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3:ダンジョンクローラーになろう
379:龍脈の回廊、白い女と卵
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「はひょわらぁー!?」
ニゲルの野郎が、吹っ飛びやがった!
「カカカッ――――ざまぁミろぉい――ニャァ♪」
鉄鎧の体を捩る。
背中が空いた!
大筒をぶっ放してやる!
あれ? どうした?
まえに進めやぁ!?
うんともすんとも、言いやがらねぇぞ?
やっぱり、壊れちまったかぁ?
ガッシンガッシンガッシン――――!
仕方ねぇ、手甲を地面に突き立てて這いすすむ。
ヴォッゴォォン――――バフッスンッ!
すこし進んだら、大筒が弾けた!
ヒュヒィィィィィィイィィィィィィィ――――――――ドガァァァァァァアンッ!!!!
「ぐぬっウぅぅぅっ――――――――ニャッ!?」
地面に叩きつけられた!
まっすぐ進まねぇ!
やっぱり、壊れてやがる!
背中が爆発し続け――――ボゴォォォォッォォォォォォッ、ヒュヒィィィィィィィィンッ!
痛ぇ痛ぇ――角とか肩の尖った所が、地面に突き刺さる!
ガガガガッッギュゥゥゥゥゥンッ――――――――!!!!
必死に腕を伸ばし、体の向きを変える――よし、まえが開けた!
「ぬぅオりゃわぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――ニャァッ!?」
ゴッバァァァアァァァァアァア――――――――!!
地面すれすれを横になったまま、すっ飛んでいく鉄鎧の体。
流れる地面。
シュゴゴォォォォォッ――ォォォォォッ、ッガァァァァァァンッ!
いつまでも大筒が、止まらねぇっ!
木々に岩に空が、うしろへ消えていく。
ひとまずニゲルから、このまま逃げる。
「ぎゃっ!? イオノファラーさまぁっ、お助けをー!!」
そんな声が聞こえたと思ったら――目のまえに。
卵を抱えた白ずくめが。
「ッチィッ――――おレの敵はニゲルだっ――ニャァ!」
こいつは敵じゃねぇ!
それに、こいつを助けたら、あのうまそうな卵を、分けてくれるかも知れねぇ。
なんせ、おれにゃぁ、大飯ぐらいの■■■が、憑いてるから――
うまくて食いでがある物を、いつもかき集めなきゃいけねぇぇぇぇぇぇっ!
咄嗟に、肩口にある小刀をパシャリと開き――
ひっつかんだ。
卵を抱えたやつを――ガッキュゥゥン!
潰したり切りつけたりしないように――
そっとすくい上げた!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!」
うるせぇ!
「そノ卵ォー、落とすナよぉー――ニャァ♪」
すこし土ごと、えぐっちまったが――
小刀を使ったのは、我ながら正しかった。
けど小刀じゃぁ、長さがたりねぇ!
小刀の上をすべった白いのが、すぐに跳ね上がる。
こんなときは、アイツが居りゃぁ――丸投げしても、どうにかしてくれるんだがなぁ。
殴ると殴り返してくるアイツは、いまどっかに行っちまってる。
どうする、このまま手で受け止められるかぁ?
卵は割れちまいそうだ。
どうすりゃ良いかなぁ――?
地面に落としたら、死んじまうだろうし。
なんか受け止められる道具。
平らで、ささくれ立ってない物の上に落として――
鍋を振るときみてぇにすりゃぁ――
やるしかねぇ!
チキッ――――ビィィィィィッ!
おれは左手で、太刀の鞘の金具を押し込んだ!
ギュルルルルルルッ――――――――――――――――ガリリリリリリリリィィィィィンッ!!!
鞘についた歯車がまわって――散る火花!
撃ち出される太刀。
おれは手甲を柄に沿わせる。
ギュギゴゴッ――――ガチィン!
手甲から伸びた鋏が、柄を引き寄せ――――ガシィィンッ!
おれの手が太刀の柄を、しっかりとつかんだ!
「(ぬうぅっ!? 折れた刀身が直ってやがる!?)」
まあ、長さが戻ったんなら助かるぜ。
何でかは考えるな、腰を必死に捻ると、どうにか太刀が抜けた。
おれの肩を飛び越え――
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!」
うしろへ飛んでいく若い女。
「御使いさまのぉー卵ぉわぁー、私が命に代えてぇーもぉーぁー!?!?」
うるせぇ。
うるせぇソイツを、突き刺さねぇように――
よく見た。
よく見て、太刀の鎬筋――刃がねえところで、受け止める。
グィグィィン!
若い女を殺さねぇように、細心の注意。
勢いだけを、殺す。
ふわぁり――ぼすん。
「ぎゃっ――――!? 生きてる――――!?」
うるせぇ。
どうにか受け止められたが、うるせぇ。
シュゴゴォォォォォッ――ォォォォォッ、ッガァァァァァァンッ!
そろそろ村だ。
地図がねぇと、場所がわからん。
「女神像わァ、どコだぁぁ――ニャァ!?」
口を突いて出た言葉に――
「わ、わわわわ、私を食べても美味しくなど有りませんよよよよよ!? 女神像は、このまままっすぐ行ったところの、ちちちちち地下にあります――!」
白い女が返事をした。
おれの中の誰かが、「また地面の下かよ!」と叫んだ。
ニゲルの野郎が、吹っ飛びやがった!
「カカカッ――――ざまぁミろぉい――ニャァ♪」
鉄鎧の体を捩る。
背中が空いた!
大筒をぶっ放してやる!
あれ? どうした?
まえに進めやぁ!?
うんともすんとも、言いやがらねぇぞ?
やっぱり、壊れちまったかぁ?
ガッシンガッシンガッシン――――!
仕方ねぇ、手甲を地面に突き立てて這いすすむ。
ヴォッゴォォン――――バフッスンッ!
すこし進んだら、大筒が弾けた!
ヒュヒィィィィィィイィィィィィィィ――――――――ドガァァァァァァアンッ!!!!
「ぐぬっウぅぅぅっ――――――――ニャッ!?」
地面に叩きつけられた!
まっすぐ進まねぇ!
やっぱり、壊れてやがる!
背中が爆発し続け――――ボゴォォォォッォォォォォォッ、ヒュヒィィィィィィィィンッ!
痛ぇ痛ぇ――角とか肩の尖った所が、地面に突き刺さる!
ガガガガッッギュゥゥゥゥゥンッ――――――――!!!!
必死に腕を伸ばし、体の向きを変える――よし、まえが開けた!
「ぬぅオりゃわぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――ニャァッ!?」
ゴッバァァァアァァァァアァア――――――――!!
地面すれすれを横になったまま、すっ飛んでいく鉄鎧の体。
流れる地面。
シュゴゴォォォォォッ――ォォォォォッ、ッガァァァァァァンッ!
いつまでも大筒が、止まらねぇっ!
木々に岩に空が、うしろへ消えていく。
ひとまずニゲルから、このまま逃げる。
「ぎゃっ!? イオノファラーさまぁっ、お助けをー!!」
そんな声が聞こえたと思ったら――目のまえに。
卵を抱えた白ずくめが。
「ッチィッ――――おレの敵はニゲルだっ――ニャァ!」
こいつは敵じゃねぇ!
それに、こいつを助けたら、あのうまそうな卵を、分けてくれるかも知れねぇ。
なんせ、おれにゃぁ、大飯ぐらいの■■■が、憑いてるから――
うまくて食いでがある物を、いつもかき集めなきゃいけねぇぇぇぇぇぇっ!
咄嗟に、肩口にある小刀をパシャリと開き――
ひっつかんだ。
卵を抱えたやつを――ガッキュゥゥン!
潰したり切りつけたりしないように――
そっとすくい上げた!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!」
うるせぇ!
「そノ卵ォー、落とすナよぉー――ニャァ♪」
すこし土ごと、えぐっちまったが――
小刀を使ったのは、我ながら正しかった。
けど小刀じゃぁ、長さがたりねぇ!
小刀の上をすべった白いのが、すぐに跳ね上がる。
こんなときは、アイツが居りゃぁ――丸投げしても、どうにかしてくれるんだがなぁ。
殴ると殴り返してくるアイツは、いまどっかに行っちまってる。
どうする、このまま手で受け止められるかぁ?
卵は割れちまいそうだ。
どうすりゃ良いかなぁ――?
地面に落としたら、死んじまうだろうし。
なんか受け止められる道具。
平らで、ささくれ立ってない物の上に落として――
鍋を振るときみてぇにすりゃぁ――
やるしかねぇ!
チキッ――――ビィィィィィッ!
おれは左手で、太刀の鞘の金具を押し込んだ!
ギュルルルルルルッ――――――――――――――――ガリリリリリリリリィィィィィンッ!!!
鞘についた歯車がまわって――散る火花!
撃ち出される太刀。
おれは手甲を柄に沿わせる。
ギュギゴゴッ――――ガチィン!
手甲から伸びた鋏が、柄を引き寄せ――――ガシィィンッ!
おれの手が太刀の柄を、しっかりとつかんだ!
「(ぬうぅっ!? 折れた刀身が直ってやがる!?)」
まあ、長さが戻ったんなら助かるぜ。
何でかは考えるな、腰を必死に捻ると、どうにか太刀が抜けた。
おれの肩を飛び越え――
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!」
うしろへ飛んでいく若い女。
「御使いさまのぉー卵ぉわぁー、私が命に代えてぇーもぉーぁー!?!?」
うるせぇ。
うるせぇソイツを、突き刺さねぇように――
よく見た。
よく見て、太刀の鎬筋――刃がねえところで、受け止める。
グィグィィン!
若い女を殺さねぇように、細心の注意。
勢いだけを、殺す。
ふわぁり――ぼすん。
「ぎゃっ――――!? 生きてる――――!?」
うるせぇ。
どうにか受け止められたが、うるせぇ。
シュゴゴォォォォォッ――ォォォォォッ、ッガァァァァァァンッ!
そろそろ村だ。
地図がねぇと、場所がわからん。
「女神像わァ、どコだぁぁ――ニャァ!?」
口を突いて出た言葉に――
「わ、わわわわ、私を食べても美味しくなど有りませんよよよよよ!? 女神像は、このまままっすぐ行ったところの、ちちちちち地下にあります――!」
白い女が返事をした。
おれの中の誰かが、「また地面の下かよ!」と叫んだ。
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