滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

293:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ニゲル事変(二回目)と魔海

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「ふぅ、まさかこんなところで、おこもり……じゃなくてドルイドひめ遭遇そうぐうするとは……」
 くろ騎士きし表情かおは、苦渋くじゅうに満ち満ちていたらしい。

「いま、おとうさま……コントゥル伯爵はくしゃくから外交がいこうルートで手をまわしていただいていますわ」
 狐面きつねめんあたまうえに跳ねあげた剣士けんしも、通信機つうしんきを手に困惑こんわく表情かおだったとか。

情勢じょうせイかンがみルに、こノ場に伯爵夫人はくシゃくふじんが居あわせナかったことは――不幸中ふこうチゅうさイわイか
 そらに浮かぶアーティファクトが、冷静れいせいこえはなす。

「そーですね、領民りょうみんであるシガミーを……かどわかされたと知ったら――」
 頭上ずじょうただよぼうのようなアーティファクトを、じっと見つめる給仕服メイドの――
 その背が、ちいさくふるえた。

 ギャリザキィィン――――!
 剣戟けんげきするどおと
 ゴッゴン、ガガァン、バッガッ――バラバラバララァァッ!
 散らばる、ぼうたま鉱石こうせき
 累々るいるいよこたわるのは、かつてひとかたちをしていたもの

「消えてぇ、なくなれぇぇぇぇぇっ――――――――!!」
 目にも止まらぬはやさで、異形いぎょう怪物かいぶつ解体こわしていくのは――
 あたまねこみみをのせた青年せいねん

「それにしても、ニゲルさん。す、すさまじいですね」
 ケープを羽織はおった女性じょせいが、驚愕きょうがくする。

本当ほんとうでしたのねぇ――シガミーが、「おれでもかなわねぇ」なんて言ってたのは……」
 狐面きつねめんをおろし、たたかいの支度したくをととのえる剣士けんし
 面越めんごしのひとみ金色こんじきひかりが、宿やどったとか宿やどらなかったとか。

鬼気迫ききせまるものが、ありますね――」
 ガッチャリと、大盾おおたてをかまえる騎士きし

「ニゲルさん、まるで冒険者ぼうけんしゃみたい!」
 呑気のんき様子ようすで――
「ウヌゥ――相対アイタイしたくない相手アイテだ」
 はたまた剣呑けんのん様子ようすで――
 まるでおどくる青年せいねんを、見つめる子供こどもたち。

 タパァ――ン♪
 突然とつぜん号砲ごうほうは、青年せいねんしんぞうめがけ飛んで行く。
 すたん――すとん。
 凶弾ソレ歩幅ほはば振幅しんぷくでかわし――を進める青年せいねん

 とがった目を持ち、くちから鉄弾じゅうだんを吐く異形いぎょう怪物かいぶつ
 ソレが、〝一匹いっぴきだけ立ちつくしていたねこ魔物まもののような生きもの〟に飛びかかった。
 ぽっぎゅむ?
 魔物ねこ一瞬いっしゅんで、怪物かいぶつはらおさめられる。

「いぃなぁくぅなぁるぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――――――!」
 猫耳ねこみみのせ青年せいねんに、寸断すんだんされる瞬間しゅんかん――ボッゴォ♪
 怪物かいぶつは地にしずみ――姿すがたを消した。

 コカカァァァァァッ――――!
 すっかりさびが落ちた、ひかかがやけんを――じっと見つめる高貴な瞳・・・・

「ちっ――逃げられたかっ!!!」
 忌々いまいましそうに、けんさやおさめていく青年せいねん
 そのが、狐耳・・正対せいたいした。

迅雷ジンライくーん――首尾しゅびわぁ
「はイ、シガミーへノメッセージヲ三件さんケん記述きじュつしマし
 こんな按配あんばい九号きゅうごう書状しょじょうは、したためられたんだそうだ。

 コレはぜんぶ、あとから聞いたはなしになる。
 魔王城まおうじょう城下町じょうかまちへたどり着いた一行いっこうは、大量たいりょう怪物かいぶつ――
 ゴーレムの襲撃しゅうげきに遭ったらしい。

わタしひトりおめおめと逃げかエってきてしまいましたが、シガミーハ大丈夫だいじょウぶでシょう?」
 ヴォォォォン♪

仕方しかたないでしょ、演算単位えんざんたんい使用不可しようふか空間エリアに逃げられちゃったんだから! むしろ二号にごうにロック掛けて、シガミーの保全ほぜんはかれただけでお手柄てから、お手柄てがらぁー♪」
 カシャ――『(Θ_Θ)』
 ヴォォォォン♪

 浮かぶたまに乗った根菜こんさいと――
 空飛そらとぶアーティファクトが――
 おおきなテーブルを取りだし、なんらかの算段さんだんはじめた。

   §

「ごっほ、がっはっ!?」
 ソレは火龍かりゅう寝床ねどこ最初さいしょに吸った、焼け焦げた空気におい
 アレと似ていた。

 ダッダッダッダッダダダッ――――グゥワォウルゥ♪
 けっほけっほげっほ――!?
 とり方角ほうがくから来るぞ!
 燃え散る火花ひばなごと熱気ねっき
 ソレでいて――極寒ごっかん吹雪ふぶきに混じるひょうのようでも有る。

 その濃霧なか疾走しっそうする――のは石吐いしはおおかみに似ていたが、
 いろがちがっていて、縞模様しまもようが浮き出ていた。
 おりつかまってたのと、おな種類ヤツだな。

 みょう息苦いきぐるしい!
 気がよどんでやがる。

 えーっと……神力棒しんりょくぼうは、どうやって取りかえるんだったか。
 ヴッ――指輪ゆびわ二本にほん、いれて置いたうちの一本いっぽんを取りだした。

 神力棒しんりょくぼうをつかみ、おにぎりに突き出す。
 これが精一杯せいいっぱいだった。

 グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、――――♪
 消えかかる景色けしき
 飛んできたのは、いしいあしでも――
 透明とうめいいしだった。
 まるで、ゴーレムどもの目玉ひとみみたいな。

 ぽっこきゅむっ――――ゴガンッ!
 それをかるく蹴りかえす、おにぎり。

 ギャワウゥウゥゥウンッ――断末魔だんまつま
 目玉めだま目玉めだまつらぬかれた、目玉吐めだまはおおかみ事切こときれた。
 あたりにただよっていた、うなりや足音あしおととおのいていく。

 げっはごがはぁっ――く、くるしい。
 きゅむ――かちりっ♪
 なにかが脇腹わきばらあたりに、差し込まれた気がして――

 ふっしゅごわぁぁっ――――ずっはぁぁぁぁぁぁぁあっ!
 いき出来できるようになった!
 はぁはぁ、杓子姫しゃくしひめもどうにかしねぇと、いき出来できなくて死んじまう!

今すぐみゃが引き返せやぁにゃにゃんみゃぁ♪」
 おにぎりが真っくろぬの……迅雷ジンライ式隠しきかくみのを取りだした。

 くちにくわえた黒布ソレで。
 片腕かたうで器用きようにぐるぐると、第一王女だいいちおうじょとやらを巻きあげた。
 まだ目をまわしたままなのか、ピクリともしやがらん。
 ――――死んでねぇだろうな?
 蘇生薬エリクサーが効いてねぇんじゃ?

「にゃみゃがぁ――♪」
 おにぎりが、なんて言ってるのかはわからねぇが。
 ソレが〝心配事しんぱいごとじゃねぇ〟のだけは、ちゃんとわかった。

 お? ジタバタできる!
 いき出来できるようになったら、からだうごくようになったぞ?

おにぎりみゃがぁはなせやぁにゃぎゃぁ♪」
 言うがはやいか――どばったり!
 おれは、投げ捨てられた。

 ひゅぅぅうぅっぉぉぉぉぅ――――焼け焦げた、ぬるいかぜが吹く。
 一面いちめんの赤い景色けしき
 振りかえると――とおくのほうに、石造いしづくりの建物たてものが見えた。

 ひとまずもどるべきだろうな――ぽきゅ♪
 おれがすすめると――ぽきゅむ♪

やいにゃおにぎりにゃぎゃ! なんでみゃぁソッチへ行くみゃにゃやー?」
 なぜか背を向ける、極所作業きょくしょさぎょう用汎用ようはんよう強化服きょうかふく自律型じりつがた一号いちごう

 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ――♪
 しかも軽快けいかい足取あしどりで。

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅ――♪
 一号おにぎりのあとを追い、一直線いっちょくせんにドカドカとはしり去る、特定作業用とくていさぎょうよう突撃用強化服とつげきようきょうかふく特撃型とくげきがタたち。
 やべぇ――こんなわけのわからんところに、置いてかれたら……死んじまう。

 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪
 おれはろく金剛力パワーアシストも出せなくなった二号からだにむち打って、必死ひっしにあとを追った。
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