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3:ダンジョンクローラーになろう
401:美の女神の料理番(シガミー)、ガムラン辺境伯領災害対策部兵站室
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かつかつかつかつこつこつこつこつ、どかどかどかどかどかどかどかどかっ!
リオレイニアを先頭に、階下から隊列をなした大群が上がってくる。
一糸乱れぬ統率、次から次へと姿を現すのは――
太めの革ベルトを、腰に巻いた従者たち。
ベルトには魔防具のような鉄板が、ネジ止めされている。
「総員、手はず通りに散開、レイド村の復興に尽力してください!」
指示を飛ばすのは、鳥の仮面のメイド。
「12番隊は私に、付いてきてください!」
腕章の色で分けられた分隊の構成は、執事一名、メイドが五名。
階段を上りきり、壁に整列する12番隊。腕章の色は若草色。
現場指揮官である仮面の彼女の腕章は、二本。
一本は『指揮官』と書かれており、もう一本は若草色。
「有志の冒険者の方々は、周囲の安全の確保を最優先で、お願いいたします!」
遅れて階段を上ってきたのは、あまり統率されていないバラバラな服装。
冒険者たちが、その場を後にしたとき――
居あわせた女性が、口を開いた。
「あ、あのあの、ど、どちら様?」
女神像にへばりつき狼狽える、神官女性。
「レイド村の方ですか? 我々はコントゥル家に仕える者です」
身を屈め、一枚のカードを差し出す、給仕服の女性。
差し出されたカードには――
『ガムラン辺境伯領災害対策部兵站室付
コントゥル家侍女
リオレイニア・サキラテ』
そんな所属名が書かれていた。
「が、ガムラン辺境伯!?」
神官女性が、我にかえり――
「わ、私は隣町の教会から派遣された、神官ナーフ・アリゲッタです――むぎゅり♪」
組んだ手を鼻に押し当てた。
「これはこれは、神官さまでございましたか――私はリオレイニア・サキラテ。コントゥル家に仕える……冒険者で御座います――むぎゅり♪」
片膝を立てた正式な返礼。
淀みのない所作は美しく、敬虔で礼儀正しいが――
同じポーズで対峙する二人は、ふざけているようにしか見えない。
「あららぁん、リオレイニアさんらぁん♪」
女神像背後の壁穴から、姿を現したのは作業服姿の女性。
「これはラプトル王女殿下、ご無事で何よりです」
王女の手を引き立ちあがらせ、給仕服の裾をつまむ指揮官。
片足をうしろに引く、その所作にも淀みはなかった。
がたがた、ゴドン!
ぐわらら、ゴゴン!
階下から騒々しい音が、聞こえる。
「瓦礫だらけで、危ないニャン?」
「けど建物は建てたばかりみたいに、綺麗だコォン?」
遅れて転移陣へ到着した後続が、階段を上がってくる。
「あなたたち、猪蟹屋の留守番を、お頼みしたはずですが?」
睨めつけられた狐耳の少年と猫耳の女性が、階段を降りていく。
「ああもう、逃げなくて良いですから、戸締まりはしてきたのでしょうね?」
ふぅと息を吐く、現場指揮官。
「ほ、本当に折檻しないニャ?」
声がとおい。
「だ、大丈夫コォン! 本店と二号店とシガミー邸と新シガミー邸の全部を、戸締まりしてきたコォン! ほ、本当だコォォォン!?」
声がとおい。警戒しているようである。
「クスクスクス、相変わらずだねぇ――魔神の再来?」
つづいて聞こえてきたのは、涼やかな声。
カツンコツンカツンコツン。
怯える狐耳と猫耳を引きつれ、姿を現したのは――
凜々しく眉目秀麗な青年だった。
「なっ、ばっ、まっ、わっひゃ!? お、王子殿下ぁー!?」
指揮官リオレイニアの狼狽ぶりは、凄まじかった。
彼、王子殿下とやらが、この場に居ることは相当なイレギュラーであるらしい。
「以前のように、ウルと呼んでくれ、レーニア?」
正体を無くした指揮官レーニアの細い顎。
それを指先で持ちあげる、麗しき眼差し。
鳥の仮面に注がれる、熱い視線。
「「「「「「「「「「きゃぁあぁぁぁぁぁっ♪」」」」」」」」」」
居あわせた十二番隊たちの歓声!
すっぽこかっぁぁん!
気持ちの良い音。
杓子を手にした王女殿下が――「サウルースおにいさまぁーららぁん!」
王兄殿下の頭頂部を、力の限りに叩いた。
王子が頭に乗せていた帽子は、そこそこの防御力があったらしく――
「痛いじゃないかティル! いい年をしてヤキモチもないだろう? むかし学園で一緒だったレーニアだよ!?」
と怒鳴る程度で済んだ。
「ヤキモチではありませんらぁん! その腰に回した手を、今すぐ放さないと――血の雨が振りますらぁぁん!」
兄王子の頭から一筋、血が垂れる。
派手な帽子の防御力は、ソコまでではなかったようだ。
「なっ、ま、まさかっ!? ひょっとして彼女も来ているのかっ!?」
鳥の仮面に顔を寄せる表情は、今際の際に人がみせるそれで。
「はい、一足先に。先行隊の奥方さまに続き、第二陣として既に現地入りしております――サウルース・ヴィル・ラスクトール王子殿下?」
鳥の仮面を取り繕い、指揮官の顔を取りもどした彼女が――
するりと優男の手から、すり抜けた。
央都からの調査隊である、ラプトルの兄が到着。
護衛の騎士団長と副官も到着。
ギ術開発部顧問と秘書と――
護衛の〝全身に魔術札を貼り付けた〟神官らしき一個小隊。
レイド村女神像の間は、すぐに手狭になった。
そこからの展開は、一瞬で。
散乱する瓦礫は、建物の修復に利用され――一掃された。
大陸全土を襲った天変地異は、急激に収束。
最大の損害を出した、震源最寄りのレイド村。
レイド村村長が懸念していた、集会所の天井。
ほぼまるごと新築された集会所に、もちろん穴などが開いているわけもなく。
涙を流し歓喜に震える、レイド村村人全員。
当日のうちにガムランや央都から、大勢の救援復興部隊が到着し――
夕刻には以前よりも立派な、設備建物で村中が埋め尽くされることなった。
リオレイニアを先頭に、階下から隊列をなした大群が上がってくる。
一糸乱れぬ統率、次から次へと姿を現すのは――
太めの革ベルトを、腰に巻いた従者たち。
ベルトには魔防具のような鉄板が、ネジ止めされている。
「総員、手はず通りに散開、レイド村の復興に尽力してください!」
指示を飛ばすのは、鳥の仮面のメイド。
「12番隊は私に、付いてきてください!」
腕章の色で分けられた分隊の構成は、執事一名、メイドが五名。
階段を上りきり、壁に整列する12番隊。腕章の色は若草色。
現場指揮官である仮面の彼女の腕章は、二本。
一本は『指揮官』と書かれており、もう一本は若草色。
「有志の冒険者の方々は、周囲の安全の確保を最優先で、お願いいたします!」
遅れて階段を上ってきたのは、あまり統率されていないバラバラな服装。
冒険者たちが、その場を後にしたとき――
居あわせた女性が、口を開いた。
「あ、あのあの、ど、どちら様?」
女神像にへばりつき狼狽える、神官女性。
「レイド村の方ですか? 我々はコントゥル家に仕える者です」
身を屈め、一枚のカードを差し出す、給仕服の女性。
差し出されたカードには――
『ガムラン辺境伯領災害対策部兵站室付
コントゥル家侍女
リオレイニア・サキラテ』
そんな所属名が書かれていた。
「が、ガムラン辺境伯!?」
神官女性が、我にかえり――
「わ、私は隣町の教会から派遣された、神官ナーフ・アリゲッタです――むぎゅり♪」
組んだ手を鼻に押し当てた。
「これはこれは、神官さまでございましたか――私はリオレイニア・サキラテ。コントゥル家に仕える……冒険者で御座います――むぎゅり♪」
片膝を立てた正式な返礼。
淀みのない所作は美しく、敬虔で礼儀正しいが――
同じポーズで対峙する二人は、ふざけているようにしか見えない。
「あららぁん、リオレイニアさんらぁん♪」
女神像背後の壁穴から、姿を現したのは作業服姿の女性。
「これはラプトル王女殿下、ご無事で何よりです」
王女の手を引き立ちあがらせ、給仕服の裾をつまむ指揮官。
片足をうしろに引く、その所作にも淀みはなかった。
がたがた、ゴドン!
ぐわらら、ゴゴン!
階下から騒々しい音が、聞こえる。
「瓦礫だらけで、危ないニャン?」
「けど建物は建てたばかりみたいに、綺麗だコォン?」
遅れて転移陣へ到着した後続が、階段を上がってくる。
「あなたたち、猪蟹屋の留守番を、お頼みしたはずですが?」
睨めつけられた狐耳の少年と猫耳の女性が、階段を降りていく。
「ああもう、逃げなくて良いですから、戸締まりはしてきたのでしょうね?」
ふぅと息を吐く、現場指揮官。
「ほ、本当に折檻しないニャ?」
声がとおい。
「だ、大丈夫コォン! 本店と二号店とシガミー邸と新シガミー邸の全部を、戸締まりしてきたコォン! ほ、本当だコォォォン!?」
声がとおい。警戒しているようである。
「クスクスクス、相変わらずだねぇ――魔神の再来?」
つづいて聞こえてきたのは、涼やかな声。
カツンコツンカツンコツン。
怯える狐耳と猫耳を引きつれ、姿を現したのは――
凜々しく眉目秀麗な青年だった。
「なっ、ばっ、まっ、わっひゃ!? お、王子殿下ぁー!?」
指揮官リオレイニアの狼狽ぶりは、凄まじかった。
彼、王子殿下とやらが、この場に居ることは相当なイレギュラーであるらしい。
「以前のように、ウルと呼んでくれ、レーニア?」
正体を無くした指揮官レーニアの細い顎。
それを指先で持ちあげる、麗しき眼差し。
鳥の仮面に注がれる、熱い視線。
「「「「「「「「「「きゃぁあぁぁぁぁぁっ♪」」」」」」」」」」
居あわせた十二番隊たちの歓声!
すっぽこかっぁぁん!
気持ちの良い音。
杓子を手にした王女殿下が――「サウルースおにいさまぁーららぁん!」
王兄殿下の頭頂部を、力の限りに叩いた。
王子が頭に乗せていた帽子は、そこそこの防御力があったらしく――
「痛いじゃないかティル! いい年をしてヤキモチもないだろう? むかし学園で一緒だったレーニアだよ!?」
と怒鳴る程度で済んだ。
「ヤキモチではありませんらぁん! その腰に回した手を、今すぐ放さないと――血の雨が振りますらぁぁん!」
兄王子の頭から一筋、血が垂れる。
派手な帽子の防御力は、ソコまでではなかったようだ。
「なっ、ま、まさかっ!? ひょっとして彼女も来ているのかっ!?」
鳥の仮面に顔を寄せる表情は、今際の際に人がみせるそれで。
「はい、一足先に。先行隊の奥方さまに続き、第二陣として既に現地入りしております――サウルース・ヴィル・ラスクトール王子殿下?」
鳥の仮面を取り繕い、指揮官の顔を取りもどした彼女が――
するりと優男の手から、すり抜けた。
央都からの調査隊である、ラプトルの兄が到着。
護衛の騎士団長と副官も到着。
ギ術開発部顧問と秘書と――
護衛の〝全身に魔術札を貼り付けた〟神官らしき一個小隊。
レイド村女神像の間は、すぐに手狭になった。
そこからの展開は、一瞬で。
散乱する瓦礫は、建物の修復に利用され――一掃された。
大陸全土を襲った天変地異は、急激に収束。
最大の損害を出した、震源最寄りのレイド村。
レイド村村長が懸念していた、集会所の天井。
ほぼまるごと新築された集会所に、もちろん穴などが開いているわけもなく。
涙を流し歓喜に震える、レイド村村人全員。
当日のうちにガムランや央都から、大勢の救援復興部隊が到着し――
夕刻には以前よりも立派な、設備建物で村中が埋め尽くされることなった。
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