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3:ダンジョンクローラーになろう

368:龍脈の回廊、キーボード配列と花

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低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ。ただちに調査ちょうさならびに迎撃行動げいげきこうどうを――――♪」
 それは、最上階ペントハウスとどろ大音量だいおんりょう――――ピタリ。

 リカルルが――暖炉だんろうえ調度品ダイヤルに、手を伸ばしたとき。
 けたたましいこえが止んだ。

「リカルル、わたシニおまマせヲ。カヤノヒメの要請よウせいにヨり、コの剣士けンし調度品ちょウどひん固定こテいしマした。サイレンの停止てイしト、外部がイぶ警戒対象けいかイたいしょうステータスヲ表示ヒょうじするコとを了承りょウしょうしてくダさ
 独古杵どっこしょかたちをしたぼうが、剣士けんし置物おきものに――ギギギギッ!
 くろくてほそ機械きかいうでを、巻き付けている。

 調度品ダイヤル回転かいてんすると、暖炉だんろうえかべ裏返うらがえり――
 区域くいき地図ちず対応たいおうした伯爵領家名はくしゃくりょうかめいリストを、光点こうてんしめすパネルが出現しゅつげんするのだが。
 ギギギギギ――――「(――警戒けいかい――バリア――ならび――♪)」
 独古杵ジンライがそれを、止めている。

 一瞬いっしゅん怪訝けげんかおをした令嬢れいじょうが――
了承りょうしょうしますわ、子細しさいわかりませんけれどっ! それで、この変異種バリアントはどうすれば良いんですの!?」
 丁寧ていねいに編み込まれたかみ
 いつにも増してきらびやかなよそおい。

 テーブルじょう美の女神イオノファラー御神体ごしんたいと、テーブル向こうの星神ほしがみカヤノヒメ。
 神々かみがみ令嬢れいじょう視線しせんが、交差こうさする。

「リカルルさん。少々しょうしょうお待ちください。けほけほん。できうるかぎりの最善策さいぜんさくかんがえますの――メキメキメキメキョメキョ、パパァパァァッ♪」
 木のえだが伸びきり、まるで室内しつないに生いしげ立木たちき
 おさな少女カヤノヒメ指先ゆびさきが、くうを薙いだ。
 ふぉふぉん、スサササァァァァッ――――
 手元てもとあらわれるコンソール。

 それはQWERTYクウェルティー配列はいれつでも、DVORAKドヴォラック配列はいれつでもなく。
 ねこうしかに太陽たいようくも大小だいしょうつきなどが、えがかかれており――
 コカ、コカカ、カタカタ、カタン♪

 調度品ちょうどひんたなのない壁一面かべいちめんに――ヴォォオォォゥン――ジャラァァン♪
 展開てんかいされたのは――奥行おくゆきのある映像空間えいぞうくうかん

 すみ配置はいちされたアイコンなどから――ソレが「立体的りったいてき操作そうさエリアねぇん」であると、御神体メガミにはわかったようだった。

 平面へいめん設定せっていされ――ぽこん♪
 そのうえに置かれたのは――猫の魔物シシガニャン

 魔物それには、ねこのフォルムの模様もよう無数むすう配置はいちされており――「かわいい♪」
 落着おちつきのないレイダが、駆けよろうとして――
 「邪魔じゃまをしてはいけません」とメイド・タターにつかまる。
 ねこ片方かたほう手先てさきツギハギ・・・・にされており、ソコには文字もじ羅列されつが見えた。

 コカ、コカカ、カタカタ、カタン♪
 あたまから生いしげえだ固定こていされているせいか、ながれるようなタイピングとはいかず、なぞのシガミー復旧作業ふっきゅうさぎょう停滞ていたい余儀よぎなくされた。

なにしてるかわからないのだけどぉ……キー入力にゅうりょくならぁ、あたくしさまのほうはやそうだからぁ、手伝てつだおっか
 仕事しごとを買って出る、御神体ごしんたい

「そうですね、ではおねがいいたしますわ、くすくふ、こほこほん
 咳きこむ衝撃しょうげきで、枝葉えだはについたはなが――
 ぽふぁぽふぁふぁぁ!
 はなかおりをまき散らし、大きくなった・・・・・・

 それはこのえだはなが、〝純粋じゅんすい植物しょくぶつでは無い〟ことをあらわしている。

「あ、でもこの、カヤノヒメ配列はいれつ、知らないんだけど!?
 ふぉふぉん、スサササァァァァッ――――
 御神体メガミ手元てもと……足下あしもとあらわれるコンソール。

「では、日本語にほんご106キーボードでおねがいいたしますわ、くふゅこほん
 咲きみだれるはな
 そのいきおいでいくつかのはなが、ぽさぽさとゆかに落ちた。
 落ちたはなを、ひろいあつめる子供こども手伝てつだ新米しんまいメイド。

「では、ダイアログとプロンプターに表示ひょうじされる、調査ちょうさ再定義さいていぎため演算式えんざんしき入力にゅうりょくと、管理者権限かんりしゃけんげん行使こうしのためのPW入力パスワードにゅうりょうくをおねがいいたしますわ、こひゅくひゅくふん♪」
 ぼっふぁ、ぼふぁふぁっ――ぼっごふぁぁぁん♪

「はぁーい! フーリエ演算式えんざんしき入力にゅうりょくは、迅雷ジンライがやって!」
 タタン、カシャララッラララララララッララン、ララララララッララッ、タタン!
 ながれるようなタッチタイピング。
 光の板キーボードうえを、根菜こんさい丸茸まるきのこころがっているようにしか見えないが――
 入力しごと間違まちがいいはないようで、映像空間えいぞうくうかん無数むすう演算結果えんざんけっか進捗状況しんちょくじょうきょうあらわれては集約しゅうやくされていく。

了解りょうかいしマした。カヤノヒメ、この調度品ちょうどひん固定こていは、これで十分じゅうぶんでスか?」
 カチャカチャカチャカチャ――ギチリ!

「はい、問題もんだいありません。ソチラのデバイスの演算素子えんざんそしに、シガミーさんとおもわれるたましい……いえ、情報特性じょうほうとくせい同定どうていしましたので、できるだけ状態じょうたい保持ほじしてください、こひゅこひゅふゅ♪」
 落ちるはなおおきさが、レイダのかおよりおおきくなったころ――

奥方おくがたさまと王女殿下おうじょでんかが、おもどりになりました!」
 執事しつじ主人リカルルへ駆けより、告げた。

 子細しさいわからないと豪語ごうごした家主リカルルでさえも、いまのこの状況じょうきょうがイレギュラーなことだけは把握はあくしているようで。

「レーニア! わたくし出来できることが御座ございまして!?」
 冷静れいせいに取りみだし、丸投げした・・・・・
わたくしたちは、イオノファラーさまの見えない御神体・・・・・・・を、引きつづさがしましょう――――キャァァァァッ!?」
 混迷こんめいきわめるなかとり仮面かめん侍女メイドよこっ飛びに――主人リカルルを突き飛ばした!

 ばがぁぁん――――ぶぉぉぉおっぅわっ!
 まどひらき、かぜ逆巻さかまく!
 ヴォォォォオォォンッ♪
 まどから飛びこんできたのは、巨大きょだい魔法杖まほうつえ

 バゴォォン、パシュ、チチピッ♪
 自動じどうドアが閉じられ、ロックされる。

「やぁっとぉーついたぁー、リオレーニャちゃぁん! おみずちょうだぁい! おさけでも良いけどぉ!」
 着地ちゃくちする――コントゥル家名代けみょうだい

「あいたっ! や、やたらとぉー逃げ出すもんだから――」
 ころげ落ちたのは、筋骨隆々きんこつりゅうりゅうのドレス姿すがた名物めいぶつ受付嬢うけつけじょうの〝ギルドをいつも壊してるほう〟。
「――時間じかんが掛かってしまいましたぁーらん!」
 小脇こわきにかかえられた、ラプトル王女殿下おうじょでんか
 その手には、透明とうめいなケース。
 なかには――ぬのつつまれた根菜こんさい

 タタン、カシャララッラララララララッララン、ララララララッララッ、タタン!
 ながれるような、舞う御神体タッチタイピング
 壁一面かべいちめん映像空間えいぞうくうかんが――
 なんらかのこたえをみちびき出そうと、集約しゅうやくしていく。

 タタン、カシャララッラララララララッララン、ララララララッララッ、タタン!
 片腕かたうでがツギハギの、猫の魔物シシガニャン
 そのうでから文字もじがあふれ出し、ツギハギの向こう側・・・・へとながれ出していく。
 魔物まもの表面ひょうめん一瞬いっしゅんで、おおい尽くされた。

 タタン、カシャララッラララララララッララン、ララララララッララッ、タタン!
 猫の魔物シシガニャンを取りかこむように、配置はいちされたのは――
 記号きごうが書かれたくびのない魔物まものかたち
 これは変異種バリアントをあらわす意匠マークで、記号きごう出現順・・・形状・・個体特性・・・・つたえているらしい。

王女おうじょさまっ! ソレ、あのなかにっ、ぶん投げて!」
 映像空間えいぞうくうかんを指ししめす、根菜イオノファラー

「わっ、わかりましたらぁん!」
 一切いっさい躊躇無ちゅうちょなく、イオノファラーの複製ふくせいが――
 ケースごと、演算中えんざんちゅう映像空間えいぞうくうかんへ投げ込まれた。
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