滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

363:龍脈の回廊、おにぎりはご主人さま?

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「わしゃぁ、レイド村村長むらそんちょうのナッツバーですじゃ。へへははぁー!」
 三度目さんどめの、へへははぁー。
 集会所しゅうかいじょあつまったレイド村村民むらそんみんは、総人口そうじんこう100にんにも満たなかった。

 ソレにたいして随分ずいぶん立派りっぱなな、ひろ建物たてもの
 つくりとしてはガムランちょう城塞都市じょうさいとしオルァグラムの、ギルド会館並かいかんなみ。

「ようやく、ご老人ろうじんが出てきた……ひそひそ」
 ぺらぺらのゴザのような座布団ざぶとんすわる、ニゲル青年せいねん
 ソレを取りかこむのは、それほどとしちがわない若者わかものばかり。

「ニャンみゃ、にゃがにゃぁー♪」
 ふぉん♪
『おにぎり>ニャンが抜けてるもの♪』

調子ちょうしに乗るなよ、おにぎり……ひそひそ……集会所しゅうかいじょって言ってたけど、コンサートが出来できるイベントホール並みじゃんか――ニャン♪」

「いま、たたかえない老人ろうじん女子供おんなこどもは、隣町となりまち避難ひなんしてましてのう」
避難ひなん――ニャン?」
「そうですじゃ。こちらを、ごらんください」
 ぱさり。
 ひろげられたのは、ちょっとながめのかみ

「これ、なんて書いてあるんだい……ひそひそ?」
 かれ会話かいわこそ普通ふつう出来できているが――この世界せかい文字もじの読み書きには、苦労くろうしているらしい。

「にゃやにゃごにゃぁーにゃる、みゃごにゃぁー♪」
 ふぉん♪
『おにぎり>千年に一度の大々々チャンスって、書いてあるもの♪』

千年せんねん一度いちどの、だいチャンスぅ!?」
 青年ニゲルの目がてんになる。

「はい、それについてはわたくしが、ご説明せつめいさせていただきますわ。御使みつかいのお猫さま・・・・お付きの方・・・・・、どうぞこちらへ」
 自分じぶん座布団まるござを持った神官女性しんかんじょせいが、壁沿かべぞいのテーブルまであるいて行く。

「お、お付きのかたぁー!?」
 あたま猫耳ねこみみを付けた、覇気はきの無い青年せいねん
 その印象いんしょうは、どこからどう見ても――
 〝おねこさまのお付き〟に相応ふさわしい。

「にゃみゃご、みゃにゃにゃみゃごぉー♪」
 ふぉん♪
『おにぎり>ニゲル君、まあ頑張りたまえだもの♪』
 御使いさまおにぎり従者ニゲルかたを、ぽきゅとたたく。

「ぐっ、下手へた訂正ていせいすると……ひそひそ……またねこ魔物扱まものあつかいにもどりかねないから、このままいくけど……あとでおぼえてろよ、おにぎり」
 青年せいねんかおが、ピクリと引きつる。

 村人全員むらびとぜんいんそろった会合かいごy一瞬いっしゅんで終わり、わかしゅうたちはゾロゾロとそとへ出て行く。
 テーブルには村長そんちょうナッツバーに神官女性しんかんじょせい御使みつかいいのおねこさまとその従者じゅうしゃだけがのこった。

もうおくれましたが、わたくし隣町となりまち教会きょうかいから派遣はけんされた神官しんかんナーフ・アリゲッタです」
 組んだ手をはなに押し当てるさまは、敬虔けいけん礼儀正れいぎただしいが――
 ねこ青年せいねん馬鹿ばかにしているようにしかみえない。

「ど、どうも。西にし……ニゲルです」
 うしろあたまを掻きながらこたえる、御使みつかいの従者じゅうしゃ

「ニシニーゲルさん?」
 小首こくをかしげる神官しんかんナーフ。
「いや、ただのニゲルです。こっちはおにぎり」
 ねこ従者じゅうしゃが、主人しゅじんであるねこゆびさす。

「おにぎりさま…………なんて神々こうごうしいお名前おなまえなの――へひょう♪」
 黄緑色きみどりいろねこ魔物まものは――けっして神々こうごうしいようには見えない。
 神官女性しんかんじょせいほうがよぽど、イオノファラー関係者かんけいしゃらしい――
 組んだ手をはなに押し当てすぎて、鼻声はなごえになっているが。

神々こうごうしくはないよね……ひそひそ」
 青年ニゲルは、〝彼女かのじょが付けている片眼鏡モノクルは、きっと色眼鏡いろめがねちがいない〟とでも言いたそうな、あきれがおをしている。

「みゃにゃやごにゃ、みゃにゃにゃごぉー♪」
 ふぉん♪
『おにぎり>おにぎりはおにぎりだもの。こっちはニゲルだもの♪』

 おねこさまがくびから下げたいたを見て、にげるなにかをおもい出したようだ。
 ゴソゴソと取り出したのは、はずしていた耳栓みみせん
 きゅきゅと両耳りょうみみにはめると――目尻めじりまで伸びたぼうさきがチカチカと、青年ニゲルひとみを照らした。
 この耳栓みみせんは、この世界せかい読み書き・・・・苦手にがてかれのため、シガミーがつくった翻訳機・・・だ。

「えっと、なになに……?」
 テーブルに置かれた『千年に一度の大々々チャンス!』のつづきを読んでいく。

「コレより千年せんねんあいだに……十匹じゅっぴき変異種バリアントが……レイドむらに押しよせるぅ――!?」
 異世界いせかいからの召喚者しょうかんしゃであるニゲルでも、変異種バリアント脅威きょういには敏感びんかんだ。

『変な魔物にピンときたらソレは――
 変異種【バリアント】かも知れません!
 お近くのギルド会館までご連絡を。』

 ぜんギルド支部しぶに張られたチラシとおなものが――この集会所しゅうかいじょかべにも多数貼たすうはられている。

「はい。〝約束やくそくされた厄災さいやく〟として、近隣きんりん村々むらむらかたり継がれてきました」
 深刻しんこく神官しんかんナーフ。そのかおあおざめていて、手先てさきふるえていた。

「いつ起こるかわからんがぁぁ、ひとたびはじまればぁそれわぁぁ、立て続けに起こるといわれておりまぁすぅじゃぁぁぁぁ――!」
 迫真はくしんなレイド村村長むらそんちょう。そのかお苦渋くじゅうにゆがみつつも、血気盛けっきさかんな様子ようす

「これは、その順番・・・・しるした古文書こもんじょ複製うつしです」
 神官ナーフの手が、おにぎり青年ニゲルほう長紙それを差しだす。

「ええっと、小鳥ことり蜥蜴とかげ蝙蝠こうもりうさぎかめわしうしいのししに……あれ、にじんじゃってる」
 古文書こもんじょには色々いろいろ動物どうぶつの名がつらねられ、そのよこが描き添えられていたが――

「みゃにゃがぁみゃやー?」
 ふぉん♪
『おにぎり>この先が、読めないもの?』
 最後さいごほうにじんでて、判別はんべつできない。

さきつのウサギせんからきゅう大型化おおがたかして、ありとあらゆる建物たてもの屋根やねあなを開けていきましてなぁ――」
 村長そんちょうが、天井てんじょうあおぎ見た。
 天井てんじょうには、ちいさくないあながあいていた。

「あー、あめに濡れて文字もじにじんでしまったと――ニャン♪」
 青年ニゲルがソレは大変たいへんですねと、大天井だいてんじょう惨状さんじょう確認かくにんしていると――

「デェーンデデェンデェンデェーン♪」
 たとえるなら、ボスせんまえの――いななイントロ。

「この着信ちゃくしんはっ!? ちょっと失礼しつれいしますね♪」
 そそくさと距離きょりを取る、ねこ従者じゅうしゃ
 プッ――♪
「はい、もしもし! 西計にしかずですけどぉ――――!」
 通話つうわの向こうから、聞こえてきたのは――

「――だからもしもしって、なんですの?」
 内耳ないじをくすぐる、かろやかで横柄おうへいつややかさ。

 それはおもびとからの、ラブコールではない。
 おにぎり追跡隊ついせきたい隊長たいちょうからの緊急連絡きんきゅうれんらくである。

ーーー
レイド/複数のHDDへ並列的に書き込むための保守機構。またはMMORPGなどで複数のパーティ連合により巨大ボス戦に挑むこと。
ナーフ/ゲームシステムのアップデートにおける、弱体化要素のこと。基本的にプレイヤーからは歓迎されない。
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