滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
293 / 740
3:ダンジョンクローラーになろう

293:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ニゲル事変(二回目)と魔海

しおりを挟む
「ふぅ、まさかこんなところで、おこもり……じゃなくてドルイドひめ遭遇そうぐうするとは……」
 くろ騎士きし表情かおは、苦渋くじゅうに満ち満ちていたらしい。

「いま、おとうさま……コントゥル伯爵はくしゃくから外交がいこうルートで手をまわしていただいていますわ」
 狐面きつねめんあたまうえに跳ねあげた剣士けんしも、通信機つうしんきを手に困惑こんわく表情かおだったとか。

情勢じょうせイかンがみルに、こノ場に伯爵夫人はくシゃくふじんが居あわせナかったことは――不幸中ふこうチゅうさイわイか
 そらに浮かぶアーティファクトが、冷静れいせいこえはなす。

「そーですね、領民りょうみんであるシガミーを……かどわかされたと知ったら――」
 頭上ずじょうただよぼうのようなアーティファクトを、じっと見つめる給仕服メイドの――
 その背が、ちいさくふるえた。

 ギャリザキィィン――――!
 剣戟けんげきするどおと
 ゴッゴン、ガガァン、バッガッ――バラバラバララァァッ!
 散らばる、ぼうたま鉱石こうせき
 累々るいるいよこたわるのは、かつてひとかたちをしていたもの

「消えてぇ、なくなれぇぇぇぇぇっ――――――――!!」
 目にも止まらぬはやさで、異形いぎょう怪物かいぶつ解体こわしていくのは――
 あたまねこみみをのせた青年せいねん

「それにしても、ニゲルさん。す、すさまじいですね」
 ケープを羽織はおった女性じょせいが、驚愕きょうがくする。

本当ほんとうでしたのねぇ――シガミーが、「おれでもかなわねぇ」なんて言ってたのは……」
 狐面きつねめんをおろし、たたかいの支度したくをととのえる剣士けんし
 面越めんごしのひとみ金色こんじきひかりが、宿やどったとか宿やどらなかったとか。

鬼気迫ききせまるものが、ありますね――」
 ガッチャリと、大盾おおたてをかまえる騎士きし

「ニゲルさん、まるで冒険者ぼうけんしゃみたい!」
 呑気のんき様子ようすで――
「ウヌゥ――相対アイタイしたくない相手アイテだ」
 はたまた剣呑けんのん様子ようすで――
 まるでおどくる青年せいねんを、見つめる子供こどもたち。

 タパァ――ン♪
 突然とつぜん号砲ごうほうは、青年せいねんしんぞうめがけ飛んで行く。
 すたん――すとん。
 凶弾ソレ歩幅ほはば振幅しんぷくでかわし――を進める青年せいねん

 とがった目を持ち、くちから鉄弾じゅうだんを吐く異形いぎょう怪物かいぶつ
 ソレが、〝一匹いっぴきだけ立ちつくしていたねこ魔物まもののような生きもの〟に飛びかかった。
 ぽっぎゅむ?
 魔物ねこ一瞬いっしゅんで、怪物かいぶつはらおさめられる。

「いぃなぁくぅなぁるぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――――――!」
 猫耳ねこみみのせ青年せいねんに、寸断すんだんされる瞬間しゅんかん――ボッゴォ♪
 怪物かいぶつは地にしずみ――姿すがたを消した。

 コカカァァァァァッ――――!
 すっかりさびが落ちた、ひかかがやけんを――じっと見つめる高貴な瞳・・・・

「ちっ――逃げられたかっ!!!」
 忌々いまいましそうに、けんさやおさめていく青年せいねん
 そのが、狐耳・・正対せいたいした。

迅雷ジンライくーん――首尾しゅびわぁ
「はイ、シガミーへノメッセージヲ三件さんケん記述きじュつしマし
 こんな按配あんばい九号きゅうごう書状しょじょうは、したためられたんだそうだ。

 コレはぜんぶ、あとから聞いたはなしになる。
 魔王城まおうじょう城下町じょうかまちへたどり着いた一行いっこうは、大量たいりょう怪物かいぶつ――
 ゴーレムの襲撃しゅうげきに遭ったらしい。

わタしひトりおめおめと逃げかエってきてしまいましたが、シガミーハ大丈夫だいじょウぶでシょう?」
 ヴォォォォン♪

仕方しかたないでしょ、演算単位えんざんたんい使用不可しようふか空間エリアに逃げられちゃったんだから! むしろ二号にごうにロック掛けて、シガミーの保全ほぜんはかれただけでお手柄てから、お手柄てがらぁー♪」
 カシャ――『(Θ_Θ)』
 ヴォォォォン♪

 浮かぶたまに乗った根菜こんさいと――
 空飛そらとぶアーティファクトが――
 おおきなテーブルを取りだし、なんらかの算段さんだんはじめた。

   §

「ごっほ、がっはっ!?」
 ソレは火龍かりゅう寝床ねどこ最初さいしょに吸った、焼け焦げた空気におい
 アレと似ていた。

 ダッダッダッダッダダダッ――――グゥワォウルゥ♪
 けっほけっほげっほ――!?
 とり方角ほうがくから来るぞ!
 燃え散る火花ひばなごと熱気ねっき
 ソレでいて――極寒ごっかん吹雪ふぶきに混じるひょうのようでも有る。

 その濃霧なか疾走しっそうする――のは石吐いしはおおかみに似ていたが、
 いろがちがっていて、縞模様しまもようが浮き出ていた。
 おりつかまってたのと、おな種類ヤツだな。

 みょう息苦いきぐるしい!
 気がよどんでやがる。

 えーっと……神力棒しんりょくぼうは、どうやって取りかえるんだったか。
 ヴッ――指輪ゆびわ二本にほん、いれて置いたうちの一本いっぽんを取りだした。

 神力棒しんりょくぼうをつかみ、おにぎりに突き出す。
 これが精一杯せいいっぱいだった。

 グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、――――♪
 消えかかる景色けしき
 飛んできたのは、いしいあしでも――
 透明とうめいいしだった。
 まるで、ゴーレムどもの目玉ひとみみたいな。

 ぽっこきゅむっ――――ゴガンッ!
 それをかるく蹴りかえす、おにぎり。

 ギャワウゥウゥゥウンッ――断末魔だんまつま
 目玉めだま目玉めだまつらぬかれた、目玉吐めだまはおおかみ事切こときれた。
 あたりにただよっていた、うなりや足音あしおととおのいていく。

 げっはごがはぁっ――く、くるしい。
 きゅむ――かちりっ♪
 なにかが脇腹わきばらあたりに、差し込まれた気がして――

 ふっしゅごわぁぁっ――――ずっはぁぁぁぁぁぁぁあっ!
 いき出来できるようになった!
 はぁはぁ、杓子姫しゃくしひめもどうにかしねぇと、いき出来できなくて死んじまう!

今すぐみゃが引き返せやぁにゃにゃんみゃぁ♪」
 おにぎりが真っくろぬの……迅雷ジンライ式隠しきかくみのを取りだした。

 くちにくわえた黒布ソレで。
 片腕かたうで器用きようにぐるぐると、第一王女だいいちおうじょとやらを巻きあげた。
 まだ目をまわしたままなのか、ピクリともしやがらん。
 ――――死んでねぇだろうな?
 蘇生薬エリクサーが効いてねぇんじゃ?

「にゃみゃがぁ――♪」
 おにぎりが、なんて言ってるのかはわからねぇが。
 ソレが〝心配事しんぱいごとじゃねぇ〟のだけは、ちゃんとわかった。

 お? ジタバタできる!
 いき出来できるようになったら、からだうごくようになったぞ?

おにぎりみゃがぁはなせやぁにゃぎゃぁ♪」
 言うがはやいか――どばったり!
 おれは、投げ捨てられた。

 ひゅぅぅうぅっぉぉぉぉぅ――――焼け焦げた、ぬるいかぜが吹く。
 一面いちめんの赤い景色けしき
 振りかえると――とおくのほうに、石造いしづくりの建物たてものが見えた。

 ひとまずもどるべきだろうな――ぽきゅ♪
 おれがすすめると――ぽきゅむ♪

やいにゃおにぎりにゃぎゃ! なんでみゃぁソッチへ行くみゃにゃやー?」
 なぜか背を向ける、極所作業きょくしょさぎょう用汎用ようはんよう強化服きょうかふく自律型じりつがた一号いちごう

 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ――♪
 しかも軽快けいかい足取あしどりで。

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅ――♪
 一号おにぎりのあとを追い、一直線いっちょくせんにドカドカとはしり去る、特定作業用とくていさぎょうよう突撃用強化服とつげきようきょうかふく特撃型とくげきがタたち。
 やべぇ――こんなわけのわからんところに、置いてかれたら……死んじまう。

 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪
 おれはろく金剛力パワーアシストも出せなくなった二号からだにむち打って、必死ひっしにあとを追った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。 ある者は聖騎士の剣と盾、 ある者は聖女のローブ、 それぞれのスマホからアイテムが出現する。 そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。 ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか… if分岐の続編として、 「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

処理中です...