滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

284:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、魔術構文と卵酒(二級)

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「むにゃがぁっ――――!?」
 目を覚ますと画面がめんなかに――危険きけんしるしよっつ。
 この向きだと、したからなんかが――たくさん上がってくる!?

 ヴッ――――じゃりりぃぃぃぃんっ♪
 錫杖しゃくじょうを取りだし――たところで。

「こらっ――!」
 ひたい平手でペチリとひっぱたかれた。

「――ジャラジャラ、うるさいでしょ!」
 子供レイダ錫杖しゃくじょううばわれる。

 ここは――っ!?
 (どどどどどどどどごぉぉぉぉぉぉお――――)♪
 とおくからたきおとが聞こえる。

「ふう、ニゲルにつづいてシガミーまで目をまわすだなんて。おもいもよりませんでしたわっ♪」
 に・た・り♪

 おれのよこには青年せいねんあおかおをして、たおれていた。
 リオがかぜ魔法まほうを、そよそよと掛けてやっている。
 おれたち二人ふたりに、ああしてくれていたんだろう。

 おれやニゲルが寝てるのは――シシガニャン特撃型とくげきがた九号きゅうごう十号じゅうごう
 着ることは出来できないが、やんわりとかかえてくれるので――たしかに寝床ねどこになる。
 はなれたところにあるいわには、薄桜色うすざくらいろ二号にごうがだらーんと干してあった。
 迅雷ジンライ本気ほんきを出せば、すこしくらいくちから戻した・・・ところ一瞬いっしゅん綺麗きれいにできる。

 口元くちもとさわる、よごれてない。
 胸元むなもとを見る、ひめさんのお下がりの上下じょうげがつながったふく
 やっぱりよごれてない。

「むにゅぅ――!」
 錫杖しゃくじょうに押しつぶされるレイダを、たすけようとして「ウヌゥ――!?」
 仲良なかよならんでおもぼうに押しつぶされる、子供こどもたち。

 ――――すぽん♪
 錫杖しゃくじょう回収かいしゅうしてやる。

 あれ?
 おれぁ耳栓みみせんしてねぇ。
 二号にごうは干してあるし、耳栓みみせんもなくて。
 しかも迅雷ジンライはいま、どっかから――――ヴォォォォゥン♪
 飛んできた。

 なんで――『► ◄ ►』『◄ ► ◄』『► ◄ ►』『◄ ► ◄』
 いつまでも〝危ねぇ印・・・・〟が出てんだ?
 あかみがかったさんかくから、おとは出てねぇが。

「シガミー。あたマヲ浮かせてくダさ
 金糸きんしかみ迅雷ジンライに吸いよせられ、くるくるとうしろがみを結いあげた。
 目尻めじりから、あかいひかりが差しこみ――

 ふぉん♪
『>二号のフィルターや内部モニタを、
  クリーニングしたので、陰干ししています』
 よくわからんが、あたりに日のひかりはない。

「(おい、あの〝危ねぇ印ピピピッ♪〟はなんだぜ。落ちつかねぇったらありゃしねぇ!)」
 ふぉん♪
『>シガミー、よく見てください。
  アレは動体検知のアイコンではありません』

『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』『► ◄』
 あぁあぁあぁん?
 よーくみればソレは――ならんですわるシシガニャンたちのみみが、ひかっていただけだった。

「なぇんでぇい。おどかすんじゃねぇやい」
 十号じゅうごううでを振りはらい、おれは起きあがった。

 照らされる病人二名おれたち
 すこしあかみがかっったひかりいろは、なんだか落ちつく。

 床板ゆかいた敷布しきぬの……椅子いすやテーブル。
 みんなくつろいでやがるぜ。

「ニゲルー、だいじょぶかぁー?」
 こえを掛けつつ〝卵酒たまござけ二級にきゅう)〟をとりだした。
 おれの酒瓶さかびんから採れる澄みざけ使つかった、女神印めがみじるし本式ほんしきとはいかんが――
 これだって――気付きつけにゃ十分じゅうぶんだ。
 ただ、ねむくなってもいけねぇから、みずのたまうすめる。

「んぅわーひ?」
 よかった、生きてはいる。
 青年ニゲル葬式そうしきを出さずに済んだ。

「これ飲むかぁ? あったまるし、つかれもとれる」
 湯飲ゆのみにそそいで、ひのたまを入れてやった。

 こぽん♪
 かるく煮出にだした卵酒たまござけは、酒精しゅせいが抜けてちょうど良い。
 ちいさいつくえを出して――あちゃちゃちゃっ♪
 こと、ことん――そのうえに置いた。

「ありがとう、もらうよぉー」
 ふるふるとふるえる手で、湯飲ゆのみをつかむ。
 なさけない。なさけないが――

 もとから冒険者ぼうけんしゃ連中れんちゅう荒事あらごと強行軍きょうこうぐんに、慣れっこなのだとしても。
 レイダはおろか、ひよわ少年しょうねんになってしまったゲールまでが。
 疲労ひろういろなく、はつらつとしてやがる。

 いまはいわかくれて、じっとコッチを見て……なにをしてんだか。

 ちぃと気になるな。
 いつも「ヒーノモトー生まれはコレだから」なんて言われてたが。
 ガムランぜいのがよっぽど、頑丈がんじょうじゃね?

 迅雷ジンライふるえ、みみにさわる感触かんしょく――すぽん♪

「――類推るイすいでスが、蘇生薬エリクサー存在そンざいオおきイのではないか――」
 どういう?
「――いザ、いノち危機きキサいしたとしテも、こノ秘薬ひヤくが有レば瀕死ひんシ状態じょうタいかラでも生きかえル保証ほしょウつネニ有るとシた――」

 まちがいなく――剣筋けんすじ鈍る・・ぜ。

「――イえ、そういうこトではなく――」
 どういぅ?
 ずぞぞぞずー♪
 ふはぁ――うめぇ♪

「――苦境くきょウたイスる気ノ持ちヨうのはナしでス。「死ぬほどのことは滅多めったにない」、そノ安心感あんシんかん前向まえムきナ心根こころネさサエ、ひいテは打たれづヨさにもつながっているのではないカと――」
 ん-? まーそーかも知れねぇなぁ。

「おいレイダ。おれやニゲルがひっくりかえっちまったってぇのに、よくも無事ぶじだったな?」
 聞いてみる。

「えー、だってリオレイニアさんが〝かるくなる魔法まほう〟を、ちゃんと掛けてくれたもの!」
 素直すなおに駆けよってくる子供レイダ
 あー、錫杖しゃくじょううばったから、おれにおこられるとでもおもったのか。

 冒険者ぼうけんしゃたちといつも一緒いっしょに居るから、ついついわすれちまうが。
 レイダこいつはガキだ。
 ついでのあの美の女神いおのはらもガキだ。
 おれもからだはガキだが、中身なかみはガキじゃねぇ。
 ソコのところは、わすれねぇようにしねぇと。

 ふぉん♪
『>リオレイニアの魔法に関して、気になることが判明しました』
 どうしたきゅうに?

 ヴォォォンッ――あらわれる、見たことのないわく
『(▶)――リオレイニア重力軽減魔法の詠唱』
 そんな表示ひょうじ

「――ふわふわうかべかるくなれ――」
 リオのこえだ。
「――ふわふわうかべかるくな……るかも――」
 またおなじこえ、コレがどうし――「るかも?」

「――はイ、どうやラMPえむピー節約せつヤくをしているようなのデす――」
「はぁぁぁぁっ、シガミー。これすっごくあったまるねぇー♪」
 じつに、呑気のんきなもんだぜ。

 元気げんきになったおれたちに、もうおくそよ風・・・はないとばかりに。
 リオレイニアさんが立ちあがった。

 おれだけじゃなく、ニゲルにもかせを当ててやってたのは――
 ふぉん♪
『>節約したMPに対して魔法発現確立は、
  推定64パーセント……六割程度と推測されます』

「(罪滅つみほろぼしってワケか――――おいコレ、だれにも言うなよ?)」
「――了解りょうかイしマし――」

「ニゲル――?」
「なんだい、シガミー?」

今回こんかい不覚ふかくを取っちまったけど、オマエのことは……おれがちゃんとまもってやるからな」
 小娘なりじゃ締まらねぇが――同郷どうきょうのよしみだ。
 一応見得いちおうみえを切っとく。

「うっわぁ、おとこらしい」
 なんてつぶやいたフッカが、レイダとリオレイニアにいわかげに連れて行かれた。

「そうなのっ! シガミーはそーいうところが有るのっ♪」
「ええ、普段ふだんはご老体ろうたいかと思うような言動げんどうが、ちょっとしたはずみでこう、なんていいましょうか――」

「まるで……凜々りりしい男の子のよう・・・・・・ですよねえ」
 大事だいじにしてくれているらしい、ケープが揺れる。

「そう、そうなのっ♪」
「うふふふ――はぁ♪」
 雁首がんくびをそろえ、コッチを振りかえる三人さんにん
 みみあかいな。

「どーしたぁ、オマエらも調子悪ちょうしわるいんなら、卵酒飲これのんどけ――」
 おれは湯飲ゆのみを、人数分並にんずうぶんならべた。
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