滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

268:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、VS火龍

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 リオレイニアの高等魔術こうとうまじゅつにより、ゆっくりと落ちていく、おれたち御一行様ごいっこうさま
 おれだけなら飛ぶことも出来できるが、ひとりだけ浮いててもしょうがねぇ。
 このまま落ちて――たおす。

 火龍かりゅうとやらは、たしかにおおきな蜥蜴とかげだった。
「ミノタウとくらべると、かなり愛嬌あいきょうが有りやがるぜ」
 そのうごきは落ちついたもので、じっとコッチを見上みあげている。

「うふふふふふうっ――――だいぶ手こずらせてくださいましたぁけれぇどぉーもぉー、やぁぁっとぉー見つけましてぇよぉーう?」
 けんを抜く戦闘狂リカルルこえはずんでやがる。

「ちょっとまてひめさん!」
 ブワッサバササササッ!
 かくみのを羽ばたかせ、ご令嬢れいじょうちかづく。

心配要しんぱいいりませんわぁ――――相手あいてにとって不足ふそくはござぁいぃまぁせぇーんーものぉぉぉぉぉぉぉっぉっ♪」
 身をちぢ我先われさきにと、落ちていこうとする冒険者筆頭ぼうけんしゃひっとう

 ええい、バササササァー――――がしり。
 甲冑かっちゅう肩当かたあてから突き出た取っ手(?)を、あわててひっつかんだ。
 なるほど、この取っ手(?)はこうやって使つかうのか。
 だれの手による防具ぼうぐか知らねぇが、おそらく名工めいこうとうたわれるもの作品さくひんなのだろう。
 コントゥル家の家宝かほうにしちゃぁ、じつに気が利いてる。

「まてまて、おめぇさまはいまぶった切りが・・・・・・つかえねぇ・・・・・んだろが!!」
 コッチを向いた狐面きつねめんくち
 そこへ手甲てっこうを当てる、狐耳きつねみみむすめ
 本気ほんきでおどろいてやがる。
 さすがは妖狐ようこむすめか。獲物えものを見つけてあたまに血がのぼって、すっかりわすれてたな。

「しゃぁねぇなぁー、ここはおれが行くかぁ!? リオが魔法まほうをぶっぱなしてくれても良いけどなっ!」
「そ、そうですわね。わたし使つかえるのは、このなにも燃やせないあおっちょろい灯火ともしびだけ……ですものね」
姫さまみゃにゃ元気だしてぇーにゃみゃがぁー?」
 落ち込む伯爵令嬢ひめさまを気づかう、ねこ魔物まもの
 猫共用語ねこきょうようご翻訳やくされても、ずっとたいしたことは言ってない。

 ふぉふぉふぉふぉふぉぉぉぉおぉぉん♪
『<▼>』
 ピピピピピビッ――ふたたびの、けたたましい三角印さんかくじるし
 これはてき火弾たまとかが飛んできたときの――警告だきをつけろ

「エクレア、たてを――――!」
 元給仕長リオレイニア給仕服きゅうじふくすそが、ブワッサブワッサとひどくまくれてる。
 この世界せかいじゃ腰巻こしまきはつけずに、伸びちぢうすっぺらいふんどしをはいたきりだ。
 かまってる場合ばあいじゃねぇが、目のやり場にこまる。
リオレイニアさんみゃにゃがー見えちゃってるよにゃみゃがぁーやにゃ♡」
 レイダもこう言ってる。

「どうぞ、乗ってください!」
 くろ騎士きしが、手にした大盾おおたて真下ましたに向かってかまえた!
 大盾おおたてに降り立った生活魔法せいかつまほうのいや……高等魔術こうとうまじゅつをも使つかいこなす達人たつじんが。

「ひかりのたてよ、ひかりのたてよ、ひかりのたてよ、ひかりのたてよ!」
『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』
『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』
『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』
『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』
 ひか文様もんようが、エクレアの大盾おおたてにあらわれた。
 その四枚よんまい曼荼羅まんだらは、大盾おおたてはじかれ真下ましたへ落ちていく。

「うをわぁっ――――!?」
 曼荼羅もんようさきに落ちていた、おれたちを素通りし・・・・――――
 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!

 したを見る。
 ヴォッゴゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――!
 そこには灼熱しゃくねつの吹き上がり。
 火吐ひはきおおかみみてぇに、火吐ひはきりゅうがはいた火弾かだんか!?
 とおもったけどそれは――急激きゅうげきいきおいがよわくなってしまった。

 こりゃ洞窟どうくつ溶けた流れ・・・・・が、うえ落ちてきてる・・・・・・みてぇだ。
 出しものとしちゃ面白おもしれぇけど、本気ほんきのリオレイニアにはたぶんとどかねぇ。

「なんだか……拍子抜ひょうしぬけじゃね?」
 まだしたまではとおい。
 つまり、あの図体ずうたいはかなりでけぇ。
 なのに、とんできたほのおのうねりはおおきさこそあるものの――
 いきおいがまるでなく――とうとう止まってしまった。

「ちょっと、アナタ! 前任の・・・火龍かりゅうほのおはこんなものではありませんでしてよっ!? 一体いったいどういうおつもりかしるぁ――――!!!」
 すさまじい怒声どせい
 こっちのほう火龍かりゅう攻撃こうげきよりも、おそろしかった。
「うるせぇ!」

 そんな態度たいどはらを立てたのか、灼熱しゃくねつの吹き上がりが――――
 ほそくするとがり――――キュドッ――――ンッ!

「「うわわわっ!?」」
 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――パキィィィィンッ!
 一枚目いちまいの、ひかりのたてがこわれた。

 ほそくなりいきおいが増した火弾それには、おどろいたけど――それでも。

 おれとひめさんの見立みたどおりというか。
 二枚目にまいめのひかりのたては、つらぬかれることなく――
 ヴォヴォォ、シュワァァン!
 火龍かりゅう攻撃こうげきはじき、霧散むさんさせた!

「グッギャギャァァギャギャギャァァァグゥゥゥゥォォォォルギュギギギギ――――!」
 なんか鳴いた。火龍かりゅうが。
 なーんか、なんとなくだけど。

 おれはバッサバッサと羽ばたいて、リオレイニアたちよりもうえに出る。
 ねこのレイダも――「レイダ、つかまれ」――あしにつかまらせて、一緒いっしょ回収かいしゅうした。

シガミーもみゃにゃぁぁん空を飛べるのみゃにゃみゃが?」
 ほんとうに余計よけいなことにばかり気がつくのは、あのギルド長レムゾー血筋ちすじかんじる。
「これも烏天狗カラテェーかくみのおなもんだからな。見よう見まねでも真似まねるくらいは出来らぁ」
 「え、そうなの? わたしも飛びたい、羽ばたきたい」とか言い出されそうな気がしたからあしおおきく振って、リオレイニアにほうり投げた。

「あっぶなっ――ガシリッ」
「にゃみゃごぉー?」
 首根くびねっこをつかまれ、小脇こわきかかえられるねこ魔物まもの

「ふぃー。なぁおい、ひめさんよぉ?」
「なにかしら、シガミー?」
 からだを振って、大盾おおたてあしをのばそうとしてた派手はで甲冑姿かっちゅうすがた

「アイツよう、なーんか調子悪ちょうしわるそうじゃね?」
 火龍したを見たおれと、目が合った。

火山かざん活力かつりょく一身いっしんに受ける火龍かりゅうが、この場所ばしょ体調不良たいちょうふりょうなんてそんな馬鹿ばかなことあるわけが――――?」
 おなじくしたを見るあか狐面きつねめん

「グギャォゥルルルルュギャァギャギュギュリュリュリュグギギギギ――――!?」
 なんかなー。どんなにつえぇヤツにだって、いま攻められたらマズいってときはある。

「――あるみたい……ですわね?」
 あの燃える大蜥蜴おおとかげにとっちゃ、いまがそのときなんじゃね。

 火龍てきしたに居る。
 いきおいを乗せるための距離たかさかせげる、この陣形じんけい
 てき魔法まほうは、リオがふせいでくれる。
 おれが錫杖しゃくじょうひとつで飛びこめば、火龍かりゅうがどれだけの難敵なんてきだとしても――――
 しちかたはなつだけで、事足ことたりる。

「なーんか一方的いっぽうてきってぇのわぁ、気が乗らねぇなぁ――たおすけど」
「そうですわねぇー。おたが万全ばんぜん状態じょうたい正々堂々せいせいどうどうたたかえないのは、たしかにいただけませんわね――まぁ結局けっきょくは、たおしますけれど」
 聖剣切りヴォルトカッター無しの姫さんリカルル全然ぜんぜん万全ばんぜん状態じょうたいじゃねーけどな。

「――じゃぁさー……ぱらぱらり……くわしいおはなしでもさぁー、聞いてみたらさぁー、良いんじゃなぁいーのぉー――」
 五百乃大角いおのはら攻略本とらのまきのページをめくりながら、そんなことをのたまった。
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