滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
292 / 740
3:ダンジョンクローラーになろう

292:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、一匹おおくね?

しおりを挟む
「(やい迅雷ジンライ、居るのかっ!?)」
 返事へんじがねぇ。

「(五百乃大角いおのはらでも良いぞ?)」
 やっぱり返事へんじがねぇ。

 おれをたすけに来たわけじゃ、ねぇのか?
 ひょっとしたら神々かみがみ知恵ちえを練って、なんかのさくこうじてくれたんだとおもったんだが――

 こいつらたんはしらかべに突き刺さったところを、とっ捕まっただけじゃね?

「みゃふぅー」
 おれはためいきをつき、くちをとじた。
 なぜなら――

 文字もじがビッシリと書かれた、特撃型シシガニャン九号きゅうごう
 その背中せなか文字もじが、目にはいったからだ。
 書かれていた言葉ことばは――

『謹上 猪蟹殿』
 本言葉もとことば筆書ふでがき。
 九号コレは、おれあて書状しょじょうだ。

『この度、シガミー御一行様等手廻りの者ども――』
『一番合戦の儀を論ずるの間――』
『出陣を待たれたく候。』
 はぁ?
 なんか『待て』とか言われたが――

 馬鹿野郎ばかやろうめ、そんなのは言われるまでもねぇや。
 もう、おれぁ、ここで〝半年暮はんとしくらす〟と決めたんでぃ。

 迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらからの連絡れんらくだから、いちおう読んどくけど。

『塩から――』『蛸わさ――』『ポテサラ――』
 これはちがう、続き・・はドコだ!?

 むっぎゅぽん♪
 やいオマエ、邪魔じゃますんな。
 この黄緑色の・・・・シシガニャンが押し返して・・・・・くるもんだから――
 つづきがさがせねぇ――――ぽこむぎゅむっ♪

 うぐっ――!?
 この遠慮えんりょのねぇ――押しかえし!
 よくみりゃ、そのいろ――――ぽっきゅりーん♪

てめぇみゃぁ――おにぎりみゃみゃんじゃねぇーかっみゃにゃやーが!?」
「にゃぎゃーぁ? ぎゅに♪」
 まったくよう、おまえまで。
 一体いったいドコで、とっつかまった?

 ぼぎゅぎゅっぽふーん♪
 おにぎりが力一杯押ちからいっぱいおかえして――いた隙間すきま
 ソコに特撃型とくげきがたが――――ぽぎゅっちり♪
 はまり込んで、身動みうごきが取れなくなった。

『前略、シガミーさまへ。』
 ん? なんかべつ文面ぶんめんも見つけたぞ?
『ソコに居る女性は――』
 えーっと?

『央都ラスクトール自治領第一王女ラプトル・ラスクトール姫であらせられるので――』
 第一王女だいいちおうじょ
 なーんか、さっきもおもったけど……なんか。

『滅多なことはぜず――』
 どーっかで聞いた気もするんだが……どこだったか。

「――、――――。――――、――♪」
 くだん杓子姫しゃくしひめが、なんか言ってるけど――
 まわりがぽぎゅぎゅむと、うるさくて聞きとれねぇ。

 まあ、この九号しょじょうからさっするに――
 いまはうごくときではなく――
 うごきようもないので――
 どうするかな……ぽぎゅぽぎゅ、ぎちぎゅち。

 ゆーらゆーらぁ――――すやぁ♪

   §

 ぼっぎゅぎゅぼっぎゅぎゅぽぽぎゅぼごごぉぉん♪
 なんだなんだ――!?
 いつの間にか寝てたが――――つよく押されて、目が覚めた!

 ギシギシギッシギシ――――ぽごぎゅむっ♪
「っみゃにゃぉぉぉぉん――――♪」
 ぎゅっぎゅむぎゅむ――――!

なんだなんだにゃがみゃがキツイキツイみゃごみゃご痛くはねぇがみゃんやーにゃ潰れるだろーがっふぎゃぎゃみゃぁー!!」
 ユラユラとうごめくだけだった、特撃型シシガニャンたち。
 そのなかに一匹いっぴきまじった――おにぎり一号いちごう

 押されたら押しかえす。
 女将おかみさんのもとで、べつげい仕込しこまれてなけりゃ――
 おにぎりは――押されたら押しかえす。
 それしかしないはず。

こんにゃろうみゃにゃあばれんじゃねぇやみゃにゃーんぎゃ♪」

 ぽぎゅぎし、ぼぎゅぎし、ぼごぼごん♪
 ぼっぎゅっぎゅむ、ぼぼっぎゅぎゅむん、ぼぼぼぼごごごごごぎゅぎゅぎゅぎゅっむっ♪

 つ、つぶれる。
 いたくはねぇけど……かたちが変わるほど、四方しほうから押されてる!

 ぎしぎしぎしぎぎぎぎぎぎししししししっ――――!?
 ばっがぁぁぁん!

 んぁっ――ついになんか、はじけ飛んだ!?
 おにぎりは二号おれよか頑丈がんじょうだし、特撃型とくげきがたやぶいたり切ったり出来できるのはニゲルくらいのはずで。

 ごっばぁぁぁぁん!
 なにかがはじけ飛んだ方向ほうに、ちからが抜けていく。
 こわれたのが、シシガニャンたちじゃねぇなら――

 わらわらと散る、シシガニャンたち。
 ガッチャガワランッ――格子こうしが踏みつけられるおとがする。
 あーあー、書状きゅうごうはなしじゃ――待て・・と言われたんだがなぁ。

「みゃみゃぎゃぁー♪」
 へへ、ろうやぶっちまったならもう、やるしかねぇ!

 最後さいごのこ格子こうしを――「おれぁいまみゃにゃん力が出ねぇからふぎゃーみゃんおまえがけってくれみゃにゃがぁー♪」
 その場で回転かいてんする一号おにぎり
 はなたれる、するどい蹴り。

 どっごっがぁぁぁぁぁん!!

 そんなわざ、ドコでおぼえた?
 そりゃ女将おかみさんのところに、決まってるが。
 どうせなら魔法まほうとか、いもしたごしらえでも仕込しこんでくれよなー。

 舞う噴煙ふんえん――どこかから鳴りひびく、早鐘はやがねのけたたましいおと
 うるっせぇが、景気けいきが良くていいやな!

「ぴゃらぁーん!?」
 ふざけたこえ
 どさりとなにかが、たおれたおと

 噴煙ふんえんが晴れ、あたりを見渡みわたすと――
 杓子姫しゃくしひめが、ひっくりかえってやがる。
 かたわらにはバラバラになったゴーレムの、頭胴手足あたまどうてあし
 身をていして主人しゅじんまもるとは、見た目にはんして見あげたヤツだ。

 波打なみうかみをかきわけ、かおを寄せる。
 すーっ、すーっ♪
 いきはしてるから、ヴッ――パキ、ぱちゃり♪
 蘇生薬エリクサーを掛けてやった。

これで良いだろみゃんみゃやーん――とっととずらかるぞにゃにゃんぎゃーみゃ!」
 格子こうし通路つうろに出れば、ソコはひろ場所ばしょだった。
 踏みかためた灰色はいいろつちはザラザラしていて、とてもかたい。

 とおくのほうに、おおきなまどが開いている。
 よし、あそこを蹴破けやぶって、そとに出るぞ!
 ぽきゅぽきゅぽきゅ――はぁはぁはぁ。
 なんか、どんどんおもくなる。
 ひょっとしたら、神力切しんりょくぎれを起こしたのかもしれねぇ。

 おも二号にごうからだを引きずって、ようやくまどちかづく。
 その透明とうめいびーどろの向こうには――

 あか大地だいちが、ドコまでもつづいていた。
 あきらかに、魔王城まおうじょうとはべつ場所ばしょだぜ。

「にゃみゃがぁー♪」
 ん、おにぎりおまえ、なにかかえてんだ?

「ふにゃらーん♪」
 それはまだ目をまわしたままの、杓子姫しゃくしひめ
 書状九号しょじょうきゅうごうによるなら――えっと、『第一王女』さまだ。
「おまえ、持って・・・きちまったのか!?」

 ぽきゅぽきゅぽきゅる――ぽきゅきゅりゅ♪
 特撃型はでなニャンおくれて、あつまってきた。
 一号おにぎりのうしろにならぶ、特撃型とくげきがたたち。
 うん、アレはやべぇ。
 おれはいま、ろくうごけねぇし。
 一号いちごうを取り押さえられる気が、まるでしねぇ。

 すこしはなれとく。

 ぽきゅ――ぽきゅきゅ?
 なんだ、寄ってくるんじゃねぇ。
 あぶねぇだろうが――ぽきゅぽきゅ。

 ぽきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅる?
 なんで、ついてくんだぜ?

 やべぇ――おれぁ、いま金剛力パワーアシストはおろか――
 普通ふつうはしることすら、ままならねぇのに。

 ぽきゅぽきゅ――どぉん♪
 かるく吹っ飛ばされたおれを――がしり!
 第一王女しゃくしおんなとは反対側はんたいがわ
 二号おれまで小脇こわきかかえられた。

 そしていきおいづいた隊列たいれつは――
 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅきゅ――ガッシャァァァン!

 まどを突きやぶった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。 アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。 前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。 一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。 そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。 砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。 彼女の名はミリア・タリム 子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」 542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才 そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。 このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。 他サイトに掲載したものと同じ内容となります。

Red Assassin(完結)

まさきち
ファンタジー
自分の目的の為、アサシンとなった主人公。 活動を進めていく中で、少しずつ真実に近付いていく。 村に伝わる秘密の力を使い時を遡り、最後に辿り着く答えとは... ごく普通の剣と魔法の物語。 平日:毎日18:30公開。 日曜日:10:30、18:30の1日2話公開。 ※12/27の日曜日のみ18:30の1話だけ公開です。 年末年始 12/30~1/3:10:30、18:30の1日2話公開。 ※2/11 18:30完結しました。

闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗
ファンタジー
Cランクの平凡な錬金術師・カイリは、宮廷錬金術師に憧れていた。 技術を磨くために大手ギルドに所属。 半年経つとギルドマスターから追放を言い渡された。 理由は、ポーションがまずくて回復力がないからだった。 孤独になったカイリは絶望の中で三毛猫・ヴァルハラと出会う。人語を話す不思議な猫だった。力を与えられ闇の錬金術師に生まれ変わった。 全種類のポーションが製造可能になってしまったのだ。 その力を活かしてお店を開くと、最高のポーションだと国中に広まった。ポーションは飛ぶように売れ、いつの間にかお金持ちに……! その噂を聞きつけた元ギルドも、もう一度やり直さないかとやって来るが――もう遅かった。 カイリは様々なポーションを製造して成り上がっていくのだった。 三毛猫と共に人生の勝ち組へ...!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...