上 下
383 / 735
3:ダンジョンクローラーになろう

383:龍脈の回廊、惑星ヒース壊滅

しおりを挟む
 ッチッ――――――ドッゴガガッガァァァァァァァァァァァァァ――――――――ンッ!!!!
 ニゲルのからだが、とんでもないいきおいで――天高てんたかく舞いあがった!

「お、乗った文言めっせよが)――ニャ
 見あげてたら――――ひゅるるるるっ、スコン!
 ニゲルのけんが落ちてきて、地面じめんに突き刺――

 ビキビキビキィッ、パキャァァン!
 落ちてきたけんが、切っさきからつかまで――
 パキリと割れた。

「カカカカカカカカッ――――ざマー見ろ――ニャァ
 見事みごとに、真っぷたつにしてやったぜ!

 バッガァァン、ゴゴッガァァァンッ――――!!
 はなたれていたまばゆひかりが消え、たちどころにてつかたまりみたいな〝錆び・・〟でおおわれた。
 ニゲルの手をはなれた二本の剣・・・・が、そのおもさで地中ちちゅうもぐりこむ!
 舞いあがる土砂どしゃ

 野郎ニゲルつよさの神髄しんずい六割方ろくわりがたあの剣だ・・・・ってのは――
 斬りむすんだときに、鎧板はだでわかった。
 ならのこりの四割よんわり、きちりと熨斗のしをつけて――斬り捨ててやらんとなぁ!

 スゥゥゥゥゥゥッ――ガチン、ジャッリィィィィィイン♪
 納刀のうとうし――――ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン――――ゴドッガァァァァンッ!!
 残りがニゲル落ちてくるまで、すこし待たねぇとならねぇから。
 景気けいきよく大地だいち錫杖しゃくじょうで、打ちつけてやった!

 ――ごおん。
 なにか鳴ったか?

 ビキッ――!!!
 んう?
 打った地面じめんが、ひび割れる。

 バキバキバキバキィィィィィッ――――!!!
 なんでか、どこまでも地割じわれがひろがっていく!

 ぐわらららっ。すべてが地鳴じなりで、埋め尽くされた。
「ああああああああああああああああ――――――――ニャァ!?
 ちかくをとお街道かいどう一斉いっせいに吹っ飛び、土砂どしゃを巻きあげた!

 それはたとえるまでもなく、大地ほし胎動たいどうだった。
 いつか神域惑星どこだかかつを入れたときの、何倍なんばいだろうかなぁ。

 仰天動地ぎょうてんどうち国作くにづくり。
 天地あめつちがふたたび、分たれる。
 この世を、もういちど分けよう・・・・ってんなら――
 いまある天地せかいは、当然とうぜんこわれちまうに決まってる!

「やべぇ、なにかやっちまった――ニャァ
 ふぉふぉふぉふぉぉぉぉおん♪
『WINNER/レイド村杯タイトルマッチ獲得!』
 わからぁーん!

 死ぬ、死んじまう!
 まんいちにも、これが〝壊劫えこう〟――
 この世が破壊はかいつくされる、終わりのときをむかえたってんなら――

 ここしばらくめしを食わせてやらなかったから、あの大飯ぐらいが・・・・・・・・――
 癇癪かんしゃくを起こして、こんなふう天地あめつちを――
 現世うつつを――終わりにしちまったんじゃぁねぇのかぁぁぁぁぁぁっ!?

 そういやぁだれかに「めしつくってやる」って、約束やくそくをした気がしねぇでもねぇ。

 そのとき、ふぉふぉん♪
◂◂◂ピピピッ♪
『ヒント>動体検知、敵性20%なおも上昇中』

 ――――きらぁん♪
 ヒュルヒュルとむらほうから、なにかが飛んで来やがった。
 なんだこの、いそしいときによぉう?

 ふぉふぉん♪
▼▼▼ピピピッ♪
 そろそろニゲルが落ちてくる。
ポッ』――気のはえ升目ますめ空中ちゅうからあらわれて、うえへ素っ飛んでいく。
 落ちてきたなら、斬らねばならぬぅ。

「シガミー、受ケ取って下サい
 鉄鍋てつなべをひっかいたような、落ち着いたこえ

 白銀はくぎんひかぼう――キュキュ、チィィィィィ――独鈷杵どっこしょか?

 そういやぁ、さっきまで見てたゆめなかで――
 そんなもんを、つかんでいたような?

 なんだったか――ああああああああああああああ。
 ぐわらわらららららぁ――ドギャガタ、ドギャタガタ!
 かんえてる場合ばあいじゃなかった!
 この鉄鎧てつよろいからだおもい。地割じわれに呑まれて死ぬぞ。

 ぼうが、何かを投げた。
 それは『▼▼▼ピピピッ♪

 ふぉん♪
『ヒント>動体検知、敵性0%』
 あかくねぇ、黄緑色きみどりいろ文字もじ
 このいろは、安心あんしん安全あんぜん証拠しょうこだ。

 地割じわれに呑み込まれながら、うでを伸ばした。
 そのちいせぇなにかは手甲てっこうにあたり、ぐしゃりとつぶれ――

 この日、惑星わくせいヒースは壊滅かいめつした。

   §

「ひ、ひゃぁぁぁぁっ――――い、いますぐかえりましょう! こ、この揺れ、し、死んじゃう!」
 メイド・タターはおおきな子馬こうまに、引きずられていた。

「そ、そうですわね。こ、この場にとどまれば、ほ、本当ほんとうに死んでしまいます。で、ですが、も、もどることは出来できませんわ、う、うふふ
 子馬こうまの背にしがみ付く、星神こども

 洪水こうずいのように、流れていく大地・・・・・・・
「も、もどれなぁいぃぃぃいっ!?」
 子馬こうまを駆る暴走少女レイダ(2回目かいめ)のかおは、あおざめていた。

「な、なぜなら、い、一般いっぱん女神像めがみぞうには、て、転移機能てんいきのうが付いていないからです。お、央都おうととガムランちょう女神像めがみぞうが、い、異常いじょうに高性能こうせいのうなのですわ
 子馬こうまの背にしがみ付く、星神こども

 どごぉん――鋭い揺れ!
 察知さっちした子馬こうまが、倒木とうぼくを蹴り――大ジャンプぽっきゅぽん
 そのはずみで新米しんまいメイド・タターを、子馬こうま尻尾しっぽしばり付けていたカフスが――ピィンと抜けた♪

「――――――!?」
 こえにならないこえをあげ、新米しんまいメイドが落ちていく。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 わめ暴走少女レイダ

 ズバァッ――落ちていくメイドを、くろかげがさらう。
 颯爽さっそう少女しょうじょタターをかかえた、黒装束くろしょうぞく
 スタタタタァァン――――ストトォォンッ!

おソくなりまシて、もウわケありマせん。オ怪我けガ御座ごザいませンか
 子馬こうま併走へいそうするこえは、どこか金属質きんぞくしつで。
 こえはっした青年かれは――白目しろめをむいていた。

「――「きゃぁぁぁああぁぁぁあぁあっ――――!!」」
 悲鳴ひめいは、気絶きぜつした青年ニゲル耳元から・・・・も、かさなって聞こえてきた。
 ひとつは、ネネルド村出身むらしゅっしんのタターの悲鳴ひめい
 もうひとつは「――タターさぁん、なんですかそのうらやましい! いますぐ変わってくださぁいらぁぁん!」という――
 ラプトル王女殿下おうじょでんかの、こころからのねたみであった。

緊急時きンきゅうじニ付キ、ニゲルノ身体しんタい徴用ちょウようしまシ
 かれくちうごかず、あたまのうしろから聞こえてくる。

「「ひょっとして、迅雷ジンライ!?」」
 まるで、わき出る温泉おんせんがごとく、波打つ大地・・・・・
 木の葉のように、ながれていくのは大木たいぼく大岩おおいわ
 その足場を、ぽっきゅぽっきゅぽぽっきゅむ♪
 子馬こうま天ぷら号テンプーラゴウが跳ねていく。

「はイ。シガミーへノとドもノは済みましたノで、レイドむラ避難ひなンしマしょ
 シュタタァァーンと、追従ついじゅうする青年ジンライ

「「「ひ、避難ひなんー?」」」
 子供レイダ星神カヤノヒメメイドタターが、周囲しゅうい見渡みわたすが――
 あたりは大地だいち噴出ふんしゅつする、有りさまで。

ほシ天変地異てんぺンちい見舞みまわれたさいに、設置せっチさレた地盤じばンごト結界けっかイマも機能きのウ女神像めがみゾうにはアりますので、むラむラ安全あんゼなはずでデす。転移魔方陣てんいマほうじんナど一部いチぶ機能きノう制限せイげんされまス
 白目しろめをむいたニゲルの、流暢りゅうちょう金属声きんぞくごえ
 ここにとり仮面かめん彼女かのじょが、居合いあわせたならば――
 きっとからだをくの字に曲げ、湧く大地だいちへ突っ伏し――
 そのからだを、ながされていたことだろう。
 だが、転移陣てんいじん使つかえないいま彼女リオレイニアはガムランちょうに取りのこされている。

「そ、そうですか。そ、それでは、そ、そのように――」
 くらもない子馬こうまに、しがみ付くカヤノヒメ。
 その身体能力しんたいのうりょくたかさは――シガミーの肉体性能・・・・によるものである。

「は、はやく避難ひなんしましょう!?」
 お姫様ひめさまだっこで、しがみ付くタター。
 「――こらぁー、タタァーさぁん! あとでレポートを、レポートを提出ていしゅつなさいらぁぁん!」
 青年せいねんみみから、本物ほんもののお姫様ひめさまこえが漏れる。
 かれのスマホにリンクしたワイヤレスイヤホンは、戦闘用せんとうようではない。
 そのため静音性せいおんせいは、あまり考慮こうりょされていないようだ。

「けどシガミーは!?」
 子馬こうまくびにしがみつく子供レイダが、こえを張った。

「すぐソこに、埋まってイます――」
 青年ニゲル迅雷ジンライ)が、視線しせんを投げかけた方向ほうこう
 こんこんと、わき出る大地だいち中央ちゅうおう
 噴出ふんしゅつする土砂どしゃから生える、巨大な手甲てのかたち

「シ、シガミィ――――――――!?」
 いきおいあまった子供レイダが、子馬こうまから落ちた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遺跡に置き去りにされた奴隷、最強SSS級冒険者へ至る

柚木
ファンタジー
 幼い頃から奴隷として伯爵家に仕える、心優しい青年レイン。神獣の世話や、毒味役、与えられる日々の仕事を懸命にこなしていた。  ある時、伯爵家の息子と護衛の冒険者と共に遺跡へ魔物討伐に出掛ける。  そこで待ち受ける裏切り、絶望ーー。遺跡へ置き去りにされたレインが死に物狂いで辿り着いたのは、古びた洋館だった。  虐げられ無力だった青年が美しくも残酷な世界で最強の頂へ登る、異世界ダークファンタジー。  ※最強は20話以降・それまで胸糞、鬱注意  !6月3日に新四章の差し込みと、以降のお話の微修正のため工事を行いました。ご迷惑をお掛け致しました。おおよそのあらすじに変更はありません。  

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...