滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

270:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、エリア最強タイトルホルダー

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「えーっとねー、これかみほんだから検索機能けんさくきのうとか付いてないのよねー……ぱらぱらららっらっ、ぺらぺらり
 たしかにかみをめくるおとが、ひかかがやく……したぱらあたりから聞こえてきた。
 五百乃大角いおのはらは浮かぶたまをあやつり、ひと姿すがたうつし出している。

 ココは三階分さんかいぶんの地のそこ
 そこらちゅうが溶けたいわや、灼熱しゃくねつながれにおおわれている。
 神力棒しんりょくぼう……迅雷ジンライめし背中せなかはこに刺した、ねこの魔物まもの
 そのなかはいったレイダ以外いがいは、全員汗ぜんいんあせだくだった。

 さすがに火龍かりゅうのそばでは、リオレイニアの生活魔法せいかつまほうも効きがわるい。
 かといって、いまだにメキメキとおとを立ててひろがりつづける――――フッカの〝焦げる木〟で完全かんぜんおおってしまったら――
 火龍かりゅう倒れかねない・・・・・・

 すでに半分はんぶん、ひっくりかえってるしなー。
 たおすにしても、はなしを聞いてからで。

わタしナらゼんページにわタっテの精査せいサ可能かノうでス。こノさイ、『シンシナティック・ニューロネイション ちょう攻略絵巻こうりゃくえまき読本どくほん』へのアクセスけンわたシ貸与たいヨしてみテは
 迅雷ジンライ攻略本とらのまき目次あたま奥付さいごを見たり、気になる事柄ことがらかんする文言ぶんしょ在処ありかは知ることが出来できる。
 だが肝心かんじんところは、五百乃大角いおのはらにしか読むことが出来できない。

「そーのーてーにーわぁー、のーりーまーせぇーんーっだっ♪ ……ぱらぱらら、ぺらぺらり
 迅雷ジンライ収納魔法具しゅうのうまほうぐなかにも、五百乃大角いおのはらうつし出されている。
 コッチのは、寸足すんたらずの梅干うめぼしみたいなヤツだが。

「そーだな。あまりきびしいことを言ってやるな迅雷ジンライ神々かみがみふね使つかえないコイツさまはかえれねぇんだから、すこしぐれぇの見せ金代がねがわわりが欲しいんだろうよ」
 ふぃー、どっこらせと、いしつくったかた椅子いすこしをおろした。

 ちゃを入れても煮だるし、饅頭まんじゅうを出しても焦げちまう。
 そんなかまどなかみたいな有様ありさまではあるが、穏便おんびんはなしすすんでいる。

「それで、火龍かりゅうのアナタ……お名前なまえなんだったかしら?」
 高貴こうき指先ゆびさきが、大蜥蜴かりゅう無遠慮むえんりょに指ししめす。
 甲冑かっちゅう上半分うえはんぶん胸当むねあ以外いがいはずしたから、いくらか涼しそう……でもねぇな。
 あついもんはあつい。

「――ワレの名は、ゲートルーブだ。斬魔ザンマヒメよ――」
 燃えない迅雷ジンライ式隠しきかくみので、どでかい布団ふとん――寝床ねどこつくってやったら、大人おとなしくそこへへたりこんだ火龍かりゅう
 火山一帯かざんいったいおさめる、エリアボスとかいう強敵きょうてきのくくり。
 ソイツがしたをだして、目を閉じた。
 なんだか、とても強敵きょうてきに見えなくなってきたぞ。

 タダでさえ調子ちょうしわるところに出くわした冒険者ぼうけんしゃが、よりにもよっておれたちってのは……災難以外さいなんいがいなにものでもねぇ。

 ぶった切りがなくても十分じゅうぶんガムラン最強さいきょうではある、ひめさんの剣技けんぎ
 魔法まほうを乗せられる大盾おおたて使つか黒騎士くろきしに、魔法まほう光盾たてをつかう凄腕すごうで高等こうとう生活魔法使せいかつまほうつかいの組み合わせ。
 しかも迅雷ジンライという桁外けたはずれの魔法杖まほうつえを――手にしちまってる。
 そしてダメ押しの――火を喰らう木を生やす魔法使まほうつかいまで、本当ほんとうにたまたまだが連れてきちまった。

 そのうえ、この世界最強せかいさいきょう……は言い過ぎだが、このおれ・・も居るしな。
 この世界最強せかいさいきょうは――いまのところ、妖狐ようこルリーロか?
 刺しちがえるなら、退治出来たいじできねぇこたぁねーとおもうけどよ。

 ――石机いしづくえの空いたがわに、立てられたふだを見た。

『魔王軍第一エリア統括
 火龍ゲートルブ(224)
 所属:旧魔王軍』

「――ざ、斬魔ざんまひめ……プグフッヒブフブッ……きょ、凶暴きょうぼうそう――ニャッ♪――」
 はらかかえたねこ魔物まもの
 そのまえに立てられたのは、燃えない迅雷ジンライ式隠しきかくみのとジンライこうつくった――立てふだ

『駆け出し魔法使い/猫の魔物(きぐるみ)/ガムラン町ギルド支部長の娘
 レイダ・クェーサー(13)
 所属:シガミー御一行様』
 ソコにはそう書かれていた。

「れ、レイダ。言ってはいけません……んぐっ♪」
 くの字に折れ曲がり、石机いしに突っ伏す給仕服きゅうじふく
 すげぇおとがしたけど、仮面割かめんわれてねぇよな。

『生活魔法師/高位の魔術師/コントゥル家元給仕長/堅物モテ女子/白い悪魔
 リオレイニア・サキラテ(19)
 所属:シガミー御一行様』
 なんて書かれたふだたおれた。

 リオレイニアオマエ結構けっこうなことを、書かれてるぞ。
 ちなみに書いたのは迅雷ジンライ、書かせたのは五百乃大角いおのはらだ。

「そこ、やかましいですわよ?」
 彼女リカルルのまえに立てられた、ふだには――
『ガムラン代表/斬魔の姫/コントゥル伯爵家令嬢/戦闘狂
 リカルル・リ・コントゥル(18)
 所属:聖剣切りの閃光』

 〝牙江戸げえとなんたら〟には、特大とくだい耳栓みみせんつくってやった。
 小声こごえはなしてもらえると、熱風ねっぷうが来なくてたすかる。

 べつのテーブルには――
『消火の魔術師
 フォチャカ(20)
 所属:深遠の囁き』
 フッカは、こんな名前なまえのパーティーにはいってたのか。
 まえの顔色かおいろわるさならいざ知らず、いまの元気げんきがケープをまとってあるいてるかんじだと――どーなの? って気がしないでもない。

『黒い騎士/コントゥル家護衛隊/新婚
 エクレア・トルティーヤ(25)
 所属:聖剣切りの閃光』
 このつらの良いかれには付いてきてもらって、本当ほんとうたすかった。
 やっぱり大盾おおたても、獲亭屋とるていや家の家宝かほうだったりするのかもな。
 大盾あれはいろいろ使つかえたから、コレからつく家宝かほう参考さんこうにしたい。

『猪蟹屋店主/美の女神の料理番/日の本出身/魔物境界線第一エリアタイトルホルダー
 シガミー(10)
 所属:シガミー御一行様』
 そしておれだ。
 なんかごちゃごちゃ書かれてて、おれのふだ文字もじがいちばんちいせぇ。

 とにかくコッチのテーブルには、三人さんにんすわってる。
「あった、あったわよ! エリアボスわぁ弱体化じゃくたいかさせるとぉー、はなすヤツが居るらしいってさー
 そのうつし身のくびからも、ふだか下げられている。

『美の女神/イオノフ教開祖/ガムラン町食育理事会代表取締役/猪蟹屋御神体
 イオノファラー(17)
 所属:なし』
 おい、めしかみとか大食漢たいしょくかんとかしたぱらとか食い意地いじとかを、ちゃんと書いとけ。

   §

「エリアボスを弱体化じゃくたいか? ならそのさいたるものが魔王・・ということかしら」
「イオノファラーさまのお言葉ことばをそのまま受け取るなら、そういうことのようです」
「んーっとね。ボスクラスの魔物まものなかでも、一匹いっぴきしか居ないヤツわぁーすごあたまがぁ良ーいーみたいよぉ?」
 五百乃大角いおのはらが、火龍とかげあたま見上みあげた。

「――ヌウ、タシカに魔王マオウ気配ケハイがなくなってからはダイブたつ。オマエがタオしたならば、ワレはコレからオマエにツカえよう――」
 あたまを地に着ける、燃える大蜥蜴おおとかげ

「え? なんですのそれっ! 火龍かりゅうしたがえるだなんて――――よめのもらい手がなくなるじゃありませんのっ! わ、わわわわわわ、わたくしわぁ魔王まおうたおしましたけれどっ、もうタイトルホルダーじゃぁありませんでしてぇよぉー!!!」
 きゅうあわてる伯爵令嬢はくしゃくれいじょう
 よめに行く気、あったのか。
 ニゲルに取っちゃ、良いはなし……だといいけどなぁ。

「――ワレの統括地トウカツチである火山周辺カザンシュウヘンを取りしきるがよい、斬魔ザンマ姫王ヒメオウよ――」
「ぷぶひゅひゅひゅぷぎゃっ――ニャッ♪」
「ひっ、姫王ひめおう!? フグヒッ――――ヒッ♪」
 ウチのパーティーメンバーは……面白おもしれはなしをする御伽衆おとぎしゅうにでもおそわれたら、イチコロなんじゃ?

「で・す・か・らっ、もうちがうって言ってますでしょぉぉう! ――あと、そこ本当ほんとうにうるさいですわよっ!?」
 こしけんが抜かれ、石机テーブルすみちぢこまる二人ふたりへ向かってピタリ。

「――魔王マオウを斬るモノは、マゴうコトなく強者キョウシャであろう?――」
 身をよじる火龍かりゅう

「いーえ、このわたくし無敵むてきではありませんわ。コントゥル家名代けみょうだいであるははには、いまだかないませんし純粋じゅんすい剣技けんぎでしたら、父上ちちうえにもまだおよびませんしっ!」
 なんかかたはじままったぞ。
 こんどは切っさきてんを突いた。

「あとガムランちょうはじめて来たときには、女将おかみさんにコテンパンにしてやられましたわっね!」
 たしかに結構負けっこうまけてるな。
 おもい出してくやしかったのか、なにもない方向ほう連撃れんげきはなちはじめた。

「――ならワレはその、〝オカミサン〟とやらにツカえれば良いのか?――」
 一瞬いっちゅん、でかい蜥蜴とかげしたえたオカミサンがまちあるいてるところを、想像そうぞうしちまった。

「いーえ、火山かざんからガムランちょうまでのエリア最強さいきょうが、この場に居るわよっ!」
 その目がほそめられ、にたぁり♪
 したなめずりをするな。

なにかくそうソコに居る、ちいさくて可憐かれん頑固爺がんこじじいにしか見えない言動げんどうでおなじみの――シガミーちゃんこそ、このわたくしくだした最新さいしんのぉー宿敵しゅくてきですわぁー♪」
 切っさきがついに、おれをとらえた。

「――なんと、そうであったかチイさきモノよ。ではワレはこれから、オマエにツカえよう――」

ーーー
御伽衆/武将の相談相手。なかでも特に話のうまい者が夜襲に備える武将達の眠気覚ましに、武功話や笑い話を聞かせた。
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