滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
355 / 741
3:ダンジョンクローラーになろう

355:龍脈の回廊、二つの月影

しおりを挟む
「いよぉし! やぁぁっと、巻きとったぞ!」
 どうしてくれよう、このほとんどなにも書いてねぇ巻物まきもの

 ぽきゅ、ぽぽきゅきゅ♪
 化け猫からださぐるも、みじかい毛が生えてるだけで――
 そでふところもねぇから、仕舞しまっとく場所ばしょがない。

「どうしたもんかな。いつもおれのうしろあたまに張りついてたヤツに聞けりゃ、どうにかなる気がするんだがなぁ」
 巻物まきものじくわら仏像型ぶつぞうがた)を小脇こわきかかえる。

 ぽきゅぽきゅぽきゅ♪
 丸々まるまるふとったきのこ根菜こんさいでも、見つかりゃ良いんだがなにもねぇ。
 化け猫おれ巻物にもつだけが、なんでか見える。
 そらつきのひとつも、ありゃしねぇってのに。

「やっぱり、ここわぁ地獄じごくなんじゃねーのかー?」
 そう言葉ことばにしたら――
 おそらくは――
 だれか――
 聞いてたヤツが――
 とばりを巻き上げやがった。

 ――――スウゥゥゥゥッ。
 きゅう化け猫からだかげが、わかるようになった・・・・・・・・・
「あかるくなっ――――!?」
 かげ出所でどころを振りかえる。

 あるのは空一面そらいちめんの――つき

 もしコレが天道てんとうさまなら、化け猫からだは消しずみのこらねぇ。
 このつよいがあたたかみのない、あおみがかった仄暗ほのぐらさは――
 ひといのち燃やした・・・・発露はつろだ。

「うぎゃっわわわわっわっ――――――――!?!?」
 こりゃ、理屈りくつじゃねぇ。
 おれはふたたつきに背を向けた!

 あんなもんを、あんなつきひかりを、こんな間近まぢかで浴びたら――
 身もこころも、化けもんになっちまう・・・・・・・・・・

 よだつ夏毛なつげを押さえる。
 しんぞうを、両手りょうてひざおおかくす。

 どこかかくれられる場所ばしょはねぇのか!?
 ドコまでもたいらで、くさひとつ生えない地面じめん
 なめらかで、かたいのかやわいのかすら、ハッキリしない。

 ぽっきゅごむん♪
 たたいてみたが、ビクともしない。
 それでもいまできることは、コレしかない。

 ぽぽきゅきゅごごむわん♪
 ぽぽきゅきゅごごむわん♪
 ぽぽきゅきゅごごむわん♪
 ぽぽきゅきゅごごむわん♪

 くろ地面じめんに落ちるかげが、自分じぶん足下あしもと殴りつける・・・・・
 それは自分じぶんからだたたいて、押し込めてるみたい・・・・・・・・・で――
「はぁはぁ――こりゃ駄目だめだ。気が滅入めいらぁ!」

 そのとき――振りあげたこぶしがスゥゥと、ばい増えた・・・
 増えたこぶし背後はいごへ――ばかでけえつきに向かって、流れ落ちていく・・・・・・・
 あんなにあかるいつきに向かって――どうして。

かげが落ちる?」
 地面じぶんたたくのを止め、かおを上げる。

 見れば一目瞭然いちもくりょうぜん光源ひかり二つ・・になっていた。
 ひらたいだけだとおもってた、地面じめんさき
 ずっととおくに、やまが見えた。

 そのやま地面じめんおな漆黒しっこくで。
 もう一つの月が・・・・・・・、そのかげからのぼっていなかったら――
 稜線りょうせんに気づくこともなかっただろう。 

『>この惑星ヒースには、衛星が二つあります』
 文字もじがでた。

 二つつたつきがまたたき、そのいろ濃くしていく・・・・・・

『>少し小さい方が真っ青な、ルィノ』
『>少し大きい方が真っ赤な、ウェレ』
 文字もじがでた。

 揺らめく大気かぜが、見える気がする。
 まるで蘇生薬エリクサーのような紫色エリクサーいろに、染まっていく。


 ぽっふきゅっふむん――――♪
 つきひかり一身いっしんに浴びた化け猫からだが、とうとう悲鳴ひめいをあげた。
 ひじのあたりから脇腹わきばらとおって、へそからこしまで。
 パァァッ――なかからひかりが漏れだしたのだ。
 やぶけちまったのか――!?

「あぁー、ここまでかー……『もういちどあたりを、よく見るのですよ』?」
 そんなことを言われても、まわりにゃ何もねーだろが。

 っていうか、なんだこの文字もじわぁ!?
 体中からだじゅう文字もじが書かれてるのは見えてたが――

『いいえ、なにもなくはありません』
 こんどは、反対はんたい手首てくびから背中せなかまで。
 ひかじゅんに読むと、意味いみがつながってた。

「んぁ? なんで背中・・に書かれた文字もじまで、読める・・・んでぇい?」
 ついつい読んじまったが、化け猫からだをすかしてからだが読める!
 だれ仕業しわざだぁ!?!

 そんなのは決まってる。
 おおよそひとじゃあるまい。

 うまいめしを食わせねぇえと、へそを曲げて世界せかいほろぼす――アイツだ。

となえるのです』
 なにをだ――?

『〝めっせよ〟と』
 なんでだ――?

「おおーい――?」
 そこで文字もじひからなくなったから――
 なんでとなえなきゃいけねぇのかは、わからなかった。

   §

「ねぇ、カヤノヒメちゃん――もぐもぐ、ぱくぱく
 食事しょくじの手を止めず給仕きゅうじを呼ぶ、行儀マナーわる女神めがみ

「なんでしょうか? イオノファラーおじょうさまニャン
 幼女ようじょねこみみを、あたまうえにのせで――やってきた。

「なんか、今日きょうわぁりょうがぁおおくなぁいぃー? おかわりのぉ手間てまがぁはぶけて良いんだけどさぁ
「いえ、ご指示通しじどおりの二人前ににんまえですけれど、くすくす――ニャン
 猫手ねこてのように、ちぢめたこぶしそろえてみせるカヤノヒメ――ニャン。

「カヤノヒメ、そノ格好かっこウハどうされたのですか
猪蟹屋ししがにや二号店にごうてん業務形態ぎょうむけいたいで、央都おうとの方々かたがたをおむかえしてはいかがかというはなしになりまして――ニャフフ

「なんか、聞いてたおはなしと違いますね――シガミー……じゃなくてカヤノヒメさまは」
 それはそうだろう。

 まるで、聖女せいじょのように可憐かれんはかなげな――幼子おさなご
 がさつで行儀ぎょうぎわるいけど――本気ほんきのリカルルさまをも退しりぞけるつよさ。

 目のまえの猫耳メイドカヤノヒメが、ウワサどおりなのは――外見がいけんだけだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに 撥ねられてしまった。そして良太郎 が目覚めると、そこは異世界だった。 さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、 ゴーレムと化していたのだ。良太郎が 目覚めた時、彼の目の前にいたのは 魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は 未知の世界で右も左も分からない状態 の良太郎と共に冒険者生活を営んで いく事を決めた。だがこの世界の裏 では凶悪な影が……良太郎の異世界 でのゴーレムライフが始まる……。 ファンタジーバトル作品、開幕!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...