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3:ダンジョンクローラーになろう

310:仙果到達ルートC、惑星ヒース神(シガミー)降臨

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 なんか、
 きこえた>ヒント>イオノ/イオノファラー(斧原イオノ17歳、牛霊正路御前大学大学非常勤講師)。美の女神、イオノフ教開祖。ガムラン町食育理事会代表取締役、猪蟹屋御神体――――――――チチチッ♪

 >FATSシステム内線#10286から呼び出されています。
 >FATSシステム内線#10286から呼び出されています。
 >FATSシステム内線#10286から呼び出されています。
 >FATSシステム内線#10286から呼び出されています。
 >FATSシステム内線#10286から呼び出され――――

 なんか、
 めのまえの暗闇くらやみを、すさまじいいきおいでのぼっていくあか文字もじ
 とても読めねえその文字もじをみてると、なんかが引っかかる。
「(こね――いっ――にゃ――にゅ――わ――――ぇい♪)」
 こえだかうただかわからない、幽玄ゆうげん調しらべまで聞こえて来やがった。

 そのこえ一言ひとことでも聞くと、間違まちがいなく面倒めんどうごとに駆り出されるに決まってる。
 この場は目を閉じて、やり過ごスヤァ――♪

 ヴュザザザッ――――コワァァァンッ――――ゴォルァ、ジギャビー!
 おぎんがぁっぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――ビリビリビリビリッ!!!!
 なにこの音声入力おんせいにゅうりょく?うるさいですよ>echo please be quiet
>mute mic

 ふう、しずかになった。
 よかった。
 いまは日を浴びて、一刻いっこくはや実を付けたい・・・・・・
 ひとり三個さんこまでだから、ええと――>netstat ーa

アクティブな接続
 プロトコル   ローカルアドレス    外部アドレス     状態
 FATS    0.0.0.0:『蟹』 #44Ga3:0   LISTENING
 FATS    0.0.0.0:『迅』 #44Ga3:1   LISTENING
 FATS    0.0.0.0:『腹』 #44Ga3:2   LISTENING
 FATS    0.0.0.0:『一』 #44Ga3:3   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『二』 #44Ga3:4    TIME_WAIT
 FATS    0.0.0.0:『三』 #44Ga3:5   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『四』 #44Ga3:6   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『五』 #44Ga3:7   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『六』 #44Ga3:8   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『七』 #44Ga3:9   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『八』 #44Ga3:10   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『九』 #44Ga3:11   ESTABLISHED
 FATS    0.0.0.0:『十』 #44Ga3:12    TIME_WAIT

 UNFATS  [e383aae382abe383abe383ab0d0a0d0a]736356 ※:※
 UNFATS  [e382a8e382afe383ace382a2]438463 ※:※
 UNFATS  [e383aae382aae383ace382a4e3838be382a2]690917 ※:※
 UNFATS  [e38395e38383e382ab]689730 ※:※
 UNFATS  [e383ace382a4e38380]1088643 ※:※
 UNFATS  [e382b2e383bce383ab]6271 ※:※
 UNFATS  [e3838be382b2e383ab]遺跡獣Σ267被害者0201 ※:※
 UNFATS  [e383a9e38397e38388e383ab]611395 ※:※

>えーっと、同一ネットワーク上にふたり、いや三人と――
>近い接続網に七人だから、全部で30個!?
>いそげいそげ、実を付けろ
>不老不死の妙薬、仙果、桃――ってことは、ここは隠れ世……隠れ里か?
>川がなくなってる?
 おれぁ、どーやってもど

   §

 ふぉん♪
『>イオノファラー、解析終了しました
 シガミー魂跡とのアクセスが可能になりました』

「ばか、シガミィー! はやくかえってきなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁっぁあっぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁああああぁっっぁあぁぁあぁっっぁぁあっぁあぁっぁぁ――――げっほけほけほっ!?

 うるさいですよ。
 もうすぐ、もうすぐ。
 ちゃんと実が付くからさ。
 そうしたら、おなかいっぱい食べてよ。

 ぐぐぐぐぐっ――――ぽこん♪
 ほらひとつ、実がなった。
 わーいわぁーぃ♪

 ポン♪
 ポポポポポポポポポォン♪
 んぁ? なんか、
>すっげぇ上の方からICMPパケットを投げつけられたぞ?
>あと、ちょっとまってよ
>あと30秒有れば、もう二個でひとりぶんの実が付くからさぁ

 サラサラサラサラアァ――――――――なんか、地面じめんしたからわき上がるわきみずみたいなのが>ヒント>龍脈/活力の流れ。

「(本当ほんとうにこんなもので――人の代わりに・・・・・・なるのですか?)」
「(マ、マナをめぐらせることさえ出来できれば良いのなららぁん、これで十分じゅうぶんですらぁん!)」
「(ぎゃぁぁぁぁっ! シ、シガァミィィィィッ――――!?)」
「(駄目だめです、見てはいけません!)」

 あれっ!?
 たしかにマイクをオフにしたのに――なんか聞こえてきた。

 ぐぬぬ、よっぽどわらわの実が・・・・・・ほしいとみえる。
 しかたないねぇ――――木をもう一本生いっぽんはやしますかねぇ。

 きえぇーいっ――ぽこん――芽が出たとおもうだろ?
 一瞬いっしゅん大木たいぼくへと成長せいちょうするから、見逃みのがさないでよぉ――
 めきめきめきょ――――んぐぐぐぐっ、ぽこん♪

 ぃよぉし、やった!
 もとの木に二個目にこめがなって、あたらしい木にもひとつ実がなった。
 これでひとりぶん――――はぁはぁ、すこしつかれたから一息ひといきつこうかな>シガミー、はヤク起きナいとれイかクしてオいたマンドラゴーラ――
 ヒント>五百乃大角に食べられてしまいますよ

「なんっだっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――ふざけりゅんぎゃありませんわよぉぉぉぉぅ、あれわぁ――――――――――女将おかみさんの土産みやげに取っといたんだぜっ――――こんのぉぉぉぉぉっ、駄飯神だめしがみ:さまめぇぇぇぇぇぇっ――――!?」

 仄暗ほのぐら視界しかい
 だれかが居る。
 ちいせぇまるいのが、おれのかおに乗ってやがる。
 ぴーぴーうるせぇな。
 こぽこぽこぽぽっん――――くちなにかをながし込まれた?
「(の ん で、 シ ガ ミ ィー )」
 丸いのが・・・・、なんか言ってやがる。

 ふぉ ふぉ ふぉふぉ っふぉ おふぉふぉ ふぉぉぉ ぉぉん♪♪♪
『緊急時戦術プロトコル作動
 >WetWareID#44Ga3
  対象アドレス:生体デバイス個体シガミー内/不随意記憶領域内/……/……
 >Forced reboot with bootstrap
 >Access to room #44Ga3
 >Initiating bodycontrol
 >シガミー、起きてください。

 >んぁ?
 >どれでしょうか、あなたさまはぁ?
 >あらら? わたくしわぁ三途の川辺で、大木へと成長したはずですがぁ?

 チチチチチチチピッ――♪
 >小鳥が鳴いていますわ、うふふ♪
 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュゥ――ン。
 >これは馬かしら?
 どっこぉん、どっごぉぉん――――!!
 からだなかまで、うるさ……そうぞうしいですわねぇ――――――――!!!

 ――――ごごごごごぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
 ――もぉう。

 ふぉん♪
『>うる』
 ――さい。

 ふぉん♪
『>です』
 ――わぁ。

「すっはぁぁぁぁ――――!?」
 気づけば、あたりがくらくなっていますわ。

「「「「「「「「「シガミィィィィィィィィィィィィイ――――――――♪」」」」」」」」」
 大勢おおぜいひとこえ
「――うるさいですわよぉうっ!」
 わたくしのかおに張り付いた何か・・を、ひょいとつまみ上げると――なんですの?
「シガミぃぃぃぃー
 蹴鞠けまりのような根菜こんさいのような鏡餅かがみもちのようにもみえる、なにかが小煩こうるさいいですわ。

「ここはどちらでしょうか、見覚みおぼえがないのですが?」
 あたりは……ひどい有りさま。
 おかをえぐり取ったような、大穴おおあなの真んなか――折れた木かしら?
 そんなのがたおれていますわぁ。

「あれ? なんか、様子ようすがおかしいですよ?」
「シガミー、大丈夫だいじょうぶっ!? どこか痛くなぁい!?」
「シガミィー?」
 わたくしは、背後はいごを振りかえる。
 ソコにはだれも居らず、荒涼こうりょうとした窪地くぼちひろがっているだけですわ。

 くびかしげていると――
「「「「「「「「「シガミー?」」」」」」」」」
 またもや聞きおぼえのない名で、わたくしを呼ぶのです。
 そのシガミイというかたは、よっぽどわたくしに似ているのですね。

「ちがいますよ? こほん、わたくしは惑星わくせいヒースのかみです❤」
 見知みしらぬひとたちの、おどろいたかお面白おもしろくて――クスクスクスクス♪
 わたくしとしたことが、大声おおごえわらってしまいましたわ。
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