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3:ダンジョンクローラーになろう

325:惑星ヒース神(シガミー)、女神の神格

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「(お膳立ぜんだてがぁととのいましたのでぇー、シガミーとカヤノヒメちゃんのぉ問題もんだいおぉー解決かいけつするぅかいおぉーはっじめっるっわよぉう――ねぇー、聞いてるぅー)」
 超女神像ちょうめがみぞうに突き刺さったままの御神体めがみが、はなしすすめる。

今日きょうかおぶれは、コレで全部ぜんぶか?」
 鉄塊てっかいがちゃぶ台を、見わたす。
「はい、みなさん仕事しごともありますので――」
 魔神まじんうなづく。

 とおくのはしら
 そのかげに、ちいさな人影ひとかげが見える。
 かかえたほそながい魔法杖まほうつえを、まるでかくせていない。

「なんかさぁー、リカルルちゃんとルリーロちゃんにぃわぁ、二人のことで・・・・・・おもところがあるみたいなんだけどさぁ――おしえてくれないのよぉねぇーん
 カシャ――『(Θ_<)』
 ヴォォォォン♪
 浮かぶたまが、どこからともなく飛んできた。

結局けっきょく、シガミーはもともどらねぇじゃねぇか。どうなってんだぁ?」
 「ややこしいぜ」とちゃぶだいたたく、小柄こがらいかつい男性だんせい

わたくしの体が・・・・・・・、シガミーさんのおからだだということはぁ、理解りかいしましたけれ――」
 ちゃぶだいはなやぐ、天上てんじょう調しらべ。
 ほほに手を寄せる、たおやかな仕草しぐさ

「おい迅雷ジンライ、良いのか? 行儀ぎょうぎが良いほうのシガミーを連れて来ちまってよぉ?」
 浮かぶぼうにらみ付ける、男性だんせい
議題本人ぎだいほンにんがドうしても参加さンかしタいと懇願こンがんすルので、オ呼びしマし

「すでにシガミーさんの自我じがは、物質世界ぶっしつせかいにも精神世界せいしんせかいにも……どこにも存在そんざいしていません
 悲痛ひつう表情かおを見るに、居なくなってしまったたましいを――
 あわれんでいるのかもしれない。

 メキメキメキッ――――小枝こえだのようなつのが、伸びた。
 ちいさな葉がしげり、ちいさなつぼみが生まれる。

 座布団ざぶとんすわるカヤノヒメ。
 その背後はいご後光ごこうが――ゴォウワァ!
 ひかきりとなって、立ちこめる。

 全員ぜんいん表情かおが、かたおもけわしく――チャリン♪
 黄緑色きみどりいろねこ魔物まものが、ジュークボックスに小銭こぜにを入れて――ペチリ♪

「こいつぁー、小太刀こだちじゃねぇか! だれんだぁ!?」
「「「「「シガミーのこえ!?」」」」」

「どこかにぃー、居・る・の・よぉ・ねぇーん? 星神ほしがみカヤノヒメちゃんのぉー目が届かない・・・・・・とか――ぷぷぷぷ
 浮かぶたまが、ちゃぶだいうえをゴロンゴロンところがる。

「ぶ、物質世界ぶっしつせかいってのは――ゴッゴォォン! コレのことだろ?」
 うしろ手で、鉄塊てっかいのような金槌かなづちを――たたいてみせる。
「はい。その金槌かなづちおなじですわ。もの形作かたちづく組成式そせいしきで充たされた領域りょういきのことです
 背筋せすじを伸ばし、まっすぐにこたえる自称神じしょうかみ

「では、精神世界せいしんせかいというのは?」
 しろとり仮面かめんを、手でかるく持ちあげる女性じょせい

「そうですわね、自我じが構成こうせいするのに必要ひつよう記憶きおくで充たされた、思考領域しこうりょういきのことです
 背筋せすじを伸ばし、まっすぐにこたえる自称神じしょうかみ

「い、言ってることはさっぱり、わかりませんが――神々こうごうしいですね」
 メキメキョ――ぱぁぁ♪
 ちいさなはなが、次々つぎつぎと咲いていく。

「お、おう、わ、わからんが――神々こうごうしいぜ」
 ゴゴォォウワァ――!
 ひかきり入道雲にゅうどうぐものように、立ちのぼっていく。

「ねえ、迅雷ジンライ
「なんでシょうか、イオノファラー

かみさまってさー、あんなふうよねぇん――神々こうごうしいっていうのぉ
 メキメキメキョキョ――ぱぱぱぁぁ♪

「まア、一般的いっぱんてき
 ゴゴォォゴゴワワァァ――!

   §

「(まさかなんだけどさぁー、カヤノヒメちゃんが本当の、この世界の神なんじゃないでしょぉねぇー)」
 超女神像ちょうめがみぞうのふくらはぎを穿うがつ、弾痕だんこんのようなひび割れ。
 そのあなから調子外ちょうしはずれなこえが、はっせられている。

「ソの可能性かノうせいハゼロではアりませんが、惑星わくセいヒースのかミ名乗なノっタ以上いジょう――シンシナティック・ニューロネイションのプログラムじょウ実行可能じっこウかのう思考形態しこうケいたいヲ持つはずデ
 ひび割れにみずから突き刺さり、埋まった砲弾めがみを取り出そうとする――浮かぶぼう

「(そのこころわぁ――)」
「F.A.T.S.システムにおける最上位さいじょウい権限所持者けんげんしょジしゃでアるプレイヤー、〝オノハラ・イオノ〟にハかナうべくもナいということです。自信じシんヲ持ってくダさ

「そうだよっ、イオノファラーさまっ! よくわからないけど自信じしんを持って――わたしもシガミーをたすけに行くから!」
 ハキハキとした、利発りはつそうなこえ

 超女神像ちょうめがみぞうおおきさからすれば、とてもちいさな亀裂きれつ
 突き刺さる御神体ごしんたいと、ソレを回収中かいしゅうちゅうの浮かぶぼう

 踏みだいに乗り、鼻息はないきあらくする子供こども
 子供こどもがひょいと、うしろからかかえられた。

「レイダ――今日きょう二号店にごうてんのお手伝てつだいいを、たのんだはずですが?」
 しろとり仮面かめんを付けたメイドに、下ろされる子供レイダ

「だって、シガミーは……どこかに居る・・・・・・……んでしょう? それならスグに、たすけに行ってあげなくちゃ!」
 その眼差まなざしは、ほそなが魔法杖まほうつえのように。
 ドコまでも、まっすぐだった。

   §

「レイダです、タダのレイダです。みなさま、よろしく♪」
 降臨こうりんした見習みなら魔法使まほうつかいが、かい参加さんかする。

 とりめんのメイドのひざうえ
 ご満悦まんえつ様子ようす少女しょうじょが――

「シガミーはフェスタの準備じゅんびこまったときに、おにぎりちゃん・・・・・・・相談そうだんしてたよ?」
 そんな意見いけんを出した。

「「「「「おにぎりにっ!?」」」」」
 一斉いっせいにジュークボックスを見る、一同いちどう

 チャリチャリチャリィン――ペチペチリ♪
 小銭こぜにを積んで、ひとつのボタンを両手りょうてたたく――その背中せなか
 ちゃぶだいへ向けられたしりが、小刻こきざみに振られている。

「ぷっ、ぶわはははははっ――――♪」
 破顔はがんする、いかつい男性だんせい
「くすくすくすくす、ぶひゅふふふふふっ――――!!!」
 しろとりめん女性じょせい――――ごごん!
 魔神まじん再来さいらいとまで呼ばれたらしいメイドが、ちゃぶだいに突っ伏した!
 そのかたはげしく、ふるえている。

 ほうり出された子供こどもは、くびをかしげながら――

「ねぇ、おにぎりちゃん。どこかに居るシガミーのことを、たすけてあげて!」
 そんなふうに、こえを掛けた。
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