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3:ダンジョンクローラーになろう

295:ゴーレム製造工場にて、眼鏡姫VS解析指南(シガミー)

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「ららぁーん!? ちょっと、そこのピンクいろねこ魔物まものん! なにをしているのかしらぁーん!?」

ばかやろーうにゃみゃぎゃーだまってみてみゃんやーにゃやがれやぁーやみゃぁー♪」
 ぐふふふふっ――ぐへへへっへっ♪

 迅雷ジンライなしだと、くわしい画面がめんは出ない。
 案内ヒントも、ひとつも出ねぇ。
 けど、なにをどうすりゃどーなるのかが、あたまなかでチカチカピカピカしてやがる。
 おにぎりのはらなかに詰まってる酢蛸SDKと、おなじような作り・・になってるはずで――
 へぇへぇ、ほぉほぉ、なるほどなぁ――
 あたまなかがどこまでも、研ぎ澄まされていく。

 作り・・簡単かんたん
 やられたらやりかえすだけ。
 げいですらない、見よう見まね。
 おさなこころのありかたに、うまかたちうごかたを――
 その全部ぜんぶを――必要ひつようぶんだけ――
 何度なんど何度なんど線を引いて・・・・・重み・・を付けていく。

 あたまつくったひかりすじたばを。
 いまあるゴーレムうまかたちに、押し込める。

 要らぬ動き・・を、そぎ落とし――
 ちかくにあったかみに、書き留める。
 黒板くろいた一枚いちまいでも使つかえりゃ、こんな面倒めんどうなことはする必要ひつようねぇのに。
 もどかしいが、もうできてる。
 なやむところはねぇ。
 あたらしい図面ずめんがどこまでも、研ぎ澄まされていく。

できたぜっみゃにゃがぁ♪」
 骨組ほねぐみになる四つあしかたち
 見た目にかかわるところだけ、引っ張り出して――かんがえる。
 そうだな……五百乃大角いおのはら御神体からだみてぇな按配あんばいで――
 まるっこくて寸足すんたらずで、つぶらなひとみきばのないくち

 うまで言うなら……子馬こうまか。子馬こうまつくりゃ良いんだな。
 子供こども時分じぶんは、どんな豪傑ごうけつだって――可愛かわいげがあるもんだ。
 その出来上できあがりの寸法だけ・・・・――元服げんぷくおおきさにすりゃぁ良い。

 ふう。ここまでかんがえてようやく――
 うま見た目が・・・・、研ぎ澄まされていく。

 ただかたちを変えただけじゃ、ダメらしくて――解析指南かいせきしなん何度なんども、やりなおさせられた。
 しまいには馬人形うまにんぎょうあり方・・・からつくりなおさなけりゃ、ならなくなっちまったが――ようやく目処めどが立った。
 おもったより大変たいへんだったが、なんとかなりそうだ。

 研ぎ澄まされた、二号おれ視界しかい
 シガミーのからだ強化服二号きょうかふくにごう猫耳頭へっど
 ソレが透きとおり、まえを見ていても、うしろまで同時どうじに見える。

 ひゅぉぉおぉぉっ――
 むねあたりを、かぜが吹き抜けていく。

 その全天ぜんてん景色けしきに、あたらしいものくわわった。
 ひゅろろろろぉっ――――おれのうしろあたまめがけて、なんかが飛んでくる。

 第一王女だいいちおうじょ自分じぶんふくにくくりつけてた、ぬの出来できうま人形にんぎょう
 その最後さいご一匹いっぴきがむしり取られ、ほうり投げられた。
 グワワワグワワワッともとのおおきくて無骨ぶこつで、可愛かわいげのないかたちに変わっていく。

 こりゃ、おそろしく性能わりわりぃが――収納魔法しゅうのうまほうか?
 魔法具操作術まほうぐそうさじゅつスキルが、馬人形うまにんぎょううまのゴーレムに変わることわりを――つたえてきた。
 どうしてもふくにぶら下げたいなら、もっとちいさくできる。

「こぉーらぁーん! ピーンークーいろぉーぉ!」
 うしろに居る杓子王女しゃくしおんなが、さけんでる。
 そのうごきが――手に取るようにわかる。
 死角しかくから手刀しゅとうを振りおろす一号おにぎりの――毛皮けがわながれすら、よーく見えている。

 これはおれが前世ひのもとつちかった――手習てならいの剣術修行けんじゅつしゅぎょうたまものってだけじゃねぇぞ?

 まるで、迅雷ジンライが言ってたアレだ。
 めつ太刀反応たちはんのうとか言うヤツ。
 飛ぶとりを切れる、研ぎ澄まされた剣筋けんすじ
 いつのまにか、いつでもソレを打てるようになってる。

 うまあたらしい図面ずめんを引くのに、研ぎ澄まされた――明鏡止水めいきょうしすいこころもち。
 ソレが――ヴッ――ぱしり♪
 小太刀こだちを取りださせ。

 シュカン――ガギンがしり、ゴゴォンかちゃかちゃ!
 うしろを見ずにうまから。
 目をふたつと、しっぽを拝借はいしゃくする。

 ごとん、ことことり。
 図面ずめんうえ、置いた材料ざいりょうを見つめる。
 研ぎ澄まされる――解析指南かいせきしなん

 美の女神めがみイオノファラーの下っ腹・・・
 あのふくよかさ。
 あのにくめない、たたずまいを。
 うまゴーレムに――落とし込んだ。

 一番大変いちばんたいへんだったのは――飛び出たとがり目。
 伝説でんせつ職人しょくにん基礎光学きそこうがくと研ぎ師と超感覚ちょうかんかくで――つぶらなひとみへとつくりかえた。
 飛び出なくてもまえを見りゃ、うしろも同時どうじ見渡みわたせるはずだ。

 付け根にネジ切りが付いた目玉ソレを見つめると――ヴォォンッ♪
『◎』まるしるしがみえた。
 解析指南かいせきしなんが――死角しかくがないことを、裏付うらづける。

どうでぇいにゃみゃがぁ? おそらくアンタがみゃやがぁーやりたかったみゃぁぁん馬の動きとにゃんかわいらしい形をみゃぁーご両立してやったぜふにゃみゃぁん!」
 会心かいしん出来できだ――――っ!?

 ばしんっ――いてぇ!
 おにぎりが、おれのうしろへっどたたきやがった。
 ここでやりかえすと、引いた図面ずめんつくった部品ぶひん駄目だめにされかねぇえから――あまんじて受けた。

なにしやがるっにゃみゃにゃぁん――おにぎりみゃにゃご!」
 けどやっぱりはらが立ったから、にらみかえしてやったら。

 むうっぎゅぼぎゅぎゅむっ――♪
 おれがながれる仕事しごとに割り込んだから――おにぎりのうしろが・・・・大混雑だいこんざつを起こしてぎゅうぎゅう詰めになってた。

わるいにゃんすまんにゃがじゃみゃコレ組み立てみゃんみゃにゃ頼まぁぎゃにゃぁ――」
 組み立ての工程順こうていじゅんに、あたらしい部品ぶひんを置いて――おれは第一王女だいいちおうじょよこまで下がった。

 またうま人形にんぎょうを投げつけられるかとおもったけど、本当ほんとうにさっきので最後さいごだったらしく。
 ものすごいかおにらみ付けられるだけで、済んだ。

   §

「みゃにゃっ――♪」
 あたらしいうまゴーレムが組みあがると――おにぎりがうごきをとめた。

 それは丸々まるまるふとった子馬こうまだった。
 けれど、そのおおきさは――いままでのうまと変わらぬ寸法すんぽうで。

 ようし、かわいいかわいい♪
 この出来できなら、レイダに見せたら飛びつくぞ。

 第一王女だいいちおうじょが――くち半開はんびらきにしたまま――新型馬しんがたうまに駆け寄った!
 うま胸元むなもとに手を当て――「超自然ちょうしぜんちからよ、起動きどうチェック開始かいしの地に棲まう同胞はらからに、エコノミーモードで自己診断結果じこしんだんけっかを告げたまぇーぇ」
 なんか五百乃大角いおのはらたちが使つかう、呪文じゅもんみたいなことを言ってる。
 やっぱり酢蛸SDKに似たことを、してるのはまちがいねぇ。

「ポポポーン、ピピピピッププンッ――ブッツン♪」
 その場で、足踏あしぶみをはじめたうまが――くずれ落ちた。

ああっみゃにゃ!? そんなはずはねぇふぎゃにゃみゃぁ!」
 迅雷ジンライなしでも、おれのスキルはちゃんと使つかえただろーが!?

「ふぅー、わたくしとしたことが。いくら器用きようでも、ねこ魔物まものはしょせんねこ魔物まものですわらぁーん♪」
 くずれ落ちたうまを、ドガンと蹴り飛ばし――その場であたらしい図面ずめんを引きはじめる第一王女だいいちおうじょ

 それでも、おれが引いた図面ずめん一部いちぶが取り入れられていて。
 リカルルにもつうじる、無私無偏むしむへん
 すじとおった公平こうへいさ……分けへだてのなさをかんじた。
 なんせ、いまおれぁ――ねこ魔物まものだからな。

 ガリガリガリ――図面ずめんを見ていたら。
 ふたたびとがり目が、てんいた。
 おい、ソレ止めろ。
 ゴーレムの恐ろしさ・・・・八割方はちわりがたは、その目のせい・・・・だろうが。
 おれは――蹴飛けとばされ、うち捨てられた新型馬しんがたうまから――つぶらなひとみひく目玉めだまをキュリキュリキュリリッとはずした。

 ごとん――「悪いことはみゃんやぁ言わねぇからみゃにゃがぁコレを使えやぁにゃんがみゃにゃ!」
 まだただしいつなかたが、わからねぇだけで――この部品自体ぶひんじたいは、ちゃんと出来できてるはず。
 解析指南かいせきしなんスキルは、この世をつくったヤツもみとめてる。

 眼鏡びーどろおく、キッと吊り上がるまなじり。
 ぺちぃぃん――♪
 二号おれひろねこひたいを、力一杯ちからいっぱいひっぱたかれた。

ーーー
元服/成人した証。成体とみなされる期間を経たこと。
無私無偏/私的な利益を計らず、偏らずに公平なこと。
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