滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

342:龍脈の回廊、竪穴式おにぎりとニゲル隊員

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「――がちゃ、ガサガサッ――もしもし、聞こえてますかっ!? 不肖ふしょう西計にしかず三十六みとむ! 全身全霊ぜんしんぜんれいをもって、拝命はいめいさせていただきまぁーすっ!」

 寿司すしは〝箱詰はこづめで唐揚からあげげが添えられているもの〟とかんがえる、新時代的しんじだいてきかれにしてはふるめかしい宣誓せんせい
 ゲームかなにかの受け売りとおもわれる。

 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪
 やがて耳障みみざわりな騒音そうおん音量おんりょうを増し、コントゥル家邸宅ペントハウス木霊こだました。

「うるっさぁぁいっ!? スゥマァホォーこわれぇたぁあー
 みみをふさぐ御神体メガミ

「いいエ、WIFIワイファイ出力安定しゅツりょくあんてい、バッテリー残量ざンりょう83パーセント通話つウわ異常いじょウはありマせん。ニゲルが掘削現場おにぎりちかづいたようで
 ヴォォォヴォン♪

「――おぉーい、おにぎりー! そのしたにシガミーがいるんだろー?」
 やる気をみなぎらせた追跡隊員ついせきたいいん総員一名そういんいちめいが、追跡対象おにぎり肉迫にくはくしているようだ。

「――にゃみゃがにゃやーにゃ? みゃ、にゃがみゃご!」
 ギルド最上階ペントハウスに、猫族ねこぞく共用語きょうようごが(りゃく)。
「おにぎりのこえ? なんて言ったのかしら?」
 みみを押さえた伯爵令嬢リカルルが問う。

「「このしたになにかいるような? そんなきがするもの!」と言っていマ
 ヴォ・ォ・ゥ・ゥン♪
 まるで時計とけいはりのような、小刻こきざみなうごき。

 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪
 耳障みみざわりな騒音そうおんが(りゃく)。
 ドッガッぽっきゅドドドドッ(りゃく)――♪
 耳障みみざわり(りゃく)――。
 掘削くっさくはいつまでもつづく。

「ちょっと、なにも無いじゃありませんのっ!?」
 激高げっこうするおじょうさま。

「イオノファラーさま、向こうの様子ようすを見ることはできないのかい?」
 進言しんげんする女将おかみ

迅雷ジンライ衛星映像えいせいがぞうせぇるぅー?」
 ヴォォォン♪
 クルクルと回転かいてんする、INTインテリジェンスタレット迅雷ジンライ
 ふぉふぉふぉふぉふぉおふぉぽこん♪

 地図テーブルうえに、うつし出された画面がめん

 それは青々あおそしげふか山中さんちゅう
 真上まうえから見た景色けしき拡大かくだいされ――
 木々きぎの切れ間を――とらえた。
 そこには、真っくろあな
 そのおくなにかが――黄緑色きみどりいろうごめいている。

「ちょっと、ニゲル! サボってるんじゃ有りませんわよ?」
 うつし出された平面へいめんゆびを突きたてる、リカルル隊長たいちょう
 あなのかたわら、こけむした倒木とうぼくにだらしなくすわ青年せいねん姿すがたを――
 高貴こうきゆびが、突き抜けた。

「――えっ!? リカルルさま、いや……追跡隊ついせきたい隊長殿たいちょうどの! サボってはおりませんっ!」
 いつまでも止まらないおにぎりに、やる気もそがれ――
 脱力だつりょくしきっていた青年せいねんが、飛びおきたっ!

「ニゲルくぅーん、ウケケケッ♪ 上見うえみて手を振ってみてぇー
「――うえぇー?」
 くろふくを着た青年せいねん姿すがたが、さらに大映おおうつしになる。
 青年かれはいぶかしみながらも、ちいさく手を振ってみせた。

「ぷふふふっ、面白おもしろいですわねコレっ! ニゲル、うえを向いたままあなのまわりを一周いっしゅうしてみてっ♪」
「――リカル……隊長殿たいちょうどの、それは隊長命令たいちょうめいれいですか?」
「はい、隊長命令たいちょうめいれいですわ。はやく、おまわりなさいなっ♪」

 ニゲル隊員たいいんうえを向きながら、ゆっくりとあな周囲しゅうい一周いっしゅう――――グラッ!
「――うわぁぁぁぁぁぁぁぁあっ――――!?」
 あなふちくずれ、あわれ隊員ニゲル転落てんらく
 おどろくひまもなく、遠ざかる・・・・マヌケがお

「あっはははっはっ――――なっ、なんですのあのかおっ――――あっはっはははははっ♪」
 ばしんばしん――テーブルをたたく、ご令嬢れいじょう
 メイド姿のリオレイニアは、かすかに肩をふるわせている。

たのしそうねぇん。まぁ、したにはおにぎりが居るぅしぃー、落ちてもぉ大丈夫だいじょうぶでしょ♪」
 女神メガミのお墨付すみつきに、女将おかみかおもほころぶ。

 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪
 ゼロ距離きょりからの耳障みみざわりな大騒音だいそうおんが、コントゥル家邸宅ペントハウス木霊こだまする。

「(うるさいからぁ、おにぎりの掘るおとだけ消してねぇん♪)」
 回転かいてんする迅雷ジンライ
「――(もぅ、リカルルの)……隊長たいちょうのせいで、ひどい目にあったじゃないかぁ! うるさあぁぁいいぃぃぃい!」
 騒音そうおんは消え、青年ニゲルの泣き言がひびわたる。

 おにぎりの背に立ったかれが、みみをふさぎてんあおいだ。
 たからかにわらう、ご令嬢リカルル。つられてほころぶ女神メガミ女将おかみ
 メイド姿リオレイニアは、かすかにかたをふるわせている。

 ふぉふぉぉん♪
 直上ちょくじょうからの映像えいぞうが、ふかくなる縦穴たてあななかを――小刻こきざみにズームしていく。
 その都度つど青年せいねんかお横長よこなが縦長たてながおおきくブレた・・・

 ご令嬢れいじょう高笑たかわらいは、いつまでも止まらない。
 いくら高性能こうせいのう超々ちょうちょう望遠ぼうえんカメラでも、静止軌道間このきょり被写体ぶれモーションブレーでは荷がおもい。
 あなそこからてんをあおぐかおが、面白く映ってしまう・・・・・・・・・のは――仕方しかたがないことだ。

「――おにぎりっ、うるさいよっ――――あっ、そーだ! シガミーからもらった耳栓みみせんっていうか、イヤホンがあったっけ!」
 被写体ニゲルは、ごそごそとなにかを取りだし、みみに押しこんだ。
 一部始終いちぶしじゅうをみつめる、3めいとひとはしらと1眷属けんぞく

「――ふぅ、しずかになった♪」
 手にしたスマホで、ペアリング。

「――これで、みんなのこえが聞こえれば――ねー、なんかしゃべってみてくれない?」
 直上まうえを向いた青年にげるののおもしろいかお――が直下ちょっか振動しんどうで、時計回とけいまわりをはじめた。

「あーははははっははははっ、なっつ、何ですのアレっ♪ とうとう、ま、まわり出しましたわっ――――♪」
 ぱしぱしぱしん――テーブルをたたく、ご令嬢れいじょう

「――よし、こえが聞こえる♪ けど……まわり出すってなんだい、リカルル隊長たいちょう?」
 青年本人せいねんほんにんは、微速回転びそくかいてんしていることに気づいていない

 回転かいてん残像ざんぞうをのこす知人ちじんかおが――かすかにかたむく。
 それは、面白おもしろくないわけがないようで。
 ドゴンッ――――じっと耐えていたメイドのこしが曲がり、テーブルに上半身じょうはんしんをうずくまらせた。

「ニゲル隊員たいいん。リカルル隊長たいちょうからぁ定期連絡ていきれんらくがあるのでぇ、しっかりはたらくよぉーぅに。どこまで掘りすすむのかぁ、しっかりぃ見っとどけてねぇーん
りょうか――――ピプッ♪」
 切られるスマホ。

「そういやぁ、茅野姫カヤノヒメちゃんわぁ? おにぎりの位置いち特定とくていする手はずだったんじゃ
 いまさら気づく御神体ごしんたい女神めがみといえど万能ばんのうではないようだ。

「あら、カヤノヒメさまなら、さっき三階さんがい階段かいだんで見かけましたけれど?」
 みだれたかみを手ぐしでなおす、ご令嬢れいじょう
 メイドはテーブルに、這いつくばったままだ。

三階さんがい? じゃぁ、シガミーてい用事ようじでもあるのかねぇー?」
 女将おかみが「やれやれどっこいしょ」と、椅子いす腰掛こしかけた。

迅雷ジンライ女神像めがみぞうつないでぇみてぇー
了解りょウかいしまシ
 ヴォヴォ・ヴォン♪
 銀色ジンライ先端さきが、階下かいかある地点・・・・を指ししめした。

   §

「やっぱり、ただの行き止まりだ――ニャァ?」
 ヒュンッ――ボッゴガァァン!
 おれは、岩壁いわかべを輪っかの付いたぼうで、力一杯突ちからいっぱいついてやった!
 爆発ばくはつするかべ、舞い上がる土塊つちくれ

「ごっほごほ、けほけほ――ミャ!」
 化けねこ毛皮けがわとおして、つちいしのにおいがただよう。
 毛皮けがわあないてねぇのにな――さすがは化けねこか。
 おれが話すと・・・、化けねこ鳴き声も聞こえて・・・・・・・・来るし。

「かてぇかべおくにありやがる。あなが空かねぇんじゃ、突きやぶってすすむのは無理むり――ニャァ?」
 パラパラリッ――きらり!

 なんかあったぞ!?
 がさごそ――散らばる土塊つちくれ
 それはいたっぺらみたいな、割れかたをしてる。

 その裏側うらがわは、朱墨しゅずみをぬったように赤かった・・・・
「血!? じゃねぇな、こっちのは黄色きいろいし、コッチのはあおみがかって――ニャッ?」
 さっぱりわからん?
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