上 下
307 / 736
3:ダンジョンクローラーになろう

307:仙果到達ルートC、ラプトル王女との対話(非公式)

しおりを挟む
「と、とととととと、とにかくダメぇ――」
 む、コッチが譲歩じょうほしてるのに、ダメだという理由りゆう説明せつめいすらしねぇ――すぅぅぅぅっ。

ぁっーーーーっ!!!」
 また五百乃大角いおのはらこわれるといけねぇから、ちいさくだが――
 はつをくれてやった!

 ふるえる子供シガミーからだ
 瓦礫がれきがすこし落ちてきたが、くずれるほどじゃねぇ。
 五百乃大角いおのはらばりの仁王立におうだちで――にらみ付けてやる。

「ぴゃぎゃらんっ――!?」
 二号ジンライ背中せなかかくれる王女殿下ラプトルひめ

「まアまあ、シガミー。カりにモ一国いっコく王女相手おうじょアいて――」
 ふぉん♪
『>ガムラン町を含むコントゥル伯爵領と、
  央都自治領一大勢力との戦争になりかねません』

「やかましい迅雷ジンライ! 王女おうじょさまも良く聞け! ニゲルはおれの友達ともだちだ!」
 おれの怒声どせいに身をすくめる、二号ジンライ王女おうじょ

「ニゲルのためにならねぇことなら、たとえ相手あいて央都おうとまるごとでもおれぁ引かねぇって言ってるんだっあ!」
「ぴゃぁぁぁっ――そ、そんなのっ――わ、わたたたたた、わたくしも、ニゲルさまのためをおもっていますらぁん!」
 んぅ? やっとはなしすすんだような、気がしないでもねぇ。

 ふぉん♪
『>シガミーには詳細を伝えていませんでしたが、
  彼女はゴーレムを使って、ニゲルを襲撃した嫌疑があります』
 はぁ?
 それじゃぁ、やっぱりはなしすすんでねぇじゃねーか!

「ぴゃぁぁ、ぴゃぁぁ、ぴゃらぁらぁぁぁぁん!」
 あぁ、いけねぇや。泣き出しちまったぜ。

「(ニゲルがこの杓子王女しゃくしおうじょさんを、相当嫌そうとうきらってるのはたしからしいが――どうしたもんだぜこりゃあ)」
 ガリガリとあたまをかいて、二号にごう木板きいたを見る。

「……迅雷ジンライおとだせおと!」
 せめて、あいつらの様子ようすこえだけでも聞いて、気を落ち着ける。

 ちょうど書き換わった、木板きいたの絵には――うつくしい女性じょせい姿すがた
 とてもおおきな……もも
 そんななにかをかかえ、よだれを垂らす……うつくし……い?

「――なにこのおおきさっ! さすがにコレじゃぁ、あたくしさまでもぉ、おひとつで十分じゅうぶんわよっ!?――」
 その木の実(?)のおおきさは――五百乃大角いおのはらうつし身とおなじくらいあった。

「絵とおとがまちがってんぞ!」
 こりゃ五百乃大角いおのはらの、様子ようすだろーが!

 ぽたきゅりと、たおれる二号ジンライ
「おいこら迅雷ジンライ、なにやってる?」
 王女おうじょまで一緒いっしょに、ひっくりかえっちまっただろーが。

 ふぉふぉん♪
『>同一エリア内で女神像#0が検出されました
  同期を開始しますか? Y/N』

   §

「ひっく、くすんくすらん」
「あー、わるかったよわぜ。ひとまず泣き止んでくれてたすかるぞわ」
 コクリとうなづく、第一王女だいいちおうじょ

「まず、聞いておきてぇことがいくつも有るんだが――こたえちゃくれねぇか? とても大事だいじなことなんだぜ」
 瓦礫がれきをどけて、椅子いすとテーブルを出した。
 うごかなくなった二号ジンライも、椅子いすすわらせてやる。

「わ、わかりました。わたくし央都おうとラスクトール自治領じちりょう代表だいひょうするものですらん。何なりと聞いてください、ケットーシィガミー」
 なみだ指先ゆびさきぬぐい――おれを真っ直ぐに見据みすえる第一王女ラプトルおうじょ

決闘死けっとうし……決闘けっとうして死ぬみたいに聞こえるから、ぜひシガミー・・・・と呼んでくれ。ガムランちょうのシガミーだぜ」
 木の葉のような、ちいさな手を差しだす。
「それは失礼しつれいいたしました、シガミー。わたくし央都おうとのラプトル・ラスクトールですらん」
 きゅっと手をにぎりあう。
 いろんな不運ふうん見舞みまわれた、不幸ふこう出会であいだった。
 ここから、仕切しきなおす。

「まず、最初さいしょから聞くが……魔王城まおうじょうなにをしてたんだ?」
「ゴーレムの素材集そざいあつめですらん。ケット……シガミーたちはなにをしていたらん?」
火龍かりゅう寝床ねどこ攻略こうりゃくしたついでに、この大木たいぼくのあるおか目指めざしたら……かわながされてな」
「この場所ばしょは、王家おうけ転移魔方陣てんいまほうじんとおらなければ、たどり着くことは出来できません。その転移先てんいさき明後日あさってには、べつ土地とちに切り替わりますらぁん」
「切り替わる?」
「はい。この神聖しんせい召喚しょうかんとうまもための、術式じゅつしきですらん」
 わからん。

「じゃぁ、ここに来るまえの、焦げくさい……工房こうぼうがあった場所ばしょなんだ?」
「じつはあの〝中間の場所・・・・・〟については、まだ良くわかっていません」
「わからねぇところに、大事だいじ工房こうぼうかまえたってのか?」
「はい。わたくしにとって大事だいじなのは、ゴーレムの素材そざいとなる魔物まもの生息地せいそくちへ〝どうやってたどり着くか〟ですからん」
「たどりつく? 転移魔法てんいまほうで行き来、できるんだろう?」
「ええ、けれど……わたくし自由じゆうあるけるのは、央都おうと城壁じょうへきなかだけですものらん」
城壁じょうへき……内堀うちぼりなかか? おれぁ一度いちど央都おうと出向でむいたことがある。飯屋めしや宿屋やどや道具屋どうぐやなんかが、そこそこ立ちならんでたな」

「ええ、わたくしにあたえられた自由じゆうは、そのなかだけですもの――とても魔物まものが居るところへなんて……」
 すこし、込み入ってきたぞ?
「んうううううん? 魔王城まおうじょうと、このとう場所ばしょをつなぐ――あいだ工房こうぼうがあった場所ばしょは、ひめさん……ラプトルひめさん以外いがいには、知られてねぇ・・・・・・ってワケだな?」

「はい、つまりはそういうことですらん。王城おうじょう地下ちかにある秘密ひみつ転移陣てんいじんではなく――わたくし複写した・・・・転移陣てんいじんから転移てんいすると、あのあかく焼けた土地とちへと転移てんいするのですらん」
「うーんぅ、そりゃ言ってみりゃ事故じこだろ? そのとき護衛ごえいは? 良く生きてたな?」
「そうらぁん、まさにわたくしの、ゴーレム最強伝説さいきょうでんせつはじまりでしたらん♪」
「なんかながくなりそうだな……一言ひとことで言うなら?」
おそい来る魔物まもの襲撃しゅうげき必死ひっしふせいでくれた、ちいさな人形型にんぎょうがたゴーレムの……残骸ざんがい……」
 やっぱりながく、なりそうだなー。

 椅子いすすわる、二号ジンライかおを見る。
 かおに浮かび出たまるが、ほんのすこし欠けた。
 このまる全部消ぜんぶきえると、龍脈りゅうみゃくだかがつながって――

 なんだっけ?
 女神像めがみぞうなんかが、使つかえるようになって――
 色々便利いろいろべんりになる。

 五百乃大角いおのはらがこの場に居ねぇからか、ちょっと欠けたきり、まるで減らねぇ。
 ってことは、まるですすんでねぇってコトだ。

 どうせ、それまで出来できることもねぇし。
 もうすこしだけ、聞いてやるか。

わたくしの、この万能工具ばんのうこうぐ――伝説でんせつ職人しょくにん使用しようしたと言われる――」
 取り出した杓子しゃくしをかるく振ると・・・――杓子しゃくしやっとこにかわった!
「うを――!? そいつぁ、杓子しゃくしじゃなかったのか!?」

百徳ひゃくとくロッド――わたくし相棒あいぼうですらぁん♪」
 やっとこがこんどは、金槌かなづちに変わった。
 かなり上等じょうとうなアーティファクトだ。
 はなしをする気配けはいはねぇけど、迅雷ジンライみたいなものか?

「ふぅ、おどろかされちまったぜ。けどそれひとつで、どーやって生きのびた?」
最強さいきょう戦闘用せんとうようゴーレムを、つくりあげたに決まってるじゃありませんらぁん♪」
 やめろ、杓子しゃくし舐めあげるな・・・・・・
 けどこれで、だいたいのはなしが聞けた――かぁ?

「じゃあ最後さいごだ。もう一回聞いっかいきくぞ? ニゲルが婿殿ってのは・・・・・・、どーいうはなしなんだぜ?」
 ひじを突きだし、かおを寄せてみせた。

 ぎゅっ――とん!
 にぎったこぶしをテーブルに置き、意をけっした王女殿下おうじょでんかラプトル。

「ゆ――、勇者召喚ゆうしゃしょうかんおこえるのは――わたくしのお父様とうさまわたくしだけですのらぁん♪」
 脇目わきめもふらずにはなしはじめ、ほほやおでこやみみさきまでがあかく染まっていく。
「はぁ?」
「この世界せかいすくってくださった、ゆ、勇者様ゆうしゃさまにぃ! 身もっこころもさヒゃげるノわぁ――と、とおぜんらのれすらぁぁん!!!」
 また杓子しゃくしにもどったソイツ・・・を、振りまわすんじゃねぇやい!
 危ねぇだろうが!

「きゃぁぁ言っちゃったぁぁらぁぁん! あぁぁあぁぁ、ニゲルさまっ!」
 んぅ? ニゲルさま……なぁ?
 ひととの出会であいは、一期いちご一度いちどだ。
 けどやっぱり、なんか……さま・・ってがらじゃねぇよな。

ねんのため聞くが、ニゲルに会ったことは?」
「も、もちろん何度なんども、お会いしましたらぁん♪」
 だーよーなーぁ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...