滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

322:惑星ヒース神(シガミー)、大盛況そしてアーティファクト破壊について

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「まぁ、おかえりなさいませ、トゥナおじょうさま♪ 先日せんじつ大層たいそうな、お見舞みまいのお料理りょうりをいただきまして、ありがとうございましたニャン♪」
 そろえた両拳りょうこぶしをつきだす、給仕服姿メイドふく
 エプロンには『研修中けんしゅうちゅう』の丸札まるふだ

 ここは超女神像ちょうめがみぞう直下ちょっかしんギルド会館かいかん地下五階ちかごかい
 猪蟹屋ししがにや二号店にごうてん店内てんない
 開店直後かいてんちょくごだからか、店内てんないはまばらな様子ようす

「おじょうさまは良しとくれ。それと、ありがとうを言うのはコッチだよ。イオノファラーさま、そして猪蟹屋ししがにやさまさまだ♪」
「どういうコトで、ございましょうか……ニャン?」
 小首こくびをかしげる、自称星神カヤノヒメ
 給仕服きゅうじふくとおそろいの白猫しろねこみみを、あたまうえにのせている。
 自前じまえみみと、こめかみから生えたつののような小枝こえとあわせて――
 くびからうえ多少たしょう、ゴチャゴチャしていたが、給仕服姿メイドすがたの少女であることに変わりはない。

「それがねぇ、おとが出るねこぞうのおかげで、食堂みせ大盛況だいせいきょうでさあ。仕入しいれたばかりの食材しょくざいまで全部ぜんぶ、売れちまったんだよ。おかげで今日明日きょうあすは、完全かんぜんみせじまいだ」
 あたまをかくコッヘル夫人ふじん本日ほんじつは落ちついた色の、質素しっそなドレス姿すがたである。

「あらあらまあまあ、それは――一大事いちだいじ御座ございますニャン?」
 目をまるくした自称星神じしょうほしがみが、ポケットから出した黒板くろいたなにかを書き込む。
「おや、なんで大変たいへんかわかるのかい? さすがは、かみさまを名乗なのるだけのことはあるねえ。そーいうことで、イオノファラーさまはどちらに?」
 店内てんないをみわたす、木さじ食堂店主しょくどうてんしゅ

「いまは迅雷ジンライ一緒いっしょに、超女神像ちょうめがみぞう細工さいく……もといギルド屋舎内おくしゃないのお仕事しごとで、出かけていますニャン♪」
「うーん、それじゃあ明後日あさってからの食材しょくざいを、どこから調達ちょうたつしようかねえ。えーっと、シガミーじゃなくて……」
 すこしつかれた様子ようすの目が、店員てんいん胸元むなもとを見つめた。
 名札なふだには、『カヤノヒメちゃん♡』と書かれている。

「カヤノヒメちゃんに、たのむわけにもいかないしねぇ――――ふううう」
 両肘りょうひじちいさなテーブルにつき、うなだれる女性客おかみ
「それではごゆっくりと、おくつろぎくださいませニャン――♪」
 うなだれるドレス姿すがた女性じょせい一礼いちれいし、べつのテーブルへあるいて行く自称神カヤノヒメ

 スタスタスタ――入れ替わりにあらわれたのは、くろ制服せいふく

「こちら、ご注文ちゅうもんの〝シシガニャンはぁとミックスプレート〟になります。ご注文ちゅうもん以上いじょうで、よろしかったでしょうか――――って女将おかみさんっ!? 来てたのぉー!?」
 あたまのうえねこみみを乗せた、たよりがいのなさそうな青年せいねん

「ご挨拶あいさつだねぇニゲルゥ。「おじょうさま」と「ニャン」が抜けてるよ、やりなおし!」
「ひゃふぁい! こ、こちらご注文ちゅうもんの――――」
 猪蟹屋ししがにや二号店店長にごうてんてんちょうニゲル青年せいねんは、この恰幅かっぷくの良い女性じょせいあたまが上がらないようだ。

   §

わるいわねぇ、一国いっこくのおひめさまにぃ、こぉんなぁ機械仕事きかいしごとおー手伝てつだわせちゃってぇ
 くっついた根菜こんさいか、丸茸まるきのこのような姿フォルム
 御神体めがみに、わるびれた様子ようすはない。

 どこかせま場所ばしょひく作業台さぎょうだいに、仰向あおむけに寝そべり――
 上下じょうげがつながった丈夫じょうぶそうなふくに、身をつつむのは――
 央都おうとラスクトール自治領じちりょう第一王女だいいちおうじょ、ラプトル・ラスクトールひめ
 そのひとである。

「いいえぇ、女神像めがみぞうのぉー中身なかをー見せていただけることなんてぇー、そうそう無いことですしぃーらぁん♪」
「それなら良かったけど、ゴーレムの自律系じりつけいとぉ――そう変わらないんじゃないのぉ

「いいええええっ――わた、わたくしのぉーゴーレムは動作どうさ大部分だいぶぶんを、わたくしのスキルでまかなっていますぅらぁん。アーティファクトのすいを凝らしたような女神像めがみぞうや、イオノファラーさまのおからだとは、まったくちがいますらんっ!」
 あわてて手を振り、工具こうぐをバラバラとバラまく――ラプトルひめ

「そうわの? 迅雷ジンライ
「はイわタし迅雷ジンライモ、イオノファラーノからダでアる猪蟹屋ししがにヤ御神体ごしんたいも、最新さイしん女神像めがミぞうOSオーエスウごク――超高精密ちょうコうせいみつアーティファクトデ
 落ちた工具こうぐを、無数むすうほそうで回収かいしゅうする――
 超高精密ちょうこうせいみつアーティファクト迅雷ジンライ

「ふふーん、そうみたいよ? あ、ソコ。いまあかひかった配線はいせん二番にばんのケーブルと取りかえてぇねぇ
「はい、らぁん……よいしょお、ぎゅぅぅぅっ――!」
 パチリ――――カチカチカチカチッ、ピピピプゥン♪
 女神像めがみぞうへの細工さいく……改修かいしゅう着々ちゃくちゃくと、すすんでいるようである。

「イオノファラー、王女殿下おうじょでんか中々筋なかなかすじが良いとおもわれま
「いえいえ、そんな。わたくしなんてケットーシィ……シガミーちゃんにくらべたら、まだまだですらぁん」
「シガミーねぇ。はやいところもどってきてもらわないと……いつまでも王女おうじょさまの手を借りるわけにも、行かないしねぇ――」

「わ、わたくしでしたら、まったくもって平気へいきですらん? ニゲルさまのもとに滞在たいざいする口実こうじつ……じゃなくって、ガムランちょう魔物まもの襲撃しゅうげきさらされることもなくなって、とても安全あんぜんになりましたし……」

「そーねーぇ。あぶないっていうなら、よっぽどあたくしさまのほうがぁ――あぶないわよねぇ
「そうですネ。プロジェクションBOTボット強度的きょうどてキ脆弱性ぜいじゃくせい対策済たいサくずみでスが、強化服きょうかフく連動系れんどうケい全挙動ぜんきょドういチかラ再設計さいせっケいしなおさナいと危険きケん

「それについてはわたくしも、すこしだけ気になりますらぁん」
 しろいヘルメットを付けた、高貴こうきあたまがうごき、御神体ごしんたいを見つめた。
「そうわね。爆発ばくはつについての謝罪しゃざいをもう一度いちど、ごめんなさぁ
「ごめんなサ
 作業台さぎょうだいはじうえ
 御神体めがみとその眷属ぼうが、斜めに・・・かたむく。

「いえ、あたまをお上げくださいらぁぁん! わ、わたくしが言いたいのは爆発ばくはつのことではなく――いえ、爆発ばくはつのことではあるのですけれど……らん」

王女殿下おうじょデんか、気になルことがおありでしたら、どウぞお気兼きガねナく
 ぼうななめ・・・もとにもどり、そのまま反対側はんたいがわへかたむいた。

「えっと、気になっているのはアーティファクトが壊れた・・・ってことですらぁん。あまり知られていませんけれど、本来壊ほんらいこわれないはずですらん?」
 キュルキュルとすす作業台さぎょうだい
 それに身をまかせる、一国いっこく王女おうじょ

「あれ? そういえば、機能不全きのうふぜんおちいることは良くあるけど、物理的ぶつりてき破壊はかいされることって――あるのねぇ
「はイ、イオノファラー。不謹慎ふきンしんではアりますが、たイへん興味きょうミぶカ――」
 小首こくびをかしげ見つめ合い、ピタリと止まったのはほんの一瞬いっしゅん
 作業台さぎょうだいは、キュルキュルとすすんでいく。

「あららぁぁんっ、反応はんのうがうすいらん! 壊れないはずの・・・・・・・ものが壊れた・・・・・・ってことは、技術者ぎじゅつしゃにとっては一大事いちだいじですららぁん!」
 せまい場所ばしょ精一杯せいいっぱい憤慨ふんがいしてみせるが――

現実げんジつ破壊ハかいされマしたので、前提条件ぜんテいじょうけん不備フびがアったとかンがえるべきデ
 眷属けんぞく迅雷ジンライ作業台さぎょうだいを、改修箇所かいしゅうかしょで止め――
「そうわねぇ……あー、こんどはソッチのL字型じがた配管はいかん交換こうかんしてねぇん
 御神体めがみ改修箇所かいしゅうかしょを、淡々たんたん指示しじし――

「なんか、温度差おんどさがあるらぁぁん!?」
 王女殿下ラプトルひめこえ人知ひとしれず――
 整備用せいびようダクトに木霊こだまするのであった。
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