った!? まさかアーティファクト!?」
口元へ両手をそえる子供(かわいい)。
「おう、おれの相棒の迅雷だぜ!」
おれは独古杵をつかみ――シュッカァァン♪
1シガミーの長さにのばして――ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュルルルン♪
かるく振りまわす。
「伸びる棒のアーティファクトを操る、金の髪の女の子……まさか、シガミー御一行様の……リーダー?」
その大きな瞳が、さらに見開かれた。
「おぅ、リオから聞いてたのか? おれがガムラン町のアイドル、泣く子も黙るシガミーさまだぜっ!」
見得を切ってやった。
何ごとも、最初が肝心だからな。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? ――杖よ!」
ヴォォーゥン♪
背負ってた杖を、パシリとつかみ――
出会ったばかりの子供(かわいい)が――
脇目も振らずに、飛んで逃げていった。
「嫌われてしマいましたね……」
落ち込む迅雷。
「いや、突然棒を振りまわした、おれが悪ぃ……」
おれは迅雷をシュルル、カチリ♪
独古杵サイズに戻し、近くの椅子に座った。
目のまえには、大勢の大人たちに魔法杖を向けられ――
両手を挙げるリオレイニアの姿。
仮面の下の顔が、青ざめているのがわかる。
「はぁ、何かもう、色々駄目だな……」
レイダの用事が済んだら、例のコントゥル家御用達の箱入りの菓子を――
買いに行こうと、思ってたんだがなぁ。
ふぉふぉん♪
『>特撃型シシガニャン10号改、ならびに轟雷を、
使用可能状態で待機させますか?』
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