284 / 741
3:ダンジョンクローラーになろう
284:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、魔術構文と卵酒(二級)
しおりを挟む
『► ◄ ►』『◄ ► ◄』『► ◄ ►』『◄ ► ◄』
「むにゃがぁっ――――!?」
目を覚ますと画面の中に――危険な印が四つ。
この向きだと、下から何かが――たくさん上がってくる!?
ヴッ――――じゃりりぃぃぃぃんっ♪
錫杖を取りだし――た所で。
「こらっ――!」
額を平手でひっぱたかれた。
「――ジャラジャラ、うるさいでしょ!」
子供に錫杖を奪われる。
ここは――っ!?
(どどどどどどどどごぉぉぉぉぉぉお――――)♪
とおくから滝の音が聞こえる。
「ふう、ニゲルに続いてシガミーまで目を回すだなんて。思いもよりませんでしたわっ♪」
に・た・り♪
おれの横には青年が青い顔をして、倒れていた。
リオが風の魔法を、そよそよと掛けてやっている。
おれたち二人に、ああしてくれていたんだろう。
おれやニゲルが寝てるのは――シシガニャン特撃型、九号と十号。
着ることは出来ないが、やんわりと抱えてくれるので――たしかに寝床になる。
離れたところにある岩には、薄桜色の二号がだらーんと干してあった。
迅雷が本気を出せば、すこしくらい口から戻した所で一瞬で綺麗にできる。
口元を触る、汚れてない。
胸元を見る、姫さんのお下がりの上下がつながった服。
やっぱり汚れてない。
「むにゅぅ――!」
錫杖に押しつぶされるレイダを、助けようとして「ウヌゥ――!?」
仲良く並んで重い棒に押しつぶされる、子供たち。
――――すぽん♪
錫杖を回収してやる。
あれ?
おれぁ耳栓してねぇ。
二号は干してあるし、耳栓もなくて。
しかも迅雷はいま、どっかから――――ヴォォォォゥン♪
飛んできた。
なんで――『► ◄ ►』『◄ ► ◄』『► ◄ ►』『◄ ► ◄』
いつまでも〝危ねぇ印〟が出てんだ?
赤みがかった▲から、音は出てねぇが。
「シガミー。頭ヲ浮かせてくダさい」
金糸の髪が迅雷に吸いよせられ、くるくるとうしろ髪を結いあげた。
目尻から、赤いひかりが差しこみ――
ふぉん♪
『>二号のフィルターや内部モニタを、
クリーニングしたので、陰干ししています』
よくわからんが、あたりに日の光はない。
「(おい、あの〝危ねぇ印〟は何だぜ。落ちつかねぇったらありゃしねぇ!)」
ふぉん♪
『>シガミー、よく見てください。
アレは動体検知のアイコンではありません』
『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』
あぁあぁあぁん?
よーくみればソレは――並んで座るシシガニャンたちの耳が、光っていただけだった。
「なぇんでぇい。脅かすんじゃねぇやい」
十号の腕を振りはらい、おれは起きあがった。
照らされる病人二名。
すこし赤みがかっった光の色は、なんだか落ちつく。
床板に敷布……椅子やテーブル。
みんなくつろいでやがるぜ。
「ニゲルー、だいじょぶかぁー?」
声を掛けつつ〝卵酒(二級)〟をとりだした。
おれの酒瓶から採れる澄み酒を使った、女神印の本式とはいかんが――
これだって――気付けにゃ十分だ。
ただ、眠くなってもいけねぇから、水で薄める。
「んぅわーひ?」
よかった、生きてはいる。
青年の葬式を出さずに済んだ。
「これ飲むかぁ? あったまるし、疲れもとれる」
湯飲みに注いで、ひのたまを入れてやった。
こぽん♪
かるく煮出した卵酒は、酒精が抜けてちょうど良い。
ちいさい机を出して――あちゃちゃちゃっ♪
こと、ことん――そのうえに置いた。
「ありがとう、もらうよぉー」
ふるふると震える手で、湯飲みをつかむ。
情けない。情けないが――
元から冒険者連中は荒事や強行軍に、慣れっこなのだとしても。
レイダはおろか、ひ弱な少年になってしまったゲールまでが。
疲労の色なく、はつらつとしてやがる。
いまは岩に隠れて、じっとコッチを見て……何をしてんだか。
ちぃと気になるな。
いつも「ヒーノモトー生まれはコレだから」なんて言われてたが。
ガムラン勢のがよっぽど、頑丈じゃね?
迅雷が震え、耳にさわる感触――すぽん♪
「――類推でスが、蘇生薬ノ存在が大きイのではないかと――」
どういう?
「――いザ、命ノ危機に際したとしテも、こノ秘薬が有レば瀕死ノ状態かラでも生きかえル保証が常ニ有るとシたら――」
まちがいなく――剣筋が鈍るぜ。
「――イえ、そういうこトではなく――」
どういぅ?
ずぞぞぞずー♪
ふはぁ――うめぇ♪
「――苦境ニ対スる気ノ持ちヨうの話でス。「死ぬほどのことは滅多にない」、そノ安心感ハ前向きナ心根ヲ支エ、ひいテは打たれ強さにもつながっているのではないカと?――」
ん-? まーそーかも知れねぇなぁ。
「おいレイダ。おれやニゲルがひっくり返っちまったってぇのに、よくも無事だったな?」
聞いてみる。
「えー、だってリオレイニアさんが〝かるくなる魔法〟を、ちゃんと掛けてくれたもの!」
素直に駆けよってくる子供。
あー、錫杖を奪ったから、おれに怒られるとでも思ったのか。
冒険者たちといつも一緒に居るから、ついつい忘れちまうが。
レイダはガキだ。
ついでのあの美の女神もガキだ。
おれも体はガキだが、中身はガキじゃねぇ。
ソコの所は、忘れねぇようにしねぇと。
ふぉん♪
『>リオレイニアの魔法に関して、気になることが判明しました』
どうした急に?
ヴォォォンッ――あらわれる、見たことのない枠。
『(▶)――リオレイニア重力軽減魔法の詠唱』
そんな表示。
「――ふわふわうかべかるくなれ――」
リオの声だ。
「――ふわふわうかべかるくな……るかも――」
またおなじ声、コレがどうし――「るかも?」
「――はイ、どうやラMPノ節約をしているようなのデすが――」
「はぁぁぁぁっ、シガミー。これすっごく暖まるねぇー♪」
じつに、呑気なもんだぜ。
元気になったおれたちに、もう送るそよ風はないとばかりに。
リオレイニアさんが立ちあがった。
おれだけじゃなく、ニゲルにも風を当ててやってたのは――
ふぉん♪
『>節約したMPに対して魔法発現確立は、
推定64パーセント……六割程度と推測されます』
「(罪滅ぼしってワケか――――おいコレ、誰にも言うなよ?)」
「――了解しマした――」
「ニゲル――?」
「なんだい、シガミー?」
「今回は不覚を取っちまったけど、オマエのことは……おれがちゃんと守ってやるからな」
小娘の形じゃ締まらねぇが――同郷のよしみだ。
一応見得を切っとく。
「うっわぁ、男らしい」
なんてつぶやいたフッカが、レイダとリオレイニアに岩の影に連れて行かれた。
「そうなのっ! シガミーはそーいう所が有るのっ♪」
「ええ、普段はご老体かと思うような言動が、ちょっとした弾みでこう、なんていいましょうか――」
「まるで……凜々しい男の子のようですよねえ」
大事にしてくれているらしい、ケープが揺れる。
「そう、そうなのっ♪」
「うふふふ――はぁ♪」
雁首をそろえ、コッチを振りかえる三人。
耳が赤いな。
「どーしたぁ、オマエらも調子悪いんなら、卵酒飲んどけ――」
おれは湯飲みを、人数分並べた。
「むにゃがぁっ――――!?」
目を覚ますと画面の中に――危険な印が四つ。
この向きだと、下から何かが――たくさん上がってくる!?
ヴッ――――じゃりりぃぃぃぃんっ♪
錫杖を取りだし――た所で。
「こらっ――!」
額を平手でひっぱたかれた。
「――ジャラジャラ、うるさいでしょ!」
子供に錫杖を奪われる。
ここは――っ!?
(どどどどどどどどごぉぉぉぉぉぉお――――)♪
とおくから滝の音が聞こえる。
「ふう、ニゲルに続いてシガミーまで目を回すだなんて。思いもよりませんでしたわっ♪」
に・た・り♪
おれの横には青年が青い顔をして、倒れていた。
リオが風の魔法を、そよそよと掛けてやっている。
おれたち二人に、ああしてくれていたんだろう。
おれやニゲルが寝てるのは――シシガニャン特撃型、九号と十号。
着ることは出来ないが、やんわりと抱えてくれるので――たしかに寝床になる。
離れたところにある岩には、薄桜色の二号がだらーんと干してあった。
迅雷が本気を出せば、すこしくらい口から戻した所で一瞬で綺麗にできる。
口元を触る、汚れてない。
胸元を見る、姫さんのお下がりの上下がつながった服。
やっぱり汚れてない。
「むにゅぅ――!」
錫杖に押しつぶされるレイダを、助けようとして「ウヌゥ――!?」
仲良く並んで重い棒に押しつぶされる、子供たち。
――――すぽん♪
錫杖を回収してやる。
あれ?
おれぁ耳栓してねぇ。
二号は干してあるし、耳栓もなくて。
しかも迅雷はいま、どっかから――――ヴォォォォゥン♪
飛んできた。
なんで――『► ◄ ►』『◄ ► ◄』『► ◄ ►』『◄ ► ◄』
いつまでも〝危ねぇ印〟が出てんだ?
赤みがかった▲から、音は出てねぇが。
「シガミー。頭ヲ浮かせてくダさい」
金糸の髪が迅雷に吸いよせられ、くるくるとうしろ髪を結いあげた。
目尻から、赤いひかりが差しこみ――
ふぉん♪
『>二号のフィルターや内部モニタを、
クリーニングしたので、陰干ししています』
よくわからんが、あたりに日の光はない。
「(おい、あの〝危ねぇ印〟は何だぜ。落ちつかねぇったらありゃしねぇ!)」
ふぉん♪
『>シガミー、よく見てください。
アレは動体検知のアイコンではありません』
『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』
あぁあぁあぁん?
よーくみればソレは――並んで座るシシガニャンたちの耳が、光っていただけだった。
「なぇんでぇい。脅かすんじゃねぇやい」
十号の腕を振りはらい、おれは起きあがった。
照らされる病人二名。
すこし赤みがかっった光の色は、なんだか落ちつく。
床板に敷布……椅子やテーブル。
みんなくつろいでやがるぜ。
「ニゲルー、だいじょぶかぁー?」
声を掛けつつ〝卵酒(二級)〟をとりだした。
おれの酒瓶から採れる澄み酒を使った、女神印の本式とはいかんが――
これだって――気付けにゃ十分だ。
ただ、眠くなってもいけねぇから、水で薄める。
「んぅわーひ?」
よかった、生きてはいる。
青年の葬式を出さずに済んだ。
「これ飲むかぁ? あったまるし、疲れもとれる」
湯飲みに注いで、ひのたまを入れてやった。
こぽん♪
かるく煮出した卵酒は、酒精が抜けてちょうど良い。
ちいさい机を出して――あちゃちゃちゃっ♪
こと、ことん――そのうえに置いた。
「ありがとう、もらうよぉー」
ふるふると震える手で、湯飲みをつかむ。
情けない。情けないが――
元から冒険者連中は荒事や強行軍に、慣れっこなのだとしても。
レイダはおろか、ひ弱な少年になってしまったゲールまでが。
疲労の色なく、はつらつとしてやがる。
いまは岩に隠れて、じっとコッチを見て……何をしてんだか。
ちぃと気になるな。
いつも「ヒーノモトー生まれはコレだから」なんて言われてたが。
ガムラン勢のがよっぽど、頑丈じゃね?
迅雷が震え、耳にさわる感触――すぽん♪
「――類推でスが、蘇生薬ノ存在が大きイのではないかと――」
どういう?
「――いザ、命ノ危機に際したとしテも、こノ秘薬が有レば瀕死ノ状態かラでも生きかえル保証が常ニ有るとシたら――」
まちがいなく――剣筋が鈍るぜ。
「――イえ、そういうこトではなく――」
どういぅ?
ずぞぞぞずー♪
ふはぁ――うめぇ♪
「――苦境ニ対スる気ノ持ちヨうの話でス。「死ぬほどのことは滅多にない」、そノ安心感ハ前向きナ心根ヲ支エ、ひいテは打たれ強さにもつながっているのではないカと?――」
ん-? まーそーかも知れねぇなぁ。
「おいレイダ。おれやニゲルがひっくり返っちまったってぇのに、よくも無事だったな?」
聞いてみる。
「えー、だってリオレイニアさんが〝かるくなる魔法〟を、ちゃんと掛けてくれたもの!」
素直に駆けよってくる子供。
あー、錫杖を奪ったから、おれに怒られるとでも思ったのか。
冒険者たちといつも一緒に居るから、ついつい忘れちまうが。
レイダはガキだ。
ついでのあの美の女神もガキだ。
おれも体はガキだが、中身はガキじゃねぇ。
ソコの所は、忘れねぇようにしねぇと。
ふぉん♪
『>リオレイニアの魔法に関して、気になることが判明しました』
どうした急に?
ヴォォォンッ――あらわれる、見たことのない枠。
『(▶)――リオレイニア重力軽減魔法の詠唱』
そんな表示。
「――ふわふわうかべかるくなれ――」
リオの声だ。
「――ふわふわうかべかるくな……るかも――」
またおなじ声、コレがどうし――「るかも?」
「――はイ、どうやラMPノ節約をしているようなのデすが――」
「はぁぁぁぁっ、シガミー。これすっごく暖まるねぇー♪」
じつに、呑気なもんだぜ。
元気になったおれたちに、もう送るそよ風はないとばかりに。
リオレイニアさんが立ちあがった。
おれだけじゃなく、ニゲルにも風を当ててやってたのは――
ふぉん♪
『>節約したMPに対して魔法発現確立は、
推定64パーセント……六割程度と推測されます』
「(罪滅ぼしってワケか――――おいコレ、誰にも言うなよ?)」
「――了解しマした――」
「ニゲル――?」
「なんだい、シガミー?」
「今回は不覚を取っちまったけど、オマエのことは……おれがちゃんと守ってやるからな」
小娘の形じゃ締まらねぇが――同郷のよしみだ。
一応見得を切っとく。
「うっわぁ、男らしい」
なんてつぶやいたフッカが、レイダとリオレイニアに岩の影に連れて行かれた。
「そうなのっ! シガミーはそーいう所が有るのっ♪」
「ええ、普段はご老体かと思うような言動が、ちょっとした弾みでこう、なんていいましょうか――」
「まるで……凜々しい男の子のようですよねえ」
大事にしてくれているらしい、ケープが揺れる。
「そう、そうなのっ♪」
「うふふふ――はぁ♪」
雁首をそろえ、コッチを振りかえる三人。
耳が赤いな。
「どーしたぁ、オマエらも調子悪いんなら、卵酒飲んどけ――」
おれは湯飲みを、人数分並べた。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
異世界起動兵器ゴーレム
ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに
撥ねられてしまった。そして良太郎
が目覚めると、そこは異世界だった。
さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、
ゴーレムと化していたのだ。良太郎が
目覚めた時、彼の目の前にいたのは
魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は
未知の世界で右も左も分からない状態
の良太郎と共に冒険者生活を営んで
いく事を決めた。だがこの世界の裏
では凶悪な影が……良太郎の異世界
でのゴーレムライフが始まる……。
ファンタジーバトル作品、開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる