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3:ダンジョンクローラーになろう

356:龍脈の回廊、二つの巨影

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 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
 地中ちちゅうから飛びだす巨大きょだいかげ

 それは天高てんたかく舞いあがり――ぶわさささぁぁぁぁっ♪
 弧をえがくようにつばさをひろげた。
 かたちはまるで、アルファベットの『Q』のよう。

「こんどは――とりかっ!」
 安物やすもの聖剣せいけんの、つかさやをつかむ青年せいねん
 このけんはいつも錆び付いていて、ちからを込めないと抜刀ばっとうできない。

 かれ上空じょうくうやく50メートル。
 たかさにして、かれもといた世界せかい女神像全長めがみぞうぜんちょうほど。
 羽ばたきもせず、まるで無人飛行機ドローンのようにただよ巨獣きょじゅうが――

 クッケェェェェェェェェェェェェェェェェッツツツツツツ――――!!
 びりびりびりびりびりっ――――あまりの鳴きごえおおきさに、たおれる青年せいねん

「ぐっ――たまたま耳栓みみせんしてなかったら、気絶きぜつしてたかも知れない」
 上空じょうくうてきにらみつけるかれの――勇者の歩みブレイブ・ステップ
 神速しんそくほこるそのスキルには――加速・・するための直線・・必要ひつようになる。
 てき間合まあいまでとど足場あしばは、空中くうちゅうにはない。

「いや――――あるっ!」

 いろいろあってながれ着いた、ガムランちょう
 魔物境界線さいぜんせんでスーパールーキーと持てはやされつつもいままで、その実力じつりょく一端いったんすら披露ひろうすることがなかった。

 いまかれ視線しせんさきにあるのは――巨大な鳥おおぞらへのパスポート。
「うにゃみゃぎゃにゃぁ――!?」
 掘り当てたとりに、吹きとばされたらしい黄緑色きみどりいろだ。

 フッ――青年せいねん姿すがたが、消失しょうしつする。
 抜刀ばっとうから納刀のうとうまでのあいだがない、その神速しんそく
 大地だいちを蹴り――
 猫の魔物おにぎりを蹴り――
 垂直すいちょくに――加速かそくする!

「ッチィィィィィィィィィィェェェェェェエエエエエエエエエエェェェェえぇぇぇぇっぃぃぃぃいぃいいぃぃぃぃぃいっっぃぃいいぃぃいいいぃィィィ――――――――――――!!!」

 ザギィィィィィィィィィィィィン――――♪
 鳥の首てき寸断すんだんする、安物やすもの鍵剣セキュアせいけん

 すさまじかった気迫きはくはんし、巨鳥きょちょうは血の一滴いってきも吹き出さず、落ちていく。
 討伐戦とうばつせんは、あっけない幕引まくひきとなった。

「あれ? 斬れちゃった! まあ変異種バリアントって言っても、おおきいだけの動物どうぶつだもんなぁ――」
 かれほふったのは、かりにも変異種バリアントである。
 この台詞せりふを、彼のおもびとに聞かれなかったのは、僥倖ぎょうこうと言えよう。

 空中くうちゅうけんおさめ、姿勢しせいをととのえる青年せいねん
 かりにも勇者として召喚された・・・・・・・・・・かれには、造作ぞうさもないことではある。

 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
 爆発ばくはつする、地面じめんに開いたあな

 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
「えぇー、さっきおにぎりがためし掘りした――――!」
 どうやら、とりが出たのは三つ目のあなで――
 そのひとつ目、ふたつ目にも――

 モ゛ッゥゥゥゥモ゛ォォォォォォォォッォォォォォ――――――!
 ブヒゥブヒィィィィィィィィィィィィィィィッィィ――――――!

 次々つぎつぎ地中ちちゅうから飛びだすのは――巨大きょだいなだけの動物どうぶつだった。

「ふぎゃみゃにゃ、ごぉごごぉぉぉーーーー♪」
 青年ニゲルに蹴られた猫の魔物きみどりいろが、嬉々ききとして――したを向いてクロール。
 それは次々つぎつぎ出現しゅつげんする追加ついかの〝巨大動物バリアント〟を、掘り当てる気満々・・・・・・・・な――その姿勢クロール

「ちょっとまっておにぎり! ストップ! やめて、ほんとやめてぇーーーー!?」
 青年せいねんさけびが聞こえたのか、魔物おにぎりはくるくるくるるるん♪
 地中ちちゅうへダイブするのを止め、ぽっきゅりぃーん♪
 と地上ちじょうへ降り立った。

 モ゛ッゥゥゥゥモ゛ォォォォォォォォッォォォォォ――――――!
 ブヒゥブヒィィィィィィィィィィィィィィィッィィ――――――!

「むあにゃみゃにゃ、みゃんにゃみゃん♪」
 ふぉふぉん♪
『おにぎり>どちらも突進系だもの、チョロいんだもの♪』

 そう言って、あわてた様子ようす青年ニゲルに駆けよる猫の魔物おにぎり

「どうチョロいのかわからな――ぽぎゅごかん♪」
 もとスーパールーキーは着地ちゃくちするなり、魔物きみどりいろ蹴り返された・・・・・・

「――――かめとりうしいのししぃ、ぜぇーんぶ食べられるヤツ、ばっかりだよねぇー!」
 そんななげきが、ふかもり木霊こだました。

   §

 つきひかり蕩蕩とうとうと、あたりを菫色すみれいろで満たしていく。
 化け猫おれこしを落とし――得物えものにしてはやたらと太短ふとみじかい、巻物まきもの水平すいへいかまえた。

   §

「はっ!? いまなにか! たしかに、なにかおいしそうな気配けはいがぁ
 なにもない明後日あさって方向ほうこうを見つめ――じゅるりと口元くちもとをぬぐう御神体イオノファラー

「どうシタ? イオノファラー
 試食代ししょくがわりの昼食ちゅうしょくも済み、ふたたび活気かっきを取りもどす諸々会会場ペントハウス

低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ。ただちに調査ちょうさならびに迎撃行動げいげきこうどうを――――♪」
 それは、最上階ペントハウスとどろ大音量だいおんりょう――――ピタリ。

 飛んできたリカルルが――暖炉だんろうえ調度品ダイヤルに、手を伸ばしたとき。
 けたたましいこえが止んだ。

 怪訝けげんかお令嬢れいじょうと――なにかを察知さっちした御神体ごしんたい視線しせん交差こうさする。

検出けんしゅつされた低警戒度ていけいかいどのバリアント反応はんのう消失しょうしつしました。検出けんしゅつされた低警戒度ていけいかいどのバリアント反応はんのう消失しょうしつしました。該当領域がいとうりょういき管理者かんりしゃは、すみやかに関係各所かんけいかくしょへレポートを提出ていしゅつしてください」
 察知さっちされた変異種バリアント反応はんのうが、消失しょうしつしたことを知らせる――けたたましいこえ

 ちかくに居たリカルルが――「ぎゃひぃん♪」といななく。

「なんだいなんだい!? ……もう終わりかい?」
 木さじを手に駆けつけた、前掛け姿エプロンすがた女将おかみ

「どうやらそのようですわ、くすくす♪ ニゲルさんは本当ほんとう優秀ゆうしゅうです――ニャン
 しゃらあしゃらときんかみをなびかせ、猫耳ねこみみメイド・カヤノヒメもやってきた。

「いいえっ、まだニゲルと決まったわけでは、無くってよ!?」
 どうしても、かれけんうでみとめたくない令嬢リカルルが、おに形相ぎょうそうで――

 青板スマホをとりだし、通話つうわアプリをタップした。
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