325 / 740
3:ダンジョンクローラーになろう
325:惑星ヒース神(シガミー)、女神の神格
しおりを挟む
「(お膳立てがぁ整いましたのでぇー、シガミーとカヤノヒメちゃんのぉ問題おぉー解決するぅ会おぉー始めっるっわよぉう――ねぇー、聞いてるぅー?)」
超女神像に突き刺さったままの御神体が、話を進める。
「今日の顔ぶれは、コレで全部か?」
鉄塊がちゃぶ台を、見わたす。
「はい、みなさん仕事もありますので――」
魔神が頷く。
とおくの柱。
その陰に、ちいさな人影が見える。
抱えた細ながい魔法杖を、まるで隠せていない。
「なんかさぁー、リカルルちゃんとルリーロちゃんにぃわぁ、二人のことで思う所があるみたいなんだけどさぁ――教えてくれないのよぉねぇーん♪」
カシャ――『(Θ_<)』
ヴォォォォン♪
浮かぶ球が、どこからともなく飛んできた。
「結局、シガミーは元に戻らねぇじゃねぇか。どうなってんだぁ?」
「ややこしいぜ」とちゃぶ台を叩く、小柄で厳つい男性。
「わたくしの体が、シガミーさんのお体だということはぁ、理解しましたけれど――」
ちゃぶ台も華やぐ、天上の調べ。
頬に手を寄せる、たおやかな仕草。
「おい迅雷、良いのか? 行儀が良い方のシガミーを連れて来ちまってよぉ?」
浮かぶ棒を睨み付ける、男性。
「議題本人がドうしても参加しタいと懇願すルので、オ呼びしマした」
「すでにシガミーさんの自我は、物質世界にも精神世界にも……どこにも存在していませんわ」
悲痛な表情を見るに、居なくなってしまった魂を――
哀れんでいるのかもしれない。
メキメキメキッ――――小枝のような角が、伸びた。
ちいさな葉が茂り、ちいさな蕾みが生まれる。
座布団に座るカヤノヒメ。
その背後に後光が――ゴォウワァ!
光る霧となって、立ちこめる。
全員の表情が、硬く重く険しく――チャリン♪
黄緑色の猫の魔物が、ジュークボックスに小銭を入れて――ペチリ♪
「こいつぁー、小太刀じゃねぇか! 誰んだぁ!?」
「「「「「シガミーの声!?」」」」」
「どこかにぃー、居・る・の・よぉ・ねぇーん? 星神カヤノヒメちゃんのぉー目が届かないとか――ぷぷぷぷ?」
浮かぶ球が、ちゃぶ台の上をゴロンゴロンと転がる。
「ぶ、物質世界ってのは――ゴッゴォォン! コレのことだろ?」
うしろ手で、鉄塊のような金槌を――叩いてみせる。
「はい。その金槌と同じですわ。物を形作る組成式で充たされた領域のことですわ」
背筋を伸ばし、まっすぐに答える自称神。
「では、精神世界というのは?」
白い鳥の仮面を、手でかるく持ちあげる女性。
「そうですわね、自我を構成するのに必要な記憶で充たされた、思考領域のことですわ」
背筋を伸ばし、まっすぐに答える自称神。
「い、言ってることはさっぱり、わかりませんが――神々しいですね」
メキメキョ――ぱぁぁ♪
ちいさな花が、次々と咲いていく。
「お、おう、わ、わからんが――神々しいぜ」
ゴゴォォウワァ――!
光る霧が入道雲のように、立ちのぼっていく。
「ねえ、迅雷君?」
「なんでシょうか、イオノファラー?」
「神さまってさー、あんな風よねぇん――神々しいっていうのぉ?」
メキメキメキョキョ――ぱぱぱぁぁ♪
「まア、一般的ニは」
ゴゴォォゴゴワワァァ――!
§
「(まさかなんだけどさぁー、カヤノヒメちゃんが本当の、この世界の神なんじゃないでしょぉねぇー?)」
超女神像のふくらはぎを穿つ、弾痕のようなひび割れ。
その穴から調子外れな声が、発せられている。
「ソの可能性ハゼロではアりませんが、惑星ヒースの神ト名乗っタ以上――シンシナティック・ニューロネイションのプログラム上デ実行可能ナ思考形態ヲ持つはずデす」
ひび割れにみずから突き刺さり、埋まった砲弾を取り出そうとする――浮かぶ棒。
「(その心わぁ――?)」
「F.A.T.S.システムにおける最上位権限所持者でアるプレイヤー、〝オノハラ・イオノ〟にハ敵うべくもナいということです。自信ヲ持ってくダさい」
「そうだよっ、イオノファラーさまっ! よくわからないけど自信を持って――わたしもシガミーを助けに行くから!」
ハキハキとした、利発そうな声。
超女神像の大きさからすれば、とても小さな亀裂。
突き刺さる御神体と、ソレを回収中の浮かぶ棒。
踏み台に乗り、鼻息を荒くする子供。
子供がひょいと、うしろから抱えられた。
「レイダ――今日は二号店のお手伝いを、頼んだはずですが?」
白い鳥の仮面を付けたメイドに、下ろされる子供。
「だって、シガミーは……どこかに居る……んでしょう? それならスグに、助けに行ってあげなくちゃ!」
その眼差しは、細く長い魔法杖のように。
ドコまでも、まっすぐだった。
§
「レイダです、タダのレイダです。みなさま、よろしく♪」
降臨した見習い魔法使いが、会に参加する。
鳥の面のメイドの膝の上。
ご満悦な様子の少女が――
「シガミーはフェスタの準備で困ったときに、おにぎりちゃんに相談してたよ?」
そんな意見を出した。
「「「「「おにぎりにっ!?」」」」」
一斉にジュークボックスを見る、一同。
チャリチャリチャリィン――ペチペチリ♪
小銭を積んで、ひとつのボタンを両手で叩く――その背中。
ちゃぶ台へ向けられた尻が、小刻みに振られている。
「ぷっ、ぶわはははははっ――――♪」
破顔する、厳つい男性。
「くすくすくすくす、ぶひゅふふふふふっ――――!!!」
白い鳥の面の女性――――ごごん!
魔神の再来とまで呼ばれたらしいメイドが、ちゃぶ台に突っ伏した!
その肩が激しく、震えている。
放り出された子供は、首をかしげながら――
「ねぇ、おにぎりちゃん。どこかに居るシガミーのことを、助けてあげて!」
そんなふうに、声を掛けた。
超女神像に突き刺さったままの御神体が、話を進める。
「今日の顔ぶれは、コレで全部か?」
鉄塊がちゃぶ台を、見わたす。
「はい、みなさん仕事もありますので――」
魔神が頷く。
とおくの柱。
その陰に、ちいさな人影が見える。
抱えた細ながい魔法杖を、まるで隠せていない。
「なんかさぁー、リカルルちゃんとルリーロちゃんにぃわぁ、二人のことで思う所があるみたいなんだけどさぁ――教えてくれないのよぉねぇーん♪」
カシャ――『(Θ_<)』
ヴォォォォン♪
浮かぶ球が、どこからともなく飛んできた。
「結局、シガミーは元に戻らねぇじゃねぇか。どうなってんだぁ?」
「ややこしいぜ」とちゃぶ台を叩く、小柄で厳つい男性。
「わたくしの体が、シガミーさんのお体だということはぁ、理解しましたけれど――」
ちゃぶ台も華やぐ、天上の調べ。
頬に手を寄せる、たおやかな仕草。
「おい迅雷、良いのか? 行儀が良い方のシガミーを連れて来ちまってよぉ?」
浮かぶ棒を睨み付ける、男性。
「議題本人がドうしても参加しタいと懇願すルので、オ呼びしマした」
「すでにシガミーさんの自我は、物質世界にも精神世界にも……どこにも存在していませんわ」
悲痛な表情を見るに、居なくなってしまった魂を――
哀れんでいるのかもしれない。
メキメキメキッ――――小枝のような角が、伸びた。
ちいさな葉が茂り、ちいさな蕾みが生まれる。
座布団に座るカヤノヒメ。
その背後に後光が――ゴォウワァ!
光る霧となって、立ちこめる。
全員の表情が、硬く重く険しく――チャリン♪
黄緑色の猫の魔物が、ジュークボックスに小銭を入れて――ペチリ♪
「こいつぁー、小太刀じゃねぇか! 誰んだぁ!?」
「「「「「シガミーの声!?」」」」」
「どこかにぃー、居・る・の・よぉ・ねぇーん? 星神カヤノヒメちゃんのぉー目が届かないとか――ぷぷぷぷ?」
浮かぶ球が、ちゃぶ台の上をゴロンゴロンと転がる。
「ぶ、物質世界ってのは――ゴッゴォォン! コレのことだろ?」
うしろ手で、鉄塊のような金槌を――叩いてみせる。
「はい。その金槌と同じですわ。物を形作る組成式で充たされた領域のことですわ」
背筋を伸ばし、まっすぐに答える自称神。
「では、精神世界というのは?」
白い鳥の仮面を、手でかるく持ちあげる女性。
「そうですわね、自我を構成するのに必要な記憶で充たされた、思考領域のことですわ」
背筋を伸ばし、まっすぐに答える自称神。
「い、言ってることはさっぱり、わかりませんが――神々しいですね」
メキメキョ――ぱぁぁ♪
ちいさな花が、次々と咲いていく。
「お、おう、わ、わからんが――神々しいぜ」
ゴゴォォウワァ――!
光る霧が入道雲のように、立ちのぼっていく。
「ねえ、迅雷君?」
「なんでシょうか、イオノファラー?」
「神さまってさー、あんな風よねぇん――神々しいっていうのぉ?」
メキメキメキョキョ――ぱぱぱぁぁ♪
「まア、一般的ニは」
ゴゴォォゴゴワワァァ――!
§
「(まさかなんだけどさぁー、カヤノヒメちゃんが本当の、この世界の神なんじゃないでしょぉねぇー?)」
超女神像のふくらはぎを穿つ、弾痕のようなひび割れ。
その穴から調子外れな声が、発せられている。
「ソの可能性ハゼロではアりませんが、惑星ヒースの神ト名乗っタ以上――シンシナティック・ニューロネイションのプログラム上デ実行可能ナ思考形態ヲ持つはずデす」
ひび割れにみずから突き刺さり、埋まった砲弾を取り出そうとする――浮かぶ棒。
「(その心わぁ――?)」
「F.A.T.S.システムにおける最上位権限所持者でアるプレイヤー、〝オノハラ・イオノ〟にハ敵うべくもナいということです。自信ヲ持ってくダさい」
「そうだよっ、イオノファラーさまっ! よくわからないけど自信を持って――わたしもシガミーを助けに行くから!」
ハキハキとした、利発そうな声。
超女神像の大きさからすれば、とても小さな亀裂。
突き刺さる御神体と、ソレを回収中の浮かぶ棒。
踏み台に乗り、鼻息を荒くする子供。
子供がひょいと、うしろから抱えられた。
「レイダ――今日は二号店のお手伝いを、頼んだはずですが?」
白い鳥の仮面を付けたメイドに、下ろされる子供。
「だって、シガミーは……どこかに居る……んでしょう? それならスグに、助けに行ってあげなくちゃ!」
その眼差しは、細く長い魔法杖のように。
ドコまでも、まっすぐだった。
§
「レイダです、タダのレイダです。みなさま、よろしく♪」
降臨した見習い魔法使いが、会に参加する。
鳥の面のメイドの膝の上。
ご満悦な様子の少女が――
「シガミーはフェスタの準備で困ったときに、おにぎりちゃんに相談してたよ?」
そんな意見を出した。
「「「「「おにぎりにっ!?」」」」」
一斉にジュークボックスを見る、一同。
チャリチャリチャリィン――ペチペチリ♪
小銭を積んで、ひとつのボタンを両手で叩く――その背中。
ちゃぶ台へ向けられた尻が、小刻みに振られている。
「ぷっ、ぶわはははははっ――――♪」
破顔する、厳つい男性。
「くすくすくすくす、ぶひゅふふふふふっ――――!!!」
白い鳥の面の女性――――ごごん!
魔神の再来とまで呼ばれたらしいメイドが、ちゃぶ台に突っ伏した!
その肩が激しく、震えている。
放り出された子供は、首をかしげながら――
「ねぇ、おにぎりちゃん。どこかに居るシガミーのことを、助けてあげて!」
そんなふうに、声を掛けた。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スター・スフィア-異世界冒険はお喋り宝石と共に-
黒河ハル
ファンタジー
——1つの星に1つの世界、1つの宙《そら》に無数の冒険——
帰り道に拾った蒼い石がなんか光りだして、なんか異世界に飛ばされた…。
しかもその石、喋るし、消えるし、食べるしでもう意味わからん!
そんな俺の気持ちなどおかまいなしに、突然黒いドラゴンが襲ってきて——
不思議な力を持った宝石たちを巡る、異世界『転移』物語!
星の命運を掛けた壮大なSFファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~
北きつね
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。
ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。
一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。
ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。
おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。
女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる