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3:ダンジョンクローラーになろう
386:龍脈の回廊、三途の川
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メキメキメキメキメキエメエキメキメキ!
角がおれの装甲をかち割って、出てこようとしてる。
ふぉん♪
『ミノタウロース/
二足歩行。巨大な角に小さな蹄。
手が付けられないほどの乱暴者。
すじ張ってて食べるところがないが、
一匹につき500グラムだけ採れるヒレ肉は、
値が付けられないほどの珍味。
ただし二本ある角を破壊した後、とどめを刺さないと固くなる。
ミノタウロースのヒレ肉シャトーブリアン、
それは見ただけでも、一生自慢できるほどに希少。』
やかましい!
「(そんな食材情報はいらん!)」
「(シガミーさん、聞こえますか? あなたの心に直接、語りかけています、うふふ?)」
誰でぇい、お前さまわぁ?
「(私、カヤノヒメと申します、くすくす?)」
茅野姫だぁ? まさか、こんな来世で野椎神でもあるめぇし――
やい迅雷、誰でぇいこいつぁ?
「(シガミー消失後に再生した、シガミーの体に取り付いた――)」
「(何ぃ――悪霊か!? 退治すっか!)」
「(いいえ、草木に干渉する性質から、鹿屋野比売神にちなんで、私が命名しました。本人の弁によるなら、この世界の大地がある惑星ヒースを司る星神のようです)」
「(何ぃ――星の神か!? 退治すっか?)」
「(くすくす。ようやくお会いできましたのに、退治されては困りますわ。それでは――)この姿なら見覚えも、御座いますのではありませんか――?」
ぽっきゅぽぽぉぉぉん♪
騒々しい音を立てて――ぽぎゅむん♪
目のまえの大岩に降り立ったのは――――!?
「なんだぁ、その王女が作った馬みてぇな形わぁ――ニャァ!?」
それは、四つんばいになった強化服が、首を伸ばして顔を細くして、足をニョキニョキと伸ばしたような姿形。
「(ますますもって、あやしいぜ! 退治すっか?)」
「その子はねぇ――あたしとタターちゃんと王女さまが作ったんだよ♪」
おれの手の中から、自慢げな声が聞こえる。
ガガァン!
おれの肩に降り立った、黒い服の青年。
抱えられたメイド服の少女が――
「な、なまえわぁ、テンプーラゴウですぅ!」
じたばたと藻掻いてやがる。
あんまり暴れると落ちるし、ミノタウロースの大角に突かれねぇように気を付けろよなぁ。
「天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう……ようにはとても見えねぇが?」
「ひひひぃん? ひひひひぃぃぃぃん?」
間抜けな顔。おにぎりそっくりの色と毛皮。
「こやつが、星の神ぃだとぉ――ニャァ?」
「いいえ、その背にしがみ付いているのが、私ですわ、くすくす?」
子馬の背っつうか尻にしがみ付く、やっぱりメイド服の――――――――!?
「おれだ!? おれが居やがる――ニャァ!?」
金の髪が風に舞う。
とお目で見ても、華奢な体。
見てくれだけなら、ガムラン町のコントゥル家関係者や、央都のしゃらあしゃらした連中にも引けを取らねぇ。
居るだけで、その場が明るくなるような――
将来が楽しみなくらいには、綺麗な面の童だ。
端から見りゃ――よくもあんな背格好で、戦闘狂や、妖怪狐や変異種なんかを倒したもんだぜ。
「ゴゥゴォォゴォォオオオォォオォオオォォオォオォォォォッ――――!!!!!!!!」
うるせぇ。
メキメキバキバキ!
隙間から出てくるには鋼鉄の胸板を、こじ開けなけりゃならねぇ。
ギュギッチャゴ!
鎧武者を起こし、装甲板をガガンと叩いて締めた!
「(あたりを流れる大地のうねりが、弱まってきています)」
おう、おれが動けるようになるまでに、ミノタウの倒し方を考え――
「ぎゃぁ、うるさい!」
子供が怒ってやがる……悪ぃ。
ミノタウめ、怒られちまったじゃねぇーか!
「私の姿に、見覚えは、本当に、有りませんか?」
でけぇ子馬の尻に、しがみ付いた星の神が――
発した言葉が、不吉で神々しくて――うさんくさく感じた途端。
生身の、星の神の姿が――
白髪の老人のようにも――
眉目麗しい若い女のようにも――
槍や刀や酒瓶のようにも――
「おまえっ――三途の川に居た、自称神だなぁあぁ――ニャァ!?」
「じゃからのう、最初からそう言っとるじゃろうがのうぉう――――!!!!!!!!」
メキメキバキバキ!
うるせぇ。
角がおれの装甲をかち割って、出てこようとしてる。
ふぉん♪
『ミノタウロース/
二足歩行。巨大な角に小さな蹄。
手が付けられないほどの乱暴者。
すじ張ってて食べるところがないが、
一匹につき500グラムだけ採れるヒレ肉は、
値が付けられないほどの珍味。
ただし二本ある角を破壊した後、とどめを刺さないと固くなる。
ミノタウロースのヒレ肉シャトーブリアン、
それは見ただけでも、一生自慢できるほどに希少。』
やかましい!
「(そんな食材情報はいらん!)」
「(シガミーさん、聞こえますか? あなたの心に直接、語りかけています、うふふ?)」
誰でぇい、お前さまわぁ?
「(私、カヤノヒメと申します、くすくす?)」
茅野姫だぁ? まさか、こんな来世で野椎神でもあるめぇし――
やい迅雷、誰でぇいこいつぁ?
「(シガミー消失後に再生した、シガミーの体に取り付いた――)」
「(何ぃ――悪霊か!? 退治すっか!)」
「(いいえ、草木に干渉する性質から、鹿屋野比売神にちなんで、私が命名しました。本人の弁によるなら、この世界の大地がある惑星ヒースを司る星神のようです)」
「(何ぃ――星の神か!? 退治すっか?)」
「(くすくす。ようやくお会いできましたのに、退治されては困りますわ。それでは――)この姿なら見覚えも、御座いますのではありませんか――?」
ぽっきゅぽぽぉぉぉん♪
騒々しい音を立てて――ぽぎゅむん♪
目のまえの大岩に降り立ったのは――――!?
「なんだぁ、その王女が作った馬みてぇな形わぁ――ニャァ!?」
それは、四つんばいになった強化服が、首を伸ばして顔を細くして、足をニョキニョキと伸ばしたような姿形。
「(ますますもって、あやしいぜ! 退治すっか?)」
「その子はねぇ――あたしとタターちゃんと王女さまが作ったんだよ♪」
おれの手の中から、自慢げな声が聞こえる。
ガガァン!
おれの肩に降り立った、黒い服の青年。
抱えられたメイド服の少女が――
「な、なまえわぁ、テンプーラゴウですぅ!」
じたばたと藻掻いてやがる。
あんまり暴れると落ちるし、ミノタウロースの大角に突かれねぇように気を付けろよなぁ。
「天風羅睺! 天かける風が如く、日月を喰らう……ようにはとても見えねぇが?」
「ひひひぃん? ひひひひぃぃぃぃん?」
間抜けな顔。おにぎりそっくりの色と毛皮。
「こやつが、星の神ぃだとぉ――ニャァ?」
「いいえ、その背にしがみ付いているのが、私ですわ、くすくす?」
子馬の背っつうか尻にしがみ付く、やっぱりメイド服の――――――――!?
「おれだ!? おれが居やがる――ニャァ!?」
金の髪が風に舞う。
とお目で見ても、華奢な体。
見てくれだけなら、ガムラン町のコントゥル家関係者や、央都のしゃらあしゃらした連中にも引けを取らねぇ。
居るだけで、その場が明るくなるような――
将来が楽しみなくらいには、綺麗な面の童だ。
端から見りゃ――よくもあんな背格好で、戦闘狂や、妖怪狐や変異種なんかを倒したもんだぜ。
「ゴゥゴォォゴォォオオオォォオォオオォォオォオォォォォッ――――!!!!!!!!」
うるせぇ。
メキメキバキバキ!
隙間から出てくるには鋼鉄の胸板を、こじ開けなけりゃならねぇ。
ギュギッチャゴ!
鎧武者を起こし、装甲板をガガンと叩いて締めた!
「(あたりを流れる大地のうねりが、弱まってきています)」
おう、おれが動けるようになるまでに、ミノタウの倒し方を考え――
「ぎゃぁ、うるさい!」
子供が怒ってやがる……悪ぃ。
ミノタウめ、怒られちまったじゃねぇーか!
「私の姿に、見覚えは、本当に、有りませんか?」
でけぇ子馬の尻に、しがみ付いた星の神が――
発した言葉が、不吉で神々しくて――うさんくさく感じた途端。
生身の、星の神の姿が――
白髪の老人のようにも――
眉目麗しい若い女のようにも――
槍や刀や酒瓶のようにも――
「おまえっ――三途の川に居た、自称神だなぁあぁ――ニャァ!?」
「じゃからのう、最初からそう言っとるじゃろうがのうぉう――――!!!!!!!!」
メキメキバキバキ!
うるせぇ。
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