386 / 741
3:ダンジョンクローラーになろう
386:龍脈の回廊、三途の川
しおりを挟む
メキメキメキメキメキエメエキメキメキ!
角がおれの装甲をかち割って、出てこようとしてる。
ふぉん♪
『ミノタウロース/
二足歩行。巨大な角に小さな蹄。
手が付けられないほどの乱暴者。
すじ張ってて食べるところがないが、
一匹につき500グラムだけ採れるヒレ肉は、
値が付けられないほどの珍味。
ただし二本ある角を破壊した後、とどめを刺さないと固くなる。
ミノタウロースのヒレ肉シャトーブリアン、
それは見ただけでも、一生自慢できるほどに希少。』
やかましい!
「(そんな食材情報はいらん!)」
「(シガミーさん、聞こえますか? あなたの心に直接、語りかけています、うふふ?)」
誰でぇい、お前さまわぁ?
「(私、カヤノヒメと申します、くすくす?)」
茅野姫だぁ? まさか、こんな来世で野椎神でもあるめぇし――
やい迅雷、誰でぇいこいつぁ?
「(シガミー消失後に再生した、シガミーの体に取り付いた――)」
「(何ぃ――悪霊か!? 退治すっか!)」
「(いいえ、草木に干渉する性質から、鹿屋野比売神にちなんで、私が命名しました。本人の弁によるなら、この世界の大地がある惑星ヒースを司る星神のようです)」
「(何ぃ――星の神か!? 退治すっか?)」
「(くすくす。ようやくお会いできましたのに、退治されては困りますわ。それでは――)この姿なら見覚えも、御座いますのではありませんか――?」
ぽっきゅぽぽぉぉぉん♪
騒々しい音を立てて――ぽぎゅむん♪
目のまえの大岩に降り立ったのは――――!?
「なんだぁ、その王女が作った馬みてぇな形わぁ――ニャァ!?」
それは、四つんばいになった強化服が、首を伸ばして顔を細くして、足をニョキニョキと伸ばしたような姿形。
「(ますますもって、あやしいぜ! 退治すっか?)」
「その子はねぇ――あたしとタターちゃんと王女さまが作ったんだよ♪」
おれの手の中から、自慢げな声が聞こえる。
ガガァン!
おれの肩に降り立った、黒い服の青年。
抱えられたメイド服の少女が――
「な、なまえわぁ、テンプーラゴウですぅ!」
じたばたと藻掻いてやがる。
あんまり暴れると落ちるし、ミノタウロースの大角に突かれねぇように気を付けろよなぁ。
「天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう……ようにはとても見えねぇが?」
「ひひひぃん? ひひひひぃぃぃぃん?」
間抜けな顔。おにぎりそっくりの色と毛皮。
「こやつが、星の神ぃだとぉ――ニャァ?」
「いいえ、その背にしがみ付いているのが、私ですわ、くすくす?」
子馬の背っつうか尻にしがみ付く、やっぱりメイド服の――――――――!?
「おれだ!? おれが居やがる――ニャァ!?」
金の髪が風に舞う。
とお目で見ても、華奢な体。
見てくれだけなら、ガムラン町のコントゥル家関係者や、央都のしゃらあしゃらした連中にも引けを取らねぇ。
居るだけで、その場が明るくなるような――
将来が楽しみなくらいには、綺麗な面の童だ。
端から見りゃ――よくもあんな背格好で、戦闘狂や、妖怪狐や変異種なんかを倒したもんだぜ。
「ゴゥゴォォゴォォオオオォォオォオオォォオォオォォォォッ――――!!!!!!!!」
うるせぇ。
メキメキバキバキ!
隙間から出てくるには鋼鉄の胸板を、こじ開けなけりゃならねぇ。
ギュギッチャゴ!
鎧武者を起こし、装甲板をガガンと叩いて締めた!
「(あたりを流れる大地のうねりが、弱まってきています)」
おう、おれが動けるようになるまでに、ミノタウの倒し方を考え――
「ぎゃぁ、うるさい!」
子供が怒ってやがる……悪ぃ。
ミノタウめ、怒られちまったじゃねぇーか!
「私の姿に、見覚えは、本当に、有りませんか?」
でけぇ子馬の尻に、しがみ付いた星の神が――
発した言葉が、不吉で神々しくて――うさんくさく感じた途端。
生身の、星の神の姿が――
白髪の老人のようにも――
眉目麗しい若い女のようにも――
槍や刀や酒瓶のようにも――
「おまえっ――三途の川に居た、自称神だなぁあぁ――ニャァ!?」
「じゃからのう、最初からそう言っとるじゃろうがのうぉう――――!!!!!!!!」
メキメキバキバキ!
うるせぇ。
角がおれの装甲をかち割って、出てこようとしてる。
ふぉん♪
『ミノタウロース/
二足歩行。巨大な角に小さな蹄。
手が付けられないほどの乱暴者。
すじ張ってて食べるところがないが、
一匹につき500グラムだけ採れるヒレ肉は、
値が付けられないほどの珍味。
ただし二本ある角を破壊した後、とどめを刺さないと固くなる。
ミノタウロースのヒレ肉シャトーブリアン、
それは見ただけでも、一生自慢できるほどに希少。』
やかましい!
「(そんな食材情報はいらん!)」
「(シガミーさん、聞こえますか? あなたの心に直接、語りかけています、うふふ?)」
誰でぇい、お前さまわぁ?
「(私、カヤノヒメと申します、くすくす?)」
茅野姫だぁ? まさか、こんな来世で野椎神でもあるめぇし――
やい迅雷、誰でぇいこいつぁ?
「(シガミー消失後に再生した、シガミーの体に取り付いた――)」
「(何ぃ――悪霊か!? 退治すっか!)」
「(いいえ、草木に干渉する性質から、鹿屋野比売神にちなんで、私が命名しました。本人の弁によるなら、この世界の大地がある惑星ヒースを司る星神のようです)」
「(何ぃ――星の神か!? 退治すっか?)」
「(くすくす。ようやくお会いできましたのに、退治されては困りますわ。それでは――)この姿なら見覚えも、御座いますのではありませんか――?」
ぽっきゅぽぽぉぉぉん♪
騒々しい音を立てて――ぽぎゅむん♪
目のまえの大岩に降り立ったのは――――!?
「なんだぁ、その王女が作った馬みてぇな形わぁ――ニャァ!?」
それは、四つんばいになった強化服が、首を伸ばして顔を細くして、足をニョキニョキと伸ばしたような姿形。
「(ますますもって、あやしいぜ! 退治すっか?)」
「その子はねぇ――あたしとタターちゃんと王女さまが作ったんだよ♪」
おれの手の中から、自慢げな声が聞こえる。
ガガァン!
おれの肩に降り立った、黒い服の青年。
抱えられたメイド服の少女が――
「な、なまえわぁ、テンプーラゴウですぅ!」
じたばたと藻掻いてやがる。
あんまり暴れると落ちるし、ミノタウロースの大角に突かれねぇように気を付けろよなぁ。
「天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう……ようにはとても見えねぇが?」
「ひひひぃん? ひひひひぃぃぃぃん?」
間抜けな顔。おにぎりそっくりの色と毛皮。
「こやつが、星の神ぃだとぉ――ニャァ?」
「いいえ、その背にしがみ付いているのが、私ですわ、くすくす?」
子馬の背っつうか尻にしがみ付く、やっぱりメイド服の――――――――!?
「おれだ!? おれが居やがる――ニャァ!?」
金の髪が風に舞う。
とお目で見ても、華奢な体。
見てくれだけなら、ガムラン町のコントゥル家関係者や、央都のしゃらあしゃらした連中にも引けを取らねぇ。
居るだけで、その場が明るくなるような――
将来が楽しみなくらいには、綺麗な面の童だ。
端から見りゃ――よくもあんな背格好で、戦闘狂や、妖怪狐や変異種なんかを倒したもんだぜ。
「ゴゥゴォォゴォォオオオォォオォオオォォオォオォォォォッ――――!!!!!!!!」
うるせぇ。
メキメキバキバキ!
隙間から出てくるには鋼鉄の胸板を、こじ開けなけりゃならねぇ。
ギュギッチャゴ!
鎧武者を起こし、装甲板をガガンと叩いて締めた!
「(あたりを流れる大地のうねりが、弱まってきています)」
おう、おれが動けるようになるまでに、ミノタウの倒し方を考え――
「ぎゃぁ、うるさい!」
子供が怒ってやがる……悪ぃ。
ミノタウめ、怒られちまったじゃねぇーか!
「私の姿に、見覚えは、本当に、有りませんか?」
でけぇ子馬の尻に、しがみ付いた星の神が――
発した言葉が、不吉で神々しくて――うさんくさく感じた途端。
生身の、星の神の姿が――
白髪の老人のようにも――
眉目麗しい若い女のようにも――
槍や刀や酒瓶のようにも――
「おまえっ――三途の川に居た、自称神だなぁあぁ――ニャァ!?」
「じゃからのう、最初からそう言っとるじゃろうがのうぉう――――!!!!!!!!」
メキメキバキバキ!
うるせぇ。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる